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第二章 魔力無し転生者は仲間を探す
第九話 帝国皇族と食事会
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「陛下、愚考と承知で言わせてもらいます。それは難しいのではないでしょうか?」
しかしそんなお父様の考えに対してグレンダは否定気味に言葉を口にした。
「ほう、どうしてそう思うんだね?」
興味深そうにグレンダに視線を向けるお父様。だけどその目は真剣そのもの。細められた目はまるで獲物を狙っている猛禽類のようで少し怖い。
しかしグレンダは臆することなく答えた。
「幾つか理由がありますが、一番の理由としましては教えを請えたとしても教えて貰う私たちがその常識を受け入れられるかです。大陸の中でも実力主義と言われているベルヘンス帝国ではありますが、貴族や現軍人がそのジンの常識でプライドを傷つけられたと思うかもしれないからです」
「確かにそうだろう。現にスヴェルニ学園では彼の異質さを受け入れられなかった生徒たちは彼の事を嫌っていたからな」
「でしたら――」
「だが、彼の考えを真正面から受け止めた生徒はこれまでに無いほどの成長を遂げているのも事実だ。その証拠に団体戦ではジン君が率いる11組の生徒が冒険科代表として出場したのだからな。それにプライドは大切だが、それに縛られ停滞した者に強くなる資格はないと我は思っている」
「へ、陛下……」
難しい。お父様が言っていることは間違ってはいない。だけど今の役職や地位に満足している貴族や役員からしてみればそれはあまりにも難しいとしか言いようがありません。
「それで、もう一つの理由はなんだ?」
「はい。それはジンが素直に強さの秘訣を教えてくれるかどうかです」
「ま、一番の問題はそこだろうな。部下にも色々と調べさせてはいるがハッキリとしないからな」
「と、言いますと?」
「確かにジン君はスヴェルニ学園に在籍していた。だけどそれは今年の4月からだ。つまりは編入生と言う事なんだが、それ以前の情報がまったく入ってこない。分かっている事といえばジン君と最初に出会ったのがルーベンハイト家の令嬢であり、ルーベンハイト家が編入試験を行うように言って来たって事ぐらいだ。それ以外はまったく情報がない」
「ジンはヤマト出身だと言っていましたが?」
「それも本当かどうか疑わしい。確かに顔立ちはヤマトの人間だ。だがそれはそう思わせるためにそう言っているだけかもしれない」
「確かに、それは無いとは言えませんが……」
紅茶を口にするお父様に弱気に返答するグレンダ。
「まったく謎だらけの存在だ。戦闘力も彼の存在そのものも」
紅茶の中を見つめながらお父様はそう呟くのだった。
************************
夜になり俺はシャルロットの家族と食事をすることになったが、なんだこのハリウッド家族は!全員が全員美男美女ばかり。別の意味で俺がこの場に居ることが場違いに思えてくる。
そして何より驚いたのが食事がとても家庭的であることだ。
「ジン君、驚いたかね?」
「え、ええ。色んな意味で驚きました」
いや、マジで。
現在この場には俺を含めて12人が居る。イオは執事として後ろに控えているだけだが。グレンダは俺の横に座っている。つまり9人家族と言う事になるのか。
「妻たちが料理が好きでね。我が家ではいつもこんな感じなんだ」
もっと豪華な食事をしていたかと思っていたけど。家庭はそれぞれだしな。
「それじゃ、家族を紹介するとしよう」
名前を覚えられるか不安だが、聞いておこう。
「まずはエリーシャだ」
「エリーシャ・ルヴェル・ベルヘンスと申します。このたびは義娘を助けて頂きありがとうございます」
「大したことはなにも」
青いミディアムヘアにブラウンの瞳。確か種族は人間だって話だったがいったい幾つなんだ?どうみても20代後半にしか見えないんだが。
「で、こっちがもう一人の妻のレティシアだ」
「ジンさん初めまして。レティシア・ピルム・ベルヘンスです。娘を助けてくれてありがとうね」
「いや、本当に気になさらず」
駄目だ緊張する。ハリウッド家族なだけでも平常心がどうにかなりそうなのに、全員が皇族だろ。もう意味が分からん。こんな緊張感はあの島では無かったんだぞ!
それにしても流石はシャルロットの母親だな。超美人だ。エルフってみんな美人な気なするけど。
「次に息子のライアンだ」
「エリーシャの息子のライアン・セレス・ベルヘンスだ。よろしく」
「よろしくお願いします」
青い髪に紫の瞳を持つ好青年って感じだな。どこかライオネルと似てる気がする。それにしても年齢的には24歳といったところか?エリーシャさんとカップルだと言われても俺は信じるレベルだぞ。
「で、こっちがカルロスだ」
「次男のカルロス・ドグマ・ベルヘンスだ。義妹を守ってくれて助かった」
「いや、成り行きですし」
金色の短髪にブラウンの瞳。それに鍛え上げられたガタイの良い体。第二皇子って大半が戦闘系が得意なイメージなんだが。俺だけか?
それにしても美男美女、皇族から何度もお礼を言われるって精神衛生上良くない。さっきから寿命が縮んでいる気がする。
「で、ジン君が助けてくれたシャルロットだ」
「改めて、シャルロット・デューイ・ベルヘンスと申します。先日は助けてくれてありがとう御座います」
「いや、本当に気にしなくて良いから」
うん、シャルロットだと気兼ねなく話せるな。
「娘のサーシャだ」
「第三皇女のサーシャ・ロート・ベルヘンスと申します。シャルロットお義姉さまを助けて頂き真にありがとう御座います」
青い長髪に紫の瞳か。エリーシャさんの娘だろうな。だけど年齢的にはシャルロットより1、2歳年下なんだろうがしっかりしているな。いや、しっかりし過ぎているような気もするが。
「鬼瓦仁だ。よろしく」
「で、息子のマオだ」
「マオ・フェント・ベルヘンスです。シャルロットお姉さまを助けてくれてありがとうございます」
「よろしくな」
金髪に紫の瞳の少年が可愛らしく挨拶してきた。リリーより少し年上って感じだな。
「で、最後にミアだ」
「みあ・えるげ・べるへんす、です。よろしくおねがいします」
『おおおぉぉ!』
ミアちゃんの自己紹介に誰もが拍手した。3歳児なんだし当然か。それにしても今すぐ子役に応募したら合格しそうなレベルの可愛さだな。いや、待てよ。3歳児って事はボルキュス陛下が40前半の時に出来たってことだよな。元気だな。色んな意味で。
さて、ここでいったん整理してしておこうか。
まずエリーシャさんの子供がライアン、カルロス、サーシャ、ミアの4人。で、レティシアさんの子供がシャルロット、マオ。になるんだよな。ん?確かシャルロットは第二皇女って言ってたよな。でサーシャが第三皇女だから。第一皇女はどこだ?
「ボルキュス陛下」
「なんだい?」
「不躾な質問なんですが、第一皇女様はお仕事かなにかで居られないのですか?」
俺のそんな質問に一瞬にして食事の場が葬式場へと変貌した。もしかして地雷踏んだ?
グレンダにも睨まれてるし、間違いないな。
「確かに一人だけ居ないのは気になるよな。だが、安心してくれたまえ。少し体調を崩しているだけだ」
「そう言う事なら……」
体調を崩しているね。みんなの表情からして長い間部屋で寝ていると思ったほうが良いだろうな。余計な事を聞いてしまったな。
「ささ、食事としよう。せっかく妻たちが作ってくれた料理だ。遠慮なく食べてくれたまえ」
ボルキュス陛下の言葉で食事が始まった。きっとグレンダが伝えたんだろう俺のご飯だけおにぎりやサンドイッチが並べられていた。そして何より、
「美味しい!」
「それは良かったわ」
イザベラの家の料理長にも劣らないレベルだぞ。なにこの家系。見た目だけじゃなくてスキルもチートレベルなわけ?
