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第二章
出会い 2
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少しだけメッシュが入っている真っ黒い髪の毛を、半ばオールバック風になでつけたイケメンは、何だか言いたげだ。
僕はと言えば、見たことがない人だなぁと思ったまま軽く会釈し、それ以上深く追求する事もなく、部屋の中に引っ込んだ。
重い足取りで階段を降りると、開け放たれた居間の先に目をやった。そこには庭にしゃがみこんで地面とにらめっこしている雅がいる。
視線に気がついたのか、殊更ゆっくりした所作で雅が高雄と視線を合わせた。
「お兄ちゃん、さっき花壇からイチゴを摘んで台所に持って行ったよ」
「苺?」
すぐに視線を戻し、雅はまた地面を見ている。
「っていうかミヤは何しているんだ?」
廊下から声をかけたが、夢中なのかもう反応は無かった。
ソファに放り出してあるつばの広い麦わら帽子を手に掴むと、縁側からサンダルをひっかけて雅の近くに歩を進めた。
まだ朝だというのに春の日差しは強く、帽子も被らず座っていたら熱中症になってしまうと、過保護病を発揮した高雄は、手にした帽子をポンと頭にかぶせた。
びっくりするように上目遣いで見上げる雅は今日もかわいい。
「あっ、ありがとう」
「どういたしまして」
されるがままに帽子を被り、また一点を見つめる。なにかが動いている?
蟻? 見ているのか?
「ありさんがね」
――あっ、やっぱり。
「うん、蟻がどうしたの?」
「ありさんはみんな仲良しで、仲間外れとか、ないんだろうなと思って」
――何かあったか。そう思って顔色を伺う。
雅はおっとりして特に何かに秀でているタイプではない。勉強も中の上、運動に至っては運動神経が壊滅的にない。かといって、言外から読み取れるようないじめにあいそうなタイプでもないだけに、どう切り出すべきか躊躇した。
「さぁ、それはどうだろう。蟻の中にもキリギリス的性格の蟻はいるだろうし、蟻にも第二性があるかもしれない」
「お兄ちゃん?」
少し意地悪な言い方になってしまったかと焦って、すぐにフォローを入れた。
「いや、だって隣の芝生かもしれないじゃないか」
「青く見えるってやつ?」
僕はそれ以上を避けた。
今日みたいに寝覚めの悪い日は、余計な事を言ってしまいそうだったからだ。
「クロックムッシュ、リクエスト入って叩き起こされたから、ミヤの朝ご飯も作ってあげる。何が食べたい?」
その一言にキラキラと目を輝かせた。
「みー、お兄ちゃんの作るパンなら、何でも好きよ」
雅は自分の事をみーと呼ぶ。もう高校生なんだから止めさせようと思ったが、なんせ樹さんが樹さんだ。
『自分を表す言い方は一つじゃない。どんな言い方をしようと、雅は雅よ』
確かに間違えじゃないですよ。僕は確かにその場はそう答えた。
でもそれはアルファの傲慢だ。自分は自分、他人にどう見られても関係ない。でもそれは強いやつの考え方だと、僕は思っている。ミヤは樹さんみたいに強くない。内心ではそう思ったが、言われたミヤが存外嬉しそうにするものだから、何にも言えないまま、みーを黙認している。
何故なら、もしかして本当の意味で強くないのはミヤじゃなくて僕の方かもしれないと思ったからだ。
「分かった。おいしいパンにしてあげるから、もうそろそろ中に入って、手を洗ってうがいしておいで」
僕は中に戻った。
ミヤのフォローはパパちゃんが一番だ。ここは一応声をかけておこうと、サンダルを脱いで一歩石段に足をかけた。
――視線?
あたりを見渡しても、それらしい何かは居なかった。
「高ちゃーん。お腹すいたー」
うるさいのが喚き始めたと慌てて踵を返す。
「ちょっと待って、すぐ作る」
そんな朝が、三条家の幸せの一日の始まりだった。
「稽古終わったの? シャワーでも先に行って来て」
「おうよ」
汗だくの樹さんは豪快な返事をすると、パパちゃんからタオルと着替えを受け取ってバスルームに入っていった。
「高雄、明日からは学校だろう? 今日位ゆっくり寝てればいいのに」
横からパパちゃんが洗濯かごに洗い上がった洗濯ものを沢山いれて、ニコニコ笑って立っていた。
「それ、ほとんど樹さんのじゃないか。たまには自分でやらせないと、パパちゃんがいなくなったらあの人何にも出来なくなっちゃうよ」
「居なくならないから大丈夫だよ。ママちゃんより一秒でも長く生きるって約束しているからね」
「相変わらず甘々だよねー」
そんな会話をしながら、冷蔵庫からハムを出した。
「クロックムッシュ?」
「面倒くさいものをリクエストされたからね」
テキパキとハムにチーズにと重ねていく。
「なんだかんだ、やるの嫌そうじゃないよね」
パパちゃんが物知り顔で突っ込みを入れてくる。
「どこをどう見たら、そういう感想が出るかなぁ」
「高雄は、素直じゃないだけで本当は優しいものな」
「ほっといて」
火照る耳にそっと手を触れ、赤くなっているのを感じた。ここに鏡が無くてよかった。そんな自分の顔恥ずかしくて見れたもんじゃない、高雄は顔をぶんぶんと振ると、くだらない思考を打ち消した。
「選択物干してくる。僕もたまには高雄のクロックムッシュ食べたいな」
「はぁ? 樹さんの焦げたパンでも食べればいいのに」
「まぁまぁ、そういわずに。僕だって高ちゃんのクロックムッシュのファンなんだ。運ぶのは手伝うからさ」
そう言うと、こんなにお天気のいい日は日光に当てたいと、パパちゃんはそのまま庭に出ていった。
「まじか……」
一斤では足らないと、仕方なしに予備のパンに手をかけた。
◇
「みやびちゃん、誰と話しているの?」
庭の広いのが売りの三条家は、紅白の梅とつつじの垣根にぐるりと囲まれて、道と敷地を隔てている。
外からはほぼ中は見えないような作りになっていて、誰かと話すなんか未だかつてない。
「うちの子に何か用ですか」
逆光で父親から相手は見えない。
「パパちゃん、違うよ。みーの帽子がお外に出ちゃったのを取ってくれたの」
ばっと顔が赤くなる。父親は焦って頭を下げた。
「それに、生方先生だよ」
雅は学校の歴史の先生だと教えてくれた。
「すいません。きちんと表からインターホンを鳴らせばよかった。つい三条さんが見えたもので……」
申し訳ないと高い背を腰から真っ直ぐに曲げて、謝罪した。
「いえいえ、こちらこそ申し訳ない。あの、お茶でもいかがですか」
「とんでもない、そんな大した事はしていませんから」
父親は雅に顔を近づけると、このまま帰したらママちゃんになんか言われるかなぁと、耳打ちをした。
「んー、わかんなーい」
雅はいつもと同じスタンスでぼんやりのんびり答えた。
「ではこれで」
そう言って踵を返し歩き出そうとする先生を、とっさに手を伸ばして捕まえた。
「あっ、すいません。本当に、あの、今うちで作っている朝ご飯、食べとかないと後悔するレベルで美味しいです。そんじょそこらのカフェテリアより遥かに美味しいんで。あっ、あのお金取ろうとか思ってないですし、食べてから、まっ、巻き上げようとか思ってないですから」
