48 / 94
第一の神獣。死の軍勢の片鱗
38話 本物のモンスター
しおりを挟む
教員リオンは魔法を使って教員トウカと共にパンゲア大陸へと移動した。
「手を離しなさい。ねぇ、聞いて…」
トウカはニカァと、笑うリオンを見て絶句した。
「あんたまさか!?ちょ!ふざけんじゃ…」
トウカは投げ飛ばされて瞬時に姿を消した。
「ふふふ…」
(仕返し完了。あー、一応最善手だ。怨むなよ…)
リオンは何処からともなく中身がパンパンに詰まった重そうな皮袋を取り出しで、軽くポイと投げた。
ーーーーーー
一方トウカは澄み渡った大空を……自由落下していた。
下を見上げると、さまざまな色が混ざり合い灰色になった外生生物の大群が波打っていた。
「あの愚弟、お仕置きしてやる…」
ふと目の前にパンパンに膨らんだ皮袋が現れる。
(今度は何を…)
中身を確認し、怒りや感謝で複雑な気持ちになる。袋の中には大量の無属性コアと複数のコアが入っていた。
「はぁ…」
トウカが袋から無属性コアを数個取り出すと、それらが溶けるように消えていく。そして、その横ではトウカと全く同じ姿形をした女性が一糸纏わぬ姿で生成されていた。
女性が瞳をひらく。
「あー、はいはい」
女性は何かに納得したように言った。
「はい、」
トウカが袋の中からコアを取り出し生まれたばかりの自分の分身に投げ渡して、体制を整えた。
女性はコアを受け取り『水魔法』を発動させた。二人の足元と分身の周りに水が生成され、その場で渦を巻き足に巻き付いた。渦のお陰で落下速度が徐々に減速し遂には空中で止まった。分身に巻き付いた水は少しづつ姿を変えて流水のドレスへと変化した。
トウカは袋の中へと手を入れる。袋がどんどんと萎んでいき、それと反比例する様に分身の数が増えていく。
袋から無属性コアがなくなり、空中には百を超える分身を生成し時、トウカ本人を除き自由落下を開始した。
分身のうち数個体が弓を構えた。コアを与えられた個体である。「炎魔法」や「水魔法」で出来た矢が一斉に放たれた。矢は射った直後に散弾銃のように分散して外生生物を貫いた。
ゴゴゴゴゴゴッ………
ただ前に進むだけであった外生生物の群は進行を止め集まり出した。
彼らは群体系外生生物と呼ばれる種類の生物である。無数の生命が存在する群でありながら、思考を共有し全てをまとめてまるで一つの生物であるかのように振る舞う。
群の形が化け物の口に変化する。全ての体を総動員して外敵を迎え撃つ。
「面白いじゃない!」
トウカの分身が正面から腹の中に入った。
彼らは通常の外生生物とは格が違った。コアのランクは進化の回数でE~Sに割り振られる。しかし、上には上がいるもので例外的に危険と判断されたものに対して、ランク外、神獣、と言う危険度を表す言葉が存在する。彼らは神獣ではあるがその一欠片であるため実際の脅威はランク外程度である。
ランク外を超えたモンスターがこちらの世界にやってきた場合、学園が固有の氏名を指定して個別に対策される事になる。神獣にもなると対策と呼べるものが存在しない。幸い確認されている神獣は8体であり、彼らが体を保てるほどのマナがこちらの世界に無いため故意に来ようとすることはないことが救いである。
今リオンとトウカが対峙しているのは第一の神獣 死の軍勢 万軍その片鱗である。
トウカの分身を飲み込んだ後、細長い筒状に変化した。
「まさかッ!」
この非常事態にいち早く反応したのはリオンだった。
筒の中心に莫大なマナが収束される。
ミューーン………ドゴーーーーーン!!