「そう言えばジンさんはシャルロットにお会いする前はスヴェルニ王国にいたのですよね?」
あまりの美味しさに頬張りそうになるのを我慢しつつ、礼儀作法から逸脱しない程度の速さで食べているとレティシアさんが話しかけて来た。
「はい、そうです」
「スヴェルニ学園冒険科に通っているジュリアス・L・シュカルプって生徒ご存知ありませんか?」
「え、ジュリアスですか?」
まさか、皇族からジュリアスの名前が出てくるなんて思わなかった。お前って実は何者なんだ?
「あら、その口調だと知っているのですね?」
「知っているも何もルームメイトでしたので」
「あら、そうだったの」
そんな俺の言葉に素で驚いていた。この情報は知らなかったようだな。
となると知っているのはニュースやネットで手に入れられる程度の情報だけなのか、それともレティシアさんたちには知らせていないのかのどっちかだろうな。
「武闘大会団体戦では同じチームメイトでしたし最高の仲間であり親友です」
「うふふ、それなら良かったわ」
口元を右手で隠しながら嬉しそうに笑う。
「それにしてもどうしてレティシア様がジュリアスの事を?」
「ジュリアスの母親が私の従姉妹なの」
「なるほど、それで」
つまりジュリアスの母親の従姉妹がベルヘンス帝国第二皇妃ってことだよな。なにこの変な家系は。いや、それよりも世間は何気に広いようで狭いな。
「なら、ジュリアスの秘密も知っているのかしら?」
笑顔の奥に隠れた殺意にも似た警戒心が俺に突き刺さる。正直その顔はやめて貰いたい。怖いから!
「ジュリアスが本当はジュリア・L・シュカルプであり、女だって事ですか?」
「ご存知でしたのね」
笑みを崩さずに問い返して来る言葉はどこか冷たく突き刺すような声音をしていた。
「安心してください。知ってはいましたが誰かに喋ってもいませんし、男女の関係になった事はありませんから。逆に周囲からはおホモだちって思われていましたし」
「それは喜んで良いのかしら?」
困った表情をするレティシア様。ま、誰だってこんな話を聞けば困るよな。
「それにしてもジンさんはどうしてジュリアスの正体を知ったのかしら?」
ま、普通に気なるよな。
「編入した初日に偶然ジュリアスのクラスメイトがその事で脅していたのを耳にして知りました。で、ムカついたのでジュリアスのクラスメイトをぶん殴っただけです。ま、一週間の自宅謹慎になってしまいましたが」
「そう、それは良かったわ。今の話を聞いていなかったら私が暗殺者を送っていたところよ」
「え?」
「冗談です」
いや、冗談には聞こえなかったんだが。なにこの人。本当は怖い人なんじゃ。
「レティシアが我と結婚する前は冒険者として活動していてね。ギルドの中ではアサシンの役職だったからな」
なにその怖い過去。絶対にレティシアさんは怒らせちゃだめだな。夜もおちおち寝てられないじゃないか。
「それにしてもジンさんは凄いわね。今年スヴェルニ王国で開催されている武闘大会でスヴェルニ学園個人選代表として出場する筈だったんでしょ。それも神童と謳われるルーベンハイト家のご令嬢を倒して優勝なさったとか」
エリーシャさんがそんな事を聞いてくるが、ボルキュス陛下から聞いたのか?いや、さっきの驚いた表情から考えてネットで知ったのかもしれない。
「お母様それは本当ですか?」
「ええ、ライアン。旦那様から教えて頂いたもの」
ボルキュス陛下が教えたのか?なら全部は教えていないと言う事か。
なんで?いや、もしかしたらジュリアスが脅されていた事も知っていたのかもしれない。そうなるとさっきのレティシアさんを見る限りマジで暗殺者を送り付けていた可能性を考慮した上で教えなかったと考えるのが妥当だろう。
「ほう、そんな実力者だったとは一度手合わせしたいものだ」
カルロス様の目がマジだ。なんで闘うことが好きな奴ってみんなこうなんだ。ま、俺も人の事を言えないけど。
