35 / 46
多貴は自分の姉であるエリーと結ばれるべき……なんて思うホリーだった
しおりを挟む
35・多貴はエリーと結ばれて欲しいなんて思うホリー
激的な変化を遂げたエリスが指導者になると、多貴の激的進化はさらに加速した。ホリーに教わっていた時に生じたスピーディーな変化、そこにあったすき間が埋められたという感じだった。
「じゃぁ、いくわよ多貴」
夜の巨大な野外公園の中央に立つエリス、月明かりに照らされうつくしく色っぽく映えている。
「よし」
剣を持ちかまえる多貴の顔がキリっと引き締まる。
「せい!」
月のお姫様とばかりエレガントにしてつよく剣を振ったエリス。すると夜の暗さに穴を開けるような光の玉が数個、かなりの速さで多貴に向かっていく。
(む!)
すぐに動きたくなるのをこらえる多貴。その時間はとても短いゆえギリギリまで動かないというのは激しい緊張をもたらす。
「く!」
夜空方面こと上に逃げる多貴だったが、そのとき剣を振って蒼白い球を放っておいた。逃げるってサマの多貴から突然に放たれる攻撃というのは、油断しているとすれば相手を驚かす効果を持つ。
「ふん!」
エリスの剣が多貴の放った攻撃を斬る。まるで感情あった光の玉が命を燃やし切ったかのように破裂して消える。
「お見事! エレガントに動けるようになってきたわね」
多貴の成長をホメるエリス、今日はこれで終わりにしましょうと言った後、わたしはもう少しひとりで剣を振りたいと続けた。
「エリス」
「何かしら?」
「いつ……城に乗り込む?」
「そうね、多貴の成長がものすごく早いから、もう少ししたらって感じかしら。でもポニーは強いからさすがに明日ってわけにはいかないわ」
「わかった……」
エリスの横を通り抜けホテルに向かうとき、多貴は早く妹を救いたいってキモチにブレーキをかける。そうでないと今すぐにでも城に向かって走りたくなるから。
「ふぅ……」
超高級ホテルの渡り歩きも飽きてきた……なんて内心思ったりしていたら、1階にある喫茶店からホリーが顔を出す。多貴! と名前を呼んでクイクイっと手招きアクションを取る。
「どうしたの、ホリー」
白いテーブルを挟んで向かい側に座る多貴。
「どうもなにも……ハッキリ言って暇なんだよ。少しは相手して! ってキモチなんだよ」
ブーっと欲求不満って顔をするホリーがいた。でもそれはムリもない話だった。多貴の育成って役割を突然エリスに取られた。しかも多貴の成長がグングン加速するからには、自分がジャマするわけにはいかないとなる。とりあえず自分の腕が錆びないよう、1日に3時間ほどの密度ある訓練は怠らないが、その後にやる事がなくなって困るのだった。
「いや、ホリーには感謝してるよ。だって最初はホリーに引っ張ってもらったんだから」
「まぁ……わたしがヒマだってことはいいとして……多貴、ひとつ聞いてもいい?」
「な、なに?」
「わたしはエリスの事が好きだから、まちがっても悪口じゃないと断ってから質問するんだけど、エリスといい感じになりそうとかある?」
「ブッ! な、なに言ってるんだよ」
「エリスは美人で巨乳。多貴が心奪われ通じ合ってもおかしくない」
「な、ない、今のところそんな話はない」
「今のところか……」
「なんだよ、その思わせぶりな言い方」
ここでホリーは少し身を乗り出す。ドキッとした多貴にグッと顔を近づけ、多貴にはエリスよりお似合いの人がいるとつぶやく。
「え、だ、誰?」
「わたしのお姉ちゃん、エリー」
「え、エリー」
多貴の脳裏に苦くて痛い記憶が渦巻きのようにして湧き上がってきた。この世界にやってきたときエリーに罵られ見下された。運動不足デブに甘んじていた自分が悪いとはいえ、エリーはなかなかにきつかったと思いを持つ。
「お姉ちゃんはけっこう言うことがきついからねぇ。だけど多貴、わたしのお姉ちゃんはエリスに負けず劣らず美人で巨乳、あれ本当におっぱい大きいから! でね、今の多貴みたいにストイックに打ち込むかっこういい少年みたいなのが好み。だから今の多貴がお姉ちゃんと戦って勝利したら、まちがいなく見直してホレる。わたしは妹だから姉のことは親の次によーく知ってる。だから多貴、エリーと恋愛しなさいって」
何がなんでもそうするべし! ってフンイキを弾丸みたいに押し付けられたら、赤い顔の多貴は頭をかいて質問せざるを得ない。
「なんか……ぼくとエリーを結び付けようとしてない?」
「だから言ってるんでしょう、ニブイこと言わないで欲しいわ」
「なんでぼくとエリー?」
「決まってる。2人が結ばれてくれたら、わたしがやりやすいからだよ。わたしにも多貴に対して友だち以上恋愛未満って感情があるんだよ。姉と結ばれてくれたら横から友だちとか理解者って振る舞いがやりやすい。だけど多貴がエリスと結ばれたらやりにくいわけよ。それにね、エリスのことは本当に好きだけど……やっぱり姉の応援したくなる」
「あ、あっと、ぼくはもうそろそろシャワーでもするよ」
慌てて立ち上がった多貴はそそくさと喫茶から出て行ってしまった。その後ろ姿を見ていたホリーは小さな声でつぶやく。
「多貴とお姉ちゃんは絶対お似合い。是非とも結ばれていただきたい。わたしは多貴の義理妹になってたのしく暮らしたい」
激的な変化を遂げたエリスが指導者になると、多貴の激的進化はさらに加速した。ホリーに教わっていた時に生じたスピーディーな変化、そこにあったすき間が埋められたという感じだった。
「じゃぁ、いくわよ多貴」
夜の巨大な野外公園の中央に立つエリス、月明かりに照らされうつくしく色っぽく映えている。
「よし」
剣を持ちかまえる多貴の顔がキリっと引き締まる。
「せい!」
月のお姫様とばかりエレガントにしてつよく剣を振ったエリス。すると夜の暗さに穴を開けるような光の玉が数個、かなりの速さで多貴に向かっていく。
(む!)
