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プロローグ
第十九話 そろそろ小説を書かないとね
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私の事を名前じゃなくてペンネームで呼ぶことが増えてきたのは、私の新作を早く読みたいという気持ちの表れなのだろう。私としてもその期待に応えたいとは思っているのだけれど、どうしてもこの世界の事を考えるとどういった世界観にしていいのかわからなくなってしまう。うまなちゃんは何も考えずに好きに作ってくれたらいいとは言ってくれるのだけれど、好き勝手やってしまって迷惑をかけることになってしまわないかと心配になってしまうのだ。
「何度も言っているけどね、私は愛華ちゃんが思うような世界を広げてくれたらいいと思ってるんだよ。イザーも福島まさはるも愛華ちゃんが作ってくれる世界に対して文句なんかは言わないんじゃないかな。あ、福島まさはるは登場人物が多かったり複雑な形状の建物を描いたりするのは嫌みたいなんだ。だからってわけじゃないけど、出来るだけ登場人物は多くして普通じゃない建物とかバンバン出しちゃっていいからね。私としては愛華ちゃんが書きたいってものを書いてくれるのが一番だと思ってるんだけど、福島まさはるに相談したりしても良いんじゃないかな。あなたは向こうの世界でも一人だけで小説を書いていたってわけでもないんでしょ?」
うまなちゃんの言う通りで私は伊藤さんと石原さんと三人で協力して作品を作っていたこともある。二人のアイデアをもとに小説を書いたりもしていたんだけど、最後の方では私の小説を二人が待つという形になっていたように思っていた。もしかしたら、二人は私が何かアイデアを出すのを待っていたのかもしれないけど、数少ない私の理解者である二人がそんな風に考えていたりなんてしないとは思っている。
「三人で作ってたって言ってたけどさ、俺が見た限りではお前の友達ってお前が何か書いてくるの待ってただけじゃないか。お前より先に何かアイデア出してきた事とかってあるのか?」
「あったと思います。すぐには思い出せないけど、伊藤さんも石原さんも私のために色々と考えていてくれましたよ」
いきなり口を挟んできた偽福島君に驚いて私は一瞬だけ間をあけてしまったんだけど、その間を偽福島君もうまなちゃんも悪い意味でとらえてたりしないだろうか。本当に驚いて間が空いてしまっただけで、私は伊藤さんと石原さんが私を利用していたなんて思ってはいない。優しい二人が私を利用していたなんて思ってるわけがないのだ。
「愛華ちゃんが二人を大切に思ってる気持ちはわかるんだ。でもね、あの二人は愛華ちゃんの事をそんなに大切には思ってなかったんじゃないかな。愛華ちゃんの事を本当に思ってたのってあの二人じゃなくて松本イチカさんって人と一緒に住んでたおばさん二人だけだったもんね」
「一緒に住んでたのはおばさんとお姉さんです。おばさん二人じゃないですよ」
うまなちゃんが言った事を否定したかった私ではあるけど、元の世界を覗いた時に聞いた話が本当だったとするのであれば、私は伊藤さんにも石原さんにもそんなに大切な人だとは思われていなかったという事になる。そんなのは認めたくないし認めちゃダメだとは思うんだけど、今までの色々な事を思うとソレも強く否定することが出来ないんだよね。私は二人の承認欲求を満たすための道具なのかなって思ったこともあったけど、さすがにそこまでではないと思う。
「そうだったね、おばさんとお姉さんだったね。ごめんなさいね」
たぶんだけど、うまなちゃんは私が伊藤さんと石原さんの事を否定できないのがわかっていて佳乃さんの事をおばさんと言ってくれたのかな。さすがに大学生の佳乃さんはおばさんって年でもないと思うし、そこを私が否定することで伊藤さんと石原さんの事も一緒に否定しているつもりになって誤魔化せてるかもって思わせてくれたのかもしれないね。
偽福島君もその事に何か考えがあるのか、私に対して突っかかってくるような事は無かった。もしかして、偽福島君も私が何か書くのを待ってから絵を描くつもりだったりするのかな。でも、前に見た偽福島君の絵は私の書いた小説なんて見なくてもたくさん描けていると思うんだけどな。
「そうだ。お前がいつまで経ってもアイデアの一つも出さないから一通り描いてきたぞ。地球の歴史を色々と勉強してこんな感じになったんだけど、これを見て何か書けそうな気がするか?」
偽福島君が持っていたファイルを受け取ったのだが、その厚さはちょっとした辞書くらいはあるのではないかと思えた。普通の紙よりも厚い紙を使っているとはいえ、これだけの量の絵を一か月もかけずに描けるというのはどんな才能を持っているのだろう。
じっくりと一枚一枚見てみたい気持ちはあるのだが、これだけの量をじっくり見ていたらそれだけで一週間くらい余計にかかってしまいそうだ。私は心を鬼にして紙を捲り続けていた。服装によって絵の感じも違うように思ってたんだけど、服装によって絵柄が全然異なるものになっていた。平安風の衣装や着物を着ている人の絵はやたらとリアルな感じなのに、洋服を着ている現代風な人はやたらとデフォルメされているのだ。その違いに何か意図があるのかもしれないけれど、私はそこではなく私が想像する未来風の絵が一枚も無いのは気になっていた。これだけ色々描けるのであれば、サイボーグみたいな女の子や機械のスーツを着ている女の子もかけそうだとは思うのに、どうして偽福島君はそういう絵を描いていないのだろう。
