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一夏の思い出づくり
6話 子鬼ごっこ
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俺たちは急いで箱バンに戻り乗り込む。
「周、お前が運転しろ!」
「え!」
城が突然変な事を言い出した。
「俺よりもお前の方が運転上手いだろうが!」
「そ、そうだけど………大丈夫かな……」
「お前なら出来る」
城は周の肩を叩き励ます。
確かに城よりも周の方が運転は上手だ。元々車が好きなのは周だし、それに影響して城も好きになり始めているのも確かだ。だが運転技術で言えば圧倒的に周の方が上だ。
「分かった。やってみる」
運転席に座るとシートベルトをしてハンドル握る。俺は助席、城は後部座席乗り込んだ。
「出せ!」
「うん!」
雪崩のように迫り来る子鬼の大群。
「これでも食らいやがれ!」
城は鞄の中から何かを取り出すと子鬼に向けてぶん投げた。
「「「「ギャアアアアアアアァァァ!!!」」」」
一匹の子鬼に当ると割れ、周囲の奴を巻き込んで燃え上がる。おい、まさかあれって。
「みたか、俺様特製の火炎瓶!」
やはりそうか。
「今のうちに出せ!」
「分かった!」
エンジンを掛けた周は車を出発させた。
「まだ追いかけて来るぞ!」
「俺に任せろ!食らえ!俺様特製十連ロケット花火!」
発射されたロケット花火の大半は子鬼に当たることはなかった。ま、不規則に飛ぶロケット花火を動く目標に当てるほうが難しいから仕方が無い。
ドオオオオオオオオォォォ!!!
だが、突如耳が痛くなる程の爆音と同時に周囲の子鬼を巻き込んで殺した。
「ロケット花火ってあんなに爆発するものだったか?」
「あれは市販で売られているロケット花火の20倍の火薬を詰め込んだやつだからな。そりゃぁ爆発力が違うのはあたりまえだ」
「物騒なものを山の中で使うな!」
「俺たちが死ぬよりましだろ。それにサバゲーの時に使ったのは普通のロケット花火だから安心しろ」
「安心できるか!だいたいサバゲーでロケット花火を武器代わりに使うなんて発想はお前ぐらいだけだ!」
「いや、他にも居るだろ。十数人は」
「真面目に考えて返答するな」
まったく命の危機だと言うのにどうして俺がこんなにツッコむ羽目になるんだ。俺はどちらかと言えばボケ担当で城がツッコミ担当の筈だぞ。
だが、結果的に城のお陰で俺たちは無事に帰ってくる事が出来た。
「さて、これからどうする?」
「どうするも何も、俺は今後の為に武器の製作だ」
「僕は術の勉強かな」
「なら、俺は少し身体を動かしてくる」
「なら後で手合わせするか?」
「ああ、良いぞ」
身体を動かすため畳の部屋に向かう。
俺たちは中学の時同じ柔道部だった。部長は佐々木風香。女子だったが、部員の中では真面目だった方なので選べれた。正確には面倒で誰も遣りたがらなかったのを無理やり押し付けた感もあったが、ま昔のことだ。
結局その日は数時間して全員ご飯も食べずに爆睡した。予想以上に疲れていたらしい。
次の日俺たちはそれぞれの役目をこなしていた。と言っても俺に出来ることはないので適当に体を動かしていた。もしもの時に体が動かなかったら意味ないからな。
「よし、完成だ!」
仕事場から聞こえる城の声に笑みを零す。
あれほど大きな声で叫ぶときは大抵自信作だ。ま、自信作だからこそ危険度は高いんだけどな。
前にペットボトルロケットを見た時、消火器で出来ないかって試して思いっきり親父さんに怒られたときもあれだけ大きな声で叫んでいたもんな。ま、期待はせずにいよう。
数日が過ぎた。
「準備は良いな?」
「うん!」
