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最初の最終決戦
第零話α 死闘の末
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犠牲になってしまった三人のおかげで魔王アスモデウスを追い詰めることが出来た。
尊い犠牲があったからこそ今の状況があるわけだし、このチャンスを逃すわけにはいかないのだ。
魔王アスモデウスにはこの局面を打開するだけの力は残っていないはずだが、千年以上の長きにわたってこの世界を支配していた事もあるのでとどめを刺すまでは油断をするわけにはいかない。俺に残された最後の力を振り絞って魔王アスモデウスの命を完全に絶っておかねばならないのだ。
「全く惜しいものだな。貴様は勇者と呼ばれるにふさわしいだけの力を持っていることは認めよう。だが、その力を持ってしても犠牲を払わねば余を追い詰めることは出来なかったようだな」
「お前だって今にも死にそうになってるじゃないか。見たところ、お前には反撃する力も俺の攻撃を避けるだけの体力も残っていないようだな」
「そうかもしれぬな。貴様らの力を見誤った余の負けではあるな。勇者真琴よ。今一つ問おう。余の右腕としてこの世界を支配するつもりはないか」
「そんなつもりはさらさらない。仲間の思いを込めたこの剣の一撃をくらえ」
満身創痍とはいえ俺の方が圧倒的に優位な立場なのだ。それを放り投げてまで魔王と共に世界を支配するような真似をするはずはない。曲がりなりにも勇者として活躍している俺に対する侮辱と受け取っても良いものではないだろうか。
「貴様らのようなものが余の腹心であればこの世界を争いのない良き世界へと変えることが出来たかもしれぬな」
回復の時間を稼ぐためなのか、魔王アスモデウスは俺たちに向かって話しかけてきた。争いのない世界へと変えることが出来るとか言ってはいるが、自分自身が争いのタネであるという事を自覚していないのだろうか。ここで魔王アスモデウスに話をさせずにとどめをさしてしまった方がいいのだろうな。でも、なぜか俺は魔王アスモデウスにとどめを刺すのをためらってしまっていた。
「争いのない世界とか言ってるけど、お前らが俺たち人類に対して攻撃をしてきたのが全ての始まりじゃないか」
「そうかもしれぬが、貴様らが余の支配を受け入れなかったが故の出来事であろう。強者が世界を支配するのはこの世の理なのだ。それは貴様も重々理解しているはずだ」
「そうだな、お前よりも俺の方が強かった。だから、お前はここで死ぬという事だ」
俺は形見の剣を両手でしっかりと握って残された最後の魔力を注いでいた。いつもの魔王アスモデウスであればこの程度の攻撃に耐えることは出来るだろう。しかし、残された魔力がほとんどない状態の魔王アスモデウスであれば俺の一撃でも命を絶つことくらいは出来るはずだ。
「ふふ、悲しい事ではあるが今は貴様が強者というわけか。貴様のような強者が現れるとは思いもしなかった。だが、それもまた運命というモノか。余の命を奪うに値するだけの強者よ、見事余の命を刈り取り残された仲間と残り少ない人生を楽しむがよい」
「ああ、そうさせてもらうよ。世界の平和のためにもな」
今までにないくらいスムーズに魔力を注ぐことが出来ていた。仲間を三人も殺されているというのに、俺はいつも以上に冷静になっていた。決してミスが許されることのない状況だと思えば思う程……落ち着いていた。
仲間を殺された怒りや悲しみよりも、世界を救うことが出来るという喜びよりも、ここでしっかりと決めきることが出来ればすべてが終わるという安心感がそこにはあった。
死んでしまった三人の分の魔力も一緒に籠められているように感じているのに、いつもよりもリラックスして自然体で剣を構えることが出来ている。今まで一度も無かったんじゃないかと思えるくらいに体が自然に動いていた。
「貴様が余の命を絶つことで貴様は大事な仲間に二度と会えなくなるな」
「何を言っているんだお前は。この期に及んで命乞いをするつもりか?」
