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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第二十幕 行き詰まりと亡霊組織
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周りの視線など気にする事無くラブラブ空間を作り出したまま宿屋に戻った千夜たちはアミーから齎された情報を審議する意味でも今後の予定を話始めた。
「まず現状としてだが、代官が手を組んでいる暗霧の十月の情報が少なすぎる。ルー線とにくればそれなりの情報が手に入るかと思ったが、噂にすら出ていない」
「まるで亡霊ね」
「エリーゼの言う通りだ。暗霧の十月に関係していそうな情報だが確かめに行くかどうかだ」
「行け分かるのではないのか?」
クロエは首を傾げながら千夜に問う。
「確かにその通りなんだが姿を見せない亡霊組織のメンバーがどこに潜んでいるか分からない状況下で手がかりに繋がりそうな情報ほど怪しく危険なものはない」
「それってアミーが暗霧の十月のメンバーってこと?」
「その可能性も無くはない。だがそれよりもあの場にいた冒険者や他の受付嬢の中にメンバーが居てもおかしくない」
「確かにそれはあるわね」
「もしもあの話を聞いていた者が居て森の廃墟に人を送り込んで監視させているところに俺たちが向かえば真っ先に暗殺対象になってしまうからな」
「お父様それはどういう事ですか?」
「いいかウィル。お前が暗霧の十月のメンバーだと仮定して質問する」
「はい」」
千夜の言葉にウィルの表情が鋭くなる。
「この街では見ない顔の冒険者パーティーが来たとする」
「はい」
「そいつらは稼ぎに来たと言い、危険な場所など近づいてはいけない場所など色々聞き込みを始めた」
「普通ですね。知らない土地で冒険者活動をするなら情報収集は大事ですから」
「その通りだ。だが、その冒険者パーティーが危険な場所だと言われ居る場所に現れたらウィルお前ならどう思う?」
「この街に稼ぎに来たと言うのは本当は嘘で、別の目的があると考えます」
「そのだ。で、暗霧の十月はこの領地の領主代理でもある代官と繋がりがある。もしも自分たちが行っている行為がベルグに伝わったかもしれないという情報を手に入れていたら?」
「その冒険者が皇帝陛下が送り込んできた諜報員だと考えます」
「そう言う事だ」
ここでようやくウィルは千夜が言いたいことを理解した。クロエたちも話の内容を聞いて理解する。
「補足するならば亡霊組織である暗霧の十月の実力が不明である事を踏まえてそれなりに高ランクの冒険者、もしくは部下を送り込んでくると考える筈だ。俺たちは少し目立ちすぎたからな」
「す、少しですか?」
「あれぐらいAランクなら当たり前のようにできる」
「ま、そうね。あれぐらいなら」
「あれぐらい出来ないAランクが居るのならば私が消極処分します」
「当然じゃな」
「出来ないと厳しいかもですね」
などとSランク以上のエリーゼたちまでもが肯定する。
(僕ももっと頑張らないと)
千夜たちを目標にしているウィルは思いがけないプレッシャーに頬を引き攣る。
「話を戻すが、このまま無視していても今と状況が変わるとは思えない。だが行った場合間違いなく俺たちがベルクが送り込んできた諜報員だとバレる危険性が高い」
「つまりは?」
「行き詰まりだな」
「なら、どうするの?」
ほんの僅か苛立ちを含んだエリーゼの問いだが、千夜は気にする事無く返答する。
「情報収集だな」
「これ以上情報はあつまらないわよ」
「そうでもない。俺たちは少し焦り過ぎていたのかもしれない」
「どういう事?」
「代官が手を組んでいる亡霊組織暗霧の十月を突き止めようと暗霧の十月について調べる事に目を囚われていた。結果行き詰った。なら、暗霧の十月に間接的にでもつながりのある者を調べた方が良いと思わないか?」
「どういうこと?」
「ダラで海賊が好き勝手暴れているらしいな」
「確かにアミーが言っていたわね。まさか海賊について調べるの?」
「そうだ」
「でも海賊について調べるならダラに行く必要があるわ。でもダラに向かえば間違いなく暗霧の十月に気づかれる恐れがあるわ」
「確かにその通りだが、ダラには既に一人潜入した奴が居るはずだ」
不敵な笑みを浮かべエリーゼを見詰める。
全員が解らないと首を傾げる。が、エリーゼだけは数秒して閃いたように目を見開ける。
「スケアクロウね」
「そうだ」
「主、スケアクロウがどうかしたのですか?」
「エルザたちには伝えてなかったな。ケアドとダラにそれぞれラッヘンとスケアクロウに情報収集のため潜入して貰っている」
「まさか、主はそこまで予想して……流石です」
(いや、ただの偶然だが。ま、素直に弁明できる状況じゃないな)
