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プロローグ
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薄暗い書庫の中を大きく空いた天窓から月の明かりが照らしている。
壁についている白いフレームのランプはオレンジ色の柔らかい光を灯して処々を照らし、部屋に吊り下げられているドライフラワーからはラベンダーの香りが漂っている。
天井まである本棚に囲まれた円柱の部屋の真ん中には深いグリーンのフカフカなソファがあり、そこに座っているのは一人の少女だ。
雪のように白い肌、美しい黒髪は腰の位置まである。
エメラルドのようなグリーンの瞳で本を読み、ふっくらとしていて紅を引いたような赤い唇をカップにあてて、レモンと蜂蜜をいれた紅茶を飲んでいる。
どこからか声がする。
彼女は読んでいた本をそっと閉じると右手をゆっくり肩の高さまで上げて、細くて長い指先を声のする方の本棚に向けた。
すると一冊の本が本棚から飛び出し、ゆっくりと彼女の前で止まった。
本は空中で開かれ、中から光が溢れ出した。
「おはよう、リマ。」
光の中から現れたのは小さな赤いドラゴンだった。
コウモリのような羽をパタパタと羽ばたかせている。
「ふぁぁ~、よく寝たよ。旅の疲れが溜まっていたからね、ごめんよ、ノーチェ」
「いいのよ、ずっと本を読んでいたから。」
リマというドラゴンはそっとノーチェの肩に降りた。
「よく寝たし、僕はいつでも出発できるけど?」
「そうね、そろそろ出発したいわね。今度こそ見つかるかしら。」
「どうかな、運が良ければね。」
ノーチェはゆっくりと立ち上がると、今度は両手を肩の高さまで上げて右手と左手の手のひらを何かを押し出すように前に出した。
ノーチェの瞳は宝石のように輝きを増し、煌めく夜空のような黒い風が彼女の体を包んだ。
「私を呼んでいる扉よ。私の前に現われよ。」
そう呟くと黒い風はノーチェの体から指先へと移り大きな黒い塊まりになった。
風が止むと、黒い塊から重そうな金属でできたグレーの扉が現れた。
ノーチェは扉に手をかける。
「さぁ、新しい世界に出かけましょう」
彼女は異世界の扉を開ける魔法を使う魔女。
扉から扉を旅する彼女は何を探しているのでしょうか。
壁についている白いフレームのランプはオレンジ色の柔らかい光を灯して処々を照らし、部屋に吊り下げられているドライフラワーからはラベンダーの香りが漂っている。
天井まである本棚に囲まれた円柱の部屋の真ん中には深いグリーンのフカフカなソファがあり、そこに座っているのは一人の少女だ。
雪のように白い肌、美しい黒髪は腰の位置まである。
エメラルドのようなグリーンの瞳で本を読み、ふっくらとしていて紅を引いたような赤い唇をカップにあてて、レモンと蜂蜜をいれた紅茶を飲んでいる。
どこからか声がする。
彼女は読んでいた本をそっと閉じると右手をゆっくり肩の高さまで上げて、細くて長い指先を声のする方の本棚に向けた。
すると一冊の本が本棚から飛び出し、ゆっくりと彼女の前で止まった。
本は空中で開かれ、中から光が溢れ出した。
「おはよう、リマ。」
光の中から現れたのは小さな赤いドラゴンだった。
コウモリのような羽をパタパタと羽ばたかせている。
「ふぁぁ~、よく寝たよ。旅の疲れが溜まっていたからね、ごめんよ、ノーチェ」
「いいのよ、ずっと本を読んでいたから。」
リマというドラゴンはそっとノーチェの肩に降りた。
「よく寝たし、僕はいつでも出発できるけど?」
「そうね、そろそろ出発したいわね。今度こそ見つかるかしら。」
「どうかな、運が良ければね。」
ノーチェはゆっくりと立ち上がると、今度は両手を肩の高さまで上げて右手と左手の手のひらを何かを押し出すように前に出した。
ノーチェの瞳は宝石のように輝きを増し、煌めく夜空のような黒い風が彼女の体を包んだ。
「私を呼んでいる扉よ。私の前に現われよ。」
そう呟くと黒い風はノーチェの体から指先へと移り大きな黒い塊まりになった。
風が止むと、黒い塊から重そうな金属でできたグレーの扉が現れた。
ノーチェは扉に手をかける。
「さぁ、新しい世界に出かけましょう」
彼女は異世界の扉を開ける魔法を使う魔女。
扉から扉を旅する彼女は何を探しているのでしょうか。
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