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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第百十四幕 バランスボールとステーキ
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「ロー目を瞑って自分の中に血液とは違う物が流れているのを感じるか?」
千夜の言葉をそのままラムは伝えた。するとローは目を閉じる。
「感じるって」
「そうか。ロー、それが魔力だ。魔力はどんな魔法を発動させるにも必要な源なんだ。こんどは魔力の流れを感じながら幻惑魔法を使ってみろ。イメージが大切だからな」
「遣ってみるって」
ラムの言葉を信じて待つ千夜、しかし数分経っても何も起こらない。
「ローがねイメージしてるけど、上手く出来ないって」
「多分、魔力を上手く使えてないんだろう。やはり最初っから幻惑魔法は難易度が高かったか」
「どうするの?」
心配そうに見上げるラムと落ち込むロー。
「安心しろ。次はもっと簡単なのから習得しよう」
優しくローの頭を撫でながら励ます。
「それでどうするの?」
「やはりここはファイヤーボールだろう。ロー、お前はイメージでしか魔法を発動出来ない。だから今からファイヤーボールを見せる。今度はそれをイメージするんだ」
「ワンッ!」
「解ったって」
「よし」
ラムとローに見せるように右手を前に突き出す。すると一瞬にしてソフトボール位のファイヤーボールが千夜の掌から放たれる。
「まあ、こんな感じだ。ローの場合は口から放つ感じなるからな」
「ローやってみて」
「ワンッ!」
可愛らしい鳴き声で返事をする。
目を閉じて集中するロー。数分して口を開くと壁に向かってファイヤーボールが放たれた。が、
「まずい!」
その大きさはバランスボール並みの大きさだった。
(しまった! 魔力を抑える事を伝え忘れていた!)
中型犬サイズの子供とはいえ、エレメントテイルと並ぶ魔物エンペラーウルフ。その魔力量は尋常ではない。
千夜は慌てて先に弾着地点に向かい迫って来たファイヤーボールをアクアウォールで無力化する。
「危なかった」
思わず心の声が漏れる。
「大丈夫お父さん!」
「ああ、心配ない」
「ごめんなさい」
慌てて駆け寄ってきたラムとローは悪い事をしたと言わんばかりに謝る。
「ラムとローが謝る必要はない。俺が教え忘れたのが悪いんだ」
「でも……」
「次から気をつければ良い。それにこの程度なんて事はない。だけど訓練するときは俺かタイガー、エリーゼたちが居るときにするんだぞ」
「解った!」
「ワンッ!」
一人と一匹の頭を撫でる千夜。その姿は師弟と言うよりも親子と言うべきだろう。
「それじゃあローもう一度だ。今度は魔力量を少なくして放ってみてくれ」
「ワンッ!」
再びイメージに入る。十数秒後一度上手く行った事で先程よりも早くファイヤーボールが放たれる。大きさも先程より小さくバスケットボールサイズになっていた。
「ローその調子だ。もう少し魔力量を少なくして遣ってみろ」
「ワンッ!」
数秒後、三度目にしてようやくソフトボールサイズのファイヤーボールが放たれた。
「ほう、三回目で成功か。凄いなロー」
「えへへ、ローお父さんに褒められたよ」
「ワンッ!」
先程よりも嬉しそうに吠える。
「それじゃあ、今日はファイヤーボールの練習だ。魔力が尽きるまでするからな。二人とも頑張れよ」
「うん!」
「ワンッ!」
こうして練習は夕方まで続いた。イメージしてから発動までの時間を出来るだけ短縮する練習と動き回りながらでも出来る練習が延々続いた。
ラムは千夜の教えでローへの指示を出し方。敵が居るときを想定しての指示の出し方などを教えて貰っていた。
そして練習が終わった時、ラムとローはその場でへたり込んでいた。
「疲れた~」
「クゥ~」
元気一杯の一人と一匹だが、それでも流石に疲れたらしくまともに喋る事も出来ずにいた。
「今日はよく頑張ったな」
「お父さん厳しいよ~」
「ワウゥン……」
「あんなのまだまだだぞ」
「そうなの?」
「ああ、タイガーたちの模擬戦を見てみると良い。明日の朝にでも」
「早起きは苦手だよ~」
「クゥ……」
「そうか。ま、今はお風呂に入って夕食にしよう。今日はステーキにしてもらったからな」
「本当に!」
「ああ」
「やったー! お肉だ! ロー、お肉だよ!」
「ワンッ!」
「まずはご飯の前にお風呂だ。ラム、ローを連れてお風呂に入って来い」
「お父さんも一緒に入ろう!」
「ああ、そうしよう」
こうして千夜とラム、ローは汚れた体を洗うべくお風呂に向かった。
勿論お風呂上りの夕食時にはラムとローは物凄い勢いで食べていた。その時マリンが叱ろうとしたが、千夜が手で制して、今日は構わないと伝えた。
「ラム、ロー美味しいか?」
「うん!」
「ワンッ!」
ステーキの肉汁を口周りに付けたまま満面の笑みを浮かべて返事をするラムとロー。
