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野犬狩りに出発・多貴とホリー
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24・野犬狩りに出発・多貴とホリー
「よっしゃぁ、そろそろ行きますか!」
夕飯後の休憩時間が終了するとホリーが多貴を見て言った。
「うん」
グッと気合入れた顔をホリーに向ける多貴。これより野犬がたくさん出現するという地帯のひとつに向かう。殺すというのは色々問題なので練習用にして打撲しか与えられない剣を使う。そこで犬たちを手荒く気絶させ、後は保健所に回収してもらおうという予定員なっている。
「多貴、今日は斬るではなく打撲だから、戦いが始まったら途中で休憩とかできないからね? 3分以内に相手を全滅させるよう踊らなきゃいけないからね?」
だいじょうぶですか? とニンマリするホリーに多貴はこっくり真剣な表情でうなづく。するとホテルから出てちょっと歩いた2人をエリスが呼び止めた。練習用の剣を自分も持ち参加したいって姿で示している。
「エリス……それはどういう意味で?」
「ホリー、わたしも行きたい」
「ダメです!」
「でも……」
「デモもクソもないです。エリスを連れていけるわけないでしょう」
ホリーは自分も剣を振りたいって衝動にかられているお姫様の前に立ち、エリスにはまだ到底ムリです! と腕組みをし頬をふくらませて見せる。
「多貴はいいの?」
「多貴は……まぁ、行けるかな……って成長をしているのでハードトレーニングって言い方ができるんです。でもエリスは絶対にダメ。いま連れて行ったら責任とか取れないです。もしエリスが大ケガとかしたら、わたしポニーにどんな裁きをくだされるかわからないですよ」
するとエリスはチラッと多貴の方を見る。聞き分けのない女の子みたいな感じが多貴を困らせる。
「ダーメです!」
多貴は女にコロっとイッちゃいそうだとばかり、ホリーがエリスの真ん前に立って顔を近づける。
「エリス、つよくなりたい?」
「そう思う。わたしも多貴みたいに日増しにうまくなるとかやってみたい」
「だったら今はガマン。いきなり太陽にはなれないんだから」
「あとどのくらいガマンしたらいいの?」
「石の上にも3年とか」
「うぅ……」
「とにかくエリスはダメです! もし勝手に付いてきたり出ていったりしないでくださいよ? わたしエリスを信用しますからね?」
特別も特別な幼馴染みであるゆえホリーの言葉は重かった。そうそう簡単には裏切ったりはできない。だからエリスは多貴とホリーの2人が暗い山方面へ向かっていくのを見送って約束を守ってホテルの一室に戻って行った。
「多貴、緊張してる?」
「そりゃぁ……とっても」
「その緊張の上に自分の力を信じるをかぶせ、緊張をグイグイ奥に引っ込めるべし。自分を信じて切り抜ける以外に道はないからね」
「わかった」
「じゃぁストップ!」
ホリーは多貴のちょっと前に出て腕を横に伸ばした。立ち止まった多貴は剣を手に持つとスイッチを押す。そうすると剣身が蒼白く光りライトの代わりも果たす。
「あそこ、けっこう一杯いるねぇ」
ホリーも剣を手にし赤い光を立てる。
「大群……」
ごくりと息を呑んだ多貴の両目は、ずーっと向こうの暗闇にランランって眼光を捉える。それはおおよそ穏やかなモノには見えず物騒だ。
「向こうが気づいた。さぁ多貴、横に立って」
「よし」
赤と青の剣を持つ2人は並んで立ち、こちらに向かってくる野犬の大群を見つめる。正面から来るのを叩き落とす。横や後ろを抑えられないよう注意する。そういう心構えで2人は物騒にして哀れな野犬たちが駆け出すのをジッと待つ。
「ワンちゃん達が動いた、多貴、始まるよ。今から約3分休憩なしと思って」
「了解!」
犬たちが2人に向かって掛けてくる。地面の石ころを蹴るような音よりも、彼らがハァハァとこぼす獰猛な息遣いの方が大きく聞こえる。
「多貴!」
「うぁぁぁぁぁぁ!」
一発勝負の戦いが始まった。途中で息切れだのしくじりはNG。剣を振って叩き落とす。すばやく舞うように次から次へと目にも止まらぬ速さで叩き落とす。
1分が長い、2分はもっと長い。でも一度始めたら止められない。恐怖と緊張がどんどん上がって頭が狂っていきそうな感覚の乱舞。
―キャン!―
叩き落され気絶する犬の声が積み重なっていく。それは頭ブチ切れのようにはげしく動き続ける多貴とホリーが無事なことを意味する。
「うらぁぁ!」
多貴の一振りが最後にとびかかってきた犬を薙ぎ払う。そして犬はドサっと地面に落ちる。それで終わった! と多貴は思ってしまった。するとどうだろう、今まで燃え盛っていた勢いが一瞬ですべて消える。そして息の苦しさがはげしく襲ってきて、剣の構えもほどいてハァハァとやってしまう。
だが犬はまだ気絶していなかった。ガルゥゥと凶悪な声を出して立ち上がろうとする。ドキっとした多貴はすぐさま戦闘の構えに入れない。
「多貴!」
すかさずホリーが後ろから犬に向かって剣を振り下ろす。こうして最後の一匹も見事に片付け終えた。
「多貴……」
「は、はい……」
「ちょっと、ほら、耳貸して」
「み、耳?」
一度気を抜いたせいでヘロヘロな多貴、少し頭を下げ耳をホリーに近づけると、片方の頬を思いっきりつねられる。
「あいたた……痛い」
「痛いじゃない! 最後まで気を抜くなって言ったでしょう! もしわたしがいなかったらどうだった? もし噛まれていたら死ぬかもしれない話だったんだよ?」
「わ、わかったよ……」
「まったくもう……わたしより年上のくせに子供なんだから」
「そんな言い方しなくても……」
「言っとくけど多貴、それじゃぁ妹は取り返せないよ?」
「わかりました、以後気をつけます」
「よろしい、じゃぁ帰ろうか」
ホリーはズボンのポケットからスマホを取り出すと、山道入り口付近で待機している保健所の者たちに連絡をする。後はよろしく! とにっこり顔で言ったりする。その姿はまだまだ元気一杯。一方最後の詰めが甘かった多貴は歩くのもやっとってくらいヘトヘトになり青ざめている。そしてホリーからまだまだダメだねぇと言われてしまったりする。
「よっしゃぁ、そろそろ行きますか!」
夕飯後の休憩時間が終了するとホリーが多貴を見て言った。
「うん」
グッと気合入れた顔をホリーに向ける多貴。これより野犬がたくさん出現するという地帯のひとつに向かう。殺すというのは色々問題なので練習用にして打撲しか与えられない剣を使う。そこで犬たちを手荒く気絶させ、後は保健所に回収してもらおうという予定員なっている。
「多貴、今日は斬るではなく打撲だから、戦いが始まったら途中で休憩とかできないからね? 3分以内に相手を全滅させるよう踊らなきゃいけないからね?」
だいじょうぶですか? とニンマリするホリーに多貴はこっくり真剣な表情でうなづく。するとホテルから出てちょっと歩いた2人をエリスが呼び止めた。練習用の剣を自分も持ち参加したいって姿で示している。
「エリス……それはどういう意味で?」
「ホリー、わたしも行きたい」
「ダメです!」
「でも……」
「デモもクソもないです。エリスを連れていけるわけないでしょう」
ホリーは自分も剣を振りたいって衝動にかられているお姫様の前に立ち、エリスにはまだ到底ムリです! と腕組みをし頬をふくらませて見せる。
「多貴はいいの?」
「多貴は……まぁ、行けるかな……って成長をしているのでハードトレーニングって言い方ができるんです。でもエリスは絶対にダメ。いま連れて行ったら責任とか取れないです。もしエリスが大ケガとかしたら、わたしポニーにどんな裁きをくだされるかわからないですよ」
するとエリスはチラッと多貴の方を見る。聞き分けのない女の子みたいな感じが多貴を困らせる。
「ダーメです!」
多貴は女にコロっとイッちゃいそうだとばかり、ホリーがエリスの真ん前に立って顔を近づける。
「エリス、つよくなりたい?」
「そう思う。わたしも多貴みたいに日増しにうまくなるとかやってみたい」
「だったら今はガマン。いきなり太陽にはなれないんだから」
