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第二章 魔力無し転生者は仲間を探す
第八話 魔力量+魔法属性の数=実力
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謁見が終了すると同時にボルキュス陛下は退出した。それに続いて階級が高い順に貴族たちが退出していく。で最後に残ったのは俺、シャルロット、グレンダの三人と謁見の間を警備する衛兵のみだった。
さて、この後は適当にホテルでもチェックインするか。
「それじゃシャルロット、これで依頼達成だ。次からはあまり無茶をするなよ」
「は、はい……」
ん?元気が無いようだがどうかしたのか?
「ジン、短い間だったがお嬢様を守ってくれて助かった」
「なに、これも依頼だからな。グレンダも張り切り過ぎて体を壊すなよ」
「体調管理は軍人の基本だぞ。私がそんな間抜けな失態をすると思うのか?」
「それもそうだな。じゃあな」
「ああ」
俺は銀を抱きかかえて謁見の間を後にしようとした。
「あ、あのジンさん!」
扉を跨ぐ寸前と言う時にシャルロットの声が響き渡る。
「なんだ?」
「色々と助けて頂きありがとう御座いました!そ、その……たまには皇宮に遊びに来てください!」
別に一生の別れでもないんだから、そこまで大声で言う必要は無いと思うんだが。ま、俺が気にするような事でもないか。
「ああ、また会おうな」
「はい!」
俺たちはこうして別れ――
「オニガワラ・ジン様ですね」
と言う時に黒いタキシードを纏った20代後半の男性に呼び止められてしまった。今度はなんだ?
「そうだが?」
「私は陛下の執事をしておりますイオ・ディベル・ホスマンと申します。陛下がお会いになりたいと申しております。付いて来ていただけますでしょうか?」
「別に構わないが、さっき会ったばかりだぞ」
「いえ、今度はプライベートでお会いになりたいそうです」
なんで一国の王様が俺なんかに、それもプライベートで会いたいのかさっぱり分からないが用事もないからな。会うのは別に構わない。
「まあ、そう言う事なら」
「ありがとうございます。では――」
「あ、あの!私も同席してもよろしいでしょうか!」
どうやらシャルロットが今の話を聞いていたらしく慌てて同席を願い出てきた。なんでそんなに慌ててるんだ?そうか、久々に家族と会えるからか。それもプライベートとなると一緒に居る時間もないだろうし。やはりシャルロットもまだ子供だな。
「ジン様、構いませんか?」
「俺は構わないが、陛下は良いのか?」
「はい。同席したいと仰ったら一緒に連れて来いと指示を受けておりましたので」
「そうか」
この国のトップには未来予知の能力でも持ってるのか?いや、ただ単に自分の娘だから分かるってだけか。
「それではこちらへ」
イオの案内で俺たちはまたしてもボルキュス陛下と対面することになった。
案内された部屋は無駄な装飾品などなく、中世の貴族の家とは大違い。どちらかと言えば高級マンションの最上階のような部屋だ。ま、そんな部屋に入ったことないから俺の想像に過ぎないけど。
「ジン様、シャルロット様、グレンダ様をお連れしました」
「ご苦労だった。3人にお茶を頼む」
「畏まりました」
返事をしたイオはいつの間にか目の前から消えていた。なに執事は必ず目の前から消える能力がないとなれない職業なの。
「さあジン君、適当に座りたまえ。シャルロットたちもそこで突っ立ってないで、ほら」
「では遠慮なく」
俺たちは言われるがままにソファーに座った。
「紅茶に御座います」
「あ、ありがとう」
だから神出鬼没ってスキルが執事には必要なのか?こっちの寿命が縮みそうなんだが。
「それで陛下、俺を呼んだ理由と言うのは?」
「なにそんなに焦る事はないだろう」
「はぁ……」
いや、いきなり呼び出されたら誰だって気になると思うんだが。
「それにしても随分と礼儀正しいな。学園では自由気ままに過ごしていたと報告を受けているんだが」
「学園ですか?」
やはり軍事大国のトップだ。顔と一緒で油断ならねぇ。
「そうか、シャルロットとグレンダは知らないんだったな。彼は国外追放される前はスヴェルニ学園冒険科4年11組の生徒だったんだよ」
「スヴェルニ王国でも優秀な生徒が集まるとされているスヴェルニ学園にですか。やはりジンさんは凄いですね」
