DRAGONS

ぜろせろり

文字の大きさ
53 / 72
第4章

51話 神魔の戦い Ⅰ

しおりを挟む
「...最近あのお婆さんが死んだってことはぁ。噂で聞いてたんだけどぉ。神龍の継承者っていうのはぁ、やっぱりあなたなのぉ?」

「...えぇ、私が神龍の遣い、サユリ・レイストン。今宵あなたを狩る者よ。」

「なるほどぉ。随分立派になったんだねぇ。えらいえらぁい。」

「...ガイアはどうしたの。」

「...ガイア?あの大きな男の人のことかなぁ?あの人なら今頃屋敷の扉の前で悶えてるよぉ?」

「ガイアがそんなにあっさりと...」

「あれれぇ?動揺しちゃってるぅ?諦めてその若々しい体を私に譲ってくれてもいいんだよぉ?」

「お断りするわ。」


対立する2人は会話をしながらもそれぞれ出方をうかがっていた。

サユリはまだ神龍の力に慣れてないとはいえ、その力自体は魔龍をも上回る強大な力。

サユリはとにかく攻撃を確実に当てようと思い、先に動き始めた。

魔龍に迫るサユリ。だが魔龍は1歩も動こうとはしない。

「グラバス。」

魔龍の空間爆発能力。ウォーナの消費を抑えつつ十分な破壊力を持つ。

幸いにもそれは直撃はしなかったもののその爆煙により視界を奪われる。

────まるで、10年前のように。







「イベルザッ!!」

場所を肉眼で特定できないと判断したサユリはおもむろに技を発動する。

だが、それは当たる気配もなく、

「どこに打ってるのぉ?」

ただ嘲笑う魔龍の声が聞こえるだけ。

サユリは体勢を低くし、別の部屋へ移動しようと扉へ向かう。

魔龍はこの行動に気づいていない。

爆煙を抜け、ロビーから脱出したサユリは一度呼吸を整えて魔龍を待つ。

「なるほどぉ。ちょっとは頭がよかったみたいだねぇ。でもまた同じことされたらどうするのかなぁ?」

焦るサユリをじわじわと攻める魔龍。

「させる前に、当てる...!!」

「クリアザ!!」

放たれたクリスタルは魔龍の足元に刺さる。

そして一気に破裂し、足が動かせなくなった魔龍。

「面白いねぇ。次はどんなことしてくれるのかなぁ...グレイブ!!」

「クリアライト!!」

黒光りする針状の物体を光の結界が包み込む。

「やだぁ。私このままだとやられちゃうよぉ。」

「...イベルザ。」

魔龍の言葉を遮るようにサユリは技を発動。
クリスタルは魔龍の体の中心に向かい、曲線を描きながら飛んでいく。

そして...






そのクリスタルは全て魔龍の体に突き刺さり、破裂。

「え...こんなにあっさりと...?」

魔龍の体は光に包まれ見えなくなった。





しかし、





「...!?」





突如サユリは首を掴まれる。











「...まだ魔龍の力を学習してないみたいだねぇ。瞬時に身代わりを作ることぐらいぃ。簡単なんだよねぇ。」




サユリの真後ろに立っていたのは、
傷1つない魔龍だった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...