モンスターコア

ざっくん

文字の大きさ
90 / 94
vs秘密結社クロノス

79話 生命ではない者

しおりを挟む
 戦いにおいて感情に任せるのは悪手だ。だけど、今だけはなんか行ける気がした

「すぅー…、っ!」

 サリアは深く深呼吸をする。丁寧に、丁寧に怒りを動力に変えた。カイザに一瞬視線を送り行動で語る
 まずは、。あなたが変換を使用して他がサポートする。最低限の犠牲で壁を破壊する。確かに合理的で確実でしょう。だけど、

 ドゴーーンッ!!

 サリアが尻尾にを使用して壁を破壊した。それはほとんど爆発音だった
 槍使いが片手を失って戦力になるの?タイマーが必要無くなった時点で、リスクの低い手私の尻尾を使うべきでしょう

「「…ッ!」」

 風圧がおさまり薄目を開け状況を確認する。すると、そこには粉々になった壁の補修部分と、バランスを崩して地面に倒れたサリアだった

「…ダッサ。けどね、リュー」

 これが私だ
 醜い姿は隠したかなるのも分かる。見るに耐えないんでしょ。ただ、見て理解なさい、私は失態を醜いと思っていない!
 彼女は炎にされた尻尾をビタンと地面に打ちつける。その姿はまな板の上の鯛に近似していた

「我慢できないから話すけど、サリア 寝起きは機嫌が悪いんだ」

「言葉で語らず伝わると思うな。退がれ」

「おい!お前ら!」

 サリアの想い伝わるが、リュートとカイザの行動を改めさせることは叶わなかった。

『変換』とは自らの身体を材料に同様の機能を持つ物質を魔法で生成する技術である
 条件は、生成魔法の所持と可能とするだけの技術と知識
 メリットは変換箇所の魔法化
 デメリットは変換箇所の喪失

 彼らはサリアが壁を破壊した後、すぐ目の前の戦いに参加した。
 ツギハギだらけの大男かゴーレムの操縦者、敵は一目して分る。大男のほうだ。彼は黒装束こそ着ていないが、背中に生えた触手は自分達を捕らえたものと同じだ。

「スゥー…」

 サリアが飛び上がり大きく息を吸い込んだ。彼女のブレスは、声、振動、衝撃、伝達、炎の五つの魔法を組み合わせた高等技術である。この技は一年生としては異常であり、教員のものに匹敵する

 だが、敵は教員それを狩に来た者である。

「雑魚が。死ね」

 実力が違い過ぎた。男はサリアに向かって背中の触手を伸ばした。彼にとっては息を吸って吐く程度の動作ですら隙になり得るのだ。しかし、

 ガギン!

 触手は見た目にそぐわない鈍い音を立てて防がれる。リュートが岩の大盾を生成し間に入ったのだ。
 サリアと大男との間にある力の差。その程度の差を彼の眼に見抜けないわけがない。彼自身は吹き飛ばされたものの見事サリアは守ってみせた。

 ドスンッ!

 リズが触手の影に隠れていた2本目を力任せに叩き落とした。
 彼女は五感の鋭さ以外にも高い反射神経と怪力も持っていた。他にも高い能力を持ちリュート、カイザ、ともに同じ種族であることを疑うほどの高スペックである

 ナイス!

 サリアが勢いの死んだ触手を両脇でがっしりと掴む

「ザーーーコッ!!」

 サリアが通常とは違う半透明のブレスを放った。それは死角の発生を防ぐために炎魔法を抜いてブレスを撃ったためである。

「ミリス!触手を狙え!」

「勝手に省略しないでもらえます?」

 カイザが金槌と巨大な裁縫針を水魔法で生成し触手に打ちつける。
 少しでも触手を引きつければゴーレムの操縦者が有利になる。さらに、ミリナリスの精神魔法で触手を機能不全に出来るかもしれない。そんな、目的があった

 ガギン!

 だが、そうはならなかった。針が折れ、針先が弾き飛ばされる。
 触手の性質が変化していたのだ。それは帯のように薄くなり、金属のように硬くなく光沢を持った。

「来r…」

 バチン!

 警告は衝撃波によってかき消された

「…ッ!」

 カイザは縦向きの突風が頬を掠めた後、そのにあってはならない物が視界を横切った。

 俺の決断のせいだ。道筋を立てて油断をしなければ…違ぇ、後悔は後だ。先のことを…違ぇ、今だ。今についてだ。何やんだったか、決めたはずだ。『前を見ろ!』

「あっ…」

 彼は思い出した。こういう時はもう手遅れなんだと。迫る触手はもう避けられないところまで来ていた。

「馬鹿野郎!」

 ミリナリスはカイザを蹴り飛ばした。

「ッ…!」

 カイザの目の前にミリナリスの足が落ちた。それは地面に落ちて視界から外れることは無い
 おい、それはダメだ。俺以外の犠牲なんて到底受け入れられねぇ

「俺が足止めをする」

「それをください」

「お前らは逃げろ」

「耳イカれてます?」

「お前も逃げ…は?手…その足は?」

 ミリナリスの切られた足の断面が繋がり先を探す様にうにゃうにゃと蠢いていた。

「はは、か?」

 カイザは一周回って冷静になった。目の前のを掴み、彼女に向かって投げた

「精神魔法が一切効かないが何を言ってるのです?」

 彼女は心底不思議そうに問い返した

「そうだな。ここはそういう奴が多い」

 カイザが立ち上がる。
 戦線離脱から数秒だが二人が抜けたところで戦況は変わらず一方的だった。部屋の入り口で範囲を狭め触手に対処している

「カイザ!ちょっとこれ持ってて!」

「おう、すぐ行…」

 手渡されたのは鳥肌が立つほどマナを貯蔵した盾の魔導具だった

「対物ライフル撃ちたいからタイミングを合わせてズレて」

「は!?」

 ズギュン!!

 なんか出た。担任教師の切り札並みの火力が出た。しかも、

 ジジ、ジジジジ…ビギューーン!!

 部屋の外のロボットがビームを発射し、クロスファイアとなった。ちょっと同情しそうになった
 すぐさまロボットが部屋の入り口に移動してきた

「君たち!早く乗って!」

 コックピットが開き、男が手を差し伸べた。

「今のは何だ!?」

 ロボットの操縦者はウィンという5年生だった。研究に没頭するあまり警報を聞き逃したらしい

「魔道具です。あと数回は撃てます」

「一年、金持ち過ぎだろ!どうなってんだ?」

「それ知りたかったら。これくらい仲良くなることね」

 サリアがリュートに『変換』された両腕で後ろから抱きつき肩に顎を乗せた。

「いや、隠してないよ?」

 リュートは彼女の行動に鬱陶しそうな顔をしながらも、わざわざ払いのける様なことはしなかった

 5人がロボットに乗り込んでから戦いは有利に進んだ。魔道具の燃料になる魔石をリュートが大量に保持していたためである。

「もうすぐ地上だ、お前ら脱出の準備をしろ!」

 ロボットはドリルで敵の大男ごと地面を掘り進み、地上に飛び出した。

 あれ?

「早く…」

 脱出口がなかなか開かず急かそうとした。その時に気づいた。他の5人がピクリとも動かなくなっていたのだ
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...