「なんで未来風の絵が一枚も無いのかって言われてもな。さすがの俺でも見た事ない絵は描けないよ。人間は過去は理解出来ても未来は理解出来ないんだからな」
「何度も言っているけどね、私は愛華ちゃんが思うような世界を広げてくれたらいいと思ってるんだよ。イザーも福島まさはるも愛華ちゃんが作ってくれる世界に対して文句なんかは言わないんじゃないかな。あ、福島まさはるは登場人物が多かったり複雑な形状の建物を描いたりするのは嫌みたいなんだ。だからってわけじゃないけど、出来るだけ登場人物は多くして普通じゃない建物とかバンバン出しちゃっていいからね。私としては愛華ちゃんが書きたいってものを書いてくれるのが一番だと思ってるんだけど、福島まさはるに相談したりしても良いんじゃないかな。あなたは向こうの世界でも一人だけで小説を書いていたってわけでもないんでしょ?」
うまなちゃんの言う通りで私は伊藤さんと石原さんと三人で協力して作品を作っていたこともある。二人のアイデアをもとに小説を書いたりもしていたんだけど、最後の方では私の小説を二人が待つという形になっていたように思っていた。もしかしたら、二人は私が何かアイデアを出すのを待っていたのかもしれないけど、数少ない私の理解者である二人がそんな風に考えていたりなんてしないとは思っている。
「三人で作ってたって言ってたけどさ、俺が見た限りではお前の友達ってお前が何か書いてくるの待ってただけじゃないか。お前より先に何かアイデア出してきた事とかってあるのか?」
「あったと思います。すぐには思い出せないけど、伊藤さんも石原さんも私のために色々と考えていてくれましたよ」
いきなり口を挟んできた偽福島君に驚いて私は一瞬だけ間をあけてしまったんだけど、その間を偽福島君もうまなちゃんも悪い意味でとらえてたりしないだろうか。本当に驚いて間が空いてしまっただけで、私は伊藤さんと石原さんが私を利用していたなんて思ってはいない。優しい二人が私を利用していたなんて思ってるわけがないのだ。
「愛華ちゃんが二人を大切に思ってる気持ちはわかるんだ。でもね、あの二人は愛華ちゃんの事をそんなに大切には思ってなかったんじゃないかな。愛華ちゃんの事を本当に思ってたのってあの二人じゃなくて松本イチカさんって人と一緒に住んでたおばさん二人だけだったもんね」
「一緒に住んでたのはおばさんとお姉さんです。おばさん二人じゃないですよ」
うまなちゃんが言った事を否定したかった私ではあるけど、元の世界を覗いた時に聞いた話が本当だったとするのであれば、私は伊藤さんにも石原さんにもそんなに大切な人だとは思われていなかったという事になる。そんなのは認めたくないし認めちゃダメだとは思うんだけど、今までの色々な事を思うとソレも強く否定することが出来ないんだよね。私は二人の承認欲求を満たすための道具なのかなって思ったこともあったけど、さすがにそこまでではないと思う。
「そうだったね、おばさんとお姉さんだったね。ごめんなさいね」
たぶんだけど、うまなちゃんは私が伊藤さんと石原さんの事を否定できないのがわかっていて佳乃さんの事をおばさんと言ってくれたのかな。さすがに大学生の佳乃さんはおばさんって年でもないと思うし、そこを私が否定することで伊藤さんと石原さんの事も一緒に否定しているつもりになって誤魔化せてるかもって思わせてくれたのかもしれないね。
偽福島君もその事に何か考えがあるのか、私に対して突っかかってくるような事は無かった。もしかして、偽福島君も私が何か書くのを待ってから絵を描くつもりだったりするのかな。でも、前に見た偽福島君の絵は私の書いた小説なんて見なくてもたくさん描けていると思うんだけどな。
「そうだ。お前がいつまで経ってもアイデアの一つも出さないから一通り描いてきたぞ。地球の歴史を色々と勉強してこんな感じになったんだけど、これを見て何か書けそうな気がするか?」
偽福島君が持っていたファイルを受け取ったのだが、その厚さはちょっとした辞書くらいはあるのではないかと思えた。普通の紙よりも厚い紙を使っているとはいえ、これだけの量の絵を一か月もかけずに描けるというのはどんな才能を持っているのだろう。
じっくりと一枚一枚見てみたい気持ちはあるのだが、これだけの量をじっくり見ていたらそれだけで一週間くらい余計にかかってしまいそうだ。私は心を鬼にして紙を捲り続けていた。服装によって絵の感じも違うように思ってたんだけど、服装によって絵柄が全然異なるものになっていた。平安風の衣装や着物を着ている人の絵はやたらとリアルな感じなのに、洋服を着ている現代風な人はやたらとデフォルメされているのだ。その違いに何か意図があるのかもしれないけれど、私はそこではなく私が想像する未来風の絵が一枚も無いのは気になっていた。これだけ色々描けるのであれば、サイボーグみたいな女の子や機械のスーツを着ている女の子もかけそうだとは思うのに、どうして偽福島君はそういう絵を描いていないのだろう。
「なんで未来風の絵が一枚も無いのかって言われてもな。さすがの俺でも見た事ない絵は描けないよ。人間は過去は理解出来ても未来は理解出来ないんだからな」
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