婚約者の王子は正面突破する~関心がなかった婚約者に、ある日突然執着し始める残念王子の話

buchi

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婚約事情

 伯爵家の一人娘、マリゴールドはとてもかわいい女の子で、エメラルドのような目と髪の毛は金茶色だった。誰もが彼女をとてもかわいがっていた。誰も口に出さなかったけれど、彼女は広い伯爵領とそこから上がる莫大な収入の相続人だからという理由もあったかもしれない。でも、それを割り引いても、誰が見ても自然に笑顔になってしまうような無邪気でかわいい女の子だった。

 子どもでも親族の集まりや何やかやで、知り合いになることはある。
 王妃様のパーティで、王太子殿下とはずっと年の離れた(王位継承権とは縁もゆかりりもない)第三王子のエドワード様はマリゴールドに引きあわされて、彼女のことがとても気に入ったと言い出した。
 正確には言わされた。
 伯爵家ではあるものの、広大な領地と裕福な産業を抱える伯爵家は、王家の末息子にはぴったりの婿養子先だった。大体、公爵家なんかはそもそもが全員身内だ。公爵位を継いだところで、お金は王室費から支出しなくてはならない。特にお金に困っている王家ではなかったけれど、息子が結婚したいならいいじゃないか。財産の方は難しくても、第三王子に新しい公爵位を与えるのは簡単だった。

 エドワード王子はマリゴールド嬢より5つも年上だったので、10歳の子供をつくづくながめた。

「もうちょっと、年上の娘がいいな」
 と内心思ったのは内緒である。
 母の王妃様の圧がすごかった。なんとなく、逆らってはいけないことを察知した。
 まあ、それにマリゴールド嬢はかわいい。将来的には美人になるかもしれない。
 それに結婚はだいぶ先だ。変更があるかもしれない。

 二人の婚約は華やかに発表され、世の貴族の次男、三男を嘆かせた。

 大変に良い婿養子先だったのである。
 何がそんなに良かったかというと、財産もさることながらマリゴールド嬢がとてもおとなしそうで、人を疑うことを知らなさそうな娘だったからだ。

 チョロそう。
 婿になれば伯爵家の財産を自由に使えそうだ。

 しかし、エドワード王子が婚約者に決まった後は、誰もがあきらめるしかなかった。

 ところがである。

 そのマリゴールド嬢の両親が、突然異国の地で亡くなったと言う知らせが届いたのだった。



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