「ああ!」
城が考案した武器を手に俺たちは再び墓場に向けて出発する。
「「「子鬼退治だ!」」」
「周、お前が運転しろ!」
「え!」
城が突然変な事を言い出した。
「俺よりもお前の方が運転上手いだろうが!」
「そ、そうだけど………大丈夫かな……」
「お前なら出来る」
城は周の肩を叩き励ます。
確かに城よりも周の方が運転は上手だ。元々車が好きなのは周だし、それに影響して城も好きになり始めているのも確かだ。だが運転技術で言えば圧倒的に周の方が上だ。
「分かった。やってみる」
運転席に座るとシートベルトをしてハンドル握る。俺は助席、城は後部座席乗り込んだ。
「出せ!」
「うん!」
雪崩のように迫り来る子鬼の大群。
「これでも食らいやがれ!」
城は鞄の中から何かを取り出すと子鬼に向けてぶん投げた。
「「「「ギャアアアアアアアァァァ!!!」」」」
一匹の子鬼に当ると割れ、周囲の奴を巻き込んで燃え上がる。おい、まさかあれって。
「みたか、俺様特製の火炎瓶!」
やはりそうか。
「今のうちに出せ!」
「分かった!」
エンジンを掛けた周は車を出発させた。
「まだ追いかけて来るぞ!」
「俺に任せろ!食らえ!俺様特製十連ロケット花火!」
発射されたロケット花火の大半は子鬼に当たることはなかった。ま、不規則に飛ぶロケット花火を動く目標に当てるほうが難しいから仕方が無い。
ドオオオオオオオオォォォ!!!
だが、突如耳が痛くなる程の爆音と同時に周囲の子鬼を巻き込んで殺した。
「ロケット花火ってあんなに爆発するものだったか?」
「あれは市販で売られているロケット花火の20倍の火薬を詰め込んだやつだからな。そりゃぁ爆発力が違うのはあたりまえだ」
「物騒なものを山の中で使うな!」
「俺たちが死ぬよりましだろ。それにサバゲーの時に使ったのは普通のロケット花火だから安心しろ」
「安心できるか!だいたいサバゲーでロケット花火を武器代わりに使うなんて発想はお前ぐらいだけだ!」
「いや、他にも居るだろ。十数人は」
「真面目に考えて返答するな」
まったく命の危機だと言うのにどうして俺がこんなにツッコむ羽目になるんだ。俺はどちらかと言えばボケ担当で城がツッコミ担当の筈だぞ。
だが、結果的に城のお陰で俺たちは無事に帰ってくる事が出来た。
「さて、これからどうする?」
「どうするも何も、俺は今後の為に武器の製作だ」
「僕は術の勉強かな」
「なら、俺は少し身体を動かしてくる」
「なら後で手合わせするか?」
「ああ、良いぞ」
身体を動かすため畳の部屋に向かう。
俺たちは中学の時同じ柔道部だった。部長は佐々木風香。女子だったが、部員の中では真面目だった方なので選べれた。正確には面倒で誰も遣りたがらなかったのを無理やり押し付けた感もあったが、ま昔のことだ。
結局その日は数時間して全員ご飯も食べずに爆睡した。予想以上に疲れていたらしい。
次の日俺たちはそれぞれの役目をこなしていた。と言っても俺に出来ることはないので適当に体を動かしていた。もしもの時に体が動かなかったら意味ないからな。
「よし、完成だ!」
仕事場から聞こえる城の声に笑みを零す。
あれほど大きな声で叫ぶときは大抵自信作だ。ま、自信作だからこそ危険度は高いんだけどな。
前にペットボトルロケットを見た時、消火器で出来ないかって試して思いっきり親父さんに怒られたときもあれだけ大きな声で叫んでいたもんな。ま、期待はせずにいよう。
数日が過ぎた。
「準備は良いな?」
「うん!」
「ああ!」
城が考案した武器を手に俺たちは再び墓場に向けて出発する。
「「「子鬼退治だ!」」」
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