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11.救出作戦、開始!
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オレの本音としては、このまま乗りこんでいって助けたいところだが、銃を持った誘拐犯相手に、ムチャなのはわかっていた。
「場所も確認できたし、移動しようか」
「はい」
作戦を実行するために、近くにある公衆トイレに向かう。
すぐそばがボート置き場になっていたので、オレたちはプレジャーボードの影にかくれた。
「よし、ここなら大丈夫だろう」
長谷川先生は、満足そうにうなずいた。
近くに照明がなくて暗いので、とおりからこちらの姿を確認するのは、不可能に近い。
「テレパシーで、水瀬を呼びよせますか?」
「うん。頼んだよ」
オレは頭の中に水瀬の顔を思い浮かべて、テレパシーを開始した。
【水瀬、起きてるか? 家に帰る時間だぞ!】
【うん、もちろん起きてるよ。ちゃんと来てくれたんだね】
水瀬のうれしそうな声が返ってきた。
今の水瀬は、オレたちに助けてもらいたい、と心から思っているようである。
【それじゃ、作戦どおりにやってくれ】
【わかった、やってみるよ。でも、あぶなくなったら、朝丘くんたちはテレポーテーションで逃げてね。わたしのことはいいから】
【それは……】
【おねがい、それだけは約束して! じゃないと、安心して作戦に協力できない】
【……わかった】
水瀬の有無を言わせない口調に、うなずくしかなかった。
「……朝丘くん、まだ終わらないのかい?」
水瀬との約束について考えていると、不意に長谷川先生に肩をたたかれる。
「あ、終わりました。作戦開始です」
「そうか、ならすぐに来るだろうね。集中しよう」
「はい!」
オレは顔をパンと両手でたたいて、気合を入れた。
(大丈夫、作戦どおりにやれば、あぶないことなんてあるわけがない!)
それからは、オレたちは一言も発せずに息を殺して待つ。
そして十分ぐらい経過すると、水瀬が二人の男に連れられて歩いてきた。
太った男と、やせた男の二人組である。
【どうします?】
長谷川先生に、テレパシーで話しかけた。
【太っている奴は、しめ落とすまで時間がかかりそうだな……朝丘くんは、やせた男をサイコキネシスでおさえといてくれるかな?】
【わかりました】
長谷川先生の指示に、オレはうなずいた。
水瀬を連れている二人の男は、だるそうに、ブラブラと歩いてくる。
「まったく、ガキの世話とか面倒でしょうがねえな。こんな時間にトイレにいきてえとか」
「まあそう言うな。この仕事が終われば、たんまり金をもらえるんだし。なんせ、水瀬コーポレーションのお嬢さまだからな。ボスが身代金に十億円を要求したって」
「ヒュー、すげーな!」
二人組は、オレたちに気づいた様子はない。
水瀬は、しゃべられないように口には布みたいなものをつめこまれてしばられ、首には犬みたいに首輪をつけられて、ロープでつながれながら、歩かせられていた。
三人の歩く足音だけが、だれもいない港に、コツコツとひびく。
テレパシーではわからなかったが、水瀬の服は薄汚れていて、顔には明らかに疲労の色が浮かんでいた。
(あいつら、ゆるせねー!)
そんな水瀬の様子を見て、オレの頭に血がのぼる。
男たちとの距離が五メートルくらいになると、長谷川先生がオレの背中をたたいた。
作戦開始の合図だ。
長谷川先生は太った男を目がけて、風のように駆けていく。
オレはポケットから石ころを取りだすと、やせた男に向かって、サイコキネシスで飛ばした。
サイコキネシスでおさえておくだけでいいと言われていたが、攻撃しないと気がすまない。
(水瀬に酷いことをしたんだから、こいつらも酷い目にあわせてやる!)
