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多貴とエリス
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22・多貴とエリス
今、多貴とホリーが剣を持って向かい合いながら構える。これより始まるはホリーの攻撃を多貴が受け流すというモノ。3分というなんとなく短そうでやってみれば長い時間のトレーニング。
「では行くよ多貴」
「よし、来い!」
真剣な目をする多貴が心の準備をする。するとフーっと軽く前に出たと見えたホリーから、流れ込むような攻撃がやってきた。
「いいね多貴、その反射神経ステキだよ」
ホリーは笑顔で言いながら剣の攻撃を繰り出す。もちろんこれは全力などではない。それをやったら多貴の体を斬ってしまう。多貴の実力に合った程度の勢いで攻撃をふっかけ、少しずつ激しさを上げていく。
(あがってきた)
ホリーの剣を自身の剣で受け止めながら、徐々に速度が増してきた事を感じる多貴。それは呼吸や体に乱れとか疲れをもたらしやすい。まだ始まって1分だから、あと2分を乗り越えねばならない。
「多貴、もうちょっとあげていこうか」
ホリーはたのしそうな顔や声をして剣の舞を加速させていく。
「あぅ……」
スピードがどんどん上がってきた。もちろんこれには手加減って3文字が込みされている。だからかんたんに音を上げてはいけないと多貴は知っている。それでも重たい剣と素速い動きの絡み合いは体力の奪い具合がすごい。
「ほーら多貴、息が乱れてきてるよぉ」
「ぅ……」
「もしわたしが敵だったら腕が飛ぶかもしれないぞぉ」
ホリーはとてもノリノリだが、実際のところ多貴の育成をたのしいと思っていた。こんなに早く成長するとはまったく思ってもいなかったから、どんどん突いて鍛え上げたくなる。つまり指導者という立場の快感をホリーは味わっている真っ最中。
「あぅ……」
始まってから2分22秒が経過したとき、多貴が思わず剣を落としてしまった。ほんの少し呼吸の苦しさに意識を奪われたせいだ。たったそれだけで命守るための剣を地面に落下させてしまう。
「多貴!」
ホリーは剣の振りを素早く止めた。その代わりすぐには完全停止できない体の勢いを蹴りにゆだねる。だから右足が多貴の溝落にすばらしい一撃となって打ち込まれたのであった。
「あぅぅ!」
たまらず両膝を落としてしまう多貴。
「多貴が剣を落とすからいけないんだぞ。わたしが敵だったら首が飛ばされていた可能性だってあるんだからね」
剣を鞘に戻したホリー、ここで意識をエリスに切り替える。ただいまエリスは山の中を走っている最中。ひとりで走らせるなんてとんでもない! とホリーは反対した。でも一人でやりたいと言い張ったので、せめてものとして走るコースはホリーが決めた。そしてエリスがまだ走り終えていないとわかるので急いで見に行かなきゃと歩き出す。でも数歩進んだ所で足を止め、振り返って多貴にこう言った。
「多貴、ちょっとお願いがあるんだけど」
「な、なに?」
「エリスの様子を見に行って欲しい。多分落ち込んでいるだろうから、励ましてあげて欲しい」
「え、べ、別にいいけど……励ますのはホリーの方がいいんじゃないの?」
「多貴、わかってない。真に強くなるためには他者への思いやりも必要。自分しか見えないようだとダメなんだよ」
そう言ってエヘっと笑うホリーが太陽の光に照らされてまぶしい。だからすごい説得力だと思うだけでなくちょっぴり感動させられてしまった。
「わかった、じゃぁ様子を見に行ってくるよ」
乱れていた呼吸を整え終えた多貴はゆっくりと走り出す。エリスが走っているコースはわかるので、逆方向から進んでいく。だがすぐに出会うだろうと思ったのになかなかエリスの姿が見えない。なんかあった? と少し心配になったところで、ようやくエリスの姿が目に入った。
