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第46話 マイラ王女のご乱行履歴とロアン様の危機
冗談ではない。
昨日はプロポーズされて、オーケーしただけだ。ロアン様がイケメンすぎて。つい、ホイホイと。
後悔はしていないけど。
両王家の出方がわからないので、出来るだけ早く式を挙げて正式なものにしたいとロアン様から言われたけど、来月なんて聞いてない。
「あら、いやだ、お母様。そんなはずないでしょう? そんな先のこと、全然考えていませんでしたわ。結婚なんて……」
それに大体、ロアン様のお屋敷にお泊まりなんて、ただの避難。誤解されてますわ、とか言いたいことは山ほどあったが、父に遮られた。
父は真顔だった。
「だがね。アシュトン王子は本気っぽかった。それにマイラ王女は、今頃、ロアン様との結婚を国王陛下に願い出ているだろう。王家はマイラ王女を持て余している。彼女の気に入りの、若い使用人の正体が伯爵家の嫡男だとわかれば、ロアン様は絶対絶命だ。伯爵と伯爵夫人からも切実にお願いされた。マイラ王女は王宮でも色恋沙汰で傷害事件を起こしているんだ」
「傷害事件?」
私は怯えて聞き返した。
「婚約者に恋人ができたんだ。マイラ王女の婚約者は、王女の性格に嫌気がさしたんだろう。恋人はピンクの頭髪のかわいい娘だったらしい」
母がなんだかしきりにうなずいている。この話を知っているらしい。
「王女は嫌がらせの限りを尽くして、最後に手下の侍女に命じて、王宮の大階段から、彼女を突き落とした」
ひえええ。
「死んだのですか?」
「骨折した。左手の小指の骨を」
「それは……大事件でしたわね」
父はうなずいて、だからアシュトン王子が見物に居残ったんだよと解説した。
「ザマア小説の愛読者だからね」
父もアシュトン王子の趣味は理解しかねたのだろう。ちょっと眉が寄ってしかめ面に近くなった。
「今回はアシュトン王子が説得してくれたおかげで、一旦は王宮に帰ってくれた」
あれは果たして説得だったのだろうか。なんだか火に油を注いだような気がする。
「結果としては、説得だ。本人が何を考えたかまではわからないがマイラ王女が帰ってくれた。だが、第二幕が上がるかもしれない。今度、階段から突き落とされるのはお前だ、ローズ」
やっとジェロームから無事逃れたのに、次はこれ?
「その前に、後の祭りにしなくては。伯爵夫妻は、昨夜半狂乱で王家に手紙を書いていた。息子は二年前から婚約している娘がおり、親公認で同居し、このたび、盛大な結婚式を挙げる手筈が決まっている。結婚の許可を求める手紙だ。伯爵家だからね、王室の許可がいる」
「先に許可を得ておきたいと言うことですか?」
「そう。バリー家の若い使用人が、伯爵家の嫡男だとバレる前にな」
昨日はプロポーズされて、オーケーしただけだ。ロアン様がイケメンすぎて。つい、ホイホイと。
後悔はしていないけど。
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「あら、いやだ、お母様。そんなはずないでしょう? そんな先のこと、全然考えていませんでしたわ。結婚なんて……」
それに大体、ロアン様のお屋敷にお泊まりなんて、ただの避難。誤解されてますわ、とか言いたいことは山ほどあったが、父に遮られた。
父は真顔だった。
「だがね。アシュトン王子は本気っぽかった。それにマイラ王女は、今頃、ロアン様との結婚を国王陛下に願い出ているだろう。王家はマイラ王女を持て余している。彼女の気に入りの、若い使用人の正体が伯爵家の嫡男だとわかれば、ロアン様は絶対絶命だ。伯爵と伯爵夫人からも切実にお願いされた。マイラ王女は王宮でも色恋沙汰で傷害事件を起こしているんだ」
「傷害事件?」
私は怯えて聞き返した。
「婚約者に恋人ができたんだ。マイラ王女の婚約者は、王女の性格に嫌気がさしたんだろう。恋人はピンクの頭髪のかわいい娘だったらしい」
母がなんだかしきりにうなずいている。この話を知っているらしい。
「王女は嫌がらせの限りを尽くして、最後に手下の侍女に命じて、王宮の大階段から、彼女を突き落とした」
ひえええ。
「死んだのですか?」
「骨折した。左手の小指の骨を」
「それは……大事件でしたわね」
父はうなずいて、だからアシュトン王子が見物に居残ったんだよと解説した。
「ザマア小説の愛読者だからね」
父もアシュトン王子の趣味は理解しかねたのだろう。ちょっと眉が寄ってしかめ面に近くなった。
「今回はアシュトン王子が説得してくれたおかげで、一旦は王宮に帰ってくれた」
あれは果たして説得だったのだろうか。なんだか火に油を注いだような気がする。
「結果としては、説得だ。本人が何を考えたかまではわからないがマイラ王女が帰ってくれた。だが、第二幕が上がるかもしれない。今度、階段から突き落とされるのはお前だ、ローズ」
やっとジェロームから無事逃れたのに、次はこれ?
「その前に、後の祭りにしなくては。伯爵夫妻は、昨夜半狂乱で王家に手紙を書いていた。息子は二年前から婚約している娘がおり、親公認で同居し、このたび、盛大な結婚式を挙げる手筈が決まっている。結婚の許可を求める手紙だ。伯爵家だからね、王室の許可がいる」
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