すぐに動きたくなるのをこらえる多貴。その時間はとても短いゆえギリギリまで動かないというのは激しい緊張をもたらす。
「く!」
夜空方面こと上に逃げる多貴だったが、そのとき剣を振って蒼白い球を放っておいた。逃げるってサマの多貴から突然に放たれる攻撃というのは、油断しているとすれば相手を驚かす効果を持つ。
「ふん!」
エリスの剣が多貴の放った攻撃を斬る。まるで感情あった光の玉が命を燃やし切ったかのように破裂して消える。
「お見事! エレガントに動けるようになってきたわね」
多貴の成長をホメるエリス、今日はこれで終わりにしましょうと言った後、わたしはもう少しひとりで剣を振りたいと続けた。
「エリス」
「何かしら?」
「いつ……城に乗り込む?」
「そうね、多貴の成長がものすごく早いから、もう少ししたらって感じかしら。でもポニーは強いからさすがに明日ってわけにはいかないわ」
「わかった……」
エリスの横を通り抜けホテルに向かうとき、多貴は早く妹を救いたいってキモチにブレーキをかける。そうでないと今すぐにでも城に向かって走りたくなるから。
「ふぅ……」
超高級ホテルの渡り歩きも飽きてきた……なんて内心思ったりしていたら、1階にある喫茶店からホリーが顔を出す。多貴! と名前を呼んでクイクイっと手招きアクションを取る。
「どうしたの、ホリー」
白いテーブルを挟んで向かい側に座る多貴。
「どうもなにも……ハッキリ言って暇なんだよ。少しは相手して! ってキモチなんだよ」
ブーっと欲求不満って顔をするホリーがいた。でもそれはムリもない話だった。多貴の育成って役割を突然エリスに取られた。しかも多貴の成長がグングン加速するからには、自分がジャマするわけにはいかないとなる。とりあえず自分の腕が錆びないよう、1日に3時間ほどの密度ある訓練は怠らないが、その後にやる事がなくなって困るのだった。
「いや、ホリーには感謝してるよ。だって最初はホリーに引っ張ってもらったんだから」
「まぁ……わたしがヒマだってことはいいとして……多貴、ひとつ聞いてもいい?」
「な、なに?」
「わたしはエリスの事が好きだから、まちがっても悪口じゃないと断ってから質問するんだけど、エリスといい感じになりそうとかある?」
「ブッ! な、なに言ってるんだよ」
「エリスは美人で巨乳。多貴が心奪われ通じ合ってもおかしくない」
「な、ない、今のところそんな話はない」
「今のところか……」
「なんだよ、その思わせぶりな言い方」
ここでホリーは少し身を乗り出す。ドキッとした多貴にグッと顔を近づけ、多貴にはエリスよりお似合いの人がいるとつぶやく。
「え、だ、誰?」
「わたしのお姉ちゃん、エリー」
「え、エリー」
多貴の脳裏に苦くて痛い記憶が渦巻きのようにして湧き上がってきた。この世界にやってきたときエリーに罵られ見下された。運動不足デブに甘んじていた自分が悪いとはいえ、エリーはなかなかにきつかったと思いを持つ。
「お姉ちゃんはけっこう言うことがきついからねぇ。だけど多貴、わたしのお姉ちゃんはエリスに負けず劣らず美人で巨乳、あれ本当におっぱい大きいから! でね、今の多貴みたいにストイックに打ち込むかっこういい少年みたいなのが好み。だから今の多貴がお姉ちゃんと戦って勝利したら、まちがいなく見直してホレる。わたしは妹だから姉のことは親の次によーく知ってる。だから多貴、エリーと恋愛しなさいって」
何がなんでもそうするべし! ってフンイキを弾丸みたいに押し付けられたら、赤い顔の多貴は頭をかいて質問せざるを得ない。
「なんか……ぼくとエリーを結び付けようとしてない?」
「だから言ってるんでしょう、ニブイこと言わないで欲しいわ」
「なんでぼくとエリー?」
「決まってる。2人が結ばれてくれたら、わたしがやりやすいからだよ。わたしにも多貴に対して友だち以上恋愛未満って感情があるんだよ。姉と結ばれてくれたら横から友だちとか理解者って振る舞いがやりやすい。だけど多貴がエリスと結ばれたらやりにくいわけよ。それにね、エリスのことは本当に好きだけど……やっぱり姉の応援したくなる」
「あ、あっと、ぼくはもうそろそろシャワーでもするよ」
慌てて立ち上がった多貴はそそくさと喫茶から出て行ってしまった。その後ろ姿を見ていたホリーは小さな声でつぶやく。
「多貴とお姉ちゃんは絶対お似合い。是非とも結ばれていただきたい。わたしは多貴の義理妹になってたのしく暮らしたい」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
花鳥見聞録
木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる