DRAGONS

ぜろせろり

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第5章

60話 理解不能な絶対的能力

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「椿!!椿!!」

宙が必死に体を揺らすも反応はない。

「...お前、椿に何をしたぁ!!」

右手を高く上げたままのアグリに宙は叫ぶ。

「我の力が完全となった時、茅崎椿の持つ力さえも我が手の内にある。」

アグリは右手を下ろし、ゆっくりと椿の方へと歩き出す。

それに気づいた宙は立ち上がり、両手を広げる。

「あとは...その身を頂くだけだ。」

「これ以上椿に...触れるなぁ!!」

大声とともに一気に結界を展開する。

だが、

展開された結界はアグリが触れると瞬く間に消滅した。

「...!!」

「我は王だ。王たる者が貴様のそのような技に屈することはない。」





「...ゴライアァァ!!」

ガイアの不意打ちでアグリの足元から岩の柱が出てきたが、それもアグリに触れた途端に粉砕された。

「どけ。」

「......」

「どかぬなら...」

アグリは拳を強く握り、床を殴る。

すると、そこから壁に向かって衝撃波が発生し、4人は壁に叩きつけられる。

「いったた...なんなんですか!!あの力は!!」

「それより...椿が...危ないわ...」

アグリは椿にゆっくりと近づき、そっとしゃがむとその肩に触れた。

そして、椿の体が少しずつ薄れていく。

「おおおおおまああああええええええ!!!」

宙が怒り狂い全速力で近付くも再び衝撃波によって吹き飛ばされる。

椿の体は完全に見えなくなり、

「これで...これで我は完全体だ...!!我の...我だけの支配が始まるのだ!!」

そういうとアグリは立ち上がり、

「ではまず...メルト・ミルヘスの館でも破壊しようか...」

アグリの背中から真っ黒な翼が生え、祠を抜け、空へ飛び立った。

「メルト様が危ない。急いで戻るわ!!マリス様、宙、ガイア、こっちへ来てもらえるかしら。」

紗由里の言う通りに3人は集まり、

「初めてだから上手くいくかわからないけど...テレリア。」

紗由里が使ったのは魔龍の転移能力。

一度見たことのある相手の500m範囲内に転移できるという力。

ここからミルヘス邸まではそう遠くないため、飛び立ったアグリはもう到着していてもおかしくはない。

そうして、転移に成功し、視界がハッキリとしたとき。



















────既にミルヘス邸からはいくつもの火の手が上がり、崩壊状態だった。
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