身振り手振りで、レベチだとアピールしたのが可笑しかったのか、破顔するように笑った生方は、お言葉に甘えてとひょいっと垣根を飛び越えた。
その俊敏さに父親は感嘆の声を上げた。
「わー、運動神経イイんですね」
他人の家に垣根を越えて入るなど軽く不法侵入だが、天然の二人はそんな事には気が付かず、的外れな感想に生方は声をあげて笑った。
「天然か!」
後方からそう叫ぶライオンのような恫喝に合わせ、父親の頭目掛けて中身が半分ほど残っていたペットボトルが炸裂する。
「痛い」
見事命中した後頭部をさすりながら、恨めしそうにペットボトルの方向に目をやった。
そこには、極寒ブリザードが吹き荒れているのかと思うような般若のような顔をした母親が、頭にバスタオルを巻いて生足彼シャツで立っていた。
「ママちゃん、痛い。しかもそれは俺のシャツだし、足見せないで」
「はぁ、浮気しといて足ごときで文句言うな」
「えっ、待って待って、浮気とか俺に限ってあるわけないでしょ。そんな事より、そんなかっこしちゃ駄目なんだってば」
樹は素足で芝生に降りてくる。
「そいつアルファだろ」
と更に低い声で言った。
そりゃあ、これだけのポテンシャルならアルファでもおかしくない。香は頭で樹の言葉を反芻する。
「いやいや、濡れ衣。ママちゃんと番なんだから、他のアルファの匂いなんかわかるわけないでしょ」
「分かればすんのか!」
樹の怒りは収まるところを知らなかった。」
「揚げ足取らないでよ、落ち着いて、ママちゃん」
「香はそうでも、あいつはわかるだろ」
「みー、わかんない」
「どいつもこいつも」
ずかずかと生方の前まで来ると、雅の肩に手をやり、そのまま自分の後ろに匿った。
生方は樹のグレアにも負けず、涼しい顔をしている。
「グレアなんか使っていいのか。影響はそちらの方が大きいと思うが」
樹は大きく息をし、言われるままグレアを収めた。
「成程、師範はだてじゃない。コントロールが素晴らしい」
ベータの雅にアルファを嗅ぎ分ける能力は無く、鈍すぎるのかアルファのグレアにもおおよそ反応しない。だから出会っても大して問題もない。
そもそも番のいる香には、樹の匂いしかわからない。
「――アルファじゃダメなのかい?」
そう聞く香にチッと舌打ちをすると、――うちにはもう一人年頃のオメガがいるだろうと吐き捨てた。
僕はと言えば、見たことがない人だなぁと思ったまま軽く会釈し、それ以上深く追求する事もなく、部屋の中に引っ込んだ。
重い足取りで階段を降りると、開け放たれた居間の先に目をやった。そこには庭にしゃがみこんで地面とにらめっこしている雅がいる。
視線に気がついたのか、殊更ゆっくりした所作で雅が高雄と視線を合わせた。
「お兄ちゃん、さっき花壇からイチゴを摘んで台所に持って行ったよ」
「苺?」
すぐに視線を戻し、雅はまた地面を見ている。
「っていうかミヤは何しているんだ?」
廊下から声をかけたが、夢中なのかもう反応は無かった。
ソファに放り出してあるつばの広い麦わら帽子を手に掴むと、縁側からサンダルをひっかけて雅の近くに歩を進めた。
まだ朝だというのに春の日差しは強く、帽子も被らず座っていたら熱中症になってしまうと、過保護病を発揮した高雄は、手にした帽子をポンと頭にかぶせた。
びっくりするように上目遣いで見上げる雅は今日もかわいい。
「あっ、ありがとう」
「どういたしまして」
されるがままに帽子を被り、また一点を見つめる。なにかが動いている?
蟻? 見ているのか?
