110 / 127
おパンツ戦争
第110話 工藤太郎の復活、イザーの焦り
しおりを挟む
未遂に終わったとはいえ、工藤太郎を殺しかけたことを悔いているイザーはいつもよりも大人しく一歩引いているように見えた。
それと同じようにクリーキーも工藤太郎から離れていたのだが、そんな事は誰も気にしていなかった。気にするというよりも視界に入っていないというのが正しかったのかもしれない。
「あんなに死にそうな感じだったのにさ、もう大丈夫なのかい?」
「イザーちゃんの強烈な力で死にかけたけれど、今はもう大丈夫。宇宙用の防御パターンになってたのを忘れてたんだよね。地球と違って宇宙にいる時は衝撃に強くならないと駄目だったんだけど、イザーちゃんのじわじわと絞めてくる感じは本気で死を覚悟したよ。本当に強くなったね」
「太郎ちゃんは私のどんな攻撃も受け切ってくれるって安心感があったから久しぶりに本気を出しちゃったんだよ。いや、あんなこと言ってくれたから実力以上の力を出せたのかもしれないな。そう考えなきゃ太郎ちゃんをあんな風にしちゃうなんて思えないよ」
「そうそう、ソレが気になってたんだけど、太郎ちゃんはいったい何をイザーちゃんに言ったの?」
みんなが気になっていることを栗宮院うまなが聞いていたのだが、言われたことを思い出したイザーは再び工藤太郎に襲い掛かっていた。
ただし、今回は工藤太郎もしっかりと防御態勢を整えダメージを最小限に抑えていたので瀕死の状態に追い込まれるという事は無かった。
「私も気になってたんだけど、太郎ちゃんって何を言ってたのかな?」
「凄いよ。私が思いもしなかったことだったんだけど、太郎ちゃんはソレを一瞬で思いついてたんだって。私と太郎ちゃんはよく比較されることが多いんだけど、今回のこの話を聞いて太郎ちゃんの方が私よりも一歩も二歩も上だなって思ったよ」
「で、それがいったい何なのよ?」
「あんまり焦らさないで教えてくださいよ」
サキュバスもレジスタンスも関係なく工藤太郎が何を言ったのか気になっているようだ。
さりげなく人ごみに紛れて片岡瑠璃先生もいるのだが、他の人達と一緒に工藤太郎の言葉を待っていた。
そんな中でも思い出しテレをしているイザーは工藤太郎を一方的に攻撃し続けている。
当然工藤太郎はそれに対してしっかりと対処をしているのだけれど、高い技術の応酬によって致命傷は何とか避けることが出来ている工藤太郎ではあるのだが、イザーはどういうわけか確実に急所を狙って耐えられないであろう攻撃を繰り返しているのだ。
微妙にテンポをずらしての攻撃なので工藤太郎の対処がほんの少し遅れそうになっているのが見て取れるけれど、イザーに反撃をすることなく受けに徹している工藤太郎にとっては攻撃を見てからの反応でも急所を避けることが出来ている。イザーの動きを止めるために反撃に転じてみようものなら、イザーの不安定なコンビネーションを全て避けきることが出来ずに先ほどのような失態を犯してしまいかねない。工藤太郎はそう思い、反撃をすることを諦めていたのだ。
そんな工藤太郎の思いを知るはずもないイザーは相変わらず致命傷になりそうな攻撃を繰り返しているのだが、後ろからそっと近づいた片岡瑠璃先生がイザーの耳に息を吹きかけることに成功していた。イザーはリズム感の無い攻撃をピタッと止め、すぐに真横を向いて誰にやられたのか確認していた。
「張り切るのは構わないけれど、そんな乱暴なことをしちゃダメですよ。太郎ちゃんはまだ地球に帰ってきたばっかりで疲れているところなんですからね。イザーちゃんもその辺に気を使ってあげないと先生みたいなイイ女になれませんよ」
自分の事をイイ女だと言い切った片岡瑠璃先生に対してこの場にいた全員が大きなリスペクトの気持ちを抱いていた。
イイ女という事が間違いではないと思うのだが、それを自分で言ってのける姿に全員が心からの拍手を送っていた。
「それで、太郎ちゃんはいったいどんな提案をしたのかな?」
「先生、それがですね。太郎ちゃんって本当にすっごいことを思いついたんですよ。私もみんなも一生出てこないだろうなって発想だったんですけど、それを発表しちゃいましょう。でも、そんな素晴らしいことを私の口から言うなんておこがましいですし、直接太郎ちゃんの口から言ってもらいましょうよ。ね、その方がいいですよね?」
誰に向かって話しているのだろうという感じのイザーではあったが、少しずつ近付いてきている多くの観衆はイザーに対して反応を返していた。
