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第39話 もう一人の留学生
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工藤太郎とイザーが戻ってくるまでにはもう少し時間がかかりそうだという事なのだが、そのかわりなのかクリームパイの暮らしていた星を支配している皇帝カムショットから留学生をもう一人派遣したという知らせが届いていた。
クリームパイのような美少女がやってくるものだとばかり思っていたのだが、片岡瑠璃先生が連れてきたのは漆黒のマントに身を包んだ切れ長の目をした美少年だった。
「それでは自己紹介をしてもらおうかな。慣れない環境で大変だと思うけど、みんなも仲良くしてあげてね」
サキュバス側の女子はそこまで興味を持っていないようだったが、レジスタンス側の女子たちは少しだけ色めき立っていた。このクラスに男が工藤太郎しかいないという事もあるのだが、普通の女子が興味を持つのは仕方ないことだろう。
漆黒のマントの美少年は一人一人の顔を見てから教卓の前に立ってクリームパイに指をさしながら話し始めた。
「神聖サキュバス帝国独立侵攻部隊隊長のクリームパイにカムショット皇帝からの伝言を預かっている。今この場で伝えてもよろしいか?」
「別にかまわないけど、みんなの前で発表しても大丈夫な内容なの?」
「問題無いと思われる。この場で今すぐに伝えてもよろしいか?」
「いいよ。どうせ大した内容でもないでしょうし、さっさと伝えて自己紹介しなさいよ」
「では、カムショット皇帝からの伝言を伝えよう。勉学に励め。以上である」
あまりにも短い伝言に教室内を物足りないという空気が漂っていた。
何とも言えない重い空気に包まれている状態でみんながどうすればいいのだろうかと言う思いでクリームパイを見つめていた。
そんな状況を一変させたのはこの微妙な空気にしてしまった漆黒のマントの美少年だった。
「我は神聖サキュバス帝国最強の騎士にして至高の魔術師であり究極の格闘家である。そして、不屈の闘志を持った歴史上類を見ないほどの天才剣士でもあるのだ。漆黒の騎士、蒼炎の魔術師、黄金の流星、真紅の餓狼、孤高の天才、好きな呼び名で呼んでくれてかまわない」
「何言ってんのよ。あんた何て死んでも翌日に蘇ってるだけしか能がない弱虫じゃない」
「相変わらず貴様は負け惜しみが酷いな。死んでも翌日に蘇ることが人としてどれ程優れている事なのか理解していないはずがないと思うのだがな」
「残念だけど、この学校にいるドクターはあんたのその翌日に復活するって能力を死んだ人全員に付与することが出来てるのよ。この学校じゃ、あんたのその能力は特別なんかじゃないって事なのよ」
微妙な空気を打ち破ってくれたと思っていた生徒たちであったが、クリームパイの放った衝撃の事実を知ったことで何とも言えない空気がより強くなってしまった。
殺されても翌日には生き返ってくるという能力は確かに強力で敵に回すと恐ろしいものだと言えるのかもしれないが、零楼館高校においてはドクターポンピーノが死んだものを一晩かけて元の状態に戻してくれるという事になっているので特別感はないのかもしれない。
「それに、あんたは死んでも生き返ることが出来るって事にかまけて攻撃一辺倒だし単調すぎるから相手にならないってみんな気付いてるでしょ。死んでも生き返れるからって思ってバカみたいに真っすぐ向かってくるだけで強くなってるって思い込んでるみたいだけど、そんな単純な思考回路だとすぐに見抜かれて反撃されて攻撃が当たる前に殺されちゃうだけなんだからね」
クリームパイは漆黒のマントの美少年に対して言っていると思うのだが、その言っていることが全てここ数日の栗宮院うまなの行動にも当てはまってしまっている。栗宮院うまなはクリームパイの言葉を聞いて下を向いてプルプルと震えているし、それを見てしまったクラスメイトたちは栗宮院うまなを見ないように少しだけ視線をそらしてしまっていた。
何とも言えない空気がまた別の空気感に変化しているのを感じ取ったクリームパイは全員の視線と栗宮院うまなの姿を見て何かを感じ取ってしまった。察しが良いのか悪いのか判断が付きにくいクリームパイではあったが、何も気づいていない漆黒のマントの美少年はみんなの前でバカにされてしまったと思って背負っていた剣を抜くとそのままクリームパイを切りつけようとしていた。
「姉さんはそうやっていつもいつも俺をバカにしやがって、俺は天才なんだ。お前なんて一太刀で殺してやる」
漆黒のマントの美少年は気合を込めた一撃をクリームパイの脳天めがけて振り下ろしたのだが、クリームパイは座ったままの状態で漆黒のマントの美少年のみぞおちに重い一撃を入れていた。
その拳が背中まで突き抜けているのではないかと思ってしまう程の衝撃があり、漆黒のマントの美少年は立ったまま剣を握った状態で失神してしまっていた。
「本当にバカなんだから。真正面からワシに向かってきて勝てるはずが無かろうに。もう少し成長したらどうなのかといつも思うぞ」
「あの、さっき姉さんって言ってたような気がしたんだけど、この人はクリームパイちゃんの弟なの?」