「ありさんがね」
――あっ、やっぱり。
「うん、蟻がどうしたの?」
「ありさんはみんな仲良しで、仲間外れとか、ないんだろうなと思って」
――何かあったか。そう思って顔色を伺う。
雅はおっとりして特に何かに秀でているタイプではない。勉強も中の上、運動に至っては運動神経が壊滅的にない。かといって、言外から読み取れるようないじめにあいそうなタイプでもないだけに、どう切り出すべきか躊躇した。
「さぁ、それはどうだろう。蟻の中にもキリギリス的性格の蟻はいるだろうし、蟻にも第二性があるかもしれない」
「お兄ちゃん?」
少し意地悪な言い方になってしまったかと焦って、すぐにフォローを入れた。
「いや、だって隣の芝生かもしれないじゃないか」
「青く見えるってやつ?」
僕はそれ以上を避けた。
今日みたいに寝覚めの悪い日は、余計な事を言ってしまいそうだったからだ。
「クロックムッシュ、リクエスト入って叩き起こされたから、ミヤの朝ご飯も作ってあげる。何が食べたい?」
その一言にキラキラと目を輝かせた。
「みー、お兄ちゃんの作るパンなら、何でも好きよ」
雅は自分の事をみーと呼ぶ。もう高校生なんだから止めさせようと思ったが、なんせ樹さんが樹さんだ。
『自分を表す言い方は一つじゃない。どんな言い方をしようと、雅は雅よ』
確かに間違えじゃないですよ。僕は確かにその場はそう答えた。
でもそれはアルファの傲慢だ。自分は自分、他人にどう見られても関係ない。でもそれは強いやつの考え方だと、僕は思っている。ミヤは樹さんみたいに強くない。内心ではそう思ったが、言われたミヤが存外嬉しそうにするものだから、何にも言えないまま、みーを黙認している。
何故なら、もしかして本当の意味で強くないのはミヤじゃなくて僕の方かもしれないと思ったからだ。
「分かった。おいしいパンにしてあげるから、もうそろそろ中に入って、手を洗ってうがいしておいで」
僕は中に戻った。
ミヤのフォローはパパちゃんが一番だ。ここは一応声をかけておこうと、サンダルを脱いで一歩石段に足をかけた。
――視線?
あたりを見渡しても、それらしい何かは居なかった。
「高ちゃーん。お腹すいたー」
うるさいのが喚き始めたと慌てて踵を返す。
「ちょっと待って、すぐ作る」
そんな朝が、三条家の幸せの一日の始まりだった。
「稽古終わったの? シャワーでも先に行って来て」
「おうよ」
汗だくの樹さんは豪快な返事をすると、パパちゃんからタオルと着替えを受け取ってバスルームに入っていった。
「高雄、明日からは学校だろう? 今日位ゆっくり寝てればいいのに」
横からパパちゃんが洗濯かごに洗い上がった洗濯ものを沢山いれて、ニコニコ笑って立っていた。
「それ、ほとんど樹さんのじゃないか。たまには自分でやらせないと、パパちゃんがいなくなったらあの人何にも出来なくなっちゃうよ」
「居なくならないから大丈夫だよ。ママちゃんより一秒でも長く生きるって約束しているからね」
「相変わらず甘々だよねー」
そんな会話をしながら、冷蔵庫からハムを出した。
「クロックムッシュ?」
「面倒くさいものをリクエストされたからね」
テキパキとハムにチーズにと重ねていく。
「なんだかんだ、やるの嫌そうじゃないよね」
パパちゃんが物知り顔で突っ込みを入れてくる。
「どこをどう見たら、そういう感想が出るかなぁ」
「高雄は、素直じゃないだけで本当は優しいものな」
「ほっといて」
火照る耳にそっと手を触れ、赤くなっているのを感じた。ここに鏡が無くてよかった。そんな自分の顔恥ずかしくて見れたもんじゃない、高雄は顔をぶんぶんと振ると、くだらない思考を打ち消した。
「選択物干してくる。僕もたまには高雄のクロックムッシュ食べたいな」
「はぁ? 樹さんの焦げたパンでも食べればいいのに」
「まぁまぁ、そういわずに。僕だって高ちゃんのクロックムッシュのファンなんだ。運ぶのは手伝うからさ」
そう言うと、こんなにお天気のいい日は日光に当てたいと、パパちゃんはそのまま庭に出ていった。
