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第17話 本当に公爵家の令嬢なの?
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セス様が部屋の防音魔法を確認した。
多分セス様が入ってきた時に、防音魔法は賭けられていたのだろう。外の音が一切聞こえなくなっていたからだ。
そして彼はゆっくりと話し出した。
「あなたがアランソン公爵家の正当な子孫であることは、その容姿から一目瞭然。それゆえに、あなたのおばあさまは、あなたを守るために保護魔法をかけたのです」
「身分はとにかく、容姿まで偽って」
殿下が言い、殿下だけならまだしもセス様まで、ものすごく残念そうな顔になった。
「せめて上方修正……いや、それをすると目立ちまくる……下方修正するしかなかったのか」
「タイプの違う美少女路線も目立つことに変わりはない。すると、とにかくブス方面に変えるしかなかったという……」
「本当に……残念としか」
「残念です」
人のことを残念だ残念だって、他に言うことはないのか。
「容姿を偽らないとバレてしまう。バレると、アランソン家が狙いにくる」
「アランソン公爵を継がないと言えばいいだけではありませんか」
私は爽やかに言い放った。
彼らは一瞬キョトンとしたが、次の瞬間笑い出した。
「それを今のアランソン一家が信じると言うならね」
「でも、殿下、あなたが私に構わなければ、私は鉄扇でぶたれたりしなかったと思いますよ? 注目も浴びなかった」
殿下は黙った。
ど正論でしょ?
セス様が反対した。
「話はそんなに単純ではありません」
「うん。残念ながら、セスの言葉は正しい」
殿下が言った。
「それなら、あなたがこの学校に来なければよかったのだ。いずれ必ず十七歳になる。そうなれば保護魔法は解け、正体がわかってしまう。ずっと田舎にいればわからないままだ。それなのに、なぜ、あなたのおばあさまがあなたを学校にいかせたのか、わかりますか?」
「私がポーションの作り方を勉強したがったから」
「それは違います。それなら他の学校に行った方がいい。この学校は魔術の専門ではないからね」
知らなかった私は目をむいた。私、おばあさまに騙された?
「あなたがこの学校に来たのは、貴族の勉強をするためだ」
貴族の勉強?
「あなたは公爵家の正当な跡継ぎなのです。最高の貴族学校で、社交界や貴族の慣習を勉強し、貴族の友人を作らなくてはならなかった」
私はセス様の顔を穴が開くほど見つめた。
うん。おばあさまは、私を魔術コースではなくて、文官コースに入れたがっていた。
そうだったの? おばあさま?
「あなたのおばあさまは、最高の生まれの貴族中の貴族です。あなたを礼儀知らずや、貴族の常識がわからない人間にはしたくなかったのでしょう」
細かいことが苦手で、大雑把で、出たとこ勝負で、どこか一風変わっていると村人に言われていたおばあさまが?
本当にそこまで考えていたのかな?
「公爵家の一人娘である以上、王都の貴族社会で生きていかねばならない。いくら田舎の方が安全でも、もう時間的余裕がなかったのだ」
私は黙り込んだ。
色々と疑問が浮かぶ。
その最たるものは、この話が本当なら、どうしておばあさまはその話を私にしてくれなかったのかしらというものだった。
私が考え込んでいる間も、殿下とセス様は口々に説明していた。
「君には王子妃になる道が開いている。公爵領からもたらされる富は莫大だ。権力も」
「その上、すばらしい美人なんだ。惜しい。惜しすぎる」
「そんな地味な服で。高貴の生まれで魔力だって相当あるはずだ。田舎で朽ちるのは惜しすぎる」
「大丈夫です。惜しくなんかありません」
私は宣言した。
だって、やりたいことがあるんだもん。それに向かって邁進するのは、きっと楽しいことだわ。国一番の美人と言われるよりも、やりがいのあることだと思うの。
「私はポーション作りに専念するんです。きっと私のポーションは売れると思う。もっと、勉強すればね。そしてアランソン家なんかどうでもいいので、田舎でも王都でも、どこかでお店を開くんです。ポーションの」
二人は黙り込んだ。
この人たちは貴族だ。根っからの。だから価値観が違うんだ。私の言うことがわからないし、私も彼らの言うことがわからない。
「ねえ、ところで、その計画には結婚とか子どもはいないの?」
殿下が物欲しそうに尋ねた。
私は笑った。
「だって、私はこんな顔ですもの。誰も欲しい人なんかいないんじゃないでしょうか」
自分でいうのは嫌だったけど、事実は事実だ。
「あなたは、本当は人目を引かずにはいられないすごい美人なのだよ」
セス様が諭すような口ぶりで言った。私は答えた。
「でも、顔なんかどうでもいいと思います。気があう人ができたら、結婚もするかもしれないけど、まだ何も考えたこと、ありません」
殿下とセス様は、じっと私の顔を見た。
「君がどう思っているか知らないけど、否でも応でも十七歳の誕生日にその魔法は解けるんだよ?」
殿下は静かに言った。
「保護魔法が解けた時のことを考えないといけない。公爵令嬢として生きるか、田舎でポーション作りとして生きるか。あなたのおばあさまも迷ったかもしれない。そして、あなたに公爵令嬢として生きていけるだけのものがなかったら、きっと、学校に行かせなかったと思う。学校にさえ行かなければ、田舎のポーション作りとして一生を終われたかもしれない。でも、そうじゃなかった」
「そうじゃなかった……とは?」
私は、殿下の言葉に何か運命のようなものを感じて、尋ねた。
「おばあさまは、あなたは公爵令嬢、やがては公爵として立っていけるし、そっちの方がふさわしいと思ったんだろうよ」
多分セス様が入ってきた時に、防音魔法は賭けられていたのだろう。外の音が一切聞こえなくなっていたからだ。
そして彼はゆっくりと話し出した。
「あなたがアランソン公爵家の正当な子孫であることは、その容姿から一目瞭然。それゆえに、あなたのおばあさまは、あなたを守るために保護魔法をかけたのです」
「身分はとにかく、容姿まで偽って」
殿下が言い、殿下だけならまだしもセス様まで、ものすごく残念そうな顔になった。
「せめて上方修正……いや、それをすると目立ちまくる……下方修正するしかなかったのか」
「タイプの違う美少女路線も目立つことに変わりはない。すると、とにかくブス方面に変えるしかなかったという……」
「本当に……残念としか」
「残念です」
人のことを残念だ残念だって、他に言うことはないのか。
「容姿を偽らないとバレてしまう。バレると、アランソン家が狙いにくる」
「アランソン公爵を継がないと言えばいいだけではありませんか」
私は爽やかに言い放った。
彼らは一瞬キョトンとしたが、次の瞬間笑い出した。
「それを今のアランソン一家が信じると言うならね」
「でも、殿下、あなたが私に構わなければ、私は鉄扇でぶたれたりしなかったと思いますよ? 注目も浴びなかった」
殿下は黙った。
ど正論でしょ?