「別に凄くなんかないぞ」
俺としては陛下が何故そこまで知っているのか逆に聞いてみたいぐらいだがな。
「お嬢様、ジンの言うとおりです。確かにスヴェルニ学園は優秀な生徒が集まりますが、ジンは11組です」
「それが何か問題でも?」
「スヴェルニ学園はクラス番号の数字が大きくなるにつれレベルの低い生徒が集まります。そしてクラスは全部で12クラス。つまりは1組がその学科学年のエリート。11組は下から2番目です」
で、なんでグレンダは俺を蹴落としたがる。さっきの友情の別れはどこに行ったんだ。
「そ、そうなのですね。すいません……」
「別に気にする必要はないぞ。どうせ俺は王族を殴ったせいで退学になった身だからな」
「アハハハッ!グレンダよ、ジン君に助けられたのが悔しいのは分かるが、そんな考えで戦ったら足元をすくわれるぞ」
「へ、陛下!」
なんだ、そういう事か。何気に可愛いところもあるじゃないか。
そんな和む空気が一変。ボルキュス陛下の真剣な表情に誰もが生唾を飲み込んだ。
「いや、本当のことだ。本気で戦わなければ足元をすくわれるぞ」
「へ、陛下。それはどう言う意味ですか?」
「グレンダも知っていると思うが、スヴェルニ王国では2年に1度学生だけによる武闘大会が行われている」
「存じております。各学校の代表選手による決闘は内外問わず軍、貴族、冒険者たちが有望な生徒を品定めする場でもあります。私としてはプロパガンダ的意味合いの方が大きいと考えておりますが」
「ま、そうであろう。活躍した生徒を見事手に入れればそれだけで軍、ギルドは有名になる。またそのような生徒を輩出したとなればその学校、学園に入学希望者が増えることは目に見えているからな」
「それで、その武闘大会とジンが何の関係がると言うのですか?」
「ジンは今年開催される大会でスヴェルニ学園個人戦学園代表選抜で見事優勝を手にした男だからだよ」
グレンダが一瞬俺を見る。そんなに信じられないのかよ。
「陛下それは真ですか?」
「勿論だ」
「グレンダ、それはそんなに凄いの?」
「お嬢様も知っていると思いますが、あの学園にはスヴェルニ学園歴代最強と謳われる神童。イザベラ・レイジュ・ルーベンハイトが居ます。異名は紅炎の剣姫。そして現在は軍務科4年1組。つまりはジンと同世代です。そんな彼女をジンは倒して優勝したのです」
「そ、それは凄いですね」
戦闘に関してあまり興味がないシャルロットでも理解出来たみたいだな。
「そこでだジン君。冒険者になるのは諦めてグレンダと一緒にシャルロットの護衛をしないか」
「え!」
「なっ!」
ボルキュス陛下の言葉に嬉しそうな表情をするシャルロットと驚きを隠せないグレンダ。確かにこの二人と一緒に過ごすのも退屈しないで面白そうではあるが。
「申し訳ありませんが断らせて頂きます。俺は冒険者になりたいので」
「そうか。それは残念だ」
全然そんな風には見えないぞ。シャルロットの方が何故か残念がってるし。で、グレンダはナイスだ!みたいな顔をするな。
「そうそう、忘れるところだった。シャルロットを助ける時に使ったお金だけが、それも含めて君の口座に振り込むつもりだ。だから悪いがイオに口座番号を教えて貰いたいんだが。それとこの冒険者資格取得試験の申請書に名前を書いてくれ」
「そう言う事なら」
俺はイオに口座番号を教える。てか、いつの間に俺の後ろに控えていたんだ。マジで怖いんだが。
で、その後に俺は申請書に名前を書く。まさか鉛筆を折って使う羽目になるとは思わなかったけど。
「さて、今日はもう遅いから我が家に泊まっていくと良い。明日には試験の日程日が通達されるはずだ」
「そんなに早く通達がされるものなのですか?」
「普通は違うが、申請書には我と宰相。それから軍務総監の推薦状で送っておいたからな」
「それはありがとうございます」
特別扱いはあまり良くないと思うが俺としてはありがたいので、言わないでおこう。それにしても皇帝陛下、宰相、軍務総監の3人の推薦状付きって冒険者組合の職員は絶対にビックリするだろうな。
「それじゃ、イオに部屋を案内させる。夕食の時間になったら私の家族を紹介しよう」
「わ、分かりました」
つまりは皇妃や皇子、皇女さんに会うって事だよな。
国外追放されて一週間もせずに皇族と食事って俺の人生ってどうなってんの?
************************
ジンさんがイオと一緒に出て行くのを確認したお父様はため息を吐いた。プライベートでもあまり見せないお父様のこんな姿に私は少し困惑していた。
「どうかされたのですか?」
だからなのか聞かずにはいられなかった。
「いや、恐ろしい男だと思っただけだ」
「恐ろしいですか?」
私にはそうは思わない。私が知るジンさんは優しくて、時には厳しくて、どんな危機的状況でも自信に満ち溢れている。そんなジンさんが恐ろしいとはいったいどういう事なの?
「グレンダなら我が言っている意味が少しは分かるであろ?」
「そうなの?」
お父様の言葉に私は後ろに立つグレンダに振り向いて問う。
「はい。先ほどはプライドもあってか素直になれませんでしたが、冷静に状況確認すればあれほど謎めいた男は居ません」
「謎めいた?」
恐ろしい男の次は、謎めいた男?やっぱり私には分からない。皇族としてそれなりの武術は会得しているし魔法も習っている。だけど実戦経験があるわけじゃない私にはまったく理解が出来ない。
「シャルロットよ。グレンダの表現は間違っていない」
お父様もグレンダの言葉に同意する言葉を口にするけど、
「やはり私には理解できません」
「そうだな………ではシャルロットよ、もしも通路がありそこを歩いてその先にある出口に向かえと言われれば向かえるか?」
「はい。出来ます」
そんな簡単な事私でなくても誰にだって出来る事なのにどうしてそんな質問を?
「そう。それなら誰にだって出来るだろう。ならその通路が真っ暗闇で何も見えない通路であればどうだ。幅、距離、高さ。全てが分からないそんな通路を歩けと言われればお前は歩けるか?」
「そ、それは……難しいと思います」
何も見えない、何も分からない状態でいきなり出口まで向かえと言われても、そんなの出来るはずがない。
「そうであろう。何も分からない。謎だらけの場所を平然と歩く事などできはしない。この先に何が待ち構えているか分からない恐怖に誰もが足を竦ませてしまうからな」
「つまりはジンさんはその謎であり、分からないからこそ恐ろしいと言う事ですか?」
「そうだ」
その例えなら私でも理解できる。
「私が捕らえられお嬢様に助けられた後のジンの戦いを見た私は驚きを隠せませんでした。弾丸の嵐が襲い来るど真ん中で戦えるのか、それも武器を持たず己の拳だけで戦えるのか不思議でなりませんでした。しかし陛下のお言葉で理解できました。スヴェルニ学園に在籍するイザベラ・レイジュ・ルーベンハイトを倒したのであれば、あの強さにも納得できます」
「そのイザベラさんと言う方の噂は学園でもよく耳にしますが、そんなにも強いのですか?」
神童や未来の先導者など様々な噂を耳にする。だけど戦闘に関してなにも知らない私は正直ピンとこない。
「はい。先ほども言いましたが学園創設以来始まっての六属性持ち。ましてや魔力量が常人の10倍ですからね。それでも鍛錬を怠ることなくルーベンハイト家当主に代わって魔物騒動の際は前線に立ち兵士たちを指揮する存在でもあると聞きます。才能があり、努力も怠らず、尚且つ実戦経験もあるイザベラ・レイジュ・ルーベンハイトは間違いなくスヴェルニ学園の生徒の中でダントツの実力者です」
どこかお姉様に似ている。