「エリス」
ぶっとくデカい木を背にし座っているエリスに声かけする多貴。
「あぁ……多貴……」
まったくもって元気のないエリスだった。肉体の疲れというよりは精神の疲れが大きいという風に見えなくもない。
「どうしたの?」
多貴はエリスの正面でかがみ込み心配しているって顔を差し出す。
「恥ずかしい話なんだけど……ここで躓いて転んで足をくじいたの」
「そ、そう……だったらエリスはホテルに戻ろう」
多貴に言われたらエリスは顔を赤くして切な気に沈むって表情になった。自分がここまで情けないと思わなかったとショックを隠さない。
「そんな事はないよ。誰だってすぐにはできないよ」
「で、でも……いくらなんでもひどいと思ったの。ちょっと走っただけで目が回りそうで苦しくて、あげく躓いて転んで足をくじいて痛くて立てないとか、こんなのオバさんみたい。妹のポニーがわたしに腹を立てるのもわかる気がする」
エリスの目に涙が一滴出そうって予感が浮かぶ。でも多貴は真剣な顔で前に進もうよとエリスに伝えた。
「前?」
「ぼくだって……余裕かまし過ぎて自堕落な生活になってダメになった。そうするとちょっと走ったらすごい苦痛で続かない。まぁいいや! って感じにどんどん飲み込まれて高御堂力がまったくない人間になってた。だけど今はそんな自分を後悔している。だから今度はやってやる! ってキモチを入れ替えたつもり。エリスだってそうだよ、自分を変えたいとか思った時点で一歩進んだ。今までの事を反省するんだとすれば、すぐにできないのは仕方ないって受け入れるのも大事でしょう? でもそのキモチがあれば、多分つらくてもちょっとずつでもがんばれると思う。それでいいじゃない」
多貴は言い終えるとクルっと周り背中を差し出した。つまりホテルまでおぶっていくという意思表示。
「そ、そんな、多貴に悪いわ」
白いTシャツにトレパン姿のエリスは恥じらった。
「べつに悪くないよ。エリスがイヤだっていうならムリにとは言わない。でもぼくは全然気にしない」
そう言った多貴の背中を見ると、エリスはちょっとばかり胸がドキドキした。口にするのは恥ずかしいとしつつ、お言葉に甘えてみようかなってキモチがフツフツっと湧いてしまう。
「じゃ、じゃぁ……ごめんね」
「全然だいじょうぶだよ」
そう言った多貴の真後ろにエリスが来る。すると周囲の空気にいいニオイが混じって多貴を包み込む。まず一瞬ドキッとする多貴だったが、エリスが抱きつくとワンランク上のドキが生じる。
(あぅ……)
むにゅっとかなり豊かでやわらかい巨乳弾力が多貴の背中に当たる。そのキモチよさとニオイが交じると多貴の目が一瞬クラッとなる。
片方は気まずくもう片方はテレくさく、よって2人はあまり会話をせずホテルまでの時間を過ごした。
「えぇ、エリス! いったいどうしたんですか?」
ホテル前待ち構えていたホリーはびっくり。
「あぁ、だいじょうぶ、ほんと……だいじょうぶよ」
手短に事情を話したエリス、あまり大げさに心配しないでと目で訴える。そこでホリーはエリスに少し部屋で休憩してくださいと言い、多貴にはエリスを部屋までそのまま連れて行くように指示。
「あ、ちょっと多貴」
「なに?」
ホリーは歩き出した多貴を呼び止める。そして彼の耳に小さくイタズラ心交じりな声でつぶやいた。
「キモチいいですか?」
「な、なんだよ……」
「喜ぶのはいいけど、あんまり夢心地に溺れないように」
「う、うるさいな」
「多貴の仕事はエリスを部屋に運ぶだけだからね?」
「当たり前だろう、バカ」
フン! と赤い顔のまま多貴はエリスを彼女の部屋まで連れて行った。その姿を見送ったホリー、多貴とエリスはいい感じ! だなんてメールに書こうかななんて思ったりした。それを姉のエリーに送ろうかなんてスマホを取り出したりした。