「スヴェルニ学園では能無しと言われていたんでしょ。それなのにどうして勝てたのか教えていただきたいですわ」
そこまで知っているのか。いったいボルキュス陛下はどこまで教えているのかとても気になるところだが、教えて貰えるわけないよな。
「ただ単にイザベラよりも俺の方が強かった。それだけの事です」
イザベラにも言われているし、あの島に住んでいた事は言わないほうが良いだろう。これまでの生活で言えば間違いなく面倒に巻き込まれる可能性は十分にあると分かったからな。
「ならその強さはどうやって手に入れたのかしら?」
なんだか誘導尋問されている気分なんだが。気のせいか?スヴェルニ王国で行われる学生の武闘大会は他国でも有名らしいからな。そんな個人戦代表に選ばれた存在となれば気になるのも当然か。
「別に大した事はしていません。ただ実戦経験が豊富というだけです」
「だが、それはルーベンハイト家の令嬢も実戦経験が豊富だと聞いているが?」
口にしていた魚のムニエルを飲み込んだカルロス様が逃げ道を無くすかのように言ってくる。
カルロス様も知っているのか。何気に厄介な家族と関わってしまったかもしれない。
「そうですね。これはイザベラにも言った事なんですが、大抵の国が実力とは魔力量と魔法属性の数だと思い込んでいるみたいですが、それは間違いです」
「だが実際に魔力量が多い者が少ない者よりも有利だと思うが?」
「確かにその通りです。ですが、それは互いの力が拮抗していた場合の話です。実力、つまり戦闘力とは本来別物です」
「と言うと?」
「この世界に存在する生物には唯一等しく神から与えられた物があります」
「それは?」
「経験値です」
『経験値?』
俺の言葉に誰もが首を傾げる。ま、無理も無いか。イザベラたちもそうだったしな。
「そうです。鍛錬を行えば魔法発動の時間を短縮出来るように。敵を魔物を、倒せば経験値が得られます」
「確かに自分より強い魔物を倒せばそれなりの経験値を手にすることが出来る。そうすれば魔力量も身体能力も上がる。だが、自分より弱い魔物を倒したところで入る経験値は僅かだ」
「確かにその通りです。ですが弱い魔物を一匹ではなく10匹、100匹と倒して行けばどうなりますか?」
「それは確かにそれなりの経験値を得られる」
「その通りです。そして俺が強くなるにはその方法しかなかった。最初は弱い敵から倒していき、徐々に強い敵。弱い敵と遭遇しても躊躇うことなく倒す。それを俺は5年間森の中で続けました」
「5年間だと!」
「はい。生憎俺には両親はいません。ましてや魔力を持たない俺を育てようとしてくれる人たちも居ませんでしたので。そんな俺に出来ることがあるとすれば森の中で魔物と戦い、生き抜くことだけです。で結果的に俺は強くなり今があるわけです」
嘘は言っていない。育ててくれた人たちが居なかったってのも間違いではない。何故ならあの場所には人間は居なかったのだから。
「ん?」
なんだかまたしてもお通夜状態になっているんだが。
「ま、これが俺が強くなった成り立ちであり、強くなる方法ですね」
「ジンさん。教えてくれてありがとうね」
「いや、別に大した話してもなかったと思いますけど」
だからなんでそんな悲しげな表情をしているのか俺に教えて欲しいんだが。話を盛りすぎた覚えもないしな。
==============================
どうも皆さん、月見酒です。
皇族と食事会と言う話でしたけど全員の名前を考えるのが、超大変!正直途中から嫌になるほどです。
でも名前が無いと後々、アイツって誰だっけ?みたいな事になるので考えました。(疲れた~)
それなら鬼神転生記の方でも執筆して欲しいと思うかもしれませんが、もう少し待っていてください。
それではまた。
しかしそんなお父様の考えに対してグレンダは否定気味に言葉を口にした。