「ジンはそんな彼女を倒したのです。これで納得しないと言う方がおかしいです」
「それはそうですね」
私もそこまで詳しく説明されれば分かる。ジンさんってそんな凄い人だったんだ。
「だが我が恐ろしいと感じたのはそれだけではない。彼は魔力を持っていないのだよ」
「「え!?」」
お父様の言葉に私とグレンダは驚愕の表情を浮かべていた。
「へ、陛下。それは真なのですか?ジンが10億人に1人と言われている魔力を持たぬ者だと仰るのですか?」
「部下からの報告だ。間違いない。彼は魔力も無い、また呪いで武器も持てない。そんな身でありながらスヴェルニ学園最強を一人で倒し、20人の武装した兵士と戦い見事勝利して見せた。そんな人物と相対してみれば、大抵息苦しくなるような重圧を醸し出しているものなんだが、どこにでも居るような成人したばかりの成年じゃないか。これほど恐ろしいと思ったことはないよ」
確かにそれは恐ろしい。スヴェルニ王国もそうだけど大半の国が実力とは魔力量と魔法属性の数だと思っている。しかしそれを覆す存在が現れたのだ。誰だって恐怖を感じないわけがない。
魔力量+魔法属性の数=実力の常識という水の中に入り込んだ一滴の水。異質的存在なのは間違いない。
「だがこれは帝国が更なる強さを手に入れるヒントでもある」
帝国の未来を見据えるお父様はどこか楽しそうに呟く。
「お父様それはどういう事でしょうか?」
「分からないかね。これまでの常識では考えられない強さを持った存在が現れたんだ。そんな彼に強さの秘訣を教えて貰えば強くなれるじゃないか」
確かにその通りだ。
===========================
どうも月見酒です。
「 魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~」の表紙イラストを友人に描いて貰いました。
鬼神転生記が書籍化する前から読んでくださっている読者の方なら知っていると思いますが、以前の鬼神転生記の表紙イラストを描いてくれた友人です。
表紙イラストを詳しく見たい読者の方は人物紹介に載せていますので、そちらで見てください。
さて、この後は適当にホテルでもチェックインするか。
「それじゃシャルロット、これで依頼達成だ。次からはあまり無茶をするなよ」
「は、はい……」
ん?元気が無いようだがどうかしたのか?
「ジン、短い間だったがお嬢様を守ってくれて助かった」
「なに、これも依頼だからな。グレンダも張り切り過ぎて体を壊すなよ」
「体調管理は軍人の基本だぞ。私がそんな間抜けな失態をすると思うのか?」
「それもそうだな。じゃあな」
「ああ」
俺は銀を抱きかかえて謁見の間を後にしようとした。
「あ、あのジンさん!」
扉を跨ぐ寸前と言う時にシャルロットの声が響き渡る。
「なんだ?」
「色々と助けて頂きありがとう御座いました!そ、その……たまには皇宮に遊びに来てください!」
別に一生の別れでもないんだから、そこまで大声で言う必要は無いと思うんだが。ま、俺が気にするような事でもないか。
「ああ、また会おうな」
「はい!」
俺たちはこうして別れ――
「オニガワラ・ジン様ですね」
と言う時に黒いタキシードを纏った20代後半の男性に呼び止められてしまった。今度はなんだ?
