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第五章 進み直した冬
47th Mov. ネクタイとネックレス
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倉庫作業は地味にきつい。
冷たいコンクリートの床。開け放たれた扉。
そこで担当するエリアの荷物がコンベアに流れて来たら、ピックアップしてカーゴに積む。それだけのことなんだけど、大きくてかさばる段ボールだったり、小さいのに異様に重たい荷物もあって、油断が出来ない。それなのに、荷物の流れに終わりは見えない。
カーゴの荷物が積み重なってくると、上に持ち上げなければならないのも、疲れを積み重ねさせる。
しかし、今日はバイトの後に予定がある。そう思うと何だか力が出てくるから不思議だ。
この後のことを楽しみにしながら、無心になって仕事に取り組む。やっとの思いで終わらせた仕事。外に出てみれば、キンキンに冷えた空気と共に、空はきらめく星々を散りばめた暗幕に覆われていた。
バイトの終わり時間になっても、荷物が捌ききれなくて、バイトの人たちは一律に残業を負わされた。そのせいで待ち合わせの予定時間に間に合わなそうになってしまった。
よりによって今日じゃなくてもと思わずにはいられない。
とりあえず、彼女にメッセージを送り、自転車にまたがる。
走り抜ける住宅街は、驚くほどに静かで、時折見かけるクリスマスイルミネーションが人の気配を感じさせる。車通りも少なくなった道路を進み、彼女の家に。
リュックには彼女へのプレゼントが入っている。それを届けるために、今夜はいつもの家路とは別のルートを通る。
クリスマス当日はバイトで遊びに行けないという失敗をしてるのに、代替案の夜少しだけ会う約束にも遅れてしまいそうだ。仕方のないことだけど、悲しい気持ちにさせてしまっていたら申し訳ないな。僕は少し足に力を込めてスピードを上げる。
何度か彼女を送っていった道。見覚えのある道までたどり着いた。
目印のコンビニで一旦停止して、紬にメッセージを送る。
すぐに既読が付いて、「待ってるから気を付けて来てね」と返ってきた。
背中に手をまわし、リュックの感触を確かめてから、自転車を漕ぎだす。
彼女の家はもうすぐだ。
※
「バイトお疲れ様。寒かったでしょ?」
門扉の前で待っていてくれた彼女は、着いたばかりの僕に声をかけてくれた。
「遅くなっちゃってごめん。外で待っていてくれたんだね。紬こそ寒くない?」
「私はさっきまで、おうちに居られたし大丈夫だよ。野田君の耳もお鼻も真《ま》っ赤《か》っ赤《か》。暖めてあげるね」
彼女は手袋を外して僕の顔を包み込む。
自然と顔の距離が近づきドキドキする。
まだこの距離感は慣れない。
少しの間見つめ合っていたけど、どちらもその距離を崩さなかった。
やがて、彼女の手の温かさが消えるころ、彼女の手首を掴み、顔から離して彼女の手袋で包んであげる。
「本当はおうちに上げてあげられれば良かったんだけど、そろそろパパが帰ってくる時間だから。ごめんね」
「良いんだ。僕が遅くなっちゃったのがいけないんだし、こんな遅い時間に上り込むわけにもいかないしね。プレゼントを渡したかっただけだから」
「バイトで疲れているのにありがとね。赤い鼻のサンタさん」
穏やかにほほ笑む彼女。
羽織っている白いコートが、その笑顔を淡く引き立てる。
「そんなに赤いかな? プレゼントはコレ。気に入ってくれると良いんだけど」
「沢山私のことを考えて探してくれたんでしょ? 絶対気に入るよ! クリスマス会でもらったブリーフケースも大切に使わせてもらっているし」
優しい彼女の言葉に励まされながら、背負ったリュックからプレゼントを取り出す。
小さな箱は、リュックで存在感を感じさせず、落としてしまったんじゃないかって心配になった。今日は何度も何度も確認して、その存在を確かめていた。
「綺麗な箱だね。開けても良い?」
「もちろん」
彼女は手袋を取り、箱のリボンを解く。
僕は彼女の手袋と解いたリボンを受け取り、手を空けてあげた。
「わぁ、綺麗。ネックレスだよね?」
「うん。クリスマスプレゼントって何が良いか分からなくて。そんなに高いものじゃないんだけど」
「ううん! すっごく嬉しい! つけてみても良いかな?」
そう言って、取り出したネックレスを身に付けようとするが、下ろした髪が邪魔のようで、上手く付けられない。
「良かったら、つけてくれないかな?」
「うん……。僕に出来るかな」
僕は手に持った手袋などを自転車のカゴに置いて、ネックレスを受け取る。
か細いチェーンを受け取った手は震えている。理由は寒さだけじゃない。
後ろを向いた彼女が髪を前に流し、細いうなじが露わになっていた。
普段は見ない光景。僕の手で汚してしまいそうに思うほどに、白くて綺麗なうなじ。
チェーンを彼女の顔の前を通し、首の後ろに回す。自然と彼女を後ろから抱きしめるような格好になった。風呂上がりのシャンプーの香りなのか、甘い匂いが寒さで痺れていたはずの鼻を刺激する。
腕や体で感じる彼女の体温。いつもと違う距離。いつもと違う景色。
憧れでもある彼女がすぐ近くにいて、腕を縮めるだけで抱きしめられる。
「……どうかした?」
動きの止まった僕を不審に思ったのか、首だけ回して振り替える彼女。
「ううん。何でもない」
誘惑に耐えながら、震える手でチェーンを留めようと試みる。
何度か失敗はしたけど、無事に留められた。
「出来たよ」
僕の言葉に振り替える彼女。
横に流した髪を戻しながら不安げに見つめてくる。
「髪が無いと首筋寒いんだね……。どうかな? 野田君のくれたプレゼント似合ってる?」
「うん、似合ってる。とても」
胸元に輝くネックレス。
その輝きはひどく儚くて、少し情けない気持ちになる。
小さなジルコニアが散りばめられた月の飾り。
ダイヤなんて問題外で、他の宝石が付いたものすら買えなくて。
予算の中で、彼女に似合いそうなものを必死に探して、やっと見つけられたネックレス。予算オーバーのネックレス達から比べれば、ずいぶん見劣りする。
「良かったぁ。私からもプレゼントあるの。ちょっと待ってて」
そんなことを気にする素振りも無く、嬉しそうにしている彼女は、自分のプレゼントを取りに玄関に戻った。
すぐに戻ってきた彼女の手には、細長い紙袋が。
「これ。普段使い出来るようなものじゃなくて、申し訳ないんだけど」
「ありがとう。僕も中を見て良いかな?」
どうぞと促されて、受け取った紙袋は柔らかくて軽い。
シールを剝がして、中を見てみれば、暗いエンジ色の布地。
「これは……、ネクタイ?」
手に取ってみた彼女からのプレゼントはエンジ色のストライプの入ったネクタイ。
学校指定のネクタイと違って、なめらかで光沢がある。
「そう。この前の発表会で拓斗くんは制服だったから。ネクタイだけでも変われば雰囲気も変わるかなって思って」
「そっか。ネクタイだけ変えても良いんだ。ありがとう。次の発表会で使わせてもらうね」
「うん! 発表会の演奏も楽しみにしてる!」
「そっちはどうかな……。自信無いや」
「お母さんが、どんどん上達してるって言ってたから大丈夫! きっと上手くいくよ!」
そう言って彼女は僕の手を取り、胸のあたりで握りしめる。
「それにお守りもあるし……、ね?」
「うん。そうかもしれない。頑張ってみるよ」
「…………」
「…………」
湿った彼女の吐息が僕の頬を撫でいてく。
熱を持った僕の顔から、少しだけ温度を下げていくのが分かる。
どれくらいの時間が経ったのか。
とても長いように感じたし、短かった気もする。
ドルン、ドッドッド。
曖昧な意識は独特の重低音で引き戻された。
「えっ! パパのバイクの音だ。ごめん! パパが帰ってきちゃったみたい! 急いでココを離れた方が良いよ!」
パッと離れた彼女は、急いで帰りを促す。
確か紬のお父さんは、結構厳しいと言っていた気がする。ここは素直に彼女の言うことを聞いておこう。
急いで自転車を漕ぎだすと、十字路の角からアメリカンタイプの大型バイクが曲がってきた。ごつめのヘルメット、革ジャンにゴーグルと、かなり本格的な格好だ。思わず漕ぐ足を止め、そのバイクの行く末を眺めてしまう。