魔力制御をある程度覚えたローは次の日、幻惑魔法を一発で成功させた。勿論発動するのに数分要したが、今後練習しだいそれも改善させるだろう。
千夜の言葉をそのままラムは伝えた。するとローは目を閉じる。
「感じるって」
「そうか。ロー、それが魔力だ。魔力はどんな魔法を発動させるにも必要な源なんだ。こんどは魔力の流れを感じながら幻惑魔法を使ってみろ。イメージが大切だからな」
「遣ってみるって」
ラムの言葉を信じて待つ千夜、しかし数分経っても何も起こらない。
「ローがねイメージしてるけど、上手く出来ないって」
「多分、魔力を上手く使えてないんだろう。やはり最初っから幻惑魔法は難易度が高かったか」
「どうするの?」
心配そうに見上げるラムと落ち込むロー。
「安心しろ。次はもっと簡単なのから習得しよう」
優しくローの頭を撫でながら励ます。
「それでどうするの?」
「やはりここはファイヤーボールだろう。ロー、お前はイメージでしか魔法を発動出来ない。だから今からファイヤーボールを見せる。今度はそれをイメージするんだ」
「ワンッ!」
「解ったって」
「よし」
ラムとローに見せるように右手を前に突き出す。すると一瞬にしてソフトボール位のファイヤーボールが千夜の掌から放たれる。
「まあ、こんな感じだ。ローの場合は口から放つ感じなるからな」
「ローやってみて」
「ワンッ!」
可愛らしい鳴き声で返事をする。
目を閉じて集中するロー。数分して口を開くと壁に向かってファイヤーボールが放たれた。が、
「まずい!」
その大きさはバランスボール並みの大きさだった。
(しまった! 魔力を抑える事を伝え忘れていた!)
中型犬サイズの子供とはいえ、エレメントテイルと並ぶ魔物エンペラーウルフ。その魔力量は尋常ではない。
千夜は慌てて先に弾着地点に向かい迫って来たファイヤーボールをアクアウォールで無力化する。
「危なかった」
思わず心の声が漏れる。
「大丈夫お父さん!」
「ああ、心配ない」
「ごめんなさい」
慌てて駆け寄ってきたラムとローは悪い事をしたと言わんばかりに謝る。
「ラムとローが謝る必要はない。俺が教え忘れたのが悪いんだ」
「でも……」
「次から気をつければ良い。それにこの程度なんて事はない。だけど訓練するときは俺かタイガー、エリーゼたちが居るときにするんだぞ」
「解った!」
「ワンッ!」
一人と一匹の頭を撫でる千夜。その姿は師弟と言うよりも親子と言うべきだろう。
「それじゃあローもう一度だ。今度は魔力量を少なくして放ってみてくれ」
「ワンッ!」
再びイメージに入る。十数秒後一度上手く行った事で先程よりも早くファイヤーボールが放たれる。大きさも先程より小さくバスケットボールサイズになっていた。
「ローその調子だ。もう少し魔力量を少なくして遣ってみろ」
「ワンッ!」
数秒後、三度目にしてようやくソフトボールサイズのファイヤーボールが放たれた。
「ほう、三回目で成功か。凄いなロー」
「えへへ、ローお父さんに褒められたよ」
「ワンッ!」
先程よりも嬉しそうに吠える。
「それじゃあ、今日はファイヤーボールの練習だ。魔力が尽きるまでするからな。二人とも頑張れよ」
「うん!」
「ワンッ!」
こうして練習は夕方まで続いた。イメージしてから発動までの時間を出来るだけ短縮する練習と動き回りながらでも出来る練習が延々続いた。
ラムは千夜の教えでローへの指示を出し方。敵が居るときを想定しての指示の出し方などを教えて貰っていた。
そして練習が終わった時、ラムとローはその場でへたり込んでいた。
「疲れた~」
「クゥ~」
元気一杯の一人と一匹だが、それでも流石に疲れたらしくまともに喋る事も出来ずにいた。
「今日はよく頑張ったな」
「お父さん厳しいよ~」
「ワウゥン……」
「あんなのまだまだだぞ」
「そうなの?」
「ああ、タイガーたちの模擬戦を見てみると良い。明日の朝にでも」
「早起きは苦手だよ~」
「クゥ……」
「そうか。ま、今はお風呂に入って夕食にしよう。今日はステーキにしてもらったからな」
「本当に!」
「ああ」
「やったー! お肉だ! ロー、お肉だよ!」
「ワンッ!」
「まずはご飯の前にお風呂だ。ラム、ローを連れてお風呂に入って来い」
「お父さんも一緒に入ろう!」
「ああ、そうしよう」
こうして千夜とラム、ローは汚れた体を洗うべくお風呂に向かった。
勿論お風呂上りの夕食時にはラムとローは物凄い勢いで食べていた。その時マリンが叱ろうとしたが、千夜が手で制して、今日は構わないと伝えた。
「ラム、ロー美味しいか?」
「うん!」
「ワンッ!」
ステーキの肉汁を口周りに付けたまま満面の笑みを浮かべて返事をするラムとロー。
魔力制御をある程度覚えたローは次の日、幻惑魔法を一発で成功させた。勿論発動するのに数分要したが、今後練習しだいそれも改善させるだろう。
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