「そうだが?」
「私は陛下の執事をしておりますイオ・ディベル・ホスマンと申します。陛下がお会いになりたいと申しております。付いて来ていただけますでしょうか?」
「別に構わないが、さっき会ったばかりだぞ」
「いえ、今度はプライベートでお会いになりたいそうです」
なんで一国の王様が俺なんかに、それもプライベートで会いたいのかさっぱり分からないが用事もないからな。会うのは別に構わない。
「まあ、そう言う事なら」
「ありがとうございます。では――」
「あ、あの!私も同席してもよろしいでしょうか!」
どうやらシャルロットが今の話を聞いていたらしく慌てて同席を願い出てきた。なんでそんなに慌ててるんだ?そうか、久々に家族と会えるからか。それもプライベートとなると一緒に居る時間もないだろうし。やはりシャルロットもまだ子供だな。
「ジン様、構いませんか?」
「俺は構わないが、陛下は良いのか?」
「はい。同席したいと仰ったら一緒に連れて来いと指示を受けておりましたので」
「そうか」
この国のトップには未来予知の能力でも持ってるのか?いや、ただ単に自分の娘だから分かるってだけか。
「それではこちらへ」
イオの案内で俺たちはまたしてもボルキュス陛下と対面することになった。
案内された部屋は無駄な装飾品などなく、中世の貴族の家とは大違い。どちらかと言えば高級マンションの最上階のような部屋だ。ま、そんな部屋に入ったことないから俺の想像に過ぎないけど。
「ジン様、シャルロット様、グレンダ様をお連れしました」
「ご苦労だった。3人にお茶を頼む」
「畏まりました」
返事をしたイオはいつの間にか目の前から消えていた。なに執事は必ず目の前から消える能力がないとなれない職業なの。
「さあジン君、適当に座りたまえ。シャルロットたちもそこで突っ立ってないで、ほら」
「では遠慮なく」
俺たちは言われるがままにソファーに座った。
「紅茶に御座います」
「あ、ありがとう」
だから神出鬼没ってスキルが執事には必要なのか?こっちの寿命が縮みそうなんだが。
「それで陛下、俺を呼んだ理由と言うのは?」
「なにそんなに焦る事はないだろう」
「はぁ……」
いや、いきなり呼び出されたら誰だって気になると思うんだが。
「それにしても随分と礼儀正しいな。学園では自由気ままに過ごしていたと報告を受けているんだが」
「学園ですか?」
やはり軍事大国のトップだ。顔と一緒で油断ならねぇ。
「そうか、シャルロットとグレンダは知らないんだったな。彼は国外追放される前はスヴェルニ学園冒険科4年11組の生徒だったんだよ」
「スヴェルニ王国でも優秀な生徒が集まるとされているスヴェルニ学園にですか。やはりジンさんは凄いですね」
「別に凄くなんかないぞ」
俺としては陛下が何故そこまで知っているのか逆に聞いてみたいぐらいだがな。
「お嬢様、ジンの言うとおりです。確かにスヴェルニ学園は優秀な生徒が集まりますが、ジンは11組です」
「それが何か問題でも?」
「スヴェルニ学園はクラス番号の数字が大きくなるにつれレベルの低い生徒が集まります。そしてクラスは全部で12クラス。つまりは1組がその学科学年のエリート。11組は下から2番目です」
で、なんでグレンダは俺を蹴落としたがる。さっきの友情の別れはどこに行ったんだ。
「そ、そうなのですね。すいません……」
「別に気にする必要はないぞ。どうせ俺は王族を殴ったせいで退学になった身だからな」
「アハハハッ!グレンダよ、ジン君に助けられたのが悔しいのは分かるが、そんな考えで戦ったら足元をすくわれるぞ」
「へ、陛下!」
なんだ、そういう事か。何気に可愛いところもあるじゃないか。
そんな和む空気が一変。ボルキュス陛下の真剣な表情に誰もが生唾を飲み込んだ。
「いや、本当のことだ。本気で戦わなければ足元をすくわれるぞ」
「へ、陛下。それはどう言う意味ですか?」
「グレンダも知っていると思うが、スヴェルニ王国では2年に1度学生だけによる武闘大会が行われている」
「存じております。各学校の代表選手による決闘は内外問わず軍、貴族、冒険者たちが有望な生徒を品定めする場でもあります。私としてはプロパガンダ的意味合いの方が大きいと考えておりますが」
