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第一の神獣。死の軍勢の片鱗
49話 ランク外の定義.2
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トウカは焦った。ラウドの負傷は完全な予想外であったのだ。彼女の頭にラウドの死が過ぎる。
(マズイ、マズイ、マズイ!)
彼女はモンスターの「突撃、魔法、自爆」それらを全て無視してラウドの元に駆けつける。
彼はトウカと違い頑丈な体をしていない。彼がいくら強くても致命傷を受けていたら死んでしまう。
それに比べ、トウカの身体は傷ついたそばから修復されていき、どんなに攻撃を受けても何もなかったかの様に元に戻る。それは、「人では無い何か」としか表現できない異様さであった。
「大丈夫!?」
力無く落下するラウドを抱える。彼女は攻撃を受け続けた。そのため、辿り着いた時には衣類が魔道具のバングルを残して跡形もなく消し飛んでいた。しかし、身体は戦闘などなかったかの様に無傷である。
「うっ…」
項垂れて声にならない唸りをあげる。彼は1度目の爆発を受けてからも自爆攻撃を受け続けていた。その為、自身の身を守ることで手一杯であり、足場を作る余裕も逃げる余裕も無かった。
「ねぇ、大丈夫!?」
トウカは心配になり再度声をかける。
バングルに開いた穴から消毒用魔道具と包帯を取り出す。
そのバングルは、黒と燻銀で構成されている。内側には指が三本入るほどの穴、外側にはナイフの浮き彫りが装飾されていた。
「悪い…驕った。お前は…無事か、流石だな」
ラウドは自らの過信と油断を恥じる。満身創痍であり、ぐったりとしている。
ただ、ほぼ裸のトウカに心を乱されて、ぎこちなく目を逸らす。
(いい加減慣れろ、俺!)
ラウドは自分に言い聞かせて平静を保つ。トウカの戦い方のせいで珍しくは無いが、いつになっても見慣れることが出来ない。
「しゃべらないで、傷に響くわ。戻って治してもらいなさい」
トウカが段階的に衝撃を殺しながら班員の元にラウドを運ぶ。
「うっ…!」
トウカは背中に集中的に攻撃を受けてしまった
「投げろ。着地くらいはできる。お前も無限に再生できるわけじゃ無いだろ」
ラウドは弱々しい声で言う。満身創痍になっていた。
「…分かったわ」
トウカは少し躊躇ったが、状況を鑑みてラウドを班員の元に投げた。『水魔法』と『炎魔法』を服の代わりにして全身を覆った。
(覚悟なさい!)
バングルに開いた穴に手を入れて魔道具のナイフを二本取り出す。
「(あなた達、撤退な…)…あー、もう!」
トウカが『念話魔法』で班員に呼びかけようとしたが発動しなかった。
だが、すぐに状況を理解する。すぐに首をなぞり確認する。案の定、魔道具の破損であった。
彼女は直ぐにバングルのナイフの装飾を触る。手動操作にて『念話魔法』のコアを『炎魔法』のものと交換してセットする。
「(撤退なs…)…ッ!」
今度こそ、魔法を発動させたトウカだが後一歩間に合わなかった。
彼女の真横を既視感のあるモンスターの塊が通り抜けた。
「おい!おい…なん、で…」
トウカは言葉半ばで黙ってしまった。
横を通り過ぎたモンスターは多数いるモンスターの一体に過ぎなかった。気づいた頃には既には絨毯爆撃が行われていた。
それはトウカに絶望感を与えるには十分であった。
「えっ、え…?…ッ!?」
トウカは受け入れられず放心してしまった。土手っ腹に風穴を開けられてようやく正気を取り戻した。
(…救護!)
トウカは分身を二体を生成した。二人に魔道具のナイフを投げ渡して殿に残しラウドの元に飛んだ。
(ラウドがあの程度の攻撃で死ぬはずがないじゃない。彼は私よりも強いのよ)
トウカは自分に言い聞かせる。ラウドが瀕死であることは無意識に考えない様にしていた。
「そ、そんな…」
辿り着いた先で膝をつく。
辺りには何もなく、見渡す限り荒れた土のみがリュート広がっていた。地面には円形に盛り上がっている箇所があり、そこで耐えていたことは想像に難く無い。
しかし、そこにラウドの姿は無く、人がいた痕跡すらない。
「うっ、うっ…」
ぽつりぽつりと涙を流す。流された涙は地面につくなりすぐに蒸発する。
(私のせいで…私の…)
ここまであからさまに使われたら誰でも気づく、気づいてしまう。
ラウド達を襲った「自爆」それは分身のものと酷似している。さらに、その攻撃は初めから使われていたわけでは無い。
トウカは極めて殺傷能力の高い武器を与えてしまったのである。
しばらくすると、涙だけでなく、指先も同じように霧散し始めた。
(もう持たない!自爆するわ)
分身から念話の連絡が入る。
「……」
トウカは静かに立ち上がり涙を拭う。
その後、何を思ったのかナイフの魔道具を取り出し、コアを抜き取った。
…ガリッ!