こんな奴の言葉なんて聞く必要はない。今までもこいつらは適当なことを言って人心を惑わせてきたのだ。今だって俺を惑わすための戯言に過ぎないのだ。
それはわかっているはずなのに、なぜか俺は魔王アスモデウスが言っていることを理解しようとしてしまっていた。そんな事をしてはいけないはずなのに、ここでとどめを刺さないといけないはずなのに、俺はその動きを止めてしまった。
「命乞いなどするものか。貴様のような強者にやられるのであれば余も本望である。だが、この魔王アスモデウスが直々に命を摘み取った貴様の仲間は二度と生き返ることはないのだ。神の奇跡もこの魔王アスモデウスの前には児戯に等しいという事よ」
「それはどういう意味だ?」
「貴様たちは知らされていおらぬようだな。魔王の手によって屠られたものは魔王以上の力を持つものでなければ生き返らせることが出来ないのだ。貴様らの信ずる神程度の力では余の呪いを解くことが出来ぬという事だ」
「そんなでたらめを信じるわけがないだろ。神はお前なんかよりもずっと力を持っているんだ。神の奇跡はお前の力なんて軽く超えているはずだ」
「もしも、貴様らの神が余の力を超えているのだと仮定するのであれば、神はなぜ直接余を討ちに来ないのだろうな。貴様らの命を犠牲にして余を討とうとするのは何故なのか、疑問に思いはしなかったのか」
魔王の戯言だとわかってはいる。こうして俺がとまっている間にも魔王の魔力は少しずつ回復しているだろう。とどめを刺すのであれば魔王アスモデウスの魔力が回復するよりも早い方がいいに決まっている。
だが、俺は話を最後まで聞いた方がいいような気がしていた。
「ダメだよお兄ちゃん。そんな奴の言葉に惑わされないで。今すぐに魔王にとどめを刺さなきゃみんな浮かばれないよ」
みんな浮かばれない。
浮かばれないという事は、成仏できないという事だろう。
成仏できないという事は、みんな生き返ることが出来ないという事なのかもしれない。
神の奇跡で生き返ることが出来ると思っていたが、それは魔王アスモデウスの言う通りなのかもしれない。
ごく短い言葉ではあったが、そう確信してしまうには十分な言葉だったように思えた。
尊い犠牲があったからこそ今の状況があるわけだし、このチャンスを逃すわけにはいかないのだ。
魔王アスモデウスにはこの局面を打開するだけの力は残っていないはずだが、千年以上の長きにわたってこの世界を支配していた事もあるのでとどめを刺すまでは油断をするわけにはいかない。俺に残された最後の力を振り絞って魔王アスモデウスの命を完全に絶っておかねばならないのだ。
「全く惜しいものだな。貴様は勇者と呼ばれるにふさわしいだけの力を持っていることは認めよう。だが、その力を持ってしても犠牲を払わねば余を追い詰めることは出来なかったようだな」
「お前だって今にも死にそうになってるじゃないか。見たところ、お前には反撃する力も俺の攻撃を避けるだけの体力も残っていないようだな」
「そうかもしれぬな。貴様らの力を見誤った余の負けではあるな。勇者真琴よ。今一つ問おう。余の右腕としてこの世界を支配するつもりはないか」
「そんなつもりはさらさらない。仲間の思いを込めたこの剣の一撃をくらえ」
満身創痍とはいえ俺の方が圧倒的に優位な立場なのだ。それを放り投げてまで魔王と共に世界を支配するような真似をするはずはない。曲がりなりにも勇者として活躍している俺に対する侮辱と受け取っても良いものではないだろうか。
「貴様らのようなものが余の腹心であればこの世界を争いのない良き世界へと変えることが出来たかもしれぬな」
回復の時間を稼ぐためなのか、魔王アスモデウスは俺たちに向かって話しかけてきた。争いのない世界へと変えることが出来るとか言ってはいるが、自分自身が争いのタネであるという事を自覚していないのだろうか。ここで魔王アスモデウスに話をさせずにとどめをさしてしまった方がいいのだろうな。でも、なぜか俺は魔王アスモデウスにとどめを刺すのをためらってしまっていた。
「争いのない世界とか言ってるけど、お前らが俺たち人類に対して攻撃をしてきたのが全ての始まりじゃないか」
