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うまなちゃんのチョコレート工場
うまなちゃんのチョコレート工場 第一話
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新しい世界での生活は驚きの連続だった。食べ物の見た目はどこもそんなに変わらないんだという事なのだけど、味付けにいたっては全く無いと言っていいようだ。ほんのりと塩味がする食べ物はあるのだけれど、基本的にこちらの世界での食事は素材の味だけで勝負しているという感じなのだ。というよりも、料理に時間をかける暇があれば己の力を高めよという発想にしかなっていないくらいに、こちらの世界は争い事が耐えなく続いているのである。
あの時にうまなちゃんが中華料理にご執心だったのも今では理解出来るのだ。体のために塩分は控えめにしましょうと言っている人がこの世界に来たらちょうどいいのかもしれない。ただ、そんな風に体に気を使っている人だったとしても、各種サプリメントを用意できないようなこの世界では栄養不足になってしまうような気もしていた。そもそもこの世界で食べることが出来る植物なんかもほとんど見かけないし、農業という概念自体が存在していないのだ。私に農業なり酪農の知識があればこの世界を変えることが出来たのかもしれないけれど、私が持っている知識なんて小学生の時に読んだ漫画の知識くらいしかないので何の役にも立ちはしないのだ。
偽福島君に野菜畑を描いてもらってソレを現実のものにしてもらったこともあったのだけれど、この世界の気候のせいなのか土壌が悪いのか理由は定かではないが、翌朝にはすべて枯れてしまっていた。水不足という事も無いと思うのだけれど、一体何が原因なのか解明する事は不可能に思われた。
「たぶんなんだけど、愛華ちゃんと福島君が育てようとしている野菜って向こうの世界の野菜でしょ。それじゃあ、この世界の水と相性良くないから枯れちゃうと思うよ。愛華ちゃんは経験ないかもしれないけど、植物って栄養が無くても有りすぎてもダメだったりするんだよ。二人はさ、この世界のご飯って全然美味くないなって思ってるでしょ。それにはいくつか理由があるんだよ。まず一つは、料理に時間をかけるほど平和じゃないって事だね。今はうまなちゃんがこの世界を支配しているからそんな事も無いんだけど、ほんの数年前までは国同士だけじゃなく町同士とか隣同士とかでも争い事が絶えなかったんだよ。その理由なんて今にして思えばとてもバカバカしいものだったりしたんだけど、当時はそれがとても重要な事だと思ってたんだってさ。私はうまなちゃんと一緒に上でその様子を見てたんだけど、何百年も何千年も変わらない光景を見てうまなちゃんが直接その手を下すことにしたんだよね。その結果、今みたいにうまなちゃんが支配するこの世界が生まれたってわけ。支配してると言ってもさ、うまなちゃんは何か指示するのも面倒だし好きにやってくれってスタンスなんだよね。その代わり、うまなちゃんもこの世界を好きなように弄り回すって事になってるんだけどさ」
「好きなように弄り回すって、そんな事して反発されたりしないんですか?」
「中には良くない感情を抱いている人がいるかもしれないね。でもさ、この世界の住人がうまなちゃんに何かしようとしても何の意味も無いんだよ。力が足りないとか魔力が足りないとかそういう次元の話じゃないんだ。うまなちゃんは神様と一緒でここの住人に認識してもらえないんだよ。だから、君達の二人の力を借りてこの世界の人達にうまなちゃんの力を示してみたいって話なんだよ」
イザーさんはイタズラめいた笑みを浮かべてそう言うと、私達二人に背を向けて窓の方へと歩を進めた。窓の外には端が見えないくらい大きな町が広がっているのだが、この町がいったい何のために存在しているのか誰も知らないらしい。そもそも、この町をイラストとして描き切った偽福島君も何の目的がある街なのか決めていないという事なのだ。
私はこの町に関して何も関与していないし、何だったらこの世界の事についても私は関わってはいないと思う。この場にうまなちゃんがいたのだったらソレに関しても問いただしていたと思うのだけれど、この新しい世界を創ったうまなちゃんは私達の前から忽然と姿を消したのだ。その行方は私も偽福島君も知らないのだけれど、イザーさんはうまなちゃんがどこにいるのかちゃんと把握はしているそうだ。
「早速ですが、お二人にはこの世界でうまなちゃんを探して何をしようとしているのか問いただしてください。その結果、この世界にとって良くないことをしようとしていると思ったら全力で止めてくださいね。一人一人では太刀打ちできないと思いますが、二人の力を合わせれば何とかなるかもしれないですよ。危険だと思ったら私も手は貸しますけど、あまり期待しないでくださいね」
「うまなを探せって言われても、この町の事なんて何も知らないんだぞ。どうやって探せばいいんだよ。大体、この世界の住人って俺達みたいな人間がほとんどいないようだが、普通に話しかけて答えてもらえるもんなのか?」
「大丈夫ですよ。見た目は違っても言葉はちゃんと通じますから。愛華ちゃんと福島君が作り出した世界なんですから、あなた達の常識が通用する世界にはなってますからね。でも、この町を適当に作ったのは良くなかったかもしれないですね。もう少し自分たちにとって行動しやすい場所にしておけば良かったかも。なんて思わなければいいんですけど」
私と偽福島君はお互いに顔を見合わせて困ったような笑顔を見せあっていた。もう少し真剣に設定なんかを考えておけば良かったなって後悔しているんだけど、多分それは偽福島君も同じことを思っているのだろう。
私にはそんな風に見えてしまったのだ。
あの時にうまなちゃんが中華料理にご執心だったのも今では理解出来るのだ。体のために塩分は控えめにしましょうと言っている人がこの世界に来たらちょうどいいのかもしれない。ただ、そんな風に体に気を使っている人だったとしても、各種サプリメントを用意できないようなこの世界では栄養不足になってしまうような気もしていた。そもそもこの世界で食べることが出来る植物なんかもほとんど見かけないし、農業という概念自体が存在していないのだ。私に農業なり酪農の知識があればこの世界を変えることが出来たのかもしれないけれど、私が持っている知識なんて小学生の時に読んだ漫画の知識くらいしかないので何の役にも立ちはしないのだ。
偽福島君に野菜畑を描いてもらってソレを現実のものにしてもらったこともあったのだけれど、この世界の気候のせいなのか土壌が悪いのか理由は定かではないが、翌朝にはすべて枯れてしまっていた。水不足という事も無いと思うのだけれど、一体何が原因なのか解明する事は不可能に思われた。
「たぶんなんだけど、愛華ちゃんと福島君が育てようとしている野菜って向こうの世界の野菜でしょ。それじゃあ、この世界の水と相性良くないから枯れちゃうと思うよ。愛華ちゃんは経験ないかもしれないけど、植物って栄養が無くても有りすぎてもダメだったりするんだよ。二人はさ、この世界のご飯って全然美味くないなって思ってるでしょ。それにはいくつか理由があるんだよ。まず一つは、料理に時間をかけるほど平和じゃないって事だね。今はうまなちゃんがこの世界を支配しているからそんな事も無いんだけど、ほんの数年前までは国同士だけじゃなく町同士とか隣同士とかでも争い事が絶えなかったんだよ。その理由なんて今にして思えばとてもバカバカしいものだったりしたんだけど、当時はそれがとても重要な事だと思ってたんだってさ。私はうまなちゃんと一緒に上でその様子を見てたんだけど、何百年も何千年も変わらない光景を見てうまなちゃんが直接その手を下すことにしたんだよね。その結果、今みたいにうまなちゃんが支配するこの世界が生まれたってわけ。支配してると言ってもさ、うまなちゃんは何か指示するのも面倒だし好きにやってくれってスタンスなんだよね。その代わり、うまなちゃんもこの世界を好きなように弄り回すって事になってるんだけどさ」
「好きなように弄り回すって、そんな事して反発されたりしないんですか?」
「中には良くない感情を抱いている人がいるかもしれないね。でもさ、この世界の住人がうまなちゃんに何かしようとしても何の意味も無いんだよ。力が足りないとか魔力が足りないとかそういう次元の話じゃないんだ。うまなちゃんは神様と一緒でここの住人に認識してもらえないんだよ。だから、君達の二人の力を借りてこの世界の人達にうまなちゃんの力を示してみたいって話なんだよ」
イザーさんはイタズラめいた笑みを浮かべてそう言うと、私達二人に背を向けて窓の方へと歩を進めた。窓の外には端が見えないくらい大きな町が広がっているのだが、この町がいったい何のために存在しているのか誰も知らないらしい。そもそも、この町をイラストとして描き切った偽福島君も何の目的がある街なのか決めていないという事なのだ。
私はこの町に関して何も関与していないし、何だったらこの世界の事についても私は関わってはいないと思う。この場にうまなちゃんがいたのだったらソレに関しても問いただしていたと思うのだけれど、この新しい世界を創ったうまなちゃんは私達の前から忽然と姿を消したのだ。その行方は私も偽福島君も知らないのだけれど、イザーさんはうまなちゃんがどこにいるのかちゃんと把握はしているそうだ。
「早速ですが、お二人にはこの世界でうまなちゃんを探して何をしようとしているのか問いただしてください。その結果、この世界にとって良くないことをしようとしていると思ったら全力で止めてくださいね。一人一人では太刀打ちできないと思いますが、二人の力を合わせれば何とかなるかもしれないですよ。危険だと思ったら私も手は貸しますけど、あまり期待しないでくださいね」
「うまなを探せって言われても、この町の事なんて何も知らないんだぞ。どうやって探せばいいんだよ。大体、この世界の住人って俺達みたいな人間がほとんどいないようだが、普通に話しかけて答えてもらえるもんなのか?」
「大丈夫ですよ。見た目は違っても言葉はちゃんと通じますから。愛華ちゃんと福島君が作り出した世界なんですから、あなた達の常識が通用する世界にはなってますからね。でも、この町を適当に作ったのは良くなかったかもしれないですね。もう少し自分たちにとって行動しやすい場所にしておけば良かったかも。なんて思わなければいいんですけど」
私と偽福島君はお互いに顔を見合わせて困ったような笑顔を見せあっていた。もう少し真剣に設定なんかを考えておけば良かったなって後悔しているんだけど、多分それは偽福島君も同じことを思っているのだろう。
私にはそんな風に見えてしまったのだ。
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