想像を絶するエネルギーの塊か空に向かって放出された。それは雲に穴を開けてその先まで長く長く伸びていった。
(あ、危ねぇー、)
リオンは間一髪のところでトウカを助け出すことに成功した。
「弟よ、この体制は姉としての威厳に関わるわ」
トウカはリオンにお姫様抱っこされていた。
「助かったんだからいいだろ」
「感謝するから下ろしなさい」
「へいへい」
「どうするか、舐めてたってわけじゃないが、予想の遥か上をいかれた」
「そうね…」
(やっぱり手加減してやがったな。あのストーカー)
トウカは心の中であるモンスターを罵倒した。
ーーーー
「ブァックション!!」
コアが大きなくしゃみをした。
「えっ!その見た目でくしゃみするの?」
リュートが驚き目を丸くする。
「口があるんじゃ、それぐらいするじゃろう」
「……(見た目ダダの石なのに……)」
「そうじゃ、今回の授業でちょっとばかしマナを得ての、見ろ」
コアが牛の前足であろう身体を生成した。
「それっ!それっ!それっ!」
コアが前足を様々な生物のものに変形させた。
「すごいじゃろう。今で無意識でやっていた身体生成じゃが、零から身につけたおかげで自由自在じゃ。これは一度死何とも得られんだろう」
コアが前足を人間の手に変形させた。
ペチペチペチペチペチ、
コアが手を使ってリュートのほっぺたを叩く。
「ねぇ、それ誰の手?」
「もちろん、トウカじゃ!」
ーーーーーー
「…ッ!(ゾッ!)」
トウカが身震いした。
「なんかしたか?」
「何でもないわ(どうしたのかしら?)」
「手を離しなさい。ねぇ、聞いて…」
トウカはニカァと、笑うリオンを見て絶句した。
「あんたまさか!?ちょ!ふざけんじゃ…」
トウカは投げ飛ばされて瞬時に姿を消した。
「ふふふ…」
(仕返し完了。あー、一応最善手だ。怨むなよ…)
リオンは何処からともなく中身がパンパンに詰まった重そうな皮袋を取り出しで、軽くポイと投げた。
ーーーーーー
一方トウカは澄み渡った大空を……自由落下していた。
下を見上げると、さまざまな色が混ざり合い灰色になった外生生物の大群が波打っていた。
「あの愚弟、お仕置きしてやる…」
ふと目の前にパンパンに膨らんだ皮袋が現れる。
(今度は何を…)
中身を確認し、怒りや感謝で複雑な気持ちになる。袋の中には大量の無属性コアと複数のコアが入っていた。
「はぁ…」
トウカが袋から無属性コアを数個取り出すと、それらが溶けるように消えていく。そして、その横ではトウカと全く同じ姿形をした女性が一糸纏わぬ姿で生成されていた。
女性が瞳をひらく。
「あー、はいはい」
女性は何かに納得したように言った。
「はい、」
トウカが袋の中からコアを取り出し生まれたばかりの自分の分身に投げ渡して、体制を整えた。
女性はコアを受け取り『水魔法』を発動させた。二人の足元と分身の周りに水が生成され、その場で渦を巻き足に巻き付いた。渦のお陰で落下速度が徐々に減速し遂には空中で止まった。分身に巻き付いた水は少しづつ姿を変えて流水のドレスへと変化した。
トウカは袋の中へと手を入れる。袋がどんどんと萎んでいき、それと反比例する様に分身の数が増えていく。
袋から無属性コアがなくなり、空中には百を超える分身を生成し時、トウカ本人を除き自由落下を開始した。
分身のうち数個体が弓を構えた。コアを与えられた個体である。「炎魔法」や「水魔法」で出来た矢が一斉に放たれた。矢は射った直後に散弾銃のように分散して外生生物を貫いた。
ゴゴゴゴゴゴッ………
ただ前に進むだけであった外生生物の群は進行を止め集まり出した。
彼らは群体系外生生物と呼ばれる種類の生物である。無数の生命が存在する群でありながら、思考を共有し全てをまとめてまるで一つの生物であるかのように振る舞う。
群の形が化け物の口に変化する。全ての体を総動員して外敵を迎え撃つ。
「面白いじゃない!」
トウカの分身が正面から腹の中に入った。
彼らは通常の外生生物とは格が違った。コアのランクは進化の回数でE~Sに割り振られる。しかし、上には上がいるもので例外的に危険と判断されたものに対して、ランク外、神獣、と言う危険度を表す言葉が存在する。彼らは神獣ではあるがその一欠片であるため実際の脅威はランク外程度である。
ランク外を超えたモンスターがこちらの世界にやってきた場合、学園が固有の氏名を指定して個別に対策される事になる。神獣にもなると対策と呼べるものが存在しない。幸い確認されている神獣は8体であり、彼らが体を保てるほどのマナがこちらの世界に無いため故意に来ようとすることはないことが救いである。
今リオンとトウカが対峙しているのは第一の神獣 死の軍勢 万軍その片鱗である。
トウカの分身を飲み込んだ後、細長い筒状に変化した。
「まさかッ!」
この非常事態にいち早く反応したのはリオンだった。
筒の中心に莫大なマナが収束される。
ミューーン………ドゴーーーーーン!!
想像を絶するエネルギーの塊か空に向かって放出された。それは雲に穴を開けてその先まで長く長く伸びていった。
(あ、危ねぇー、)
リオンは間一髪のところでトウカを助け出すことに成功した。
「弟よ、この体制は姉としての威厳に関わるわ」
トウカはリオンにお姫様抱っこされていた。
「助かったんだからいいだろ」
「感謝するから下ろしなさい」
「へいへい」
「どうするか、舐めてたってわけじゃないが、予想の遥か上をいかれた」
「そうね…」
(やっぱり手加減してやがったな。あのストーカー)
トウカは心の中であるモンスターを罵倒した。
ーーーー
「ブァックション!!」
コアが大きなくしゃみをした。
「えっ!その見た目でくしゃみするの?」
リュートが驚き目を丸くする。
「口があるんじゃ、それぐらいするじゃろう」
「……(見た目ダダの石なのに……)」
「そうじゃ、今回の授業でちょっとばかしマナを得ての、見ろ」
コアが牛の前足であろう身体を生成した。
「それっ!それっ!それっ!」
コアが前足を様々な生物のものに変形させた。
「すごいじゃろう。今で無意識でやっていた身体生成じゃが、零から身につけたおかげで自由自在じゃ。これは一度死何とも得られんだろう」
コアが前足を人間の手に変形させた。
ペチペチペチペチペチ、
コアが手を使ってリュートのほっぺたを叩く。
「ねぇ、それ誰の手?」
「もちろん、トウカじゃ!」
ーーーーーー
「…ッ!(ゾッ!)」
トウカが身震いした。
「なんかしたか?」
「何でもないわ(どうしたのかしら?)」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる