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おパンツ戦争
第121話 そんな恥ずかしい格好したくないし
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部屋の窓を開けて外を見ると、そこには今までと同じ景色が広がっていた。
ただ、今までとは違い工藤珠希一人ではなく隣には工藤太郎がいるのだ。
二人でぼんやりと外を眺めているのだけれど、無数のサキュバス達が夜の街の空を我が物顔で飛んでいた。
「野生のサキュバスが飛んでるけど、サキュバス星人って飛んだりしないのかな?」
「サキュバス星人って言ってもサキュバスじゃないんじゃないかな。普通の宇宙人なんだと思うけど、普通の宇宙人ってどういう感じなんだろう。自分で言ってて俺も良くわからなくなってきたよ」
「太郎と一緒にやってきたペタコン博士ってサキュバス星人じゃないの?」
「違うんじゃないかな。ペタコン博士は自分の事をオナオナ星人って言ってたよ」
「ふーん、そうなんだ。ボクにはよくわからない世界の話だわ」
「いつの間にか学校にもいろんな宇宙人がいるみたいなんだけど、珠希ちゃんって宇宙人に変なことされたりしてないのかな?」
「変なことって何よ。別にボクは何もされてないけど。そういう太郎の方こそ、ペタコン博士に何かされてたりしないの?」
「ほとんど会話も無かったかな。お互いに生活リズムが真逆だったし、話すのも一週間に数回だけだったよ。宇宙にいた時にペタコン博士と話した時間よりもこうした珠希ちゃんと話をしている時間の方が長いくらいだからね。宇宙にいる時はずっと孤独だったんだよ。だから、珠希ちゃんと話が出来た時はすごく嬉しかったんだ」
「へえ、そうなんだ。それならもっと話せばよかったね」
通信機器の影響で話が出来る時間が限られていたとはいえ、工藤太郎はその時間を目いっぱい使って工藤珠希に話しかけていたのだ。
もちろん、工藤珠希側の都合が悪くて会話が出来ない時もあったのだけれど、そんな時は栗宮院うまなとイザーが適当なことを言って工藤太郎の気を紛らわせていたのだ。
「でも、ちゃんと帰ってくることが出来て良かったよね。イザーちゃんから太郎の帰還が難しいかもしれないって聞いた時はどうしようかと思ったんだけど、何とかなったんだもんね」
「たまたま立ち寄った星でペタコン博士の宇宙船に乗ることが出来てラッキーだったよ。普通にしてたらそのままゆっくりと宇宙を彷徨って死んでただろうからね。光の速さを超えるスピードで移動できる宇宙船があって、本当に助かったって感じだね」
「良くわかなんないんだけど、それで帰ってこれたならよかったわ。ボクも一回くらい宇宙に行ってみたいって思うけど、太郎みたいに帰ってこれなくなったら困るから遠慮しとこうかな」
「俺と違って珠希ちゃんの場合は安全を確保された状態になるから大丈夫じゃないかな。イザーちゃんも俺の時とは違って壊れない転送ゲートを使うと思うし」
「そうそう、何で太郎が使おうとした時に転送ゲートが壊れたんだろうね。そんな偶然とかってあるのかな?」
「みんなには内緒だけど、珠希ちゃんにだけは教えてあげるね。イザーちゃんが転送ゲートを通った直後の話なんだけど」
何度目かの転送を終えてゆっくりとした時間を過ごしていた工藤太郎とイザー。
大きな仕事をやり遂げた満足感と次の仕事に対する期待感で少しだけ高揚していた工藤太郎を見ながらイザーは目を丸く見開いて驚いていた。
「太郎ちゃんもそんな風にテンションが上がる時があるんだね。ちょっと意外かも」
「俺だってテンション上がることくらいはあるよ。イザーちゃんが慌ててるところなんて滅多に見れないしね。出来ることならあの様子を撮影しておきたかったな」