「あっと……調子に乗りすぎか……お姉ちゃんはわたしと違って冗談が通じにくい所があるからなぁ、気をつけよう」
盛り上がっていたキモチを鎮めんと軽い体操をエッチラホッチラやったりするホリーだった。
今、多貴とホリーが剣を持って向かい合いながら構える。これより始まるはホリーの攻撃を多貴が受け流すというモノ。3分というなんとなく短そうでやってみれば長い時間のトレーニング。
「では行くよ多貴」
「よし、来い!」
真剣な目をする多貴が心の準備をする。するとフーっと軽く前に出たと見えたホリーから、流れ込むような攻撃がやってきた。
「いいね多貴、その反射神経ステキだよ」
ホリーは笑顔で言いながら剣の攻撃を繰り出す。もちろんこれは全力などではない。それをやったら多貴の体を斬ってしまう。多貴の実力に合った程度の勢いで攻撃をふっかけ、少しずつ激しさを上げていく。
(あがってきた)
ホリーの剣を自身の剣で受け止めながら、徐々に速度が増してきた事を感じる多貴。それは呼吸や体に乱れとか疲れをもたらしやすい。まだ始まって1分だから、あと2分を乗り越えねばならない。
「多貴、もうちょっとあげていこうか」
ホリーはたのしそうな顔や声をして剣の舞を加速させていく。
「あぅ……」
スピードがどんどん上がってきた。もちろんこれには手加減って3文字が込みされている。だからかんたんに音を上げてはいけないと多貴は知っている。それでも重たい剣と素速い動きの絡み合いは体力の奪い具合がすごい。
「ほーら多貴、息が乱れてきてるよぉ」
「ぅ……」
「もしわたしが敵だったら腕が飛ぶかもしれないぞぉ」
ホリーはとてもノリノリだが、実際のところ多貴の育成をたのしいと思っていた。こんなに早く成長するとはまったく思ってもいなかったから、どんどん突いて鍛え上げたくなる。つまり指導者という立場の快感をホリーは味わっている真っ最中。
「あぅ……」
始まってから2分22秒が経過したとき、多貴が思わず剣を落としてしまった。ほんの少し呼吸の苦しさに意識を奪われたせいだ。たったそれだけで命守るための剣を地面に落下させてしまう。
「多貴!」
ホリーは剣の振りを素早く止めた。その代わりすぐには完全停止できない体の勢いを蹴りにゆだねる。だから右足が多貴の溝落にすばらしい一撃となって打ち込まれたのであった。
「あぅぅ!」
たまらず両膝を落としてしまう多貴。
「多貴が剣を落とすからいけないんだぞ。わたしが敵だったら首が飛ばされていた可能性だってあるんだからね」
剣を鞘に戻したホリー、ここで意識をエリスに切り替える。ただいまエリスは山の中を走っている最中。ひとりで走らせるなんてとんでもない! とホリーは反対した。でも一人でやりたいと言い張ったので、せめてものとして走るコースはホリーが決めた。そしてエリスがまだ走り終えていないとわかるので急いで見に行かなきゃと歩き出す。でも数歩進んだ所で足を止め、振り返って多貴にこう言った。
「多貴、ちょっとお願いがあるんだけど」
「な、なに?」
「エリスの様子を見に行って欲しい。多分落ち込んでいるだろうから、励ましてあげて欲しい」
「え、べ、別にいいけど……励ますのはホリーの方がいいんじゃないの?」
「多貴、わかってない。真に強くなるためには他者への思いやりも必要。自分しか見えないようだとダメなんだよ」
そう言ってエヘっと笑うホリーが太陽の光に照らされてまぶしい。だからすごい説得力だと思うだけでなくちょっぴり感動させられてしまった。
「わかった、じゃぁ様子を見に行ってくるよ」
乱れていた呼吸を整え終えた多貴はゆっくりと走り出す。エリスが走っているコースはわかるので、逆方向から進んでいく。だがすぐに出会うだろうと思ったのになかなかエリスの姿が見えない。なんかあった? と少し心配になったところで、ようやくエリスの姿が目に入った。
「エリス」
ぶっとくデカい木を背にし座っているエリスに声かけする多貴。