「ほう、どうしてそう思うんだね?」
興味深そうにグレンダに視線を向けるお父様。だけどその目は真剣そのもの。細められた目はまるで獲物を狙っている猛禽類のようで少し怖い。
しかしグレンダは臆することなく答えた。
「幾つか理由がありますが、一番の理由としましては教えを請えたとしても教えて貰う私たちがその常識を受け入れられるかです。大陸の中でも実力主義と言われているベルヘンス帝国ではありますが、貴族や現軍人がそのジンの常識でプライドを傷つけられたと思うかもしれないからです」
「確かにそうだろう。現にスヴェルニ学園では彼の異質さを受け入れられなかった生徒たちは彼の事を嫌っていたからな」
「でしたら――」
「だが、彼の考えを真正面から受け止めた生徒はこれまでに無いほどの成長を遂げているのも事実だ。その証拠に団体戦ではジン君が率いる11組の生徒が冒険科代表として出場したのだからな。それにプライドは大切だが、それに縛られ停滞した者に強くなる資格はないと我は思っている」
「へ、陛下……」
難しい。お父様が言っていることは間違ってはいない。だけど今の役職や地位に満足している貴族や役員からしてみればそれはあまりにも難しいとしか言いようがありません。
「それで、もう一つの理由はなんだ?」
「はい。それはジンが素直に強さの秘訣を教えてくれるかどうかです」
「ま、一番の問題はそこだろうな。部下にも色々と調べさせてはいるがハッキリとしないからな」
「と、言いますと?」
「確かにジン君はスヴェルニ学園に在籍していた。だけどそれは今年の4月からだ。つまりは編入生と言う事なんだが、それ以前の情報がまったく入ってこない。分かっている事といえばジン君と最初に出会ったのがルーベンハイト家の令嬢であり、ルーベンハイト家が編入試験を行うように言って来たって事ぐらいだ。それ以外はまったく情報がない」
「ジンはヤマト出身だと言っていましたが?」
「それも本当かどうか疑わしい。確かに顔立ちはヤマトの人間だ。だがそれはそう思わせるためにそう言っているだけかもしれない」
「確かに、それは無いとは言えませんが……」
紅茶を口にするお父様に弱気に返答するグレンダ。
「まったく謎だらけの存在だ。戦闘力も彼の存在そのものも」
紅茶の中を見つめながらお父様はそう呟くのだった。
************************
夜になり俺はシャルロットの家族と食事をすることになったが、なんだこのハリウッド家族は!全員が全員美男美女ばかり。別の意味で俺がこの場に居ることが場違いに思えてくる。
そして何より驚いたのが食事がとても家庭的であることだ。
「ジン君、驚いたかね?」
「え、ええ。色んな意味で驚きました」
いや、マジで。
現在この場には俺を含めて12人が居る。イオは執事として後ろに控えているだけだが。グレンダは俺の横に座っている。つまり9人家族と言う事になるのか。
「妻たちが料理が好きでね。我が家ではいつもこんな感じなんだ」
もっと豪華な食事をしていたかと思っていたけど。家庭はそれぞれだしな。
「それじゃ、家族を紹介するとしよう」
名前を覚えられるか不安だが、聞いておこう。
「まずはエリーシャだ」
「エリーシャ・ルヴェル・ベルヘンスと申します。このたびは義娘を助けて頂きありがとうございます」
「大したことはなにも」
青いミディアムヘアにブラウンの瞳。確か種族は人間だって話だったがいったい幾つなんだ?どうみても20代後半にしか見えないんだが。
「で、こっちがもう一人の妻のレティシアだ」
「ジンさん初めまして。レティシア・ピルム・ベルヘンスです。娘を助けてくれてありがとうね」
「いや、本当に気になさらず」
駄目だ緊張する。ハリウッド家族なだけでも平常心がどうにかなりそうなのに、全員が皇族だろ。もう意味が分からん。こんな緊張感はあの島では無かったんだぞ!