「そんなに慌ててなかったと思うけど。それに、太郎ちゃんだって聖騎士に囲まれて嬉しそうにしてたじゃない。もしかして、太郎ちゃんもあんな風にかっちりした鎧を着て戦いたかったのかな?」
「鎧なんて着たくないよ。あんなの着てたら動きが制限されて俺は戦いにくくなっちゃうと思うし。イザーちゃんも踊り子みたいな服で戦えばもう少し楽だったんじゃないの?」
「ダメよ。あんなに布がひらひらしてたら動きにくいでしょ。踊るんだったらあれでもいいと思うけど、戦ってる時にあの布を掴まれたら身動きとりにくくなっちゃうと思うもん」
中世ヨーロッパの騎士のような鎧が無造作に転がる大地に寝転んでいるイザーと工藤太郎。
二人は大の字になって天を仰いでいるのだが、上空を旋回している大型の鳥たちが二人との距離を少しずつ取っているのだ。それでも、大型の鳥たちは無数に転がっている死体を狙っているようで、何度か滑空してきているのだが、二人から放たれている殺気を感じて上空へと舞い戻っていた。
「動きやすい服装で戦うのがベストだってのは俺も理解出来るんだけどさ。イザーちゃんのその恰好だったら裸でも変わらないんじゃないかな?」
「そんな事無いでしょ。マイクロビキニと全裸じゃ全然違うと思うよ。乳首出した状態で戦うとか完全に痴女でしょ。私は痴女じゃないからね。それよりも、太郎ちゃんの方がおかしな格好だと思うよ。どこかのヒーローみたいな全身タイツでビックリしちゃったもん。スーパーマン太郎とか言ったりしないよね?」
「さすがにそんな事は言わないけど。でも、イザーちゃんも着たいんだったら同じようなの作ってあげるよ。素材ならたくさんあるからね」
「いいわ。そんな恥ずかしい格好したくないし」
マイクロビキニ姿のイザーと全身タイツ姿の工藤太郎の二人は見た目こそ異常ではあるが、様々な星の平和を守っていたのであった。
何度も転送を繰り返し、近場の星が全てイザーと工藤太郎によって制圧された時、新たな歴史がスタートしていたのである。
ただ、二人はそんな事を気にしてなどいなかったのだった。
ただ、今までとは違い工藤珠希一人ではなく隣には工藤太郎がいるのだ。
二人でぼんやりと外を眺めているのだけれど、無数のサキュバス達が夜の街の空を我が物顔で飛んでいた。
「野生のサキュバスが飛んでるけど、サキュバス星人って飛んだりしないのかな?」
「サキュバス星人って言ってもサキュバスじゃないんじゃないかな。普通の宇宙人なんだと思うけど、普通の宇宙人ってどういう感じなんだろう。自分で言ってて俺も良くわからなくなってきたよ」
「太郎と一緒にやってきたペタコン博士ってサキュバス星人じゃないの?」
「違うんじゃないかな。ペタコン博士は自分の事をオナオナ星人って言ってたよ」
「ふーん、そうなんだ。ボクにはよくわからない世界の話だわ」
「いつの間にか学校にもいろんな宇宙人がいるみたいなんだけど、珠希ちゃんって宇宙人に変なことされたりしてないのかな?」
「変なことって何よ。別にボクは何もされてないけど。そういう太郎の方こそ、ペタコン博士に何かされてたりしないの?」
「ほとんど会話も無かったかな。お互いに生活リズムが真逆だったし、話すのも一週間に数回だけだったよ。宇宙にいた時にペタコン博士と話した時間よりもこうした珠希ちゃんと話をしている時間の方が長いくらいだからね。宇宙にいる時はずっと孤独だったんだよ。だから、珠希ちゃんと話が出来た時はすごく嬉しかったんだ」
「へえ、そうなんだ。それならもっと話せばよかったね」
通信機器の影響で話が出来る時間が限られていたとはいえ、工藤太郎はその時間を目いっぱい使って工藤珠希に話しかけていたのだ。
もちろん、工藤珠希側の都合が悪くて会話が出来ない時もあったのだけれど、そんな時は栗宮院うまなとイザーが適当なことを言って工藤太郎の気を紛らわせていたのだ。
