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プロローグ
第九話 超高性能な車
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男子三日会わないと何とかという言葉があったと思うんだけど、三年近く会っていない福島君がどんな感じになっているのか不安もあったけど期待の方が大きかった。
「あなたって小説を書く以外に何か趣味とかは無いの?」
「特にないと思いますよ。最近だと、コタローと遊ぶことくらいだと思います。あ、コタローっていうのはおばさんの家で飼ってるチワワの事です」
「チワワってのは見た事ないんだよな。今度福島まさはるに書いてもらうことにしようかしら。あなたに見てもらえば福島まさはるの描いた絵が正しいのかわかりそうだしね」
随分と長いこと車に乗っていると思うのだけど、窓の外の景色は私の知らない風景を映していた。どこかで見たことがあるなと思っていたのだが、それがどこで見たものなのか思い出せない。家の近所とは思えない風景に見えるのだけれど、さすがにそこまで移動しているとは思わなかった。
何かで見たような気がする風景を見ていて違和感があったのだが、その違和感の正体に気付くのには少し時間が必要だった。だって、今まで左車線を走っていたはずなのに、いつの間にか右車線を走っているのだ。私が知っている限りの知識ではあるが、家の近くに道路の右を走らないといけない地域なんて存在しないと思う。
「あの、車って右側通行じゃないですよね?」
「私はそんなこと知らないけど。ねえ、右側通行してて大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。フランス国内は右側通行ですからね」
「大丈夫なんだって。あなたの心配は杞憂に終わったわね」
「それならいいんです。フランスって右側通行の国ですもんね。って、なんでフランスの話になってるんですか?」
フランスという言葉を聞いて違和感の正体に気付いてしまった。窓の外に見える景色がどこか日本っぽくないと思っていたし、歩いている人も外国人の人ばかりだと感じていたのだが、フランスを走っているんだったらそれは当然の話だろう。
右側を走っている理由はわかったのだけれど、問題はそこではない。なぜフランスにいるのかという事なのだ。聞けば応えてくれるような気はするんだけど、それを聞いたところで私は納得できないと思う。だって、さっきまで家の近くを走っていたはずなのに、気付いたらフランスの道路を走っているなんてどんな答えだったとしてもなっとくなんて出来ないだろう。
「あの、どうしてフランスにいるんですか。さっきまで私の家の近くを走っていたような気がするんですけど」
「あなたの家もフランスもそんなに離れてないじゃない。意外と細かいところが気になるのね」
「そんなに離れてないって、結構離れてると思いますけど。距離はわからないですけど、車で気軽に行けるような場所ではないと思うんですよね」
「そんなの知らないわよ。ねえ、さっきのホテルからフランスまで車で気軽に行けないのが普通なの?」
「普通は気軽に行こうと思わないですね。こちらの世界の車は普通に動くだけですからね」
「難しいことはわからないけど、そういう事だから気にしなくていいんじゃないかしら。あなただって美味しいケーキが食べたいでしょ?」
「美味しいケーキは食べたいですけど、普通に動くだけってどういう意味なんですか?」
「どういう意味って私に言われてもわからないわよ。歩いて移動するのとあまり変わらないって事なんじゃないかしら。それよりも、美味しいって噂のケーキ屋さんってまだつかないの?」
「ケーキでしたら先ほど買っておきましたよ。お嬢様たちがお話をしている間に買っておきましたので。もちろん、一通り制覇しておきましたからね」
「やっぱりあなたは頼りになる執事だわ。そろそろ御三家に入ってもいいんじゃなくて?」
「もったいないお言葉ですが、それは辞退させていただきます。私はこうしてお嬢様に直接仕えることが出来ればそれで十分ですから」
いつの間にかフランスに移動していて、私達がちょっとお話をしている間にケーキを買っていたらしい。私にはこの展開が何なのか謎過ぎて混乱している。やっとフランスを走っているんだという事を理解し始めたはずなのに、気付いた時には外の景色は漢字の看板で溢れいていた。
私の勝手な思い込みではあるが、フランスであればこのようなギラギラとした看板をこれみよがしに設置したりはしないだろう。小学生の時に教科書で見た香港の景色がこんな感じだったと思いながら私はなるべく平静を保つように努力していたのだが、明らかに私が知っている時代とは異なる車が走っているのを見て理解しようという気持ちは消えてしまった。
「あの、今度は何を買いに来たんですか?」
「ケーキだけだと飽きるかもしれないって事で、お茶を買いに来たのよ。あなたもお茶は飲むんでしょ?」
「飲みますけど、どうしてここなんですか?」
「どうしてって聞いてるわよ。なんでここなの?」
「こちらはアジアとヨーロッパのお茶が手に入る場所ですからね。この時代ですとそれほど環境も汚染されていないので美味しいお茶が手に入ると思って選びました。鈴木様の時代でも良いものは買えると思うのですが、この時代ならではの良質な物を手に入れたいと思いましたからね」
「この時代って、過去にタイムスリップしてるって事になるのかな」
「何言ってるのよ。もしかして、あなたの世界の車って時空間移動も出来ないの?」
教科書でしか見た事ない服装の人達が相当レトロな車に乗って移動している姿を見て薄々感づいていたけれど、私が知っている時代とは異なる時代の香港なんだ。納得は出来ないけど受け入れるしかない。外の景色が全て車窓に映し出された映像だったとしても、それはそれで凄いものだと思う。何もかも私を驚かせるために作ったのだとしたら、何のためにそんな事をするのだろうという疑問もあったのだ。
でも、そんな事なんてどうでもいい事なんだ。今の私にはどうでもいい事だ。