「ま、そうであろう。活躍した生徒を見事手に入れればそれだけで軍、ギルドは有名になる。またそのような生徒を輩出したとなればその学校、学園に入学希望者が増えることは目に見えているからな」
「それで、その武闘大会とジンが何の関係がると言うのですか?」
「ジンは今年開催される大会でスヴェルニ学園個人戦学園代表選抜で見事優勝を手にした男だからだよ」
グレンダが一瞬俺を見る。そんなに信じられないのかよ。
「陛下それは真ですか?」
「勿論だ」
「グレンダ、それはそんなに凄いの?」
「お嬢様も知っていると思いますが、あの学園にはスヴェルニ学園歴代最強と謳われる神童。イザベラ・レイジュ・ルーベンハイトが居ます。異名は紅炎の剣姫。そして現在は軍務科4年1組。つまりはジンと同世代です。そんな彼女をジンは倒して優勝したのです」
「そ、それは凄いですね」
戦闘に関してあまり興味がないシャルロットでも理解出来たみたいだな。
「そこでだジン君。冒険者になるのは諦めてグレンダと一緒にシャルロットの護衛をしないか」
「え!」
「なっ!」
ボルキュス陛下の言葉に嬉しそうな表情をするシャルロットと驚きを隠せないグレンダ。確かにこの二人と一緒に過ごすのも退屈しないで面白そうではあるが。
「申し訳ありませんが断らせて頂きます。俺は冒険者になりたいので」
「そうか。それは残念だ」
全然そんな風には見えないぞ。シャルロットの方が何故か残念がってるし。で、グレンダはナイスだ!みたいな顔をするな。
「そうそう、忘れるところだった。シャルロットを助ける時に使ったお金だけが、それも含めて君の口座に振り込むつもりだ。だから悪いがイオに口座番号を教えて貰いたいんだが。それとこの冒険者資格取得試験の申請書に名前を書いてくれ」
「そう言う事なら」
俺はイオに口座番号を教える。てか、いつの間に俺の後ろに控えていたんだ。マジで怖いんだが。
で、その後に俺は申請書に名前を書く。まさか鉛筆を折って使う羽目になるとは思わなかったけど。
「さて、今日はもう遅いから我が家に泊まっていくと良い。明日には試験の日程日が通達されるはずだ」
「そんなに早く通達がされるものなのですか?」
「普通は違うが、申請書には我と宰相。それから軍務総監の推薦状で送っておいたからな」
「それはありがとうございます」
特別扱いはあまり良くないと思うが俺としてはありがたいので、言わないでおこう。それにしても皇帝陛下、宰相、軍務総監の3人の推薦状付きって冒険者組合の職員は絶対にビックリするだろうな。
「それじゃ、イオに部屋を案内させる。夕食の時間になったら私の家族を紹介しよう」
「わ、分かりました」
つまりは皇妃や皇子、皇女さんに会うって事だよな。
国外追放されて一週間もせずに皇族と食事って俺の人生ってどうなってんの?
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ジンさんがイオと一緒に出て行くのを確認したお父様はため息を吐いた。プライベートでもあまり見せないお父様のこんな姿に私は少し困惑していた。
「どうかされたのですか?」
だからなのか聞かずにはいられなかった。
「いや、恐ろしい男だと思っただけだ」
「恐ろしいですか?」
私にはそうは思わない。私が知るジンさんは優しくて、時には厳しくて、どんな危機的状況でも自信に満ち溢れている。そんなジンさんが恐ろしいとはいったいどういう事なの?
「グレンダなら我が言っている意味が少しは分かるであろ?」
「そうなの?」
お父様の言葉に私は後ろに立つグレンダに振り向いて問う。
「はい。先ほどはプライドもあってか素直になれませんでしたが、冷静に状況確認すればあれほど謎めいた男は居ません」
「謎めいた?」
恐ろしい男の次は、謎めいた男?やっぱり私には分からない。皇族としてそれなりの武術は会得しているし魔法も習っている。だけど実戦経験があるわけじゃない私にはまったく理解が出来ない。
「シャルロットよ。グレンダの表現は間違っていない」
お父様もグレンダの言葉に同意する言葉を口にするけど、
「やはり私には理解できません」
「そうだな………ではシャルロットよ、もしも通路がありそこを歩いてその先にある出口に向かえと言われれば向かえるか?」
「はい。出来ます」
そんな簡単な事私でなくても誰にだって出来る事なのにどうしてそんな質問を?
