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その頃、決意した勇者は?
ダンジョンに出発!
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その後、王宮に戻った勇治たちは夕食を食べたのち、話し合うために勇治の部屋に集まっていた。
「それじゃ、どうするか決めようか。まず、ダンジョンに行くかどうかだけど。僕は行きたいと思ってる。それで皆の意見は?」
「私は賛成よ。どんなに強くなったとしても実戦慣れしてないといけないのはたしかだわ」
「俺もいいと思うぜ」
「私もです。私たちが強くなるのも大切ですが、実戦でどこまで私たちが考えた連携が通用するのか知っておきたいですから」
「私もいいよ。どうせ最初から目的は変わって無いしね。そのために早く強くなれるんなら文句ないよ」
全員がダンジョンへ行くことに賛成したことに勇治は内心安堵する。
「なら、まずはどこのダンジョンに行くかだけど、力を試すのならやっぱりまずは一番レベルの低い場所からだと思うんだ。で、ギルドを出る前にマキさんから帝国にあるダンジョンの資料を貰ったから読んでみて」
勇治は一つしかない資料を真由美に渡す。
帝国には全部で6つのダンジョンが存在し、レベルの低い順から『魔物の洞穴』『棘虫の巣窟』『怨念の墓地』『奈落の回廊』『深淵の祠』『煉獄の宝物庫』となっている。
ダンジョンのレベルが高いほど、階層も増え、ダンジョンに出てくるモンスターも強くなっていく。また、それぞれのダンジョンには特徴がある。
『魔物の洞穴』は出てくるモンスターが動物よりであること。
『棘虫の巣窟』は虫系のモンスターが出てくる割合が高い。
『怨念の墓地』はゾンビやアンデットなど死霊系のモンスターが出てくる。
『奈落の回廊』は一言で言えば広いだ。出てくるモンスターは魔物や虫、アンデットなどバランス良く。なおかつモンスターのレベルもさほど変わらない。が、広いのだ。階層はそこまで多くないが、各階層が異常に広いのだ。
『深淵の祠』は『奈落の回廊』とあまり変わりはしないし、各階層は平均的な広さだ。しかし、出てくるモンスターのレベルが急激に上がるのと即死系のトラップが各階層に複数仕掛けられている。正直に言って腹黒いダンジョンだ。
『煉獄の宝物庫』は階層が多く、モンスターのレベルが高いうえに階層ボスが異常なほど強い。しかしその分ドロップアイテムや隠し部屋にあるアイテムはすべて高価な物ばかりなのだ。
「なるほどね。確かにこれは選ぶのが重要ね」
「そうだよね」
「急がば回れです。焦らずに一番レベルの低いダンジョンから攻略するのがいいと私は思いますけど」
「私も紅葉さんに賛成」
「俺もだ」
「なら、最初は『魔物の洞穴』にしよう。距離的には片道10日の道のりだから明日ちゃんと準備して出発しよう」
勇治の言葉に全員が了承の返事をする。
「それでなんだけどセレナさんはどうする?」
「申し訳ありませんが少し気になることがありますので今回はここで大人しく留守番させて頂きます。それにダンジョンとなるとさすがの私でも危険なので勇治さんや帝国の皆様にも迷惑をかけると思いますので」
「わかった。なら待っててください」
「はい。どうかお気をつけて」
次の日、勇治たちは帝都の観光をしながらもそれぞれ決めた物を調達していく。
食料、ポーション、馬車、すべて自分達で調達した。最初は帝国が用意すると言われたがこれからのことも考えて自分達で勉強しておきたいと断った。そのかわり資金と物の選び方などを勇治たちに教えていた。
「一時的とはいえ、この帝都を離れるなんて少し寂しいわね」
「そうだね。ここは色んな種族が仲良く暮らしてるから見てて楽しいね」
「勇治、だからといって獣人の女なんかにデヘデレしたら………」
「わ、分かってるよ! だから睨まないで!」
そんな二人の会話に周りのからの視線は暖かい。最初は真由美の「獣人の女なんか」とい単語に反応して険しい表情をしていたが、ただ彼女が彼氏に口止めしてるだけとわかりすぐに表情筋を緩ませるのであった。
夜になり最終確認をするために再び勇治の部屋に集まっていた。
「よし、全部揃ったね」
「これでようやく出発出来るな!」
「気合い入れすぎて明日寝坊しないでくださいね」
「うっ」
正利は前の世界で何度かそういった事をしたことがあるのか紅葉に釘を刺される。
「ま、ともあれ明日から頑張ろう。一応ダンジョン以外、野宿の時とかも周りを警戒することをわすれないようにしないとね」
「マサっちが見張りしてたらこっそり居眠りしてそうだけどね」
「おい、奏それはねえよ!」
その瞬間、室内に笑い声が満たされた。どこか警戒心に欠けるようで不安ではあるが、前日から剣呑とした空気で準備をするよりかはマシだと言えた。
翌日、セレナと一部の者に王宮で見送られた勇治たちは一時的に離れる帝都を目に焼き付けるように色んな場所に目を向ける。
「少し寂しいけど、みんながんばろう!」
「ええ!」「おう!」「はい!」「当然!」
全員がそれぞれ気合いの籠った返事を返す。
こうして勇治たちはこの後帝都の夜で起こる戦闘を知ることなく帝都を出発するのであった。
─────────────────────
月見酒です。
一旦ここで、勇者パーティーの話は終わりです。また別の機会に続きを投稿しようと思ってます。
さて、次回からは千夜の話に戻そうと思ってます。
第五章はどんな話にしようか悩んでいましたが、よくよく考えてみたら千夜たちはまだしてないことがあったことを思い出しました。