目を輝かせながら見詰めてくるエルザの姿に「たまたまだ」と答える。
「それじゃさっそく話すとしようか」
新たな情報を求めてスケアクロウに念話を飛ばす。
「まず現状としてだが、代官が手を組んでいる暗霧の十月の情報が少なすぎる。ルー線とにくればそれなりの情報が手に入るかと思ったが、噂にすら出ていない」
「まるで亡霊ね」
「エリーゼの言う通りだ。暗霧の十月に関係していそうな情報だが確かめに行くかどうかだ」
「行け分かるのではないのか?」
クロエは首を傾げながら千夜に問う。
「確かにその通りなんだが姿を見せない亡霊組織のメンバーがどこに潜んでいるか分からない状況下で手がかりに繋がりそうな情報ほど怪しく危険なものはない」
「それってアミーが暗霧の十月のメンバーってこと?」
「その可能性も無くはない。だがそれよりもあの場にいた冒険者や他の受付嬢の中にメンバーが居てもおかしくない」
「確かにそれはあるわね」
「もしもあの話を聞いていた者が居て森の廃墟に人を送り込んで監視させているところに俺たちが向かえば真っ先に暗殺対象になってしまうからな」
「お父様それはどういう事ですか?」
「いいかウィル。お前が暗霧の十月のメンバーだと仮定して質問する」
「はい」」
千夜の言葉にウィルの表情が鋭くなる。
「この街では見ない顔の冒険者パーティーが来たとする」
「はい」
「そいつらは稼ぎに来たと言い、危険な場所など近づいてはいけない場所など色々聞き込みを始めた」
「普通ですね。知らない土地で冒険者活動をするなら情報収集は大事ですから」
「その通りだ。だが、その冒険者パーティーが危険な場所だと言われ居る場所に現れたらウィルお前ならどう思う?」
「この街に稼ぎに来たと言うのは本当は嘘で、別の目的があると考えます」
「そのだ。で、暗霧の十月はこの領地の領主代理でもある代官と繋がりがある。もしも自分たちが行っている行為がベルグに伝わったかもしれないという情報を手に入れていたら?」
「その冒険者が皇帝陛下が送り込んできた諜報員だと考えます」
「そう言う事だ」
ここでようやくウィルは千夜が言いたいことを理解した。クロエたちも話の内容を聞いて理解する。
「補足するならば亡霊組織である暗霧の十月の実力が不明である事を踏まえてそれなりに高ランクの冒険者、もしくは部下を送り込んでくると考える筈だ。俺たちは少し目立ちすぎたからな」
「す、少しですか?」
「あれぐらいAランクなら当たり前のようにできる」
「ま、そうね。あれぐらいなら」
「あれぐらい出来ないAランクが居るのならば私が消極処分します」
「当然じゃな」
「出来ないと厳しいかもですね」
などとSランク以上のエリーゼたちまでもが肯定する。
(僕ももっと頑張らないと)
千夜たちを目標にしているウィルは思いがけないプレッシャーに頬を引き攣る。
「話を戻すが、このまま無視していても今と状況が変わるとは思えない。だが行った場合間違いなく俺たちがベルクが送り込んできた諜報員だとバレる危険性が高い」
「つまりは?」
「行き詰まりだな」
「なら、どうするの?」
ほんの僅か苛立ちを含んだエリーゼの問いだが、千夜は気にする事無く返答する。
「情報収集だな」
「これ以上情報はあつまらないわよ」
「そうでもない。俺たちは少し焦り過ぎていたのかもしれない」
「どういう事?」
「代官が手を組んでいる亡霊組織暗霧の十月を突き止めようと暗霧の十月について調べる事に目を囚われていた。結果行き詰った。なら、暗霧の十月に間接的にでもつながりのある者を調べた方が良いと思わないか?」
「どういうこと?」
「ダラで海賊が好き勝手暴れているらしいな」
「確かにアミーが言っていたわね。まさか海賊について調べるの?」
「そうだ」
「でも海賊について調べるならダラに行く必要があるわ。でもダラに向かえば間違いなく暗霧の十月に気づかれる恐れがあるわ」
「確かにその通りだが、ダラには既に一人潜入した奴が居るはずだ」
不敵な笑みを浮かべエリーゼを見詰める。
全員が解らないと首を傾げる。が、エリーゼだけは数秒して閃いたように目を見開ける。
「スケアクロウね」
「そうだ」
「主、スケアクロウがどうかしたのですか?」
「エルザたちには伝えてなかったな。ケアドとダラにそれぞれラッヘンとスケアクロウに情報収集のため潜入して貰っている」
「まさか、主はそこまで予想して……流石です」
(いや、ただの偶然だが。ま、素直に弁明できる状況じゃないな)
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「それじゃさっそく話すとしようか」
新たな情報を求めてスケアクロウに念話を飛ばす。
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