石はすさまじい勢いで男の腹にめりこみ、地面にコトッと落ちた。
「ぐっ、がはっ……な……」
やせた男はつばのようなものを吐き出しながら、地面をのたうち回る。
その光景を見たら、頭がスッと冷えた。
オレは……なにか……とんでもないことをしてしまった気がして……。
「終わったよ。もう大丈夫だ」
オレが呆けていたら、長谷川先生が二人の男を気絶させていた。
今は、持ってきたロープで、グルグルとしばっている。
「……サイコキネシスでおさえてるだけでいいって、言ったよね?」
「……すみません」
「まあ、お説教はあとにしよう。水瀬さんを頼むよ。すぐに脱出しよう」
「はい!」
オレは急いで水瀬に近よると、口をしばっていた布をほどこうとした。
「くっ、かたいな……って、暴れんな。じっとしてろ」
オレがほどくのに手間取っていると、水瀬がバタバタと暴れだした。
【トイレに……人が……】
頭の中に直接、水瀬の声がかすかに聞こえてくる。
水瀬のテレパシーだ。
あわててふりむくと、トイレの入り口に男がいた。
こちらを見て、驚いた顔をしていた。
どうやら、たまたまトイレに入っていた誘拐犯がいたらしい。
(ビーーー、ビーーー、ビーーー)
頭の中に、けたたましい音が鳴りひびき、『アラーム』が発動した。
(くそっ、なにが起こるんだ)
オレは目を閉じ、深く息を吸い込む。
そして覚悟を決めると、目を開けた。
トイレの入り口にいた男は、胸に手を入れると拳銃を取りだした。
オレには、向けていないようだ。
誘拐犯たちをロープでしばっていた長谷川先生は、あわててふり向くが遅かった。
バァーーン。
拳銃の先が一瞬赤く光り、なにかが破裂したような大きな音が、夜の港にひびきわたる。
「うっ……」
長谷川先生はひざをつき、手で胸をおさえる。
白衣の左胸にあるポケットから、赤い染みが広がり、手からは赤い液体が、ポタポタとこぼれ落ちていく。
そしてそのまま、うつぶせでたおれてしまう……。
(ふざけんなっ!)
『現実』にもどったオレは、すぐにトイレの方を向く。
トイレから出てきた男は、長谷川先生に向かって、拳銃をかまえていた。
いつもよりも、時間のよゆうがまったくない。
サイコキネシスで石を飛ばしても間に合わない。
次の瞬間には、長谷川先生が倒れてしまう。
ギリギリである。
考えるよりも先に、体が動いた。
テレポーテーションを発動させる。
長谷川先生のまえに移動すると、ペンダントを先生の左胸のポケットのまえにかかげた。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉっ!」
サイコキネシスを全力で使う。
バァーーン。
ガシャーーン。
「うっ……」
破裂する音と、なにかが割れるような音がする。
腕から全身に、電撃を食らったみたいだ。
ビリビリして、まったく動けない。
「くそっ! 朝丘くん」
「ぐはぁっ!」
先生の声と悲鳴が遠くで聞こえている。
(……オレ、死ぬのか?)
どうなったのか、よくわからない。
あたりの景色が、じょじょに黒く染まっていく……。
「場所も確認できたし、移動しようか」
「はい」
作戦を実行するために、近くにある公衆トイレに向かう。
すぐそばがボート置き場になっていたので、オレたちはプレジャーボードの影にかくれた。
「よし、ここなら大丈夫だろう」
長谷川先生は、満足そうにうなずいた。
近くに照明がなくて暗いので、とおりからこちらの姿を確認するのは、不可能に近い。
「テレパシーで、水瀬を呼びよせますか?」
「うん。頼んだよ」
オレは頭の中に水瀬の顔を思い浮かべて、テレパシーを開始した。
【水瀬、起きてるか? 家に帰る時間だぞ!】
【うん、もちろん起きてるよ。ちゃんと来てくれたんだね】
水瀬のうれしそうな声が返ってきた。
今の水瀬は、オレたちに助けてもらいたい、と心から思っているようである。
【それじゃ、作戦どおりにやってくれ】
【わかった、やってみるよ。でも、あぶなくなったら、朝丘くんたちはテレポーテーションで逃げてね。わたしのことはいいから】
【それは……】
【おねがい、それだけは約束して! じゃないと、安心して作戦に協力できない】
【……わかった】
水瀬の有無を言わせない口調に、うなずくしかなかった。
「……朝丘くん、まだ終わらないのかい?」
水瀬との約束について考えていると、不意に長谷川先生に肩をたたかれる。
「あ、終わりました。作戦開始です」
「そうか、ならすぐに来るだろうね。集中しよう」
「はい!」
オレは顔をパンと両手でたたいて、気合を入れた。
(大丈夫、作戦どおりにやれば、あぶないことなんてあるわけがない!)