(マズイ、マズイ、マズイ!)
彼女はモンスターの「突撃、魔法、自爆」それらを全て無視してラウドの元に駆けつける。
彼はトウカと違い頑丈な体をしていない。彼がいくら強くても致命傷を受けていたら死んでしまう。
それに比べ、トウカの身体は傷ついたそばから修復されていき、どんなに攻撃を受けても何もなかったかの様に元に戻る。それは、「人では無い何か」としか表現できない異様さであった。
「大丈夫!?」
力無く落下するラウドを抱える。彼女は攻撃を受け続けた。そのため、辿り着いた時には衣類が魔道具のバングルを残して跡形もなく消し飛んでいた。しかし、身体は戦闘などなかったかの様に無傷である。
「うっ…」
項垂れて声にならない唸りをあげる。彼は1度目の爆発を受けてからも自爆攻撃を受け続けていた。その為、自身の身を守ることで手一杯であり、足場を作る余裕も逃げる余裕も無かった。
「ねぇ、大丈夫!?」
トウカは心配になり再度声をかける。
バングルに開いた穴から消毒用魔道具と包帯を取り出す。
そのバングルは、黒と燻銀で構成されている。内側には指が三本入るほどの穴、外側にはナイフの浮き彫りが装飾されていた。
「悪い…驕った。お前は…無事か、流石だな」
ラウドは自らの過信と油断を恥じる。満身創痍であり、ぐったりとしている。
ただ、ほぼ裸のトウカに心を乱されて、ぎこちなく目を逸らす。
(いい加減慣れろ、俺!)
ラウドは自分に言い聞かせて平静を保つ。トウカの戦い方のせいで珍しくは無いが、いつになっても見慣れることが出来ない。
「しゃべらないで、傷に響くわ。戻って治してもらいなさい」
トウカが段階的に衝撃を殺しながら班員の元にラウドを運ぶ。
「うっ…!」
トウカは背中に集中的に攻撃を受けてしまった
「投げろ。着地くらいはできる。お前も無限に再生できるわけじゃ無いだろ」
ラウドは弱々しい声で言う。満身創痍になっていた。
「…分かったわ」
トウカは少し躊躇ったが、状況を鑑みてラウドを班員の元に投げた。『水魔法』と『炎魔法』を服の代わりにして全身を覆った。
(覚悟なさい!)
バングルに開いた穴に手を入れて魔道具のナイフを二本取り出す。
「(あなた達、撤退な…)…あー、もう!」
トウカが『念話魔法』で班員に呼びかけようとしたが発動しなかった。
だが、すぐに状況を理解する。すぐに首をなぞり確認する。案の定、魔道具の破損であった。
彼女は直ぐにバングルのナイフの装飾を触る。手動操作にて『念話魔法』のコアを『炎魔法』のものと交換してセットする。
「(撤退なs…)…ッ!」
今度こそ、魔法を発動させたトウカだが後一歩間に合わなかった。
彼女の真横を既視感のあるモンスターの塊が通り抜けた。
「おい!おい…なん、で…」
トウカは言葉半ばで黙ってしまった。
横を通り過ぎたモンスターは多数いるモンスターの一体に過ぎなかった。気づいた頃には既には絨毯爆撃が行われていた。
それはトウカに絶望感を与えるには十分であった。
「えっ、え…?…ッ!?」
トウカは受け入れられず放心してしまった。土手っ腹に風穴を開けられてようやく正気を取り戻した。
(…救護!)
トウカは分身を二体を生成した。二人に魔道具のナイフを投げ渡して殿に残しラウドの元に飛んだ。
(ラウドがあの程度の攻撃で死ぬはずがないじゃない。彼は私よりも強いのよ)
トウカは自分に言い聞かせる。ラウドが瀕死であることは無意識に考えない様にしていた。
「そ、そんな…」
辿り着いた先で膝をつく。
辺りには何もなく、見渡す限り荒れた土のみがリュート広がっていた。地面には円形に盛り上がっている箇所があり、そこで耐えていたことは想像に難く無い。
しかし、そこにラウドの姿は無く、人がいた痕跡すらない。
「うっ、うっ…」
ぽつりぽつりと涙を流す。流された涙は地面につくなりすぐに蒸発する。
(私のせいで…私の…)
ここまであからさまに使われたら誰でも気づく、気づいてしまう。
ラウド達を襲った「自爆」それは分身のものと酷似している。さらに、その攻撃は初めから使われていたわけでは無い。
トウカは極めて殺傷能力の高い武器を与えてしまったのである。
しばらくすると、涙だけでなく、指先も同じように霧散し始めた。
(もう持たない!自爆するわ)
分身から念話の連絡が入る。
「……」
トウカは静かに立ち上がり涙を拭う。
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