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第32話 ロストフ公爵対策本部
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ジャックはたじろいだ。
それは……シャーロット嬢に求婚して来いとか、そう言う意味か?
でも、それは無理だ。
ジャックはフレデリックに協力しただけだ。
友情のために。それがジャックの大義名分だった。そうである以上、シャーロットに、今、近づくことはできなかった。
あの手紙が彼の役割を終わらせてしまったのだ。
あの晩、マッキントッシュ家に泣いている彼女を連れて帰って以来、彼はシャーロットに会っていない。
会う理由がなかった。
翌朝、フレデリックは急いでピアから戻ってきた。彼はきっと心配して、なし崩し的に婚約者みたいになったシャーロットのところへ行っているはずだ。
ジャックの役割は済み、誰もジャックのことは思い出さない。
言い訳は全部使い果たしたので、シャーロットに会いに行く口実がなかった。
「そんなの自分で考えなさいよ」
姉はどうでもよさそうに言う。
「じゃなきゃ、フレデリックが助けるべきよ」
しまった。その通りだ。フレデリック、何をしているんだ。
いや、もしかして、ここで俺が助けたら、もしかしたら、俺に何らかの権利が出来はしないだろうか、例えば……
「それにあんまり時間がないわ。ロストフ公爵は、3日後には戻ってくるそうじゃないの。公爵が戻る前に、私たちここを出て避暑に行こうと思っているの。ウィリアムを連れて」
ウィリアムと言うのはロックフィールド家の息子、ジャックの甥の名前だ。
「マークがロストフ公爵の顔は見たくないって言うので。あのバカ公爵が余計なことをするからよ。ほんとに気持ち悪いったら!」
ジャックはロックフィールド家の屋敷を出て、モンゴメリ卿の屋敷へ行くように御者に命じた。何のために行くのか、自分でもわからなかったが。
今やモンゴメリ家の屋敷は、ロストフ公爵対策本部と化していた。
ジャックがなんとなく浮かない様子でモンゴメリ卿の邸宅に着くと、モンゴメリ卿はシルビア・ハミルトン嬢を極上の茶菓で、もてなしているところだった。
シルビア嬢はなぜかこの騒ぎに興味を持ったらしい。
本来なら、真剣に悩んでいるところに興味半分で何をしに来ているんだと怒るところだったが、全くそんな気にならなかった。
ロストフ公爵に最初に出会った時、シャーロットに興味を持つ公爵をなんとかごまかそうとした時からわかっていたが、シルビア嬢は切れ者だった。引っ込み思案そうに微笑んでいるくせに、クリスチンとは違った意味でものすごく頼りになる。
ボードヒル子爵の言い草ではないが、『彼女ならどうにかしてくれる』気がする。
彼女がいるだけでほっとするのは、ジャックだけではないらしかった。
モンゴメリ卿も何とか口実を設けては、彼女を自分の邸宅に呼んでいた。
ジャックが帰って来た日の翌日、モンゴメリ卿も戻ってきていた。彼のパーティが終わったので、それ以上ピアにいる気がなくなったらしい。
「あんなしょっぱいピアは初めてだ」
モンゴメリ卿が渋い顔をしていた。
「私はボードヒル子爵との関係があるので、今年もピアでパーティを開いたが、参加者が少ない少ない。特に、若い未婚の娘は一人もいなかった。ロストフ公爵の噂が聞こえてきたので、娘たちは誰もピアに行かなかったんだと思う。シャーロットとジャックは一歩も外に出なかったろう? だからわからなかったと思うが……」
ロストフ公爵もおかしいと思い始めたところへあの手紙だ。
あれを読んで、陰で馬鹿にされていると感じ始めたらしい。
「誰が書いたのだろう? 何の意味もない。不愉快にさせるだけだろう」
「書いたのはもしかすると、例の十人の令嬢の家の誰かかも知れませんね」
ジャックが言った。姉の受け売りだが。
モンゴメリ卿は訳が分からなくて、ジャックを見詰めた。
「一番のお気に入りのシャーロット嬢に、夫どころか婚約者もいないとなれば、彼女が北の国に引っ張られる可能性が最も高くなる。自分の家の娘が助かると考えたのかもしれません」
モンゴメリ卿も、そばで聞いていたシルビア・ハミルトン嬢も目を見張った。
「すごいわ。その可能性は考えなかったわ。なんて頭がいいの? ジャック!」
褒められてもうれしくもなんともなかった。クリスチンなんか二度と会いたくない。
「いずれにせよ、公爵は社交界からは総スカンだ。せいぜい王室が歓迎パーティでもやるだろう」
モンゴメリ卿があざけるように言った。
「未婚の若い令嬢は当日体調不良で全員欠席かも知れませんけどね」
ハミルトン嬢があきらめたように言った。
ハミルトン嬢は地味な色合いだが、上着とスカートの色目がなんとも粋な組み合わせを着こなしていた。そのただの訪問の装いを見ても、社交界でもセンス抜群と言われている理由がわかる。それにとても美人だ。ジャックはなんとなくモンゴメリ卿に視線を向けた。
ここにハミルトン嬢がいるのは、モンゴメリ卿から、ぜひ一緒に相談に乗ってもらいたいと頼まれたからだと言う。今朝、ボードヒル子爵からモンゴメリ卿に、困ったことになったと連絡があったそうだ。
「一体何があったと言うのかしら」
真剣な様子なのに、ほんの少し、ハミルトン嬢が楽しそうなのが気になった。ジャックはおちおちしていられないと言うのに。
どうせ、ろくな話ではないだろう。
それでもジャックもハミルトン嬢には、ぜひこの場に参加してもらいたかった。ろくな話じゃないに決まっている以上、余計にだ。
「ジャックが来てくれてちょうどよかった。君も呼ぶかどうか、悩んでいたところだ」
モンゴメリ卿が心配そうに言った。
「モリソンのやつ、なんだって言うんだ」
本来なら、フレデリックを呼ぶところなのだろうが、フレデリックでは役に立たないことははっきりしていた。正直者はこの場合、歩が悪い。全員、それは認識していた。暗黙の了解と言うやつだ。
「おお、来た」
「何を持ってきたんだ、モリソン?」
渋い顔をしたボードヒル子爵が、モンゴメリ卿へ分厚い紙の束を渡した。
「手紙か?」
子爵は疲れて鉛色になった顔色で頷いた。
「マッキントッシュ家へ、ロストフ公爵から届いた手紙だ」
それは……シャーロット嬢に求婚して来いとか、そう言う意味か?
でも、それは無理だ。
ジャックはフレデリックに協力しただけだ。
友情のために。それがジャックの大義名分だった。そうである以上、シャーロットに、今、近づくことはできなかった。
あの手紙が彼の役割を終わらせてしまったのだ。
あの晩、マッキントッシュ家に泣いている彼女を連れて帰って以来、彼はシャーロットに会っていない。
会う理由がなかった。
翌朝、フレデリックは急いでピアから戻ってきた。彼はきっと心配して、なし崩し的に婚約者みたいになったシャーロットのところへ行っているはずだ。
ジャックの役割は済み、誰もジャックのことは思い出さない。
言い訳は全部使い果たしたので、シャーロットに会いに行く口実がなかった。
「そんなの自分で考えなさいよ」
姉はどうでもよさそうに言う。
「じゃなきゃ、フレデリックが助けるべきよ」
しまった。その通りだ。フレデリック、何をしているんだ。
いや、もしかして、ここで俺が助けたら、もしかしたら、俺に何らかの権利が出来はしないだろうか、例えば……
「それにあんまり時間がないわ。ロストフ公爵は、3日後には戻ってくるそうじゃないの。公爵が戻る前に、私たちここを出て避暑に行こうと思っているの。ウィリアムを連れて」
ウィリアムと言うのはロックフィールド家の息子、ジャックの甥の名前だ。
「マークがロストフ公爵の顔は見たくないって言うので。あのバカ公爵が余計なことをするからよ。ほんとに気持ち悪いったら!」
ジャックはロックフィールド家の屋敷を出て、モンゴメリ卿の屋敷へ行くように御者に命じた。何のために行くのか、自分でもわからなかったが。
今やモンゴメリ家の屋敷は、ロストフ公爵対策本部と化していた。
ジャックがなんとなく浮かない様子でモンゴメリ卿の邸宅に着くと、モンゴメリ卿はシルビア・ハミルトン嬢を極上の茶菓で、もてなしているところだった。
シルビア嬢はなぜかこの騒ぎに興味を持ったらしい。
本来なら、真剣に悩んでいるところに興味半分で何をしに来ているんだと怒るところだったが、全くそんな気にならなかった。
ロストフ公爵に最初に出会った時、シャーロットに興味を持つ公爵をなんとかごまかそうとした時からわかっていたが、シルビア嬢は切れ者だった。引っ込み思案そうに微笑んでいるくせに、クリスチンとは違った意味でものすごく頼りになる。
ボードヒル子爵の言い草ではないが、『彼女ならどうにかしてくれる』気がする。
彼女がいるだけでほっとするのは、ジャックだけではないらしかった。
モンゴメリ卿も何とか口実を設けては、彼女を自分の邸宅に呼んでいた。
ジャックが帰って来た日の翌日、モンゴメリ卿も戻ってきていた。彼のパーティが終わったので、それ以上ピアにいる気がなくなったらしい。
「あんなしょっぱいピアは初めてだ」
モンゴメリ卿が渋い顔をしていた。
「私はボードヒル子爵との関係があるので、今年もピアでパーティを開いたが、参加者が少ない少ない。特に、若い未婚の娘は一人もいなかった。ロストフ公爵の噂が聞こえてきたので、娘たちは誰もピアに行かなかったんだと思う。シャーロットとジャックは一歩も外に出なかったろう? だからわからなかったと思うが……」
ロストフ公爵もおかしいと思い始めたところへあの手紙だ。
あれを読んで、陰で馬鹿にされていると感じ始めたらしい。
「誰が書いたのだろう? 何の意味もない。不愉快にさせるだけだろう」
「書いたのはもしかすると、例の十人の令嬢の家の誰かかも知れませんね」
ジャックが言った。姉の受け売りだが。
モンゴメリ卿は訳が分からなくて、ジャックを見詰めた。
「一番のお気に入りのシャーロット嬢に、夫どころか婚約者もいないとなれば、彼女が北の国に引っ張られる可能性が最も高くなる。自分の家の娘が助かると考えたのかもしれません」
モンゴメリ卿も、そばで聞いていたシルビア・ハミルトン嬢も目を見張った。
「すごいわ。その可能性は考えなかったわ。なんて頭がいいの? ジャック!」
褒められてもうれしくもなんともなかった。クリスチンなんか二度と会いたくない。
「いずれにせよ、公爵は社交界からは総スカンだ。せいぜい王室が歓迎パーティでもやるだろう」
モンゴメリ卿があざけるように言った。
「未婚の若い令嬢は当日体調不良で全員欠席かも知れませんけどね」
ハミルトン嬢があきらめたように言った。
ハミルトン嬢は地味な色合いだが、上着とスカートの色目がなんとも粋な組み合わせを着こなしていた。そのただの訪問の装いを見ても、社交界でもセンス抜群と言われている理由がわかる。それにとても美人だ。ジャックはなんとなくモンゴメリ卿に視線を向けた。
ここにハミルトン嬢がいるのは、モンゴメリ卿から、ぜひ一緒に相談に乗ってもらいたいと頼まれたからだと言う。今朝、ボードヒル子爵からモンゴメリ卿に、困ったことになったと連絡があったそうだ。
「一体何があったと言うのかしら」
真剣な様子なのに、ほんの少し、ハミルトン嬢が楽しそうなのが気になった。ジャックはおちおちしていられないと言うのに。
どうせ、ろくな話ではないだろう。
それでもジャックもハミルトン嬢には、ぜひこの場に参加してもらいたかった。ろくな話じゃないに決まっている以上、余計にだ。
「ジャックが来てくれてちょうどよかった。君も呼ぶかどうか、悩んでいたところだ」
モンゴメリ卿が心配そうに言った。
「モリソンのやつ、なんだって言うんだ」
本来なら、フレデリックを呼ぶところなのだろうが、フレデリックでは役に立たないことははっきりしていた。正直者はこの場合、歩が悪い。全員、それは認識していた。暗黙の了解と言うやつだ。
「おお、来た」
「何を持ってきたんだ、モリソン?」
渋い顔をしたボードヒル子爵が、モンゴメリ卿へ分厚い紙の束を渡した。
「手紙か?」
子爵は疲れて鉛色になった顔色で頷いた。
「マッキントッシュ家へ、ロストフ公爵から届いた手紙だ」
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