モンスターコア

ざっくん

文字の大きさ
17 / 94
受験戦争

10話 リュートvs イルカ 1/3手直ししました。

しおりを挟む
 ニナとサイカが睨みを効かせていた頃、リュートも対戦相手と向かい合って立っていた。相手は先程ババ抜きで競った大柄やな男だった。

「そういえば、君って名前何?」

「イルカだ」

リュートの問いに大柄な男が答えた。

「そう、僕はリュート。よろしくね」

……なかなか合図が出ない。そこでリュートが場を繋ぐために質問を続けた。

「イルカは暑い所の出身?」

「あぁ、砂漠の出だ」

イルカが答える。

「それでは、始めてください」

 試合開始の合図がなされた。

「では行くぞ!」

 イルカが『砂魔法』を発動させる。両手足にサソリの尻尾のような武具ともとれる防具を形成し身に纏った。そして堂々とした足つきでリュートに向かって走った。
 リュートは『岩魔法』で巨大なスプーンを作って迎え撃つ。リュートはそれで地面を抉り、土をかけて牽制する。
 イルカが土を籠手でガードする。その結果、土は籠手に吸収され砂と混ざり合うだけで大して意味がなかった。
 リュートは籠手の防御で視界の狭くなったイルカの隙を突く。スプーンのつぼを切り離し形状を槍に変える。そして頭に向かって全力で投擲した。

「…ッ!」

 イルカがギリギリの所で気づき間一髪で躱す。左腕に纏わせた砂の一部に『拡散魔法』を使用した。砂は前方へショットガンの飛ばし目眩しする。さらに右腕の籠手の針を変形させて伸ばしリュートを突き刺した。
 リュートは怯みながらも『座標魔法』『固定魔法』『岩魔法』を組み合わせて空中に岩の盾を生成して針をガードする。針は盾に当たるなり崩れ落ち巻き込んだ土を残して霧散した。そして、『岩魔法』で形成されたショーテルの様に湾曲した剣を形成する。その湾曲を利用して岩を避けながらイルカを攻撃した。
 イルカはそれを左籠手でガード、ショーテルが籠手に勢いよく突き刺さるが、刃がイルカに届く前にショーテルが止まる。しかし、左右の籠手の砂が減少してしまったため、一時後退することにした。ショーテルの刺さった左の籠手をただの砂に変えて後ろに飛ぶ。体制を整えて籠手を右手の失った分と左手の籠手を形成する。
 その間にリュートは自身の防御を固めていた。空中に岩の棒を多数生成しで自分の得意なフィールドを作り出しイルカを待つ。
 籠手を形成し終えたイルカは再び攻めに入る。足防具の砂を左右交互『拡散魔法』を使い連続で発射し目眩しをしながら走る。
 連続して飛んでくる砂に耐えきれずリュートは、『岩魔法』を発動岩の壁を作り出しガードする。
 イルカはそれを待っていた。右手の針を大きい杭のように変形させると、岩の壁に思い切り突き刺した。杭は衝撃に耐えられず杭は崩れ落ちてしまったが、壁を破壊することに成功した。崩れ落ちる岩と砂の間をイルカの手が伸びる。手は進み遂にはリュートに触れた。
 リュートの視界のが暗く閉じた。突然の事態に混乱するがその感情はすぐに、しまった!と言う焦りへと変わった。受けてはいけない類の魔法である『盲目魔法』を受けてしまったのだ。こうなるともう、他の五感と記憶を頼りに魔法効果解除まで時間を稼ぐしかなくなる。さらにイルカは『消音魔法』までも発動させている。音と気配を限りなく消していて時間が経てばどこにいるかすら分からなくなってしまう。リュートはすぐさま崩れかけの壁に両手を当て『岩魔法』を発動させた。岩が変形し左右からイルカを壁で囲いこむ。しかし、形成途中の脆い時を狙われて壁を砕かれ脱出されてしまった。しかし、まだ見失っていない。岩を砕いた際の音は『消音魔法』の影響で音が消されていた。だが、地面に落ちた岩の音までは消せてはいなかった。その音を聞いて、リュートが左側に壁を生成し、さらに壁を増やし自らを四角く壁で囲いった。そして、岩の落ちる音を聞き逃さぬようじっと耳を澄ませた。
 その頃、イルカは『砂魔法』『拡大魔法』を合わせ巨大なハンマーを形成していた。そして思い切り振りかぶり、ハンマーで壁ごとを薙ぎ払いリュートを吹き飛ばした。
 リュートは想定外の事象に驚くが、冷静な判断で自身に軽く『固定魔法』をかけてで減速する。そして『座標魔法』『固定魔法』『岩魔法』を組み合わせて空中に足場を設置し、どんどん上にって行く。ある程度上に登るとその場に止まり『盲目魔法』の効果が消えるのを待った。魔法効果が徐々に消えていき視界を取り戻した。目を開けたリュートは驚愕の事態を目の当たりにする。イルカが『砂魔法』で巨大なな壁の足場を作り、そこから自分に飛び掛かっていた。

「…ッ!」
 
 リュートはとっさに『加速魔法』を発動する。体の動きが急に素早くなり、イルカの針を受け流した。そのまま、カウンターの蹴りを入れ、空中で機動力を失ったイルカを地面へと突き落とす。
 イルカも負けじと針を伸ばし刃に変え薙ぎ払う。
 砂の刃を空中に生成した岩のポールに利用して躱す。腕そして、躱したときの回転の勢いそのままに槍と刀の合わさった様な武器を『岩魔法』で形成、イルカを切り裂いた。

「勝負あり!」

 審判が試合終了を宣言した。

「とても楽しい試合だった。またやろう」

 地面に倒れていたイルカが起き上がる。

「いい友達を紹介するよ。きっと気が合うと思うよ」

 リュートが勝負を楽しむさまを見てカイトと重ねて言った。

「…?あぁ」

イルカは発現の意味を理解し損ね、とりあえず返事をした。

ーーーーー
その頃、待機組は

「言ってみるもんよね。まさか、ボードゲームまで貸してくれるなんて。王手」

 サリアがカイト相手に将棋を打っていた。

「うっ、またか…二連敗だな。次何やる?」

「もっと悔しがりなさいよ。張り合いないわね」

「勝てないゲームはしない主義でな。スピードなら受けて立つが?」

「それもいいけど、もっといい勝負になることしない?」

「ん?なんだ?」

一方カリスは真面目に勉強していた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...