「この男はワシの弟のクリーキーじゃ。弟と言っても母親は違うけどな。この星では珍しい関係かもしれないが、ワシらの星ではそこまで珍しくもない関係性だ。他にも弟と妹は何人かおるんだが、カムショットのやつが無理やり送り込んでこないか心配になってしまうな」
クリームパイのような美少女がやってくるものだとばかり思っていたのだが、片岡瑠璃先生が連れてきたのは漆黒のマントに身を包んだ切れ長の目をした美少年だった。
「それでは自己紹介をしてもらおうかな。慣れない環境で大変だと思うけど、みんなも仲良くしてあげてね」
サキュバス側の女子はそこまで興味を持っていないようだったが、レジスタンス側の女子たちは少しだけ色めき立っていた。このクラスに男が工藤太郎しかいないという事もあるのだが、普通の女子が興味を持つのは仕方ないことだろう。
漆黒のマントの美少年は一人一人の顔を見てから教卓の前に立ってクリームパイに指をさしながら話し始めた。
「神聖サキュバス帝国独立侵攻部隊隊長のクリームパイにカムショット皇帝からの伝言を預かっている。今この場で伝えてもよろしいか?」
「別にかまわないけど、みんなの前で発表しても大丈夫な内容なの?」
「問題無いと思われる。この場で今すぐに伝えてもよろしいか?」
「いいよ。どうせ大した内容でもないでしょうし、さっさと伝えて自己紹介しなさいよ」
「では、カムショット皇帝からの伝言を伝えよう。勉学に励め。以上である」
あまりにも短い伝言に教室内を物足りないという空気が漂っていた。
何とも言えない重い空気に包まれている状態でみんながどうすればいいのだろうかと言う思いでクリームパイを見つめていた。
そんな状況を一変させたのはこの微妙な空気にしてしまった漆黒のマントの美少年だった。
「我は神聖サキュバス帝国最強の騎士にして至高の魔術師であり究極の格闘家である。そして、不屈の闘志を持った歴史上類を見ないほどの天才剣士でもあるのだ。漆黒の騎士、蒼炎の魔術師、黄金の流星、真紅の餓狼、孤高の天才、好きな呼び名で呼んでくれてかまわない」
「何言ってんのよ。あんた何て死んでも翌日に蘇ってるだけしか能がない弱虫じゃない」
「相変わらず貴様は負け惜しみが酷いな。死んでも翌日に蘇ることが人としてどれ程優れている事なのか理解していないはずがないと思うのだがな」
「残念だけど、この学校にいるドクターはあんたのその翌日に復活するって能力を死んだ人全員に付与することが出来てるのよ。この学校じゃ、あんたのその能力は特別なんかじゃないって事なのよ」
微妙な空気を打ち破ってくれたと思っていた生徒たちであったが、クリームパイの放った衝撃の事実を知ったことで何とも言えない空気がより強くなってしまった。
殺されても翌日には生き返ってくるという能力は確かに強力で敵に回すと恐ろしいものだと言えるのかもしれないが、零楼館高校においてはドクターポンピーノが死んだものを一晩かけて元の状態に戻してくれるという事になっているので特別感はないのかもしれない。
「それに、あんたは死んでも生き返ることが出来るって事にかまけて攻撃一辺倒だし単調すぎるから相手にならないってみんな気付いてるでしょ。死んでも生き返れるからって思ってバカみたいに真っすぐ向かってくるだけで強くなってるって思い込んでるみたいだけど、そんな単純な思考回路だとすぐに見抜かれて反撃されて攻撃が当たる前に殺されちゃうだけなんだからね」
クリームパイは漆黒のマントの美少年に対して言っていると思うのだが、その言っていることが全てここ数日の栗宮院うまなの行動にも当てはまってしまっている。栗宮院うまなはクリームパイの言葉を聞いて下を向いてプルプルと震えているし、それを見てしまったクラスメイトたちは栗宮院うまなを見ないように少しだけ視線をそらしてしまっていた。
何とも言えない空気がまた別の空気感に変化しているのを感じ取ったクリームパイは全員の視線と栗宮院うまなの姿を見て何かを感じ取ってしまった。察しが良いのか悪いのか判断が付きにくいクリームパイではあったが、何も気づいていない漆黒のマントの美少年はみんなの前でバカにされてしまったと思って背負っていた剣を抜くとそのままクリームパイを切りつけようとしていた。
「姉さんはそうやっていつもいつも俺をバカにしやがって、俺は天才なんだ。お前なんて一太刀で殺してやる」
漆黒のマントの美少年は気合を込めた一撃をクリームパイの脳天めがけて振り下ろしたのだが、クリームパイは座ったままの状態で漆黒のマントの美少年のみぞおちに重い一撃を入れていた。
その拳が背中まで突き抜けているのではないかと思ってしまう程の衝撃があり、漆黒のマントの美少年は立ったまま剣を握った状態で失神してしまっていた。
「本当にバカなんだから。真正面からワシに向かってきて勝てるはずが無かろうに。もう少し成長したらどうなのかといつも思うぞ」
「あの、さっき姉さんって言ってたような気がしたんだけど、この人はクリームパイちゃんの弟なの?」
「この男はワシの弟のクリーキーじゃ。弟と言っても母親は違うけどな。この星では珍しい関係かもしれないが、ワシらの星ではそこまで珍しくもない関係性だ。他にも弟と妹は何人かおるんだが、カムショットのやつが無理やり送り込んでこないか心配になってしまうな」
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