戦神(せんじん)の魂と経験共有で強くなる~白き戦神の冒険譚~

ルキノア

文字の大きさ
58 / 65
代表戦編inランドレウス

ランドレウスvsフレスガドル

しおりを挟む
ロイの拳を受け止めたアルノアは、互いの視線を交わしたまま動きを止めた。

「……久しぶりだな、ロイ。」

静かに発せられた言葉に、ロイは微かに目を細める。

「まさか、決勝でこうして拳を交えることになるとはな。」

ロイの口元には、どこか懐かしさと嬉しさを含んだ笑みが浮かんでいた。

アルノアもまた、わずかに口角を上げる。

「俺にとって、ランドレウスでお前たちと過ごした時間は大切なものだったよ。」

「……だった?」

ロイが問い返すと、アルノアは小さく首を振る。

「いや、今も変わらないさ。でも……今の俺はフレスガドルの一員なんだ。」

その言葉に、ロイはゆっくりと拳を引いた。

「……そっか。」

ロイの背後で、サーシャとエマもまた静かにその光景を見つめていた。

サーシャは、複雑な思いを胸に抱えながらも、アルノアの成長を間近で感じ、僅かに微笑む。

「本当に、強くなったのね。」

エマもまた、小さく息を吐く。

「まったく……こんな再会、ちょっとずるいよね!」

サーシャもエマも、アルノアとの再会がこんな形で訪れるとは思っていなかった。

厳しい戦いの中にありながら、どこか誇らしく、そして嬉しくもある。

アルノアは静かに構え直し、ロイをまっすぐに見据えた。

「ロイ、全力で来いよ。俺も……今の俺を、お前に見せてやる。」

ロイもまた、炎を纏いながら拳を握る。

「当たり前だ。……手加減なんて、するわけねぇだろ?」

かつての親友であり、憧れであり、今は対等なライバルとして。

アルノアとロイの本気の戦いが、ついに幕を開ける……

「遅いのよ!」

突然のアリシアの声に、アルノアとロイの間に流れていた熱いムードが一瞬で砕かれた。

「あなたの方も強敵を相手にしてたんだろうけど! 私の方の相手、多すぎて大変だったのよ!」

そう言いながらアリシアは腕を組み、わざとらしく大げさに息を吐く。

「みんなで私を狙ってきてさ! こっちは防戦一方! こっちだってもっとガンガン攻めたかったのに!」

普段は冷静でどこかクールなアリシアが、珍しく感情をむき出しにして文句を言う。

それを聞いたアルノアは、申し訳なさそうに肩をすくめながらも、思わず笑みをこぼした。

「結構頑張って駆けつけたつもりなんだけどな……。まあ、それだけ耐えてくれたおかげで、俺も余裕を持って来れたよ。」

「余裕があったなら、もう少し早く来なさいよ!」

アリシアはじとっとアルノアを睨むが、その表情にはどこか安心感が混じっていた。

ロイとサーシャ、エマもそのやり取りを見て、少し肩の力を抜いたように微笑む。

「……相変わらず、良いコンビだな。」

ロイが呟くと、サーシャも微笑みながら頷いた。

「本当ね。でも……ここでのんびりお喋りするつもり?」

その言葉に、場の空気が再び戦いのものへと戻る。

アルノアとアリシアは互いに頷き合い、再び構えを取った。

「じゃあ、改めて行くぞ、ロイ!」

「こっちも全力で迎え撃つ!」

再会の余韻を振り切るように、最後の戦いが始まる。

 実況:「さあ、ついに最終ラウンドの幕開けみたいです!」

観客席のボルテージは最高潮に達している。会場全体がこの戦いの行方を見守り、誰もが息を呑んでいた。

実況:「ここまでの激戦を経て、アルノアとアリシアはほぼ魔力を使い切っている状態! それでもまだ戦う意思を見せています!」

魔力をほぼ使い果たしたとはいえ、二人の闘志は衰えていない。アルノアは大鎌を構え、アリシアも岩の剣を握りしめる。

実況:「一方、対するランドレウスのロイ、サーシャ、エマの三名! 序盤は様子見をしていたため、疲労はあるものの、まだまだ戦える余裕がありそうです!」

ランドレウスのメンバーは、アルノアたちとは対照的に、ある程度魔力を温存できている。ロイの拳には炎が宿り、エマは風を操りながらサポートの準備を整えていた。サーシャも水の魔力をまとい、冷静に戦況を見極めている。

実況:「この試合、まだどちらが勝つか分かりません! ここからの戦いが、まさに勝負の決め手となるでしょう!」

観客が熱狂する中、両陣営が最後の力を振り絞る。

実況:「アルノアとアリシア vs ロイ、サーシャ、エマ! 最後の激闘が、今始まる!!」

 アルノアは深く息を吸い込み、残されたわずかな魔力を大鎌に込めた。白銀の雷が刃を包み、かすかに冷気が帯びる。

「アリシア、行くぞ!」

アリシアも応えるように、手にした剣を握りしめた。大地の加護を最大限に活かし、剣の硬度を極限まで高める。光を反射し、まるで宝石のように輝く刃。その一振りは、鋼すら砕く威力を秘めていた。

アルノアとアリシア、それぞれが単体でも強力な戦士だが、彼らはただの個々の強さだけで戦っているわけではない。フレスガドルでの厳しい訓練の中、幾度となく互いの動きを合わせ、連携を磨き続けてきた。

ロイは拳を握り、炎を纏いながら前に出る。

「アルノア、お前と戦うのは久しぶりだな!」

サーシャとエマも準備を整え、完全に戦闘態勢に入る。

アルノアは微笑みながら、大鎌を肩にかけた。

「ああ、でも昔の俺とは違うぞ!」

アリシアも剣を構え、冗談混じりに言う。

「それにロイ、あなたも私の相手をするなら覚悟しなさいよ!」

緊迫した空気の中、アルノアとアリシアは一瞬だけ目を合わせた。

「……行くぞ!」

次の瞬間、二人は完璧に息を合わせて動き出した。アルノアの大鎌が前方に振るわれ、白銀の雷が一閃する。アリシアも重なるように剣を振るう。

エマが風の魔法で即座に軌道を変え、サーシャが水の盾で防ぐが、その一瞬の隙をアルノアが見逃さない。

「――アリシア!」

合図とともに、アリシアが地面を蹴り上げ、岩の破片を飛ばす。アルノアはその破片を踏み台にして高速で跳躍し、ロイへと襲いかかった。

ロイも拳を燃え上がらせて迎え撃つ――!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...