「そうかもしれぬが、貴様らが余の支配を受け入れなかったが故の出来事であろう。強者が世界を支配するのはこの世の理なのだ。それは貴様も重々理解しているはずだ」
「そうだな、お前よりも俺の方が強かった。だから、お前はここで死ぬという事だ」
俺は形見の剣を両手でしっかりと握って残された最後の魔力を注いでいた。いつもの魔王アスモデウスであればこの程度の攻撃に耐えることは出来るだろう。しかし、残された魔力がほとんどない状態の魔王アスモデウスであれば俺の一撃でも命を絶つことくらいは出来るはずだ。
「ふふ、悲しい事ではあるが今は貴様が強者というわけか。貴様のような強者が現れるとは思いもしなかった。だが、それもまた運命というモノか。余の命を奪うに値するだけの強者よ、見事余の命を刈り取り残された仲間と残り少ない人生を楽しむがよい」
「ああ、そうさせてもらうよ。世界の平和のためにもな」
今までにないくらいスムーズに魔力を注ぐことが出来ていた。仲間を三人も殺されているというのに、俺はいつも以上に冷静になっていた。決してミスが許されることのない状況だと思えば思う程……落ち着いていた。
仲間を殺された怒りや悲しみよりも、世界を救うことが出来るという喜びよりも、ここでしっかりと決めきることが出来ればすべてが終わるという安心感がそこにはあった。
死んでしまった三人の分の魔力も一緒に籠められているように感じているのに、いつもよりもリラックスして自然体で剣を構えることが出来ている。今まで一度も無かったんじゃないかと思えるくらいに体が自然に動いていた。
「貴様が余の命を絶つことで貴様は大事な仲間に二度と会えなくなるな」
「何を言っているんだお前は。この期に及んで命乞いをするつもりか?」
こんな奴の言葉なんて聞く必要はない。今までもこいつらは適当なことを言って人心を惑わせてきたのだ。今だって俺を惑わすための戯言に過ぎないのだ。
それはわかっているはずなのに、なぜか俺は魔王アスモデウスが言っていることを理解しようとしてしまっていた。そんな事をしてはいけないはずなのに、ここでとどめを刺さないといけないはずなのに、俺はその動きを止めてしまった。
「命乞いなどするものか。貴様のような強者にやられるのであれば余も本望である。だが、この魔王アスモデウスが直々に命を摘み取った貴様の仲間は二度と生き返ることはないのだ。神の奇跡もこの魔王アスモデウスの前には児戯に等しいという事よ」
「それはどういう意味だ?」
「貴様たちは知らされていおらぬようだな。魔王の手によって屠られたものは魔王以上の力を持つものでなければ生き返らせることが出来ないのだ。貴様らの信ずる神程度の力では余の呪いを解くことが出来ぬという事だ」
「そんなでたらめを信じるわけがないだろ。神はお前なんかよりもずっと力を持っているんだ。神の奇跡はお前の力なんて軽く超えているはずだ」
「もしも、貴様らの神が余の力を超えているのだと仮定するのであれば、神はなぜ直接余を討ちに来ないのだろうな。貴様らの命を犠牲にして余を討とうとするのは何故なのか、疑問に思いはしなかったのか」
魔王の戯言だとわかってはいる。こうして俺がとまっている間にも魔王の魔力は少しずつ回復しているだろう。とどめを刺すのであれば魔王アスモデウスの魔力が回復するよりも早い方がいいに決まっている。
だが、俺は話を最後まで聞いた方がいいような気がしていた。
「ダメだよお兄ちゃん。そんな奴の言葉に惑わされないで。今すぐに魔王にとどめを刺さなきゃみんな浮かばれないよ」
みんな浮かばれない。
浮かばれないという事は、成仏できないという事だろう。
成仏できないという事は、みんな生き返ることが出来ないという事なのかもしれない。
神の奇跡で生き返ることが出来ると思っていたが、それは魔王アスモデウスの言う通りなのかもしれない。
ごく短い言葉ではあったが、そう確信してしまうには十分な言葉だったように思えた。
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