いつの間にか学校中の人達が集まっているようで、見える範囲には隙間は一切なく人の海と言った感じであった。
コレだけ多くの人が詰めかけてしまっていてはイザーや工藤太郎の声が聞こえないだろうと思ったのだが、なぜか片岡瑠璃先生が持っていたマイクを渡された二人はマイクを通してのやり取りに変わっていった。
「いつの間にか凄い人が集まっちゃってるね。太郎ちゃんの帰りを聞きつけて集まった人達なのかな?」
イザーの言葉を聞いた観衆のいたるところから声が上がっているのだが、それは悲鳴にも似た叫び声であった。
マイクを通して観衆の隅々までイザーの言葉が届いている。もちろん、スピーカーは校舎にもあるのだ。この騒ぎを聞きつけた人達が更に集まってくることも予想されるのだが、その中にはきっと工藤珠希はいないのだろう。
ソレだけが少し心残りなイザーであった。
それと同じようにクリーキーも工藤太郎から離れていたのだが、そんな事は誰も気にしていなかった。気にするというよりも視界に入っていないというのが正しかったのかもしれない。
「あんなに死にそうな感じだったのにさ、もう大丈夫なのかい?」
「イザーちゃんの強烈な力で死にかけたけれど、今はもう大丈夫。宇宙用の防御パターンになってたのを忘れてたんだよね。地球と違って宇宙にいる時は衝撃に強くならないと駄目だったんだけど、イザーちゃんのじわじわと絞めてくる感じは本気で死を覚悟したよ。本当に強くなったね」
「太郎ちゃんは私のどんな攻撃も受け切ってくれるって安心感があったから久しぶりに本気を出しちゃったんだよ。いや、あんなこと言ってくれたから実力以上の力を出せたのかもしれないな。そう考えなきゃ太郎ちゃんをあんな風にしちゃうなんて思えないよ」
「そうそう、ソレが気になってたんだけど、太郎ちゃんはいったい何をイザーちゃんに言ったの?」
みんなが気になっていることを栗宮院うまなが聞いていたのだが、言われたことを思い出したイザーは再び工藤太郎に襲い掛かっていた。
ただし、今回は工藤太郎もしっかりと防御態勢を整えダメージを最小限に抑えていたので瀕死の状態に追い込まれるという事は無かった。
「私も気になってたんだけど、太郎ちゃんって何を言ってたのかな?」
「凄いよ。私が思いもしなかったことだったんだけど、太郎ちゃんはソレを一瞬で思いついてたんだって。私と太郎ちゃんはよく比較されることが多いんだけど、今回のこの話を聞いて太郎ちゃんの方が私よりも一歩も二歩も上だなって思ったよ」
「で、それがいったい何なのよ?」
「あんまり焦らさないで教えてくださいよ」
サキュバスもレジスタンスも関係なく工藤太郎が何を言ったのか気になっているようだ。
さりげなく人ごみに紛れて片岡瑠璃先生もいるのだが、他の人達と一緒に工藤太郎の言葉を待っていた。
そんな中でも思い出しテレをしているイザーは工藤太郎を一方的に攻撃し続けている。
当然工藤太郎はそれに対してしっかりと対処をしているのだけれど、高い技術の応酬によって致命傷は何とか避けることが出来ている工藤太郎ではあるのだが、イザーはどういうわけか確実に急所を狙って耐えられないであろう攻撃を繰り返しているのだ。
微妙にテンポをずらしての攻撃なので工藤太郎の対処がほんの少し遅れそうになっているのが見て取れるけれど、イザーに反撃をすることなく受けに徹している工藤太郎にとっては攻撃を見てからの反応でも急所を避けることが出来ている。イザーの動きを止めるために反撃に転じてみようものなら、イザーの不安定なコンビネーションを全て避けきることが出来ずに先ほどのような失態を犯してしまいかねない。工藤太郎はそう思い、反撃をすることを諦めていたのだ。
そんな工藤太郎の思いを知るはずもないイザーは相変わらず致命傷になりそうな攻撃を繰り返しているのだが、後ろからそっと近づいた片岡瑠璃先生がイザーの耳に息を吹きかけることに成功していた。イザーはリズム感の無い攻撃をピタッと止め、すぐに真横を向いて誰にやられたのか確認していた。
「張り切るのは構わないけれど、そんな乱暴なことをしちゃダメですよ。太郎ちゃんはまだ地球に帰ってきたばっかりで疲れているところなんですからね。イザーちゃんもその辺に気を使ってあげないと先生みたいなイイ女になれませんよ」
自分の事をイイ女だと言い切った片岡瑠璃先生に対してこの場にいた全員が大きなリスペクトの気持ちを抱いていた。
イイ女という事が間違いではないと思うのだが、それを自分で言ってのける姿に全員が心からの拍手を送っていた。
「それで、太郎ちゃんはいったいどんな提案をしたのかな?」
「先生、それがですね。太郎ちゃんって本当にすっごいことを思いついたんですよ。私もみんなも一生出てこないだろうなって発想だったんですけど、それを発表しちゃいましょう。でも、そんな素晴らしいことを私の口から言うなんておこがましいですし、直接太郎ちゃんの口から言ってもらいましょうよ。ね、その方がいいですよね?」
誰に向かって話しているのだろうという感じのイザーではあったが、少しずつ近付いてきている多くの観衆はイザーに対して反応を返していた。
いつの間にか学校中の人達が集まっているようで、見える範囲には隙間は一切なく人の海と言った感じであった。
コレだけ多くの人が詰めかけてしまっていてはイザーや工藤太郎の声が聞こえないだろうと思ったのだが、なぜか片岡瑠璃先生が持っていたマイクを渡された二人はマイクを通してのやり取りに変わっていった。
「いつの間にか凄い人が集まっちゃってるね。太郎ちゃんの帰りを聞きつけて集まった人達なのかな?」
イザーの言葉を聞いた観衆のいたるところから声が上がっているのだが、それは悲鳴にも似た叫び声であった。
マイクを通して観衆の隅々までイザーの言葉が届いている。もちろん、スピーカーは校舎にもあるのだ。この騒ぎを聞きつけた人達が更に集まってくることも予想されるのだが、その中にはきっと工藤珠希はいないのだろう。
ソレだけが少し心残りなイザーであった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ほのぼの学園百合小説 キタコミ!
水原渉
青春
ごくごく普通の女子高生の帰り道。
帰宅部の仲良し3人+1人が織り成す、ほのぼの学園百合小説。
♪ 野阪 千紗都(のさか ちさと):一人称の主人公。帰宅部部長。
♪ 猪谷 涼夏(いのや すずか):帰宅部。雑貨屋でバイトをしている。
♪ 西畑 絢音(にしはた あやね):帰宅部。塾に行っていて成績優秀。
♪ 今澤 奈都(いまざわ なつ):バトン部。千紗都の中学からの親友。
※本小説は小説家になろう等、他サイトにも掲載しております。
★Kindle情報★
1巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B098XLYJG4
2巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09L6RM9SP
3巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09VTHS1W3
4巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNQRN12P
5巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHFX4THL
6巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D9KFRSLZ
7巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F7FLTV8P
Chit-Chat!1:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTHQX88H
Chit-Chat!2:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FP9YBQSL
★YouTube情報★
第1話『アイス』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=8hEfRp8JWwE
番外編『帰宅部活動 1.ホームドア』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=98vgjHO25XI
Chit-Chat!1
https://www.youtube.com/watch?v=cKZypuc0R34
イラスト:tojo様(@tojonatori)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる