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120デシベルは飛行機のエンジン音レベル
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「あの、タイキ様。さっきずっと前からとおっしゃってました、よね?」
「ん? そう。結構前だよ。魔王討伐する前だし」
「会ったことは」
「会ったことはないね。俺が一方的に一目惚れしただけ。それで、可愛いなぁみたいなことを口走ったら騎士団長とか魔術師とかに聞かれて、褒美に貰えるのでは? って話になって、その話を魔術師が国王のとこに持って行っちゃったみたいで」
魔術師様には何か貢物をしなくてはならない。ありがとう魔術師様。グッジョブ魔術師様。
「だから、なんかごめんね」
「何がでしょう?」
「俺の軽率な一言のせいで勝手に外堀を埋めたみたいな形になっちゃって」
あぁ、そうか、勇者様は私の気持ちを知らないから、勝手に外堀を埋めてしまったと思っているのか。
実際は全然そんなことなくて、初めて会った時から「やったぁぁぁぁぁ!(120デシベル)」くらいの気持ちでいたのに。
「私は、ずっと申し訳ないと思っていました」
「申し訳ない?」
「この世界を救ってくださった勇者様の相手が、無能の私なんかで本当に申し訳ない、と」
正直なところ、最初の頃はその気持ちばっかりだった。
勇者様の一言がきっかけなんて知らないから、国王が決めちゃったんだと思っていたし。
でも、そうか。初めて会ったあの日よりも前から勇者様は私を……あ、ヤバい。なんか今更照れてきた。え、待って、そんな前から? 勇者様が? 私のことを? あー待って待ってダメだ、あー!
と、猛烈に混乱しながら、出会った日から今までのことを思い出しては照れている。
「俺はセリーヌさんを無能だなんて思ったことないもんな。そうそう、初めて見かけたのはこの薔薇園だったんだよ。小鳥の世話をしているのも見ていたし、孤児院にいたのも見たことがある。あと、保護猫」
は~なるほど、わりと全部見られてる。
想定外過ぎて逆に冷静さを取り戻してきた。
「正直に言えば最初は本当に顔を見て一目惚れしたんだけど、その優しい顔を何度も見かけるうちに本当に優しい人なんだろうなって、どんどん好きになっていった」
畳みかけるように褒め殺してくるじゃん。やめてやめて死ぬってマジで。いや嬉しいけれども。
「それで、いつの間にか人がいる前で可愛いなぁって口走っちゃうくらい好きになってて勝手に婚約の話が進んじゃったんだけど」
あああー! 勇者様の照れ気味の苦笑いが尊い。
「そりゃあ好きな人との婚約が決まったわけだから、俺は嬉しいんだけど、でも褒美っていうとなんだかセリーヌさんを物として扱ってるみたいで……」
褒美として嫁を貰うみたいなこと、この世界ではよくあることなので私は全然気にしていなかったけれど、日本人的感覚の勇者様にとっては抵抗があったのだろう。優しい。そういうとこも好き。好きです。
「だから、褒美としてってことにはなってるけど、俺は本当にセリーヌさんが好きだから結婚したいってちゃんと自分の口で言おうと思って。で、このプロポーズを考えました。まぁ、プロポーズ前にうっかりバレちゃってたんだけど……」
だから先日「一旦待って」って言われたのかぁ。待ってあまりにも優しすぎない? 私にはもったいないのでは? まぁもったいないとしてももう私の婚約者に決まってしまっているので誰に譲る気もないんだけど。
「だからね、セリーヌさん。俺は俺の婚約者がセリーヌさんに決まってすごく嬉しい」
「わ、私もです」
そう返事をすると、勇者様はふわりと笑ってくれる。
「私も、嬉しいのです。私は、王族の子として生まれたので恋なんて出来ないと思っていました。いえ、出来るとか出来ないとか、そんなことを考えたことすらありませんでした」
「……やっぱ政略結婚が当たり前ってこと?」
「はい。あの元婚約者とも政略結婚、というか、あの男の父親の借金をどうにかするために嫁ぐ話が決まっていました」
「最低だよね。王女様をなんだと思ってるんだろう」
さっきまでふわりと笑ってくれていた勇者様がちょっとキレてる。
「それなのにあの男は口を開けば私に対する不満やこの婚約に対する不満を次から次へと。おかげさまで私の心は完全に死んでいたのです」
勇者様が来るまでは、それでも構わないと思って人生の全てを諦めていたのだ。
それが今では勇者様に優しくしてもらい、甘やかされ、心も完全に生き返っている。生き返るどころか生命力5億%増しくらいになっている。だって勇者様がいてくれるんだからしっかり生きねばもったいない。たまに今死んだほうが幸せでは? ってくらい幸せにもなっているけれど。
「ちょっとは生き返った?」
ふと勇者様に問われた。少し不安を滲ませた様子で、小さく首を傾げながら。
それを見て、単に言葉を紡いだだけで私の気持ちが全て伝わるのだろうかと言う疑問が湧く。
こんなにも大好きなのに、伝わらないのは嫌だなぁ。
そう思った私は、自然と、吸い寄せられるように勇者様の逞しい身体に抱き着いた。
「タイキ様を好きになって、生き返りました」
そう言って少しだけ笑えば、勇者様の心拍数が少しだけ上がった気がした。
「ん? そう。結構前だよ。魔王討伐する前だし」
「会ったことは」
「会ったことはないね。俺が一方的に一目惚れしただけ。それで、可愛いなぁみたいなことを口走ったら騎士団長とか魔術師とかに聞かれて、褒美に貰えるのでは? って話になって、その話を魔術師が国王のとこに持って行っちゃったみたいで」
魔術師様には何か貢物をしなくてはならない。ありがとう魔術師様。グッジョブ魔術師様。
「だから、なんかごめんね」
「何がでしょう?」
「俺の軽率な一言のせいで勝手に外堀を埋めたみたいな形になっちゃって」
あぁ、そうか、勇者様は私の気持ちを知らないから、勝手に外堀を埋めてしまったと思っているのか。
実際は全然そんなことなくて、初めて会った時から「やったぁぁぁぁぁ!(120デシベル)」くらいの気持ちでいたのに。
「私は、ずっと申し訳ないと思っていました」
「申し訳ない?」
「この世界を救ってくださった勇者様の相手が、無能の私なんかで本当に申し訳ない、と」
正直なところ、最初の頃はその気持ちばっかりだった。
勇者様の一言がきっかけなんて知らないから、国王が決めちゃったんだと思っていたし。
でも、そうか。初めて会ったあの日よりも前から勇者様は私を……あ、ヤバい。なんか今更照れてきた。え、待って、そんな前から? 勇者様が? 私のことを? あー待って待ってダメだ、あー!
