正妃(男)の転生 ー2度目の人生は愛に振り回されない!ー

きたおろし

文字の大きさ
2 / 13
第1章 1度目の人生での反省点と今後の人生プラン

新しい人生 

しおりを挟む
ゆっくりと目を開けると見慣れた天井が目に入る。白くて、綺麗で、夢を通して見ていた過去の記憶の牢屋とは全然違う。

「…………………。」

夢を見ることは記憶の整理をするためらしいが、過去のことをまだ夢で見るのは自分がまだ心のどこかで昔に囚われているだからだろうか。

昨日遅く寝たせいだ、と自分に言い聞かせてエリーはゆっくりとベッドを出た。

部屋の姿見に映る自分はいつもと変わらない。色の白い肌にひょろりとした体。
前世でも今世でもこの少し病弱な身体は変わらない。顔立ちもぱっとしない平凡な造りはそのままだ。

ひとつ変わったとしたら、髪だろう。
目の色も髪の色もこちらも前世と変わらず黒髪黒目だが、さっぱりと短く整えられた黒髪は明らかに前世とは違う。

『エヴィ、お前の黒髪は美しいな。神秘的な色合いと相まって夜に溶けていきそうだ…………。』

過去に自分を見てそう言った男がいた。
愛称で自分を呼び、愛していると囁いて。
本当に愛してくれていたのかは分からないが、純粋だった昔の自分は少しでも好かれるところを増やそうとそれは念入りに手入れをし、長く伸ばした。

でも今はそんなことをするつもりはない。
短くなった黒髪は遥か昔の過去と自分はもう違うという意志表示だった。


コンコンコン、とドアをノックする音が部屋に響く。

「エリー様、ご起床のお時間でございます。」

使用人がエリーを起こしにきたのだ。

「もう起きてるから入って。」

「失礼いたします。」

そう言って入ってきたのは専属執事のアランだ。明るい茶髪を綺麗に整え、今日も完璧な姿でエリーに仕える。

姿見の前でぼーっと立ち尽くすエリーを見て、アランは驚かない。エリーが生まれて物心ついてから15歳の今まで仕えてきて主人の少し変わった行動にはもはや慣れているからだ。

「今日の朝食はリナリー様も久々にご出張からお帰りになられて家族揃ってのお食事になりますね。」

エリーの服を着替えさせながらアランが言う。

「リナリーお兄様が……。いつもより騒がしくなりそうだ。」

呆れた声を出してもその声には隠しきれない嬉しさがあった。
少し意地の悪い主人の隠しきれない笑みを見てアランもバレないように微笑んだ。




支度をアランにしてもらい、部屋を出たエリーは朝食を家族と食べるため食堂に足を向けた。

歩いている途中すれ違う大勢の使用人に頭を下げられる。

(やっぱ多いよな。使用人の数。)

一般家庭では使用人は雇わない。
金持ちの商人でさえ使用人を2、3人雇うくらいだ。ましてやアランのように専属の執事を長年つけるとしたら莫大な費用がかかる。質の良い使用人を揃えるための初期費用などもあるからだ。


しかし、エリーの家ではそのような教養のあるメイド、執事、使用人が大勢いる。



……………なんの因果か、前世でも今世でもエリーは貴族であった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...