セス様が反対した。
「話はそんなに単純ではありません」
「うん。残念ながら、セスの言葉は正しい」
殿下が言った。
「それなら、あなたがこの学校に来なければよかったのだ。いずれ必ず十七歳になる。そうなれば保護魔法は解け、正体がわかってしまう。ずっと田舎にいればわからないままだ。それなのに、なぜ、あなたのおばあさまがあなたを学校にいかせたのか、わかりますか?」
「私がポーションの作り方を勉強したがったから」
「それは違います。それなら他の学校に行った方がいい。この学校は魔術の専門ではないからね」
知らなかった私は目をむいた。私、おばあさまに騙された?
「あなたがこの学校に来たのは、貴族の勉強をするためだ」
貴族の勉強?
「あなたは公爵家の正当な跡継ぎなのです。最高の貴族学校で、社交界や貴族の慣習を勉強し、貴族の友人を作らなくてはならなかった」
私はセス様の顔を穴が開くほど見つめた。
うん。おばあさまは、私を魔術コースではなくて、文官コースに入れたがっていた。
そうだったの? おばあさま?
「あなたのおばあさまは、最高の生まれの貴族中の貴族です。あなたを礼儀知らずや、貴族の常識がわからない人間にはしたくなかったのでしょう」
細かいことが苦手で、大雑把で、出たとこ勝負で、どこか一風変わっていると村人に言われていたおばあさまが?
本当にそこまで考えていたのかな?
「公爵家の一人娘である以上、王都の貴族社会で生きていかねばならない。いくら田舎の方が安全でも、もう時間的余裕がなかったのだ」
私は黙り込んだ。
色々と疑問が浮かぶ。
その最たるものは、この話が本当なら、どうしておばあさまはその話を私にしてくれなかったのかしらというものだった。
私が考え込んでいる間も、殿下とセス様は口々に説明していた。
「君には王子妃になる道が開いている。公爵領からもたらされる富は莫大だ。権力も」
「その上、すばらしい美人なんだ。惜しい。惜しすぎる」
「そんな地味な服で。高貴の生まれで魔力だって相当あるはずだ。田舎で朽ちるのは惜しすぎる」
「大丈夫です。惜しくなんかありません」
私は宣言した。
だって、やりたいことがあるんだもん。それに向かって邁進するのは、きっと楽しいことだわ。国一番の美人と言われるよりも、やりがいのあることだと思うの。
「私はポーション作りに専念するんです。きっと私のポーションは売れると思う。もっと、勉強すればね。そしてアランソン家なんかどうでもいいので、田舎でも王都でも、どこかでお店を開くんです。ポーションの」
二人は黙り込んだ。
この人たちは貴族だ。根っからの。だから価値観が違うんだ。私の言うことがわからないし、私も彼らの言うことがわからない。
「ねえ、ところで、その計画には結婚とか子どもはいないの?」
殿下が物欲しそうに尋ねた。
私は笑った。
「だって、私はこんな顔ですもの。誰も欲しい人なんかいないんじゃないでしょうか」
自分でいうのは嫌だったけど、事実は事実だ。
「あなたは、本当は人目を引かずにはいられないすごい美人なのだよ」
セス様が諭すような口ぶりで言った。私は答えた。
「でも、顔なんかどうでもいいと思います。気があう人ができたら、結婚もするかもしれないけど、まだ何も考えたこと、ありません」
殿下とセス様は、じっと私の顔を見た。
「君がどう思っているか知らないけど、否でも応でも十七歳の誕生日にその魔法は解けるんだよ?」
殿下は静かに言った。
「保護魔法が解けた時のことを考えないといけない。公爵令嬢として生きるか、田舎でポーション作りとして生きるか。あなたのおばあさまも迷ったかもしれない。そして、あなたに公爵令嬢として生きていけるだけのものがなかったら、きっと、学校に行かせなかったと思う。学校にさえ行かなければ、田舎のポーション作りとして一生を終われたかもしれない。でも、そうじゃなかった」
「そうじゃなかった……とは?」
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