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10.キミを助けたい
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しおりを挟む「どうだった?」
タマキが不安そうにたずねてきたので、オレは水瀬とのテレパシーの内容を説明した。
「そんな……」
「タマキ、水瀬を助けたいよな?」
「あたりまえだよ!」
「なら、おまえも説得してくれ」
「どうやって?」
「オレがテレパシーで伝えるから、水瀬と話してみてくれ」
タマキは一瞬とまどった顔を浮かべたが、すぐに大きくうなずいた。
「わかったよ。わたしも、カオリちゃんに伝えたいことがあるし」
オレはタマキの手をにぎって、テレパシーの準備をした。
コマに呼びかけたときと同じようにすればいいはず。
【水瀬、今からタマキとつなぐから】
【え、タマちゃんと……?】
【カオリちゃん、あたしだよ。聞こえる?】
【……うん、聞こえるよ】
お互いの言葉をうまくつなげたようで、オレはホッとする。
これで、三人でグループ通話をしているような状態になった。
【こないだした、いっしょに遊ぶ約束、いつがいいかな? 楽しみだよねー。やっぱ夏休みに入ってすぐにしようか? あ、そのまえにテストがあるか。あたしって理科以外苦手だから、カオリちゃんに勉強を教えてもらいたいな】
【……タマちゃん、なに言ってるの?】
水瀬は困惑しているようだ。
オレも、なに言ってんだこいつ? と思った。
水瀬は誘拐されて、遊びの約束やテストのことなんて考えている場合ではない。
やめさせようか迷ったが、タマキと目が合うと「あたしにまかせて!」という顔をしていた。
【いっしょに洋服を買いにいったら、きっと、カオリちゃんはあたしに似合う服を選んでくれるんだろうな。あ、でも、あんまり高いのはムリだよ】
タマキは、放課後にいっしょに帰っているときみたいに、どうでもいい雑談を、いつまでもつづけていく。
【……ってわけだから、カオリちゃんを助けるのは、決定事項だよ! カオリちゃんがいなくなると、あたしが困るんだ! まだまだいっしょにやりたいこと、いっぱいあるんだから!】
【タマちゃん……わたし……死にたくない】
水瀬の声が泣きそうになった。
これからの楽しい予定を話していたのは、大きな意味があったようである。
タマキの言葉は、水瀬の心を動かしたのだ。
【まかせろ! 絶対安全なスペシャルな作戦で、おまえのことを助けてやる】
オレは胸を強くたたきながら、力強くいった。
【朝丘くん……お願い、わたしを助けて!】
「とりあえずは、無事でよかったな」
「うん、どこもケガしてなかったみたいだし」
テレパシーを終えると、オレとタマキはそろって、安心のため息をついた。
水瀬が助かる気になってくれただけでも、大きな前進だ。
「ところで、絶対安全なスペシャルな作戦ってどんなの?」
「そんなのあるわけねーだろ」
「えっ、テレパシーでウソつけないんじゃなかったの?」
「ウソじゃねーって。これから長谷川先生が考えてくれるんだから」
「うわっ、あんなにカッコつけといて、人まかせなの……」
タマキの目が呆れたように、ジトッとしたものになった。
オレは気まずげにタマキから視線をそらすと、準備室のドアが開く。
長谷川先生がタブレットを手に、部屋に入ってきた。
「待たせたね、すぐにはじめようか」
「あ、先生。さっきまで水瀬とテレパシーで会話してたんですけど、どこかの倉庫に捕まってるみたいです。見張りには、拳銃を持った男たちが五人ほどいました。映像を送ってもらったら、漁師の道具がたくさんあったので、港の近くだと思います」
「なんだって! テレパシーでそんなことまでできるのかい! ……あ、いや、いかん。それは後回しだな。了解、港付近から調べていくことにしよう」
長谷川先生の目が一瞬、好奇心にかがやいたが、あわてて首をふる。
タブレットの電源を入れて、地図を起動させた。
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