なるべく誤字を減らせるよう頑張りますのでよろしくお願いします。
「それじゃ、どうするか決めようか。まず、ダンジョンに行くかどうかだけど。僕は行きたいと思ってる。それで皆の意見は?」
「私は賛成よ。どんなに強くなったとしても実戦慣れしてないといけないのはたしかだわ」
「俺もいいと思うぜ」
「私もです。私たちが強くなるのも大切ですが、実戦でどこまで私たちが考えた連携が通用するのか知っておきたいですから」
「私もいいよ。どうせ最初から目的は変わって無いしね。そのために早く強くなれるんなら文句ないよ」
全員がダンジョンへ行くことに賛成したことに勇治は内心安堵する。
「なら、まずはどこのダンジョンに行くかだけど、力を試すのならやっぱりまずは一番レベルの低い場所からだと思うんだ。で、ギルドを出る前にマキさんから帝国にあるダンジョンの資料を貰ったから読んでみて」
勇治は一つしかない資料を真由美に渡す。
帝国には全部で6つのダンジョンが存在し、レベルの低い順から『魔物の洞穴』『棘虫の巣窟』『怨念の墓地』『奈落の回廊』『深淵の祠』『煉獄の宝物庫』となっている。
ダンジョンのレベルが高いほど、階層も増え、ダンジョンに出てくるモンスターも強くなっていく。また、それぞれのダンジョンには特徴がある。
『魔物の洞穴』は出てくるモンスターが動物よりであること。
『棘虫の巣窟』は虫系のモンスターが出てくる割合が高い。
『怨念の墓地』はゾンビやアンデットなど死霊系のモンスターが出てくる。
『奈落の回廊』は一言で言えば広いだ。出てくるモンスターは魔物や虫、アンデットなどバランス良く。なおかつモンスターのレベルもさほど変わらない。が、広いのだ。階層はそこまで多くないが、各階層が異常に広いのだ。
『深淵の祠』は『奈落の回廊』とあまり変わりはしないし、各階層は平均的な広さだ。しかし、出てくるモンスターのレベルが急激に上がるのと即死系のトラップが各階層に複数仕掛けられている。正直に言って腹黒いダンジョンだ。
『煉獄の宝物庫』は階層が多く、モンスターのレベルが高いうえに階層ボスが異常なほど強い。しかしその分ドロップアイテムや隠し部屋にあるアイテムはすべて高価な物ばかりなのだ。
「なるほどね。確かにこれは選ぶのが重要ね」
「そうだよね」
「急がば回れです。焦らずに一番レベルの低いダンジョンから攻略するのがいいと私は思いますけど」
「私も紅葉さんに賛成」
「俺もだ」
「なら、最初は『魔物の洞穴』にしよう。距離的には片道10日の道のりだから明日ちゃんと準備して出発しよう」
勇治の言葉に全員が了承の返事をする。
「それでなんだけどセレナさんはどうする?」
「申し訳ありませんが少し気になることがありますので今回はここで大人しく留守番させて頂きます。それにダンジョンとなるとさすがの私でも危険なので勇治さんや帝国の皆様にも迷惑をかけると思いますので」
「わかった。なら待っててください」
「はい。どうかお気をつけて」
次の日、勇治たちは帝都の観光をしながらもそれぞれ決めた物を調達していく。
食料、ポーション、馬車、すべて自分達で調達した。最初は帝国が用意すると言われたがこれからのことも考えて自分達で勉強しておきたいと断った。そのかわり資金と物の選び方などを勇治たちに教えていた。
「一時的とはいえ、この帝都を離れるなんて少し寂しいわね」
「そうだね。ここは色んな種族が仲良く暮らしてるから見てて楽しいね」
「勇治、だからといって獣人の女なんかにデヘデレしたら………」
「わ、分かってるよ! だから睨まないで!」
そんな二人の会話に周りのからの視線は暖かい。最初は真由美の「獣人の女なんか」とい単語に反応して険しい表情をしていたが、ただ彼女が彼氏に口止めしてるだけとわかりすぐに表情筋を緩ませるのであった。
夜になり最終確認をするために再び勇治の部屋に集まっていた。
「よし、全部揃ったね」
「これでようやく出発出来るな!」
「気合い入れすぎて明日寝坊しないでくださいね」
「うっ」
正利は前の世界で何度かそういった事をしたことがあるのか紅葉に釘を刺される。
「ま、ともあれ明日から頑張ろう。一応ダンジョン以外、野宿の時とかも周りを警戒することをわすれないようにしないとね」
「マサっちが見張りしてたらこっそり居眠りしてそうだけどね」
「おい、奏それはねえよ!」
その瞬間、室内に笑い声が満たされた。どこか警戒心に欠けるようで不安ではあるが、前日から剣呑とした空気で準備をするよりかはマシだと言えた。
翌日、セレナと一部の者に王宮で見送られた勇治たちは一時的に離れる帝都を目に焼き付けるように色んな場所に目を向ける。
「少し寂しいけど、みんながんばろう!」
「ええ!」「おう!」「はい!」「当然!」
全員がそれぞれ気合いの籠った返事を返す。
こうして勇治たちはこの後帝都の夜で起こる戦闘を知ることなく帝都を出発するのであった。
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月見酒です。
一旦ここで、勇者パーティーの話は終わりです。また別の機会に続きを投稿しようと思ってます。
さて、次回からは千夜の話に戻そうと思ってます。
第五章はどんな話にしようか悩んでいましたが、よくよく考えてみたら千夜たちはまだしてないことがあったことを思い出しました。
なるべく誤字を減らせるよう頑張りますのでよろしくお願いします。
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