10 / 16
王子殿下、何をするつもり?
ガタイのいい側近連中は一団となって、心細そうに街をウロついていたが、伯爵邸へ向かう最短ルートの途中で、とても怪しげな人影に出会い、震え上がった。
「あっ、何か、上が大きい人がいます!」
「上が大きい?」
「不気味だ。こっちへ来る! 怖い! どうしよう、バケモノだ」
神々しい月の光に照らされて、不気味な影がよろよろ近づいてくる。怯える側近軍団。怖すぎて動けなくなってしまった。
そいつがパッと顔を上げた途端、貴公子たちは「キャーッ」と甲高い悲鳴をあげて一散に逃げ出した。
が、大声で叱られた。
「コォラ! どこへ行く! 俺を助けろ!」
そのバケモノは、マリゴールド嬢を背負ったエドワード王子殿下だった。
さすが王子。問答無用で助けられることしか考えていない。
俺を助けろとか、人気のない夜の街では、単なるヤバい人である。関わり合いになりたくない。
しかし、運がいいことに側近の一人が気がついた。
「この声は……殿下ではありませんか!」
「ええっ?」
側近たちが足を止めた。
「おおっ! 殿下だ。良かった、見つかった!」
みんなバラバラと駆け寄った。
「あ、この変なのはなんですか?」
マリゴールドは、薄くてひしゃげてて、ペラペラだった。
「伯爵家の下女だ」
「げっ?」
「持って帰ってきた」
「えっ? 人なの?」
「人って、持って帰っていいの?」
「誘拐罪じゃない?」
「うわー、ペラペラ。うっすー。人じゃないみたい」
汚そうだとか言って、誰一人殿下の代わりに運ぼうと言う者はいなかったが、殿下は気にする様子はなく全員揃ってゾロゾロ王宮に帰った。
「殿下、我々はこれで引き取らせていただきますが、本当によろしいのですか?」
側近一同、疑わしげな目つきで王子殿下を眺めながら、帰っていいかどうか尋ねた。
「うん。帰って」
「あのー、我々がいなくなったら、どうされるおつもりで?」
ぺらぺらに痩せてはいたが、お城の中で見ると確かに人間。種類は下女。
一体、殿下はこの夜中に、下女相手に何をするつもりなのか。
顔立ちはよくわからないが、身なりはこれ以上ないくらいみすぼらしい。
そしてダシが取れそうなくらい、痩せている。
「とりあえず帰って」
殿下は下女を見つめて、なにやら生き生きとしているが、重ねて帰れと言われれば、側近たちは立場上、帰らない訳にはいかない。
余計、疑問が広がった。
「あっ、何か、上が大きい人がいます!」
「上が大きい?」
「不気味だ。こっちへ来る! 怖い! どうしよう、バケモノだ」
神々しい月の光に照らされて、不気味な影がよろよろ近づいてくる。怯える側近軍団。怖すぎて動けなくなってしまった。
そいつがパッと顔を上げた途端、貴公子たちは「キャーッ」と甲高い悲鳴をあげて一散に逃げ出した。
が、大声で叱られた。
「コォラ! どこへ行く! 俺を助けろ!」
そのバケモノは、マリゴールド嬢を背負ったエドワード王子殿下だった。
さすが王子。問答無用で助けられることしか考えていない。
俺を助けろとか、人気のない夜の街では、単なるヤバい人である。関わり合いになりたくない。
しかし、運がいいことに側近の一人が気がついた。
「この声は……殿下ではありませんか!」
「ええっ?」
側近たちが足を止めた。
「おおっ! 殿下だ。良かった、見つかった!」
みんなバラバラと駆け寄った。
「あ、この変なのはなんですか?」
マリゴールドは、薄くてひしゃげてて、ペラペラだった。
「伯爵家の下女だ」
「げっ?」
「持って帰ってきた」
「えっ? 人なの?」
「人って、持って帰っていいの?」
「誘拐罪じゃない?」
「うわー、ペラペラ。うっすー。人じゃないみたい」
汚そうだとか言って、誰一人殿下の代わりに運ぼうと言う者はいなかったが、殿下は気にする様子はなく全員揃ってゾロゾロ王宮に帰った。
「殿下、我々はこれで引き取らせていただきますが、本当によろしいのですか?」
側近一同、疑わしげな目つきで王子殿下を眺めながら、帰っていいかどうか尋ねた。