すると彼女はコチラに手を振っていた。
僕とバイクのお父さんは、二人して彼女に手を振っていた。
冷たいコンクリートの床。開け放たれた扉。
そこで担当するエリアの荷物がコンベアに流れて来たら、ピックアップしてカーゴに積む。それだけのことなんだけど、大きくてかさばる段ボールだったり、小さいのに異様に重たい荷物もあって、油断が出来ない。それなのに、荷物の流れに終わりは見えない。
カーゴの荷物が積み重なってくると、上に持ち上げなければならないのも、疲れを積み重ねさせる。
しかし、今日はバイトの後に予定がある。そう思うと何だか力が出てくるから不思議だ。
この後のことを楽しみにしながら、無心になって仕事に取り組む。やっとの思いで終わらせた仕事。外に出てみれば、キンキンに冷えた空気と共に、空はきらめく星々を散りばめた暗幕に覆われていた。
バイトの終わり時間になっても、荷物が捌ききれなくて、バイトの人たちは一律に残業を負わされた。そのせいで待ち合わせの予定時間に間に合わなそうになってしまった。
よりによって今日じゃなくてもと思わずにはいられない。
とりあえず、彼女にメッセージを送り、自転車にまたがる。
走り抜ける住宅街は、驚くほどに静かで、時折見かけるクリスマスイルミネーションが人の気配を感じさせる。車通りも少なくなった道路を進み、彼女の家に。
リュックには彼女へのプレゼントが入っている。それを届けるために、今夜はいつもの家路とは別のルートを通る。
クリスマス当日はバイトで遊びに行けないという失敗をしてるのに、代替案の夜少しだけ会う約束にも遅れてしまいそうだ。仕方のないことだけど、悲しい気持ちにさせてしまっていたら申し訳ないな。僕は少し足に力を込めてスピードを上げる。
何度か彼女を送っていった道。見覚えのある道までたどり着いた。
目印のコンビニで一旦停止して、紬にメッセージを送る。
すぐに既読が付いて、「待ってるから気を付けて来てね」と返ってきた。
背中に手をまわし、リュックの感触を確かめてから、自転車を漕ぎだす。
彼女の家はもうすぐだ。
※
「バイトお疲れ様。寒かったでしょ?」
門扉の前で待っていてくれた彼女は、着いたばかりの僕に声をかけてくれた。
「遅くなっちゃってごめん。外で待っていてくれたんだね。紬こそ寒くない?」
「私はさっきまで、おうちに居られたし大丈夫だよ。野田君の耳もお鼻も真《ま》っ赤《か》っ赤《か》。暖めてあげるね」
彼女は手袋を外して僕の顔を包み込む。
自然と顔の距離が近づきドキドキする。
まだこの距離感は慣れない。
少しの間見つめ合っていたけど、どちらもその距離を崩さなかった。
やがて、彼女の手の温かさが消えるころ、彼女の手首を掴み、顔から離して彼女の手袋で包んであげる。
「本当はおうちに上げてあげられれば良かったんだけど、そろそろパパが帰ってくる時間だから。ごめんね」
「良いんだ。僕が遅くなっちゃったのがいけないんだし、こんな遅い時間に上り込むわけにもいかないしね。プレゼントを渡したかっただけだから」
「バイトで疲れているのにありがとね。赤い鼻のサンタさん」
穏やかにほほ笑む彼女。
羽織っている白いコートが、その笑顔を淡く引き立てる。
「そんなに赤いかな? プレゼントはコレ。気に入ってくれると良いんだけど」
「沢山私のことを考えて探してくれたんでしょ? 絶対気に入るよ! クリスマス会でもらったブリーフケースも大切に使わせてもらっているし」
優しい彼女の言葉に励まされながら、背負ったリュックからプレゼントを取り出す。
小さな箱は、リュックで存在感を感じさせず、落としてしまったんじゃないかって心配になった。今日は何度も何度も確認して、その存在を確かめていた。
「綺麗な箱だね。開けても良い?」
「もちろん」
彼女は手袋を取り、箱のリボンを解く。
僕は彼女の手袋と解いたリボンを受け取り、手を空けてあげた。
「わぁ、綺麗。ネックレスだよね?」
「うん。クリスマスプレゼントって何が良いか分からなくて。そんなに高いものじゃないんだけど」
「ううん! すっごく嬉しい! つけてみても良いかな?」