「でも、ちゃんと帰ってくることが出来て良かったよね。イザーちゃんから太郎の帰還が難しいかもしれないって聞いた時はどうしようかと思ったんだけど、何とかなったんだもんね」
「たまたま立ち寄った星でペタコン博士の宇宙船に乗ることが出来てラッキーだったよ。普通にしてたらそのままゆっくりと宇宙を彷徨って死んでただろうからね。光の速さを超えるスピードで移動できる宇宙船があって、本当に助かったって感じだね」
「良くわかなんないんだけど、それで帰ってこれたならよかったわ。ボクも一回くらい宇宙に行ってみたいって思うけど、太郎みたいに帰ってこれなくなったら困るから遠慮しとこうかな」
「俺と違って珠希ちゃんの場合は安全を確保された状態になるから大丈夫じゃないかな。イザーちゃんも俺の時とは違って壊れない転送ゲートを使うと思うし」
「そうそう、何で太郎が使おうとした時に転送ゲートが壊れたんだろうね。そんな偶然とかってあるのかな?」
「みんなには内緒だけど、珠希ちゃんにだけは教えてあげるね。イザーちゃんが転送ゲートを通った直後の話なんだけど」
何度目かの転送を終えてゆっくりとした時間を過ごしていた工藤太郎とイザー。
大きな仕事をやり遂げた満足感と次の仕事に対する期待感で少しだけ高揚していた工藤太郎を見ながらイザーは目を丸く見開いて驚いていた。
「太郎ちゃんもそんな風にテンションが上がる時があるんだね。ちょっと意外かも」
「俺だってテンション上がることくらいはあるよ。イザーちゃんが慌ててるところなんて滅多に見れないしね。出来ることならあの様子を撮影しておきたかったな」
「そんなに慌ててなかったと思うけど。それに、太郎ちゃんだって聖騎士に囲まれて嬉しそうにしてたじゃない。もしかして、太郎ちゃんもあんな風にかっちりした鎧を着て戦いたかったのかな?」
「鎧なんて着たくないよ。あんなの着てたら動きが制限されて俺は戦いにくくなっちゃうと思うし。イザーちゃんも踊り子みたいな服で戦えばもう少し楽だったんじゃないの?」
「ダメよ。あんなに布がひらひらしてたら動きにくいでしょ。踊るんだったらあれでもいいと思うけど、戦ってる時にあの布を掴まれたら身動きとりにくくなっちゃうと思うもん」
中世ヨーロッパの騎士のような鎧が無造作に転がる大地に寝転んでいるイザーと工藤太郎。
二人は大の字になって天を仰いでいるのだが、上空を旋回している大型の鳥たちが二人との距離を少しずつ取っているのだ。それでも、大型の鳥たちは無数に転がっている死体を狙っているようで、何度か滑空してきているのだが、二人から放たれている殺気を感じて上空へと舞い戻っていた。
「動きやすい服装で戦うのがベストだってのは俺も理解出来るんだけどさ。イザーちゃんのその恰好だったら裸でも変わらないんじゃないかな?」
「そんな事無いでしょ。マイクロビキニと全裸じゃ全然違うと思うよ。乳首出した状態で戦うとか完全に痴女でしょ。私は痴女じゃないからね。それよりも、太郎ちゃんの方がおかしな格好だと思うよ。どこかのヒーローみたいな全身タイツでビックリしちゃったもん。スーパーマン太郎とか言ったりしないよね?」
「さすがにそんな事は言わないけど。でも、イザーちゃんも着たいんだったら同じようなの作ってあげるよ。素材ならたくさんあるからね」
「いいわ。そんな恥ずかしい格好したくないし」
マイクロビキニ姿のイザーと全身タイツ姿の工藤太郎の二人は見た目こそ異常ではあるが、様々な星の平和を守っていたのであった。
何度も転送を繰り返し、近場の星が全てイザーと工藤太郎によって制圧された時、新たな歴史がスタートしていたのである。
ただ、二人はそんな事を気にしてなどいなかったのだった。
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