だって、もう少しすれば久しぶりに福島君に会えるんだからね。会えなかった約三年間でどれくらい変わったのか気になるけど、もう少し出会えると思うと今までの人生で一番緊張しているという事が自分でもわかっていたのだった。
「あなたって小説を書く以外に何か趣味とかは無いの?」
「特にないと思いますよ。最近だと、コタローと遊ぶことくらいだと思います。あ、コタローっていうのはおばさんの家で飼ってるチワワの事です」
「チワワってのは見た事ないんだよな。今度福島まさはるに書いてもらうことにしようかしら。あなたに見てもらえば福島まさはるの描いた絵が正しいのかわかりそうだしね」
随分と長いこと車に乗っていると思うのだけど、窓の外の景色は私の知らない風景を映していた。どこかで見たことがあるなと思っていたのだが、それがどこで見たものなのか思い出せない。家の近所とは思えない風景に見えるのだけれど、さすがにそこまで移動しているとは思わなかった。
何かで見たような気がする風景を見ていて違和感があったのだが、その違和感の正体に気付くのには少し時間が必要だった。だって、今まで左車線を走っていたはずなのに、いつの間にか右車線を走っているのだ。私が知っている限りの知識ではあるが、家の近くに道路の右を走らないといけない地域なんて存在しないと思う。
「あの、車って右側通行じゃないですよね?」
「私はそんなこと知らないけど。ねえ、右側通行してて大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。フランス国内は右側通行ですからね」
「大丈夫なんだって。あなたの心配は杞憂に終わったわね」
「それならいいんです。フランスって右側通行の国ですもんね。って、なんでフランスの話になってるんですか?」
フランスという言葉を聞いて違和感の正体に気付いてしまった。窓の外に見える景色がどこか日本っぽくないと思っていたし、歩いている人も外国人の人ばかりだと感じていたのだが、フランスを走っているんだったらそれは当然の話だろう。
右側を走っている理由はわかったのだけれど、問題はそこではない。なぜフランスにいるのかという事なのだ。聞けば応えてくれるような気はするんだけど、それを聞いたところで私は納得できないと思う。だって、さっきまで家の近くを走っていたはずなのに、気付いたらフランスの道路を走っているなんてどんな答えだったとしてもなっとくなんて出来ないだろう。
「あの、どうしてフランスにいるんですか。さっきまで私の家の近くを走っていたような気がするんですけど」
「あなたの家もフランスもそんなに離れてないじゃない。意外と細かいところが気になるのね」
「そんなに離れてないって、結構離れてると思いますけど。距離はわからないですけど、車で気軽に行けるような場所ではないと思うんですよね」
「そんなの知らないわよ。ねえ、さっきのホテルからフランスまで車で気軽に行けないのが普通なの?」
「普通は気軽に行こうと思わないですね。こちらの世界の車は普通に動くだけですからね」
「難しいことはわからないけど、そういう事だから気にしなくていいんじゃないかしら。あなただって美味しいケーキが食べたいでしょ?」
「美味しいケーキは食べたいですけど、普通に動くだけってどういう意味なんですか?」
「どういう意味って私に言われてもわからないわよ。歩いて移動するのとあまり変わらないって事なんじゃないかしら。それよりも、美味しいって噂のケーキ屋さんってまだつかないの?」
「ケーキでしたら先ほど買っておきましたよ。お嬢様たちがお話をしている間に買っておきましたので。もちろん、一通り制覇しておきましたからね」
「やっぱりあなたは頼りになる執事だわ。そろそろ御三家に入ってもいいんじゃなくて?」
「もったいないお言葉ですが、それは辞退させていただきます。私はこうしてお嬢様に直接仕えることが出来ればそれで十分ですから」
いつの間にかフランスに移動していて、私達がちょっとお話をしている間にケーキを買っていたらしい。私にはこの展開が何なのか謎過ぎて混乱している。やっとフランスを走っているんだという事を理解し始めたはずなのに、気付いた時には外の景色は漢字の看板で溢れいていた。
私の勝手な思い込みではあるが、フランスであればこのようなギラギラとした看板をこれみよがしに設置したりはしないだろう。小学生の時に教科書で見た香港の景色がこんな感じだったと思いながら私はなるべく平静を保つように努力していたのだが、明らかに私が知っている時代とは異なる車が走っているのを見て理解しようという気持ちは消えてしまった。
「あの、今度は何を買いに来たんですか?」
「ケーキだけだと飽きるかもしれないって事で、お茶を買いに来たのよ。あなたもお茶は飲むんでしょ?」
「飲みますけど、どうしてここなんですか?」
「どうしてって聞いてるわよ。なんでここなの?」
「こちらはアジアとヨーロッパのお茶が手に入る場所ですからね。この時代ですとそれほど環境も汚染されていないので美味しいお茶が手に入ると思って選びました。鈴木様の時代でも良いものは買えると思うのですが、この時代ならではの良質な物を手に入れたいと思いましたからね」
「この時代って、過去にタイムスリップしてるって事になるのかな」
「何言ってるのよ。もしかして、あなたの世界の車って時空間移動も出来ないの?」
教科書でしか見た事ない服装の人達が相当レトロな車に乗って移動している姿を見て薄々感づいていたけれど、私が知っている時代とは異なる時代の香港なんだ。納得は出来ないけど受け入れるしかない。外の景色が全て車窓に映し出された映像だったとしても、それはそれで凄いものだと思う。何もかも私を驚かせるために作ったのだとしたら、何のためにそんな事をするのだろうという疑問もあったのだ。
でも、そんな事なんてどうでもいい事なんだ。今の私にはどうでもいい事だ。
だって、もう少しすれば久しぶりに福島君に会えるんだからね。会えなかった約三年間でどれくらい変わったのか気になるけど、もう少し出会えると思うと今までの人生で一番緊張しているという事が自分でもわかっていたのだった。
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