そう言って、取り出したネックレスを身に付けようとするが、下ろした髪が邪魔のようで、上手く付けられない。
「良かったら、つけてくれないかな?」
「うん……。僕に出来るかな」
僕は手に持った手袋などを自転車のカゴに置いて、ネックレスを受け取る。
か細いチェーンを受け取った手は震えている。理由は寒さだけじゃない。
後ろを向いた彼女が髪を前に流し、細いうなじが露わになっていた。
普段は見ない光景。僕の手で汚してしまいそうに思うほどに、白くて綺麗なうなじ。
チェーンを彼女の顔の前を通し、首の後ろに回す。自然と彼女を後ろから抱きしめるような格好になった。風呂上がりのシャンプーの香りなのか、甘い匂いが寒さで痺れていたはずの鼻を刺激する。
腕や体で感じる彼女の体温。いつもと違う距離。いつもと違う景色。
憧れでもある彼女がすぐ近くにいて、腕を縮めるだけで抱きしめられる。
「……どうかした?」
動きの止まった僕を不審に思ったのか、首だけ回して振り替える彼女。
「ううん。何でもない」
誘惑に耐えながら、震える手でチェーンを留めようと試みる。
何度か失敗はしたけど、無事に留められた。
「出来たよ」
僕の言葉に振り替える彼女。
横に流した髪を戻しながら不安げに見つめてくる。
「髪が無いと首筋寒いんだね……。どうかな? 野田君のくれたプレゼント似合ってる?」
「うん、似合ってる。とても」
胸元に輝くネックレス。
その輝きはひどく儚くて、少し情けない気持ちになる。
小さなジルコニアが散りばめられた月の飾り。
ダイヤなんて問題外で、他の宝石が付いたものすら買えなくて。
予算の中で、彼女に似合いそうなものを必死に探して、やっと見つけられたネックレス。予算オーバーのネックレス達から比べれば、ずいぶん見劣りする。
「良かったぁ。私からもプレゼントあるの。ちょっと待ってて」
そんなことを気にする素振りも無く、嬉しそうにしている彼女は、自分のプレゼントを取りに玄関に戻った。
すぐに戻ってきた彼女の手には、細長い紙袋が。
「これ。普段使い出来るようなものじゃなくて、申し訳ないんだけど」
「ありがとう。僕も中を見て良いかな?」
どうぞと促されて、受け取った紙袋は柔らかくて軽い。
シールを剝がして、中を見てみれば、暗いエンジ色の布地。
「これは……、ネクタイ?」
手に取ってみた彼女からのプレゼントはエンジ色のストライプの入ったネクタイ。
学校指定のネクタイと違って、なめらかで光沢がある。
「そう。この前の発表会で拓斗くんは制服だったから。ネクタイだけでも変われば雰囲気も変わるかなって思って」
「そっか。ネクタイだけ変えても良いんだ。ありがとう。次の発表会で使わせてもらうね」
「うん! 発表会の演奏も楽しみにしてる!」
「そっちはどうかな……。自信無いや」
「お母さんが、どんどん上達してるって言ってたから大丈夫! きっと上手くいくよ!」
そう言って彼女は僕の手を取り、胸のあたりで握りしめる。
「それにお守りもあるし……、ね?」
「うん。そうかもしれない。頑張ってみるよ」
「…………」
「…………」
湿った彼女の吐息が僕の頬を撫でいてく。
熱を持った僕の顔から、少しだけ温度を下げていくのが分かる。
どれくらいの時間が経ったのか。
とても長いように感じたし、短かった気もする。
ドルン、ドッドッド。
曖昧な意識は独特の重低音で引き戻された。
「えっ! パパのバイクの音だ。ごめん! パパが帰ってきちゃったみたい! 急いでココを離れた方が良いよ!」
パッと離れた彼女は、急いで帰りを促す。
確か紬のお父さんは、結構厳しいと言っていた気がする。ここは素直に彼女の言うことを聞いておこう。
急いで自転車を漕ぎだすと、十字路の角からアメリカンタイプの大型バイクが曲がってきた。ごつめのヘルメット、革ジャンにゴーグルと、かなり本格的な格好だ。思わず漕ぐ足を止め、そのバイクの行く末を眺めてしまう。
すると彼女はコチラに手を振っていた。
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