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第8話その2
しおりを挟むストンッ
取り敢えずお父さんが来るまで廊下のソファで待ってよう。
・・・どうしよう。お父さん中で何言われてるのかな?もしかして脳のヤバい病気とか?
「ふんっ!このクソガキが!」
えっ?何?
「てめえ!この野郎!」
何このおじいさん。
「この野郎が!」
「あーうー!」
あんな赤ちゃんに向かってこんな事言うなんて許せない。
「あの!すみません!赤ちゃんにそんな事言うなんて・・・」
「このクソ坊主が!
今日も可愛いな!」
ズコオオオオオオオオッ!!
「あん?何だこの若人は?みんなの前でみっともない!」
あんたのせいだろうがよ!!
「す・・・すみません。私てっきり赤ちゃんに恐喝してるのかと思いまして・・・」
「恐喝ぅ?そんな訳無いじゃろ!ほら良く見とけ!おらこのクソ坊主!!今日もプリティじゃわいこの野郎!!おおよしよし!!」
怒鳴り散らしてるようにしか見えないんだけど。
「きゃっきゃ!」
ってめっちゃ笑ってるし。まあでも、不器用なだけで良いおじいさんなんだろうな。
「あの・・・赤ちゃん凄く可愛いですね。」
「ああ!そうじゃろう!片時も離さんぞ!うちのが世界で一番可愛いわい!」
「良かったですね!」
「おうよ!将来はお爺ちゃまって呼ばせて可愛がるわい!」
柄じゃ無いんだよなあ。
「あっ、見てください。外にもベビーカーが走っていますよ!」
・・・・・・。
「貴様!置き去りにしてくれよう!」
「あんた片時も離さないんじゃ無かったのかよ!?」
「きゃっきゃ!」
あっちの方が可愛かったんだな。にしても実の孫になんて事を・・・
ああ、でもここは良く考えたら精神病院だ。そらヤバい人もいるか。(偏見です。)
「あの・・・おじいさんはどうしてここにいるんですか?」
「あん?ああ、それは5年前に事故で婆さんを亡くしてから少し精神をおかしくしてのう。」
「・・・そうだったんですか。」
それで今みたいな人に・・・。何か悪い事聞いちゃったかな。
「今はほぼ完治しておるがな。」
元からこんな感じかい!!
「それで今日薬を貰うために孫が付き添いで来とるんじゃよ。」
何でこんな赤ちゃんが付き添いに・・・。誰も止めなかったのか。それとも押し付けたのか。
「あの時は本当に大変だったけれど、今はこうして立ち直っとるんじゃ。嬢ちゃんも、負けずに頑張れよ。」
・・・別に私は異常なんか抱えて無いのに。でもお礼は言っておこう。
「ありがとうございます。」
「うむ!頑張れよ。」
ゔぅぅぅぅぅぅん ゔぅぅぅぅぅぅん
「おー、スマンスマン。バイブが鳴ってしまった。」
ケータイのバイブレーション機能な。
「もしもし。えっ!?脳死だった婆さんが生き返った!?ひゃっほい!」
「えええええええええ!?脳死から!?」
「奇跡じゃ!!奇跡じゃあああああああ!!」
おじいさん、よっぽど嬉しいんだな。廊下で元気に大声出しながら走り回ってる。しかもそもそも亡くなってねえ。
「ワシは病院まで走るぞい!嬢ちゃんも絶対諦めるな!それじゃあ!」
「そ・・・それじゃあ・・・」
「きゃっきゃ!」
「っておい!クソ坊主忘れてるぞおおおおお!!」
「あっはははははははは!」
私はお父さんが来るまで赤ちゃんを抱っこ心療内科の廊下で鬼ごっこをした。
結局私、何の心配をしてたんだっけ?
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