DRAGONS

ぜろせろり

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第1章

12話 ガイア

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再び椿はガイアに向かって走り出した。
ガイアの攻撃を防げるのはあと1回。
無駄に使ってしまうとあの岩柱の攻撃をまともに食らうことになる。
さっきはあれに押し飛ばされただけで済んだが、次はそう簡単には済まないだろう。
右手の拳を必死に握り全速力で近付いていく椿。そして...再びきた浮遊感。
「あっ...」
しかし、その浮遊はガイアの岩柱によるものではない。
────そう。
「椿!!いくんじゃ!!!」
神龍の遣い、ココのクリスタルによるものだったのだ。
椿はクリスタルに押されガイアとの距離を詰めていく、だがガイアとの距離は15mほど、このままだと何かしらガイアの妨害が入るだろう。
「最上級能力...イーリアス・アロイア!!」
そう叫んだガイアの目の前に高さ4mくらいの岩の塊が出現した。
「沈めぇええええ!!!!」
今度はそう叫び岩の塊を右手で殴り飛ばす。
椿は全力で迎撃体勢をとり、岩の塊を破壊。
椿がこれ以上の抵抗ができなくなったその途端。
「ゴライア!!」
さらに技を出してきた。
きっとガイアは能力の切れ時を読んでいたのだろう。
────だが。
「間違ってんだって言ってるだろ。」
椿は新たに出現した岩柱をいとも簡単に破壊し、そのまま右手の拳はガイアの顔面へとめり込む。
そしてその衝撃でガイアは後ろへ吹っ飛び、気絶した。
「......俺は攻撃を無効化してんじゃねぇ。力を奪ってんだ。だからお前が強い攻撃を打つたび俺は強くなってたんだよ。」
気絶するガイアに椿はそう言い放って、
椿もまた気を失った。



それから何時間たっただろうか。
もう見慣れた自分の部屋の天井が見える。閉められたカーテンから朝日がこぼれる。
そして左手に人の手の感覚がある。
「...やっと起きたのね。」
「あぁ...ごめんサユリ。気失ってたんだ。」
「椿は滅龍の遣いといえど、能力初心者でしょ?無理に能力を連発したら体がおかしくなるのも当然なのよ。」
「ははは...そうだな。もっと練習しなきゃな...あ、そういえばガイアは?」
「ガイア様なら1階で休ませてるわ。」
「あの...じゃあ2人だけで会わせてもらっても大丈夫かな」



扉が開く音がする。
まだ目眩がするため目を開きたくない。
「大丈夫か?」
昨日の夜散々聞いた男の声だ。
「なんだよ。勝者のお前が敗者の俺を馬鹿にしに来たならさっさと帰りやがれ。」
「ちげーよ。勝手に決めつけんな。で、俺から一つお願いがあるんだ。」
「願いだァ?」
「俺らの仲間になってくれないか?」
「は?」
「いやぁぶっちゃけ俺って能力初心者で昨日あんな力使えたのも今まで体内のウォーナを貯めすぎてたからなんだよ。それも昨日だいぶ使っちゃったし。そんでこの屋敷にいる人でまともに戦える人といえば神龍のココさんと幼い女の子しかいないわけ。でもココさんも歳が歳だから無理はさせたくない。幼い女の子にもあまり戦わせたくない。だから登場すんのがお前だ。」
「いやいやいや!!ちょっとまてや!!俺はお前らを殺そうとしてた人間だぜ?そんなやつ普通...」
「俺はお前をすっげぇつええって思うし、信頼してる。なんでかって聞かれると正直よくわかんねぇ。分かんねぇことだらけだよ。でもさ、俺はなんとなくだけどお前とならうまくやっていけそうな気がする。」
「......いいのかよ。ほんとに。」
「あぁ。大歓迎だ!!」




「お前......最高だぜ。ほんと。」




レイストン邸の「家族」は新たな仲間
地龍の遣い ナーグ・ガイアを迎えて
5人となった。


第1章、完結。
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