それにしても流石はシャルロットの母親だな。超美人だ。エルフってみんな美人な気なするけど。
「次に息子のライアンだ」
「エリーシャの息子のライアン・セレス・ベルヘンスだ。よろしく」
「よろしくお願いします」
青い髪に紫の瞳を持つ好青年って感じだな。どこかライオネルと似てる気がする。それにしても年齢的には24歳といったところか?エリーシャさんとカップルだと言われても俺は信じるレベルだぞ。
「で、こっちがカルロスだ」
「次男のカルロス・ドグマ・ベルヘンスだ。義妹を守ってくれて助かった」
「いや、成り行きですし」
金色の短髪にブラウンの瞳。それに鍛え上げられたガタイの良い体。第二皇子って大半が戦闘系が得意なイメージなんだが。俺だけか?
それにしても美男美女、皇族から何度もお礼を言われるって精神衛生上良くない。さっきから寿命が縮んでいる気がする。
「で、ジン君が助けてくれたシャルロットだ」
「改めて、シャルロット・デューイ・ベルヘンスと申します。先日は助けてくれてありがとう御座います」
「いや、本当に気にしなくて良いから」
うん、シャルロットだと気兼ねなく話せるな。
「娘のサーシャだ」
「第三皇女のサーシャ・ロート・ベルヘンスと申します。シャルロットお義姉さまを助けて頂き真にありがとう御座います」
青い長髪に紫の瞳か。エリーシャさんの娘だろうな。だけど年齢的にはシャルロットより1、2歳年下なんだろうがしっかりしているな。いや、しっかりし過ぎているような気もするが。
「鬼瓦仁だ。よろしく」
「で、息子のマオだ」
「マオ・フェント・ベルヘンスです。シャルロットお姉さまを助けてくれてありがとうございます」
「よろしくな」
金髪に紫の瞳の少年が可愛らしく挨拶してきた。リリーより少し年上って感じだな。
「で、最後にミアだ」
「みあ・えるげ・べるへんす、です。よろしくおねがいします」
『おおおぉぉ!』
ミアちゃんの自己紹介に誰もが拍手した。3歳児なんだし当然か。それにしても今すぐ子役に応募したら合格しそうなレベルの可愛さだな。いや、待てよ。3歳児って事はボルキュス陛下が40前半の時に出来たってことだよな。元気だな。色んな意味で。
さて、ここでいったん整理してしておこうか。
まずエリーシャさんの子供がライアン、カルロス、サーシャ、ミアの4人。で、レティシアさんの子供がシャルロット、マオ。になるんだよな。ん?確かシャルロットは第二皇女って言ってたよな。でサーシャが第三皇女だから。第一皇女はどこだ?
「ボルキュス陛下」
「なんだい?」
「不躾な質問なんですが、第一皇女様はお仕事かなにかで居られないのですか?」
俺のそんな質問に一瞬にして食事の場が葬式場へと変貌した。もしかして地雷踏んだ?
グレンダにも睨まれてるし、間違いないな。
「確かに一人だけ居ないのは気になるよな。だが、安心してくれたまえ。少し体調を崩しているだけだ」
「そう言う事なら……」
体調を崩しているね。みんなの表情からして長い間部屋で寝ていると思ったほうが良いだろうな。余計な事を聞いてしまったな。
「ささ、食事としよう。せっかく妻たちが作ってくれた料理だ。遠慮なく食べてくれたまえ」
ボルキュス陛下の言葉で食事が始まった。きっとグレンダが伝えたんだろう俺のご飯だけおにぎりやサンドイッチが並べられていた。そして何より、
「美味しい!」
「それは良かったわ」
イザベラの家の料理長にも劣らないレベルだぞ。なにこの家系。見た目だけじゃなくてスキルもチートレベルなわけ?