「そう。それなら誰にだって出来るだろう。ならその通路が真っ暗闇で何も見えない通路であればどうだ。幅、距離、高さ。全てが分からないそんな通路を歩けと言われればお前は歩けるか?」
「そ、それは……難しいと思います」
何も見えない、何も分からない状態でいきなり出口まで向かえと言われても、そんなの出来るはずがない。
「そうであろう。何も分からない。謎だらけの場所を平然と歩く事などできはしない。この先に何が待ち構えているか分からない恐怖に誰もが足を竦ませてしまうからな」
「つまりはジンさんはその謎であり、分からないからこそ恐ろしいと言う事ですか?」
「そうだ」
その例えなら私でも理解できる。
「私が捕らえられお嬢様に助けられた後のジンの戦いを見た私は驚きを隠せませんでした。弾丸の嵐が襲い来るど真ん中で戦えるのか、それも武器を持たず己の拳だけで戦えるのか不思議でなりませんでした。しかし陛下のお言葉で理解できました。スヴェルニ学園に在籍するイザベラ・レイジュ・ルーベンハイトを倒したのであれば、あの強さにも納得できます」
「そのイザベラさんと言う方の噂は学園でもよく耳にしますが、そんなにも強いのですか?」
神童や未来の先導者など様々な噂を耳にする。だけど戦闘に関してなにも知らない私は正直ピンとこない。
「はい。先ほども言いましたが学園創設以来始まっての六属性持ち。ましてや魔力量が常人の10倍ですからね。それでも鍛錬を怠ることなくルーベンハイト家当主に代わって魔物騒動の際は前線に立ち兵士たちを指揮する存在でもあると聞きます。才能があり、努力も怠らず、尚且つ実戦経験もあるイザベラ・レイジュ・ルーベンハイトは間違いなくスヴェルニ学園の生徒の中でダントツの実力者です」
どこかお姉様に似ている。
「ジンはそんな彼女を倒したのです。これで納得しないと言う方がおかしいです」
「それはそうですね」
私もそこまで詳しく説明されれば分かる。ジンさんってそんな凄い人だったんだ。
「だが我が恐ろしいと感じたのはそれだけではない。彼は魔力を持っていないのだよ」
「「え!?」」
お父様の言葉に私とグレンダは驚愕の表情を浮かべていた。
「へ、陛下。それは真なのですか?ジンが10億人に1人と言われている魔力を持たぬ者だと仰るのですか?」
「部下からの報告だ。間違いない。彼は魔力も無い、また呪いで武器も持てない。そんな身でありながらスヴェルニ学園最強を一人で倒し、20人の武装した兵士と戦い見事勝利して見せた。そんな人物と相対してみれば、大抵息苦しくなるような重圧を醸し出しているものなんだが、どこにでも居るような成人したばかりの成年じゃないか。これほど恐ろしいと思ったことはないよ」
確かにそれは恐ろしい。スヴェルニ王国もそうだけど大半の国が実力とは魔力量と魔法属性の数だと思っている。しかしそれを覆す存在が現れたのだ。誰だって恐怖を感じないわけがない。
魔力量+魔法属性の数=実力の常識という水の中に入り込んだ一滴の水。異質的存在なのは間違いない。
「だがこれは帝国が更なる強さを手に入れるヒントでもある」
帝国の未来を見据えるお父様はどこか楽しそうに呟く。
「お父様それはどういう事でしょうか?」
「分からないかね。これまでの常識では考えられない強さを持った存在が現れたんだ。そんな彼に強さの秘訣を教えて貰えば強くなれるじゃないか」
確かにその通りだ。
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どうも月見酒です。
「 魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~」の表紙イラストを友人に描いて貰いました。
鬼神転生記が書籍化する前から読んでくださっている読者の方なら知っていると思いますが、以前の鬼神転生記の表紙イラストを描いてくれた友人です。
表紙イラストを詳しく見たい読者の方は人物紹介に載せていますので、そちらで見てください。
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転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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