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本編
8 欲しい物言わなかったツケがこれだよ! なお、返品は不可っぽい!
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――そして、やってきました週末。
「それじゃ、行ってきますから。昼はちゃんと食べてくださいよ」
なんて、子供に言い聞かせるみたいな感じでカムロさんに言い置いて、10時のおやつ後にお屋敷を出た。道を歩き始めた俺の左手薬指には、指輪が嵌っている。
……なんでだろうね?
薄い紙みたいなのに破れないし、かといって皮膚に食い込んだりするような鋭さもない。そんな不思議な指輪。人さし指の太さぐらいの幅で銀色をしているこの指輪は、休みの前日にカムロさんの手で嵌められたやつだ。
目の前にかざして表面にある細かい模様をよく見てみると、図形や呪文が無数に繋がっていて、すごく綺麗だ。でもな、これはただの綺麗な指輪じゃない。実は魔術の効果がびっしり刻まれた、魔導具なんだよ。
――こういう魔道具を作れるのが、魔術技師だ。
魔術師は、古くからある魔法の使い手。その魔法の仕組みを応用して一般人でも使えるような魔道具に利用したのが、魔術技師。金属板とかに独特の模様みたいな呪文や図形を刻印をして、魔術の効果を付与するんだ。特殊技能だから、素人が適当に刻んで魔力を流しても、ウンともスンともいわないぞ。
お屋敷にある保冷庫とか、ティーメーカーなんかにも、それが組み込んであるんだよ。物を冷やしたりお茶を淹れられたりと、色々便利な魔道具。最先端技術ってやつだ!
指輪を見せられたときに「付与した効果は何ですか」って、聞いてみたら「護身用の効果が少々。あとは秘密ですよ。ふふふ……」などと、お茶目な感じで超魔術技師様がおっしゃっていましたよ。
そのときのカムロさんの麗しいご尊顔の、これまた麗しい目の下にはくっきり隈があった。貫徹したのかな。妙にやり切った感のある顔だった。
なんか怖かった。
そんな病的な顔で、なにお茶目ぶってんですか。ちっとも可愛くないですよ。そしてだ、微笑みながら俺の左手を持ち上げて、薬指にするっとブツを嵌めてくださりやがったんでございますよ。
えっ、なんで? なんでそれを俺に嵌めるの? ってなるよな。俺じゃなくても。
見て見て! 作ったよ! とかいう気分で見せてくれただけだと思ってたのに。国内外に名を轟かせまくっている魔術技師が貫徹で刻印した指輪って、どんなだよ。
国家予算と同額! 豪邸が何件も買えるよ! くらいかな?
……。
……いっ、いやだああああ!
そんなもん、勝手に嵌めるなよおおおお!
ブツのやばさに気付いた俺。焦って外そうとしたけど、外せなかった。ぴったりフィットしすぎ! っていうかここは薬指! 既婚者が指輪をする指だぞ! 予定地になんてことするんだ! 彼女すらいない俺に対する嫌がらせか! せめて中指とかにしてくれ!
しかもこんな高い物、もらえない! だからこれ外してくれ! マジで困る! ビビりすぎて声が出ねぇよ! 必死に目だけで外してくれえええ! って訴えたけど、気付いてもらえなかった。……というか、絶対に無視されてたよな、あれ。
外さないでくださいねっていう無言の圧力が凄かった。それから駄目押しで、こんなお言葉もございましたよ。
「ハス君、欲しい物言ってくれませんでしたよね。待ちきれなかったので、勝手にプレゼントさせてもらいました」
「……おうっふ。左様でございますか」
心の変語が声になって外に出たよ。やっと出た声がそれかよと思ったよ!
この前、肉をもらった日に言ってたあれだよ。「何か欲しい物があったら言ってくださいね。プレゼントしますから」だったかな? まあ大体そんなセリフだった気がする。
……思いつかなかったんだ。悪気はないぞ。
まあ、肉はまだあるし美味いし、これで満足だからいいかな! って気がして。しれっと言わずにいたら、流してくれるかなと思ってた俺が甘かった! にしても、これはない。こんなトンデモな物、俺なんかにプレゼントするなんて! 何を考えてるんだよカムロさん!