「そう言えばジンさんはシャルロットにお会いする前はスヴェルニ王国にいたのですよね?」
あまりの美味しさに頬張りそうになるのを我慢しつつ、礼儀作法から逸脱しない程度の速さで食べているとレティシアさんが話しかけて来た。
「はい、そうです」
「スヴェルニ学園冒険科に通っているジュリアス・L・シュカルプって生徒ご存知ありませんか?」
「え、ジュリアスですか?」
まさか、皇族からジュリアスの名前が出てくるなんて思わなかった。お前って実は何者なんだ?
「あら、その口調だと知っているのですね?」
「知っているも何もルームメイトでしたので」
「あら、そうだったの」
そんな俺の言葉に素で驚いていた。この情報は知らなかったようだな。
となると知っているのはニュースやネットで手に入れられる程度の情報だけなのか、それともレティシアさんたちには知らせていないのかのどっちかだろうな。
「武闘大会団体戦では同じチームメイトでしたし最高の仲間であり親友です」
「うふふ、それなら良かったわ」
口元を右手で隠しながら嬉しそうに笑う。
「それにしてもどうしてレティシア様がジュリアスの事を?」
「ジュリアスの母親が私の従姉妹なの」
「なるほど、それで」
つまりジュリアスの母親の従姉妹がベルヘンス帝国第二皇妃ってことだよな。なにこの変な家系は。いや、それよりも世間は何気に広いようで狭いな。
「なら、ジュリアスの秘密も知っているのかしら?」
笑顔の奥に隠れた殺意にも似た警戒心が俺に突き刺さる。正直その顔はやめて貰いたい。怖いから!
「ジュリアスが本当はジュリア・L・シュカルプであり、女だって事ですか?」
「ご存知でしたのね」
笑みを崩さずに問い返して来る言葉はどこか冷たく突き刺すような声音をしていた。
「安心してください。知ってはいましたが誰かに喋ってもいませんし、男女の関係になった事はありませんから。逆に周囲からはおホモだちって思われていましたし」
「それは喜んで良いのかしら?」
困った表情をするレティシア様。ま、誰だってこんな話を聞けば困るよな。
「それにしてもジンさんはどうしてジュリアスの正体を知ったのかしら?」
ま、普通に気なるよな。
「編入した初日に偶然ジュリアスのクラスメイトがその事で脅していたのを耳にして知りました。で、ムカついたのでジュリアスのクラスメイトをぶん殴っただけです。ま、一週間の自宅謹慎になってしまいましたが」
「そう、それは良かったわ。今の話を聞いていなかったら私が暗殺者を送っていたところよ」
「え?」
「冗談です」
いや、冗談には聞こえなかったんだが。なにこの人。本当は怖い人なんじゃ。
「レティシアが我と結婚する前は冒険者として活動していてね。ギルドの中ではアサシンの役職だったからな」
なにその怖い過去。絶対にレティシアさんは怒らせちゃだめだな。夜もおちおち寝てられないじゃないか。
「それにしてもジンさんは凄いわね。今年スヴェルニ王国で開催されている武闘大会でスヴェルニ学園個人選代表として出場する筈だったんでしょ。それも神童と謳われるルーベンハイト家のご令嬢を倒して優勝なさったとか」
エリーシャさんがそんな事を聞いてくるが、ボルキュス陛下から聞いたのか?いや、さっきの驚いた表情から考えてネットで知ったのかもしれない。
「お母様それは本当ですか?」
「ええ、ライアン。旦那様から教えて頂いたもの」
ボルキュス陛下が教えたのか?なら全部は教えていないと言う事か。
なんで?いや、もしかしたらジュリアスが脅されていた事も知っていたのかもしれない。そうなるとさっきのレティシアさんを見る限りマジで暗殺者を送り付けていた可能性を考慮した上で教えなかったと考えるのが妥当だろう。
「ほう、そんな実力者だったとは一度手合わせしたいものだ」
カルロス様の目がマジだ。なんで闘うことが好きな奴ってみんなこうなんだ。ま、俺も人の事を言えないけど。
「スヴェルニ学園では能無しと言われていたんでしょ。それなのにどうして勝てたのか教えていただきたいですわ」
そこまで知っているのか。いったいボルキュス陛下はどこまで教えているのかとても気になるところだが、教えて貰えるわけないよな。
「ただ単にイザベラよりも俺の方が強かった。それだけの事です」
イザベラにも言われているし、あの島に住んでいた事は言わないほうが良いだろう。これまでの生活で言えば間違いなく面倒に巻き込まれる可能性は十分にあると分かったからな。
「ならその強さはどうやって手に入れたのかしら?」
なんだか誘導尋問されている気分なんだが。気のせいか?スヴェルニ王国で行われる学生の武闘大会は他国でも有名らしいからな。そんな個人戦代表に選ばれた存在となれば気になるのも当然か。