と、猛烈に混乱しながら、出会った日から今までのことを思い出しては照れている。
「俺はセリーヌさんを無能だなんて思ったことないもんな。そうそう、初めて見かけたのはこの薔薇園だったんだよ。小鳥の世話をしているのも見ていたし、孤児院にいたのも見たことがある。あと、保護猫」
は~なるほど、わりと全部見られてる。
想定外過ぎて逆に冷静さを取り戻してきた。
「正直に言えば最初は本当に顔を見て一目惚れしたんだけど、その優しい顔を何度も見かけるうちに本当に優しい人なんだろうなって、どんどん好きになっていった」
畳みかけるように褒め殺してくるじゃん。やめてやめて死ぬってマジで。いや嬉しいけれども。
「それで、いつの間にか人がいる前で可愛いなぁって口走っちゃうくらい好きになってて勝手に婚約の話が進んじゃったんだけど」
あああー! 勇者様の照れ気味の苦笑いが尊い。
「そりゃあ好きな人との婚約が決まったわけだから、俺は嬉しいんだけど、でも褒美っていうとなんだかセリーヌさんを物として扱ってるみたいで……」
褒美として嫁を貰うみたいなこと、この世界ではよくあることなので私は全然気にしていなかったけれど、日本人的感覚の勇者様にとっては抵抗があったのだろう。優しい。そういうとこも好き。好きです。
「だから、褒美としてってことにはなってるけど、俺は本当にセリーヌさんが好きだから結婚したいってちゃんと自分の口で言おうと思って。で、このプロポーズを考えました。まぁ、プロポーズ前にうっかりバレちゃってたんだけど……」
だから先日「一旦待って」って言われたのかぁ。待ってあまりにも優しすぎない? 私にはもったいないのでは? まぁもったいないとしてももう私の婚約者に決まってしまっているので誰に譲る気もないんだけど。
「だからね、セリーヌさん。俺は俺の婚約者がセリーヌさんに決まってすごく嬉しい」
「わ、私もです」
そう返事をすると、勇者様はふわりと笑ってくれる。
「私も、嬉しいのです。私は、王族の子として生まれたので恋なんて出来ないと思っていました。いえ、出来るとか出来ないとか、そんなことを考えたことすらありませんでした」
「……やっぱ政略結婚が当たり前ってこと?」
「はい。あの元婚約者とも政略結婚、というか、あの男の父親の借金をどうにかするために嫁ぐ話が決まっていました」
「最低だよね。王女様をなんだと思ってるんだろう」
さっきまでふわりと笑ってくれていた勇者様がちょっとキレてる。
「それなのにあの男は口を開けば私に対する不満やこの婚約に対する不満を次から次へと。おかげさまで私の心は完全に死んでいたのです」
勇者様が来るまでは、それでも構わないと思って人生の全てを諦めていたのだ。
それが今では勇者様に優しくしてもらい、甘やかされ、心も完全に生き返っている。生き返るどころか生命力5億%増しくらいになっている。だって勇者様がいてくれるんだからしっかり生きねばもったいない。たまに今死んだほうが幸せでは? ってくらい幸せにもなっているけれど。
「ちょっとは生き返った?」
ふと勇者様に問われた。少し不安を滲ませた様子で、小さく首を傾げながら。
それを見て、単に言葉を紡いだだけで私の気持ちが全て伝わるのだろうかと言う疑問が湧く。
こんなにも大好きなのに、伝わらないのは嫌だなぁ。
そう思った私は、自然と、吸い寄せられるように勇者様の逞しい身体に抱き着いた。
「タイキ様を好きになって、生き返りました」
そう言って少しだけ笑えば、勇者様の心拍数が少しだけ上がった気がした。
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