まさか、拗ねたの笑った仕返し? んなバカな! ほんとに何なんだよおぉ。
――欲しい物言わなかったツケがこれだよ! 返品は不可っぽい。
「それじゃ、行ってきますから。昼はちゃんと食べてくださいよ」
なんて、子供に言い聞かせるみたいな感じでカムロさんに言い置いて、10時のおやつ後にお屋敷を出た。道を歩き始めた俺の左手薬指には、指輪が嵌っている。
……なんでだろうね?
薄い紙みたいなのに破れないし、かといって皮膚に食い込んだりするような鋭さもない。そんな不思議な指輪。人さし指の太さぐらいの幅で銀色をしているこの指輪は、休みの前日にカムロさんの手で嵌められたやつだ。
目の前にかざして表面にある細かい模様をよく見てみると、図形や呪文が無数に繋がっていて、すごく綺麗だ。でもな、これはただの綺麗な指輪じゃない。実は魔術の効果がびっしり刻まれた、魔導具なんだよ。
――こういう魔道具を作れるのが、魔術技師だ。
魔術師は、古くからある魔法の使い手。その魔法の仕組みを応用して一般人でも使えるような魔道具に利用したのが、魔術技師。金属板とかに独特の模様みたいな呪文や図形を刻印をして、魔術の効果を付与するんだ。特殊技能だから、素人が適当に刻んで魔力を流しても、ウンともスンともいわないぞ。
お屋敷にある保冷庫とか、ティーメーカーなんかにも、それが組み込んであるんだよ。物を冷やしたりお茶を淹れられたりと、色々便利な魔道具。最先端技術ってやつだ!
指輪を見せられたときに「付与した効果は何ですか」って、聞いてみたら「護身用の効果が少々。あとは秘密ですよ。ふふふ……」などと、お茶目な感じで超魔術技師様がおっしゃっていましたよ。
そのときのカムロさんの麗しいご尊顔の、これまた麗しい目の下にはくっきり隈があった。貫徹したのかな。妙にやり切った感のある顔だった。
なんか怖かった。
そんな病的な顔で、なにお茶目ぶってんですか。ちっとも可愛くないですよ。そしてだ、微笑みながら俺の左手を持ち上げて、薬指にするっとブツを嵌めてくださりやがったんでございますよ。
えっ、なんで? なんでそれを俺に嵌めるの? ってなるよな。俺じゃなくても。
見て見て! 作ったよ! とかいう気分で見せてくれただけだと思ってたのに。国内外に名を轟かせまくっている魔術技師が貫徹で刻印した指輪って、どんなだよ。
国家予算と同額! 豪邸が何件も買えるよ! くらいかな?
……。
……いっ、いやだああああ!
そんなもん、勝手に嵌めるなよおおおお!
ブツのやばさに気付いた俺。焦って外そうとしたけど、外せなかった。ぴったりフィットしすぎ! っていうかここは薬指! 既婚者が指輪をする指だぞ! 予定地になんてことするんだ! 彼女すらいない俺に対する嫌がらせか! せめて中指とかにしてくれ!
しかもこんな高い物、もらえない! だからこれ外してくれ! マジで困る! ビビりすぎて声が出ねぇよ! 必死に目だけで外してくれえええ! って訴えたけど、気付いてもらえなかった。……というか、絶対に無視されてたよな、あれ。
外さないでくださいねっていう無言の圧力が凄かった。それから駄目押しで、こんなお言葉もございましたよ。
「ハス君、欲しい物言ってくれませんでしたよね。待ちきれなかったので、勝手にプレゼントさせてもらいました」
「……おうっふ。左様でございますか」
心の変語が声になって外に出たよ。やっと出た声がそれかよと思ったよ!
この前、肉をもらった日に言ってたあれだよ。「何か欲しい物があったら言ってくださいね。プレゼントしますから」だったかな? まあ大体そんなセリフだった気がする。
……思いつかなかったんだ。悪気はないぞ。
まあ、肉はまだあるし美味いし、これで満足だからいいかな! って気がして。しれっと言わずにいたら、流してくれるかなと思ってた俺が甘かった! にしても、これはない。こんなトンデモな物、俺なんかにプレゼントするなんて! 何を考えてるんだよカムロさん!
まさか、拗ねたの笑った仕返し? んなバカな! ほんとに何なんだよおぉ。
――欲しい物言わなかったツケがこれだよ! 返品は不可っぽい。
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