「別に大した事はしていません。ただ実戦経験が豊富というだけです」
「だが、それはルーベンハイト家の令嬢も実戦経験が豊富だと聞いているが?」
口にしていた魚のムニエルを飲み込んだカルロス様が逃げ道を無くすかのように言ってくる。
カルロス様も知っているのか。何気に厄介な家族と関わってしまったかもしれない。
「そうですね。これはイザベラにも言った事なんですが、大抵の国が実力とは魔力量と魔法属性の数だと思い込んでいるみたいですが、それは間違いです」
「だが実際に魔力量が多い者が少ない者よりも有利だと思うが?」
「確かにその通りです。ですが、それは互いの力が拮抗していた場合の話です。実力、つまり戦闘力とは本来別物です」
「と言うと?」
「この世界に存在する生物には唯一等しく神から与えられた物があります」
「それは?」
「経験値です」
『経験値?』
俺の言葉に誰もが首を傾げる。ま、無理も無いか。イザベラたちもそうだったしな。
「そうです。鍛錬を行えば魔法発動の時間を短縮出来るように。敵を魔物を、倒せば経験値が得られます」
「確かに自分より強い魔物を倒せばそれなりの経験値を手にすることが出来る。そうすれば魔力量も身体能力も上がる。だが、自分より弱い魔物を倒したところで入る経験値は僅かだ」
「確かにその通りです。ですが弱い魔物を一匹ではなく10匹、100匹と倒して行けばどうなりますか?」
「それは確かにそれなりの経験値を得られる」
「その通りです。そして俺が強くなるにはその方法しかなかった。最初は弱い敵から倒していき、徐々に強い敵。弱い敵と遭遇しても躊躇うことなく倒す。それを俺は5年間森の中で続けました」
「5年間だと!」
「はい。生憎俺には両親はいません。ましてや魔力を持たない俺を育てようとしてくれる人たちも居ませんでしたので。そんな俺に出来ることがあるとすれば森の中で魔物と戦い、生き抜くことだけです。で結果的に俺は強くなり今があるわけです」
嘘は言っていない。育ててくれた人たちが居なかったってのも間違いではない。何故ならあの場所には人間は居なかったのだから。
「ん?」
なんだかまたしてもお通夜状態になっているんだが。
「ま、これが俺が強くなった成り立ちであり、強くなる方法ですね」
「ジンさん。教えてくれてありがとうね」
「いや、別に大した話してもなかったと思いますけど」
だからなんでそんな悲しげな表情をしているのか俺に教えて欲しいんだが。話を盛りすぎた覚えもないしな。
==============================
どうも皆さん、月見酒です。
皇族と食事会と言う話でしたけど全員の名前を考えるのが、超大変!正直途中から嫌になるほどです。
でも名前が無いと後々、アイツって誰だっけ?みたいな事になるので考えました。(疲れた~)
それなら鬼神転生記の方でも執筆して欲しいと思うかもしれませんが、もう少し待っていてください。
それではまた。
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異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
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高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
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しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
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転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
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2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
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朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
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