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第8話 ヒューズ夫人の策略
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「まあ、あのモンゴメリ卿とダンスをしたのですって? そして、次のガーデンパーティへの招待も受けたって言うの?」
デビュー翌々日の朝、慈善舞踏会の成果を聞いてマッキントッシュ夫人は有頂天になった。
モンゴメリ卿に気に入られたとしたら、それは大したものだ。
モンゴメリ卿は炯眼で知られていた。ただの美人では目に留めてもらえない。
招待されたと言うことは、貴族界のお眼鏡にかなったと言う意味だ。卿の紹介で、上流社会に出入りできる。
将来の展望は明るい。ヒューズ家なんか問題外だ。
マッキントッシュ夫人の鼻息は荒くなった。
確かにフレデリックはハンサムで誠実だ。一部の女性からは、なかなかの優良物件として認識されている。でも、マッキントッシュ家にとっては、簡単に手が届く人材なのだ。そうではなくて、もっと貴族的な、あるいは驚くような富豪とか……夢見る母にシャーロットはじっとりとした視線を送った。
だが、危機はバラの花束とともにやって来た。
「ヒューズ様がお越しですけれど」
ジェンがシャーロットと母の会話に割って入った。
「え……」
客間に通されたフレドリックは、シャーロットを見るとおずおずと微笑んで、まず花束を進呈した。
「友達に相談したら怒られたよ。いきなり結婚して欲しいとか言いだされたら、誰でも驚くって。その通りだ。申し訳ない」
それにフレデリックは誕生日パーティの時とはまるで違った様子に見えた。ずっと落ち着いた様子で、静かにシャーロットを見つめていた。
彼は小さく笑った。
「あの日は、うっかり舞い上がってしまってね。まずは、今後ともこの家を訪問するお許しをいただきたいのだが」
許可するもしないもなかった。ダメとは言えない。
「夕べはどうしていました? お誘いしたかったのですが……」
「ええと……従姉妹のカーラと舞踏会に行ってました」
フレデリックが少々ひるんだ。
「う……そうですか。次はどのパーティに参加するのですか?」
まさか、自分の行く先々のパーティに来るつもりだろうか。重い。
彼女はひとつだけ予定を教えた。
「モンゴメリ卿のパーティに招待されましたから、卿のガーデンパーティに行くことになりそうです」
フレデリックはぐっと詰まった。そして、シャーロット嬢を改めて見つめた。
モンゴメリ卿と言えば、ただの美人ではなく、どこか見どころのある女性しかパーティに招かないので有名だった。
つまり、シャーロット嬢はモンゴメリ卿のお眼鏡にかなったと言うことか。
そして、困ったことにフレデリックは、卿と面識はあったが、招待されていないのだ。
あんなに大勢の、選りすぐりのイケメンで、評判の良い連中しか参加できないパーティなんかに行ったら、フレデリックへの評価は埋没するどころの騒ぎではない。比較されてダダ下がりだろう。
そして目の前の若く美しい令嬢はもてはやされるに決っていた。
フレデリックが自宅に帰ると、母の侍女が玄関で待ち構えていて、母のヒューズ夫人の部屋に行くよう伝えられた。
本当は母の前に行きたくなかったのだが、ヒューズ家で夫人に逆らえる者はいなかった。
渋るフレデリックから話を聞いて、ヒューズ夫人は、事情を正確に把握した。
シャーロット嬢は、上流の社交界への切符を手に入れたのだ。
「あのお嬢さんが本格的に社交界に出たら間違いなく大勢のライバルが出現しそうだね……」
「モンゴメリ卿のパーティなんかに出たら……」
バラの花束を無事に渡したところまでは良かったが、悩みを抱えることになってしまったのだ。
「大丈夫よ、フレデリック」
ヒューズ夫人は悩む息子にニッコリ微笑みかけた。
「ここは、ひとつ、お父様にお願いしてみましょう」
フレデリックは怪訝な顔をした。武骨な工場主のヒューズ氏に何ができると言うのだ?
デビュー翌々日の朝、慈善舞踏会の成果を聞いてマッキントッシュ夫人は有頂天になった。
モンゴメリ卿に気に入られたとしたら、それは大したものだ。
モンゴメリ卿は炯眼で知られていた。ただの美人では目に留めてもらえない。
招待されたと言うことは、貴族界のお眼鏡にかなったと言う意味だ。卿の紹介で、上流社会に出入りできる。
将来の展望は明るい。ヒューズ家なんか問題外だ。
マッキントッシュ夫人の鼻息は荒くなった。
確かにフレデリックはハンサムで誠実だ。一部の女性からは、なかなかの優良物件として認識されている。でも、マッキントッシュ家にとっては、簡単に手が届く人材なのだ。そうではなくて、もっと貴族的な、あるいは驚くような富豪とか……夢見る母にシャーロットはじっとりとした視線を送った。
だが、危機はバラの花束とともにやって来た。
「ヒューズ様がお越しですけれど」
ジェンがシャーロットと母の会話に割って入った。
「え……」
客間に通されたフレドリックは、シャーロットを見るとおずおずと微笑んで、まず花束を進呈した。
「友達に相談したら怒られたよ。いきなり結婚して欲しいとか言いだされたら、誰でも驚くって。その通りだ。申し訳ない」
それにフレデリックは誕生日パーティの時とはまるで違った様子に見えた。ずっと落ち着いた様子で、静かにシャーロットを見つめていた。
彼は小さく笑った。
「あの日は、うっかり舞い上がってしまってね。まずは、今後ともこの家を訪問するお許しをいただきたいのだが」
許可するもしないもなかった。ダメとは言えない。
「夕べはどうしていました? お誘いしたかったのですが……」
「ええと……従姉妹のカーラと舞踏会に行ってました」
フレデリックが少々ひるんだ。
「う……そうですか。次はどのパーティに参加するのですか?」
まさか、自分の行く先々のパーティに来るつもりだろうか。重い。
彼女はひとつだけ予定を教えた。
「モンゴメリ卿のパーティに招待されましたから、卿のガーデンパーティに行くことになりそうです」
フレデリックはぐっと詰まった。そして、シャーロット嬢を改めて見つめた。
モンゴメリ卿と言えば、ただの美人ではなく、どこか見どころのある女性しかパーティに招かないので有名だった。
つまり、シャーロット嬢はモンゴメリ卿のお眼鏡にかなったと言うことか。
そして、困ったことにフレデリックは、卿と面識はあったが、招待されていないのだ。
あんなに大勢の、選りすぐりのイケメンで、評判の良い連中しか参加できないパーティなんかに行ったら、フレデリックへの評価は埋没するどころの騒ぎではない。比較されてダダ下がりだろう。
そして目の前の若く美しい令嬢はもてはやされるに決っていた。
フレデリックが自宅に帰ると、母の侍女が玄関で待ち構えていて、母のヒューズ夫人の部屋に行くよう伝えられた。
本当は母の前に行きたくなかったのだが、ヒューズ家で夫人に逆らえる者はいなかった。
渋るフレデリックから話を聞いて、ヒューズ夫人は、事情を正確に把握した。
シャーロット嬢は、上流の社交界への切符を手に入れたのだ。
「あのお嬢さんが本格的に社交界に出たら間違いなく大勢のライバルが出現しそうだね……」
「モンゴメリ卿のパーティなんかに出たら……」
バラの花束を無事に渡したところまでは良かったが、悩みを抱えることになってしまったのだ。
「大丈夫よ、フレデリック」
ヒューズ夫人は悩む息子にニッコリ微笑みかけた。
「ここは、ひとつ、お父様にお願いしてみましょう」
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