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第8話 決闘事件
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後から冷静になって考えたら、平民の女子軍団ひどい。
まだ何もしていないうちから、ピーターソンを罵倒罵倒罵倒の嵐である。理由は、顔がまずいから。
女子の黄色い罵声にカッとなって、力任せに打ち込んできたピーターソンだったが、ジェラルドの校内一の評判は実力だった。
馬力だけは認めよう。アーネストなら、完全に力負けしていたろう。だが、ジェラルドはピーターソンより背も高いし、何より鍛練をサボらない。ピーターソンは、あっという間に叩きのめされ、地べたに寝転がされた。ピーターソンの手から、ジェラルドは、剣を手の届かない場所まで蹴り飛ばし、怒鳴った。
「誰か教師を呼んでこい」
アーネストの友達はアーネストに似たような連中が多かった。小柄だが賢そうな生徒たちで、そのうちの一人が飛び上がって、担当の教師を呼びに走った。
アーネストは、打ちひしがれ情けない顔をして、地べたに座り込んでいた。
「つまらん真似をするんじゃない、アーネスト」
待っている間、ジェラルドは眉間に皺を寄せて、アーネストに説教した。
「大砲は大事だが、他の方法はなかったのか」
アーネストはしくしく泣き始めた。
まるで女の子のようだ。
「いつだってこう……こうなるんだ。どこかで力技になっちゃう。手の届かない場所に行ってしまう。私に力がないから」
「そんなことはないぞ。見ろ。お前には味方がいるじゃないか。俺だってそうだし、仲間たちが心配してこっそり集まって来たじゃないか」
アーネストは涙をこらえながら、罵った。
「わ、私の見た目がかわいいからと集まったキモいファンばっかりです」
……友達だと思うけど。その認識、酷くない?
その時、二階バルコニーから、悲鳴が響き渡った。
「ジェラルド様、危ないっ」
咄嗟に振り返ると、勝手に復活したピーターソンがもじゃもじゃの髪を振り乱して、剣を手に背後に迫っていた。
「何するんだっ」
手加減したのに。しなくていいのか。
ジェラルドは腹が立っていた。決闘を了承したのはアーネストが悪い。だから、穏やかに済ませたのに。
ジェラルドは立ち上がって、長い足で蹴飛ばした。ピーターソンは吹っ飛んだ。
ちょうどそこへ教師が来た。
教師はいかにも不愉快そうな顔をしていた。生徒のケンカなんかに巻き込まれたくないのだ。
「またお前か、ピーターソン」
不愉快そうに言うと、教師は事情も聞かず、ピーターソンだけ回収して行った。
教師がいる間は、二階のバルコニーは静まり返っていた。不法侵入なのだと言うことはわかっているらしい。
「さ。戻ろう、アーネスト」
アーネストはいつだって本気だ。だけど、彼には彼なりの計算と、彼なりの悔しさがあるらしい。
乗り越えられない壁を乗り越えようと必死なのだ。
ジェラルドはアーネストをちょっと見直した。
友達をキモいと言い放つのには、首をかしげたが、ジェラルドに出番を取られて悔しかったかもしれない。
「だけどなあ。俺としちゃあ、ピーターソンなんかとアーネストが戦うのは見ていられなかったんだよ。許してくれよ。だって、ピーターソンは本気で顔を狙っていた。あいつが下劣で卑怯だって、有名なんだもの。ケガはつまらないと思った」
「自分で成し遂げたかったんです……」
「そう言うな。別な方法を考えろ。アーネスト」
まだ何もしていないうちから、ピーターソンを罵倒罵倒罵倒の嵐である。理由は、顔がまずいから。
女子の黄色い罵声にカッとなって、力任せに打ち込んできたピーターソンだったが、ジェラルドの校内一の評判は実力だった。
馬力だけは認めよう。アーネストなら、完全に力負けしていたろう。だが、ジェラルドはピーターソンより背も高いし、何より鍛練をサボらない。ピーターソンは、あっという間に叩きのめされ、地べたに寝転がされた。ピーターソンの手から、ジェラルドは、剣を手の届かない場所まで蹴り飛ばし、怒鳴った。
「誰か教師を呼んでこい」
アーネストの友達はアーネストに似たような連中が多かった。小柄だが賢そうな生徒たちで、そのうちの一人が飛び上がって、担当の教師を呼びに走った。
アーネストは、打ちひしがれ情けない顔をして、地べたに座り込んでいた。
「つまらん真似をするんじゃない、アーネスト」
待っている間、ジェラルドは眉間に皺を寄せて、アーネストに説教した。
「大砲は大事だが、他の方法はなかったのか」
アーネストはしくしく泣き始めた。
まるで女の子のようだ。
「いつだってこう……こうなるんだ。どこかで力技になっちゃう。手の届かない場所に行ってしまう。私に力がないから」
「そんなことはないぞ。見ろ。お前には味方がいるじゃないか。俺だってそうだし、仲間たちが心配してこっそり集まって来たじゃないか」
アーネストは涙をこらえながら、罵った。
「わ、私の見た目がかわいいからと集まったキモいファンばっかりです」
……友達だと思うけど。その認識、酷くない?
その時、二階バルコニーから、悲鳴が響き渡った。
「ジェラルド様、危ないっ」
咄嗟に振り返ると、勝手に復活したピーターソンがもじゃもじゃの髪を振り乱して、剣を手に背後に迫っていた。
「何するんだっ」
手加減したのに。しなくていいのか。
ジェラルドは腹が立っていた。決闘を了承したのはアーネストが悪い。だから、穏やかに済ませたのに。
ジェラルドは立ち上がって、長い足で蹴飛ばした。ピーターソンは吹っ飛んだ。
ちょうどそこへ教師が来た。
教師はいかにも不愉快そうな顔をしていた。生徒のケンカなんかに巻き込まれたくないのだ。
「またお前か、ピーターソン」
不愉快そうに言うと、教師は事情も聞かず、ピーターソンだけ回収して行った。
教師がいる間は、二階のバルコニーは静まり返っていた。不法侵入なのだと言うことはわかっているらしい。
「さ。戻ろう、アーネスト」
アーネストはいつだって本気だ。だけど、彼には彼なりの計算と、彼なりの悔しさがあるらしい。
乗り越えられない壁を乗り越えようと必死なのだ。
ジェラルドはアーネストをちょっと見直した。
友達をキモいと言い放つのには、首をかしげたが、ジェラルドに出番を取られて悔しかったかもしれない。
「だけどなあ。俺としちゃあ、ピーターソンなんかとアーネストが戦うのは見ていられなかったんだよ。許してくれよ。だって、ピーターソンは本気で顔を狙っていた。あいつが下劣で卑怯だって、有名なんだもの。ケガはつまらないと思った」
「自分で成し遂げたかったんです……」
「そう言うな。別な方法を考えろ。アーネスト」
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