「あとどのくらいガマンしたらいいの?」
「石の上にも3年とか」
「うぅ……」
「とにかくエリスはダメです! もし勝手に付いてきたり出ていったりしないでくださいよ? わたしエリスを信用しますからね?」
特別も特別な幼馴染みであるゆえホリーの言葉は重かった。そうそう簡単には裏切ったりはできない。だからエリスは多貴とホリーの2人が暗い山方面へ向かっていくのを見送って約束を守ってホテルの一室に戻って行った。
「多貴、緊張してる?」
「そりゃぁ……とっても」
「その緊張の上に自分の力を信じるをかぶせ、緊張をグイグイ奥に引っ込めるべし。自分を信じて切り抜ける以外に道はないからね」
「わかった」
「じゃぁストップ!」
ホリーは多貴のちょっと前に出て腕を横に伸ばした。立ち止まった多貴は剣を手に持つとスイッチを押す。そうすると剣身が蒼白く光りライトの代わりも果たす。
「あそこ、けっこう一杯いるねぇ」
ホリーも剣を手にし赤い光を立てる。
「大群……」
ごくりと息を呑んだ多貴の両目は、ずーっと向こうの暗闇にランランって眼光を捉える。それはおおよそ穏やかなモノには見えず物騒だ。
「向こうが気づいた。さぁ多貴、横に立って」
「よし」
赤と青の剣を持つ2人は並んで立ち、こちらに向かってくる野犬の大群を見つめる。正面から来るのを叩き落とす。横や後ろを抑えられないよう注意する。そういう心構えで2人は物騒にして哀れな野犬たちが駆け出すのをジッと待つ。
「ワンちゃん達が動いた、多貴、始まるよ。今から約3分休憩なしと思って」
「了解!」
犬たちが2人に向かって掛けてくる。地面の石ころを蹴るような音よりも、彼らがハァハァとこぼす獰猛な息遣いの方が大きく聞こえる。
「多貴!」
「うぁぁぁぁぁぁ!」
一発勝負の戦いが始まった。途中で息切れだのしくじりはNG。剣を振って叩き落とす。すばやく舞うように次から次へと目にも止まらぬ速さで叩き落とす。
1分が長い、2分はもっと長い。でも一度始めたら止められない。恐怖と緊張がどんどん上がって頭が狂っていきそうな感覚の乱舞。
―キャン!―
叩き落され気絶する犬の声が積み重なっていく。それは頭ブチ切れのようにはげしく動き続ける多貴とホリーが無事なことを意味する。
「うらぁぁ!」
多貴の一振りが最後にとびかかってきた犬を薙ぎ払う。そして犬はドサっと地面に落ちる。それで終わった! と多貴は思ってしまった。するとどうだろう、今まで燃え盛っていた勢いが一瞬ですべて消える。そして息の苦しさがはげしく襲ってきて、剣の構えもほどいてハァハァとやってしまう。
だが犬はまだ気絶していなかった。ガルゥゥと凶悪な声を出して立ち上がろうとする。ドキっとした多貴はすぐさま戦闘の構えに入れない。
「多貴!」
すかさずホリーが後ろから犬に向かって剣を振り下ろす。こうして最後の一匹も見事に片付け終えた。
「多貴……」
「は、はい……」
「ちょっと、ほら、耳貸して」
「み、耳?」
一度気を抜いたせいでヘロヘロな多貴、少し頭を下げ耳をホリーに近づけると、片方の頬を思いっきりつねられる。
「あいたた……痛い」
「痛いじゃない! 最後まで気を抜くなって言ったでしょう! もしわたしがいなかったらどうだった? もし噛まれていたら死ぬかもしれない話だったんだよ?」
「わ、わかったよ……」
「まったくもう……わたしより年上のくせに子供なんだから」
「そんな言い方しなくても……」
「言っとくけど多貴、それじゃぁ妹は取り返せないよ?」
「わかりました、以後気をつけます」
「よろしい、じゃぁ帰ろうか」
ホリーはズボンのポケットからスマホを取り出すと、山道入り口付近で待機している保健所の者たちに連絡をする。後はよろしく! とにっこり顔で言ったりする。その姿はまだまだ元気一杯。一方最後の詰めが甘かった多貴は歩くのもやっとってくらいヘトヘトになり青ざめている。そしてホリーからまだまだダメだねぇと言われてしまったりする。
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