「まじか……」
一斤では足らないと、仕方なしに予備のパンに手をかけた。
◇
「みやびちゃん、誰と話しているの?」
庭の広いのが売りの三条家は、紅白の梅とつつじの垣根にぐるりと囲まれて、道と敷地を隔てている。
外からはほぼ中は見えないような作りになっていて、誰かと話すなんか未だかつてない。
「うちの子に何か用ですか」
逆光で父親から相手は見えない。
「パパちゃん、違うよ。みーの帽子がお外に出ちゃったのを取ってくれたの」
ばっと顔が赤くなる。父親は焦って頭を下げた。
「それに、生方先生だよ」
雅は学校の歴史の先生だと教えてくれた。
「すいません。きちんと表からインターホンを鳴らせばよかった。つい三条さんが見えたもので……」
申し訳ないと高い背を腰から真っ直ぐに曲げて、謝罪した。
「いえいえ、こちらこそ申し訳ない。あの、お茶でもいかがですか」
「とんでもない、そんな大した事はしていませんから」
父親は雅に顔を近づけると、このまま帰したらママちゃんになんか言われるかなぁと、耳打ちをした。
「んー、わかんなーい」
雅はいつもと同じスタンスでぼんやりのんびり答えた。
「ではこれで」
そう言って踵を返し歩き出そうとする先生を、とっさに手を伸ばして捕まえた。
「あっ、すいません。本当に、あの、今うちで作っている朝ご飯、食べとかないと後悔するレベルで美味しいです。そんじょそこらのカフェテリアより遥かに美味しいんで。あっ、あのお金取ろうとか思ってないですし、食べてから、まっ、巻き上げようとか思ってないですから」
身振り手振りで、レベチだとアピールしたのが可笑しかったのか、破顔するように笑った生方は、お言葉に甘えてとひょいっと垣根を飛び越えた。
その俊敏さに父親は感嘆の声を上げた。
「わー、運動神経イイんですね」
他人の家に垣根を越えて入るなど軽く不法侵入だが、天然の二人はそんな事には気が付かず、的外れな感想に生方は声をあげて笑った。
「天然か!」
後方からそう叫ぶライオンのような恫喝に合わせ、父親の頭目掛けて中身が半分ほど残っていたペットボトルが炸裂する。
「痛い」
見事命中した後頭部をさすりながら、恨めしそうにペットボトルの方向に目をやった。
そこには、極寒ブリザードが吹き荒れているのかと思うような般若のような顔をした母親が、頭にバスタオルを巻いて生足彼シャツで立っていた。
「ママちゃん、痛い。しかもそれは俺のシャツだし、足見せないで」
「はぁ、浮気しといて足ごときで文句言うな」
「えっ、待って待って、浮気とか俺に限ってあるわけないでしょ。そんな事より、そんなかっこしちゃ駄目なんだってば」
樹は素足で芝生に降りてくる。
「そいつアルファだろ」
と更に低い声で言った。
そりゃあ、これだけのポテンシャルならアルファでもおかしくない。香は頭で樹の言葉を反芻する。
「いやいや、濡れ衣。ママちゃんと番なんだから、他のアルファの匂いなんかわかるわけないでしょ」
「分かればすんのか!」
樹の怒りは収まるところを知らなかった。」
「揚げ足取らないでよ、落ち着いて、ママちゃん」
「香はそうでも、あいつはわかるだろ」
「みー、わかんない」
「どいつもこいつも」
ずかずかと生方の前まで来ると、雅の肩に手をやり、そのまま自分の後ろに匿った。
生方は樹のグレアにも負けず、涼しい顔をしている。
「グレアなんか使っていいのか。影響はそちらの方が大きいと思うが」
樹は大きく息をし、言われるままグレアを収めた。
「成程、師範はだてじゃない。コントロールが素晴らしい」
ベータの雅にアルファを嗅ぎ分ける能力は無く、鈍すぎるのかアルファのグレアにもおおよそ反応しない。だから出会っても大して問題もない。
そもそも番のいる香には、樹の匂いしかわからない。
「――アルファじゃダメなのかい?」
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