鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~

月見酒

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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。

第百六幕 千夜とこの先

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「さて、次は千夜について話すとしよう。人間不信になって居た時、俺がのめり込んだ物がある。ゲームだ」
「前にも聞いたわね。娯楽の一つらしいけど」
「そうだ。そのゲームでは自分が考えたキャラクター……まあ、もう一人の自分。分身だと思って貰えれば良い。その姿になってこの世界にのような空間で冒険する遊びだ」
「なるほどね。その時に考えた姿が今の旦那様の姿って事かしら?」
「この姿を考えたのは二回目だけどな。一回目は普通の人間だ。鬼となった時に考えた姿だと言えば解るだろう。で、多分だがそのゲームをしていた時偶然にもこの世界の1000年前と繋がっていた可能性がある」
 勿論嘘ではない。だが、その可能性は一番低い物だと千夜は考えている。
 一番はゲームを元に神が創造したか、もしくは配信終了と同時に現実世界となったと考えている。しかしそれを言えばエリーゼたちが悲しむ、もしくは憤りを表す可能性があると千夜は考えたのだ。
(自分たちの世界が娯楽の一つから出来たなんてしったら誰だって怒るし悲しむだろうからな)

「なるほどね。そうじゃないと旦那様の伝説がこの世界にあるわけ無い物ね」
「そうだ。一度本格的に図書館で調べたが鬼の伝説はどうやら俺たちがしてきた事と同じだったから間違いないだろう」
「あ、あのう……」
「セレナどうした?」
 突如セレナが申し訳無さそうに手を挙げた。

「先程からお姉さまやセンヤさんの口から出てきている鬼って伝説の百鬼族の事でしょうか?」
「「そうだ」よ」
「なんで、センヤさんと百鬼族が関係あるんですか?」
「旦那様伝えてなかったの?」
「そう言えば言ってなかったな。セレナ俺がその百鬼族だからだ」
「え!」
「ついでに付け足すけど伝説を沢山残した時代の長ね」
「え!」
 驚きを隠せないセレナ。当たり前と言えば当り前である。エリーゼたちも「私たちもこんな反応したわね」と懐かしそうに思い出す。

「通りで強いわけですね」
「言っておくけど、今の旦那様はスキルでステータスを100分の1にしてるわよ」
「それでも私たち全員で戦っても勝てませんが」
「そ、そんなに。流石は伝説の百鬼族」
「その百鬼族ってのは種族名じゃないくてクラン名だからな。種族は鬼だからな」
「だとしても凄すぎです!」
「もう、怪物よね」
「酷いなエリーゼ」
 ただの皮肉だと解っている千夜はツッコミ感覚で答える。

「冗談よ」
「もう一つ言っておくがガレット獣王国の現女王も百鬼族だからな」
「「「「「え!」」」」」
「気付いてなかったのか?」
 セレナはともかくエリーゼたちまで気付いていなかった事に逆に驚きを隠せない千夜。

「気付くわけ無いでしょう!」
「獣王国とは戦争しない方がいいですね」
「何処の国であろうと戦争はしない方が良いがな」
「ですね」
「さてと、話すべきことは話したと思うがまだ聞きたいことはあるか?」
「私は無いわね」
「私もありません」
「我もじゃ」
「ありません」
「私も無いです」
「そうか。なら、体が冷えたし風呂に入って寝るか」
「そうね」
「はい」
「賛成なのじゃ」
「準備致します」
「え、私もですか!」
「セレナも旦那様と婚約したんだから良いじゃない」
「で、でも心の準備が!」
「ミレーネ、クロエ風呂場に連行して」
「「解りました!」」
「え、あ、誰か、センヤさん助けてください!」
「すまない。妻たちがこうなったら俺でも止められない」
「そんなああぁぁ!」
 両脇を抱えられながら嘆きの叫びが寝室に木霊する。そんな姿を眺めながら千夜は苦笑いを浮かべるしかなかった。
 結局千夜はセレナの事を考えて一人でお風呂に入ることにした。
 ミレーネに借りた寝巻きを着て千夜たちと一緒に寝る。

「あ、あの私も一緒に寝て良いんでしょうか。そ、そのお邪魔では?」
「安心して今日は夜伽はしないから」
(何時もはしてるんですね)

「ま、俺も疲れたし心の準備が出来ていないセレナを無理やり抱く事はしない」
「あ、ありがとうございます」
 嬉しいような残念なような、そのどちらであろうと羞恥で顔が真っ赤になる。

「明日からはまた普段どおりの仕事だ」
「旦那様は一日位休んだ方がいいわよ」
「そうしたいんだがな。オールリキュールの第二店舗も考えているし、連れて帰ってきた女たちを宿舎に連れて行かないといけないし、色々と遣らない事があるんだよな。早く休めても明後日か、その次の日だな」
 千夜は冒険者としてだけでなく今後の事を考えて色々と考えていた。
(酒だけでなく家具のお店も出してみたいしな。エリーゼに言われた馬車の販売とか。あと冷蔵庫は何とかしないと拙いな。徐々に冬になりつつあるから今のうちに作っておきたいし。それに魔族との事も考えると色々と時間も無いような。魔族との揉め事を終わらせた後でも良いが、やっぱり早くしてみたいしな)
 結局纏まらなかった千夜は考えるのを止めて意識を深い闇へと落とす。
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