それからは、オレたちは一言も発せずに息を殺して待つ。
そして十分ぐらい経過すると、水瀬が二人の男に連れられて歩いてきた。
太った男と、やせた男の二人組である。
【どうします?】
長谷川先生に、テレパシーで話しかけた。
【太っている奴は、しめ落とすまで時間がかかりそうだな……朝丘くんは、やせた男をサイコキネシスでおさえといてくれるかな?】
【わかりました】
長谷川先生の指示に、オレはうなずいた。
水瀬を連れている二人の男は、だるそうに、ブラブラと歩いてくる。
「まったく、ガキの世話とか面倒でしょうがねえな。こんな時間にトイレにいきてえとか」
「まあそう言うな。この仕事が終われば、たんまり金をもらえるんだし。なんせ、水瀬コーポレーションのお嬢さまだからな。ボスが身代金に十億円を要求したって」
「ヒュー、すげーな!」
二人組は、オレたちに気づいた様子はない。
水瀬は、しゃべられないように口には布みたいなものをつめこまれてしばられ、首には犬みたいに首輪をつけられて、ロープでつながれながら、歩かせられていた。
三人の歩く足音だけが、だれもいない港に、コツコツとひびく。
テレパシーではわからなかったが、水瀬の服は薄汚れていて、顔には明らかに疲労の色が浮かんでいた。
(あいつら、ゆるせねー!)
そんな水瀬の様子を見て、オレの頭に血がのぼる。
男たちとの距離が五メートルくらいになると、長谷川先生がオレの背中をたたいた。
作戦開始の合図だ。
長谷川先生は太った男を目がけて、風のように駆けていく。
オレはポケットから石ころを取りだすと、やせた男に向かって、サイコキネシスで飛ばした。
サイコキネシスでおさえておくだけでいいと言われていたが、攻撃しないと気がすまない。
(水瀬に酷いことをしたんだから、こいつらも酷い目にあわせてやる!)
石はすさまじい勢いで男の腹にめりこみ、地面にコトッと落ちた。
「ぐっ、がはっ……な……」
やせた男はつばのようなものを吐き出しながら、地面をのたうち回る。
その光景を見たら、頭がスッと冷えた。
オレは……なにか……とんでもないことをしてしまった気がして……。
「終わったよ。もう大丈夫だ」
オレが呆けていたら、長谷川先生が二人の男を気絶させていた。
今は、持ってきたロープで、グルグルとしばっている。
「……サイコキネシスでおさえてるだけでいいって、言ったよね?」
「……すみません」
「まあ、お説教はあとにしよう。水瀬さんを頼むよ。すぐに脱出しよう」
「はい!」
オレは急いで水瀬に近よると、口をしばっていた布をほどこうとした。
「くっ、かたいな……って、暴れんな。じっとしてろ」
オレがほどくのに手間取っていると、水瀬がバタバタと暴れだした。
【トイレに……人が……】
頭の中に直接、水瀬の声がかすかに聞こえてくる。
水瀬のテレパシーだ。
あわててふりむくと、トイレの入り口に男がいた。
こちらを見て、驚いた顔をしていた。
どうやら、たまたまトイレに入っていた誘拐犯がいたらしい。
(ビーーー、ビーーー、ビーーー)
頭の中に、けたたましい音が鳴りひびき、『アラーム』が発動した。
(くそっ、なにが起こるんだ)
オレは目を閉じ、深く息を吸い込む。
そして覚悟を決めると、目を開けた。
トイレの入り口にいた男は、胸に手を入れると拳銃を取りだした。
オレには、向けていないようだ。
誘拐犯たちをロープでしばっていた長谷川先生は、あわててふり向くが遅かった。
バァーーン。
拳銃の先が一瞬赤く光り、なにかが破裂したような大きな音が、夜の港にひびきわたる。
「うっ……」
長谷川先生はひざをつき、手で胸をおさえる。
白衣の左胸にあるポケットから、赤い染みが広がり、手からは赤い液体が、ポタポタとこぼれ落ちていく。
そしてそのまま、うつぶせでたおれてしまう……。
(ふざけんなっ!)
『現実』にもどったオレは、すぐにトイレの方を向く。
トイレから出てきた男は、長谷川先生に向かって、拳銃をかまえていた。
いつもよりも、時間のよゆうがまったくない。
サイコキネシスで石を飛ばしても間に合わない。
次の瞬間には、長谷川先生が倒れてしまう。
ギリギリである。
考えるよりも先に、体が動いた。
テレポーテーションを発動させる。
長谷川先生のまえに移動すると、ペンダントを先生の左胸のポケットのまえにかかげた。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉっ!」
サイコキネシスを全力で使う。
バァーーン。
ガシャーーン。
「うっ……」
破裂する音と、なにかが割れるような音がする。
腕から全身に、電撃を食らったみたいだ。
ビリビリして、まったく動けない。
「くそっ! 朝丘くん」
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あたりの景色が、じょじょに黒く染まっていく……。
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