(超)自然科学部にようこそ!

稲葉海三

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12.結成!? (超)自然科学部

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 タマキに報告していなかったのだ。
 約束していから、タマキの性格だと、絶対に起きて待っているはずである。
 オレたちはスマホを持ってないし、こんな時間に家の電話にかけるわけにもいかない。

 オレはダッシュで、タマキの家に向かった。
 数分で到着すると、やっぱり、タマキの部屋の電気はついている。 

(……さて、どうしよう?)

 オレの運動神経では、ドロボーのように、タマキの部屋である二階に登るのはムリだ。
 大声で呼ぶのも迷惑だし、窓に石でも投げるというのは危険すぎる。
 どうしたものかと考えていると、胸元のペンダントに気づいた。

「そういや、また返し忘れていたな」

 サイキックストーンは欠けていて、元の半分の大きさもない。

(この状態で超能力を使ったら、どうなる?)

 完全に使えなくなったと思ってためしていないが、この残った部分だけでも、サイキックストーンの力が残っていないだろうか?

「よし! ダメ元でやってみるか!」

 オレは意識を集中して、テレポーテーションを使ってみた。
 次の瞬間、オレはタマキの部屋に移動していた。
 学習机に座って本を読んでいたタマキに声をかけた。 

「やっぱ、起きてたな」

 タマキは突然聞こえた声に驚いたようだが、オレの姿を見るとほほえんだ。

「あ、タクヤ。おそかったね。大丈夫だった?」
「バッチリだぜ! なんだ、超能力もフツーに使えるじゃないか……あ、やばい」

 突然、いつもの感覚におそわれる。

「あ、あ、あ……」

 声を出すのもつらい状況だ。
 立っていられずに、ガクリとひざをついてしまう。

「え、え、タクヤ! どうしたの? どこかイタいの?」

 タマキはビックリしたような顔をして、オレの体をゆさぶってくる。

「ち……ちがう。なにか、甘いものを……くれ」

 ぐぎゅるるる~~~~。

 オレの腹が大きな音を立てた。
 超能力を使ったせいで、いつものはげしい空腹感におそわれたのだ。

 パクパク、ムシャムシャ。

 チョコレート、クッキー、バームクーヘン……。
 タマキにわたされた大量のお菓子を、オレはむさぼるように食べていく。
 いっきに食べ終わると、お腹が落ちついた。

「あー、助かった。サンキュー」
「あいかわらず、すごい食欲だよね」
「まあな。だけどどうして、こんなにお菓子があるんだ?」
「これは、あたしの〝ヒミツの夜食〟にとっておいたものなんだ」
「それって、太る――」

 ギロッとにらまれる。

「……ごめんなさい」
「よろしい。女の子にいってはいけない言葉を、タクヤもきちんと学ぶべきだよ」

(……気をつけよう)

 タマキの目が、かなり怖かったのだ。

「それで、どうなったの?」

 オレは今夜あったことを、タマキに話した。

 長谷川先生といっしょに犯人たちをやっつけて、無事にカオリを助けたこと。
 長谷川先生が部活を作るので、オレたちが部員になる予定のこと。
 そして、オレは超能力が使えなくなったこと。

「そっかー、いろいろあったんだね。でも、みんな無事で、カオリちゃんが助かったなんて最高だよ。明日、会うのが楽しみだな」
「部活は、タマキも入るって言っといたけど、よかったか?」
「あったりまえじゃん。わたしだけ仲間はずれにしてたら怒るよ!」

(やっぱり、そうだよな)

 タマキの考えることは、聞かなくてもわかっていた。

「まあ、そんなわけで、これからは超能力をほとんど使えなくなった」

 この欠けたサイキックストーンのおかげで少しは使えるようだが、毎回こんな目にあうなら、テレポーテーションなんて使おうとは思わない。

「うん。それで、よかったと思うよ」

 タマキは、少しマジメな顔をしていった。
「タクヤには、超能力に頼ってほしくないし」
「超能力に頼ると、ダメ人間になっちまうだろ?」
「そう」

 タマキは笑ってうなずいた。


 オレの使える超能力は、サイコキネシス、テレポーテーション、ダウジング、テレパシー、アラーム。
 ひょっとしたら、まだまだ使える能力はあるのかもしれないが、普段から使うのは、あまりにも便利で……あまりにも危険な力だ。

 特に、サイコキネシスは、人を傷つけることもできる……。
  石をぶつけられて、地面でのたうち回っていた誘拐犯の姿が、オレの記憶にはっきりと残っている。

 もうあんなことは、二度としたくない。

 たまに、長谷川先生の超能力実験につきあったり、アラームで人助けしたりするぐらいがちょうどいい。 
 

 改めて、オレは心の中で誓うことにする。
 超能力は〝人のため〟にしか使わない。
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