「うん。帰って」
「あのー、我々がいなくなったら、どうされるおつもりで?」
ぺらぺらに痩せてはいたが、お城の中で見ると確かに人間。種類は下女。
一体、殿下はこの夜中に、下女相手に何をするつもりなのか。
顔立ちはよくわからないが、身なりはこれ以上ないくらいみすぼらしい。
そしてダシが取れそうなくらい、痩せている。
「とりあえず帰って」
殿下は下女を見つめて、なにやら生き生きとしているが、重ねて帰れと言われれば、側近たちは立場上、帰らない訳にはいかない。
余計、疑問が広がった。
あなたにおすすめの小説
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら
雪嶺さとり
恋愛
「違うんだルーシャ!俺はルーシャのことを世界で一番愛しているんだ……っ!?」
「え?」
伯爵令嬢ルーシャの婚約者、ウィラードはいつも無愛想で無口だ。
しかしそんな彼に最近親しい令嬢がいるという。
その令嬢とウィラードは仲睦まじい様子で、ルーシャはウィラードが自分との婚約を解消したがっているのではないかと気がつく。
機会が無いので言い出せず、彼は困っているのだろう。
そこでルーシャは、友人の錬金術師ノーランに「本音を引き出せる薬」を用意してもらった。
しかし、それを使ったところ、なんだかウィラードの様子がおかしくて───────。
*他サイトでも公開しております。
条件は飼い犬と一緒に嫁ぐこと
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
恋愛
ダリヤ・ブベーニン伯爵令嬢は、姉のベリンダに虐げられる日々を送っていた。血の繋がらない、元平民のダリヤが父親に気に入られていたのが気に食わなかったからだ。その父親も、ベリンダによって、考えを変えてしまい、今では同じようにダリヤを虐げるように。
そんなある日、ベリンダの使いで宝石商へ荷物を受け取りに行くと、路地裏で蹲る大型犬を見つける。ダリヤは伯爵邸に連れて帰るのだが、ベリンダは大の犬嫌い。
さらに立場が悪くなるのだが、ダリヤはその犬を保護し、大事にする。けれど今度は婚姻で、犬と離れ離れにされそうになり……。
※この作品はベリーズカフェ、テラーノベルにも投稿しています。
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
公爵令嬢は運命の相手を間違える
あおくん
恋愛
エリーナ公爵令嬢は、幼い頃に決められた婚約者であるアルベルト王子殿下と仲睦まじく過ごしていた。
だが、学園へ通うようになるとアルベルト王子に一人の令嬢が近づくようになる。
アルベルト王子を誑し込もうとする令嬢と、そんな令嬢を許すアルベルト王子にエリーナは自分の心が離れていくのを感じた。
だがエリーナは既に次期王妃の座が確約している状態。
今更婚約を解消することなど出来るはずもなく、そんなエリーナは女に現を抜かすアルベルト王子の代わりに帝王学を学び始める。
そんなエリーナの前に一人の男性が現れた。
そんな感じのお話です。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
やり直し令嬢は本当にやり直す
お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。
婚約破棄した相手が付き纏ってきます。
沙耶
恋愛
「どうして分かってくれないのですか…」
最近婚約者に恋人がいるとよくない噂がたっており、気をつけてほしいと注意したガーネット。しかし婚約者のアベールは
「友人と仲良くするのが何が悪い!
いちいち口うるさいお前とはやっていけない!婚約破棄だ!」
「わかりました」
「え…」
スッと婚約破棄の書類を出してきたガーネット。
アベールは自分が言った手前断れる雰囲気ではなくサインしてしまった。
勢いでガーネットと婚約破棄してしまったアベール。
本当は、愛していたのに…