「あぁ……多貴……」
まったくもって元気のないエリスだった。肉体の疲れというよりは精神の疲れが大きいという風に見えなくもない。
「どうしたの?」
多貴はエリスの正面でかがみ込み心配しているって顔を差し出す。
「恥ずかしい話なんだけど……ここで躓いて転んで足をくじいたの」
「そ、そう……だったらエリスはホテルに戻ろう」
多貴に言われたらエリスは顔を赤くして切な気に沈むって表情になった。自分がここまで情けないと思わなかったとショックを隠さない。
「そんな事はないよ。誰だってすぐにはできないよ」
「で、でも……いくらなんでもひどいと思ったの。ちょっと走っただけで目が回りそうで苦しくて、あげく躓いて転んで足をくじいて痛くて立てないとか、こんなのオバさんみたい。妹のポニーがわたしに腹を立てるのもわかる気がする」
エリスの目に涙が一滴出そうって予感が浮かぶ。でも多貴は真剣な顔で前に進もうよとエリスに伝えた。
「前?」
「ぼくだって……余裕かまし過ぎて自堕落な生活になってダメになった。そうするとちょっと走ったらすごい苦痛で続かない。まぁいいや! って感じにどんどん飲み込まれて高御堂力がまったくない人間になってた。だけど今はそんな自分を後悔している。だから今度はやってやる! ってキモチを入れ替えたつもり。エリスだってそうだよ、自分を変えたいとか思った時点で一歩進んだ。今までの事を反省するんだとすれば、すぐにできないのは仕方ないって受け入れるのも大事でしょう? でもそのキモチがあれば、多分つらくてもちょっとずつでもがんばれると思う。それでいいじゃない」
多貴は言い終えるとクルっと周り背中を差し出した。つまりホテルまでおぶっていくという意思表示。
「そ、そんな、多貴に悪いわ」
白いTシャツにトレパン姿のエリスは恥じらった。
「べつに悪くないよ。エリスがイヤだっていうならムリにとは言わない。でもぼくは全然気にしない」
そう言った多貴の背中を見ると、エリスはちょっとばかり胸がドキドキした。口にするのは恥ずかしいとしつつ、お言葉に甘えてみようかなってキモチがフツフツっと湧いてしまう。
「じゃ、じゃぁ……ごめんね」
「全然だいじょうぶだよ」
そう言った多貴の真後ろにエリスが来る。すると周囲の空気にいいニオイが混じって多貴を包み込む。まず一瞬ドキッとする多貴だったが、エリスが抱きつくとワンランク上のドキが生じる。
(あぅ……)
むにゅっとかなり豊かでやわらかい巨乳弾力が多貴の背中に当たる。そのキモチよさとニオイが交じると多貴の目が一瞬クラッとなる。
片方は気まずくもう片方はテレくさく、よって2人はあまり会話をせずホテルまでの時間を過ごした。
「えぇ、エリス! いったいどうしたんですか?」
ホテル前待ち構えていたホリーはびっくり。
「あぁ、だいじょうぶ、ほんと……だいじょうぶよ」
手短に事情を話したエリス、あまり大げさに心配しないでと目で訴える。そこでホリーはエリスに少し部屋で休憩してくださいと言い、多貴にはエリスを部屋までそのまま連れて行くように指示。
「あ、ちょっと多貴」
「なに?」
ホリーは歩き出した多貴を呼び止める。そして彼の耳に小さくイタズラ心交じりな声でつぶやいた。
「キモチいいですか?」
「な、なんだよ……」
「喜ぶのはいいけど、あんまり夢心地に溺れないように」
「う、うるさいな」
「多貴の仕事はエリスを部屋に運ぶだけだからね?」
「当たり前だろう、バカ」
フン! と赤い顔のまま多貴はエリスを彼女の部屋まで連れて行った。その姿を見送ったホリー、多貴とエリスはいい感じ! だなんてメールに書こうかななんて思ったりした。それを姉のエリーに送ろうかなんてスマホを取り出したりした。
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