(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

文字の大きさ
11 / 111
引きこもりからの脱却

第七話 新生活応援キャンペーン

しおりを挟む
 今まで働いたことが無かった俺でもこの寮がおかしいという事は理解出来る。
 部屋数も俺の実家よりも多いのだが、その一つ一つも凄く広くなっているのだ。一番大きい部屋は俺の実家の敷地がすっぽり入ってしまうのではないかと思ってしまうくらい広くて窓も大きく開放感が凄いことになっていた。

「あの、なんでこんなに広くて開放的な部屋があるのかな?」
「ココは憩いの場だからね。お兄さんが何かお店をやりたいって言うんだったら自由に使っていいからね。必要なものがあったら何でも言ってくれていいんだけど、全部無料でやってもらわないと駄目だからね。お金やモノを貰ったりしたらダメだからね」
「それってどういう事?」

「だって、お兄さんの仕事はこの学校の生徒に奉仕する事でもあるんだからね。それに対して更に対価を要求するってのはダメだと思うんだ。対価を支払う価値があるくらい特別なことをしてくれるって言うんだったら別だと思うんだけど、お兄さんはそんな特別なことなんてしてくれたりしないようね?」

「まあ、ずっと引きこもっていた俺にそんな技術なんてないからな。話を聞くくらいしか出来ないと思うし」
「そうだよね。お兄さんに出来ることを出来る範囲でやってくれたらいいからね。私もお兄さんが無理せずに出来ることをやってくれた方が嬉しいからね」

 どの部屋も大きい窓がついているので開放感が凄かった。さすがに風呂とトイレは換気用の小さな窓で曇りガラスになっているのだけど、それ以外の部屋は採光用にしては大きすぎると思えるような窓になっていた。

「新学期が始まるまでまだ少し時間もあることだし、お兄さんの部屋を決めるのはゆっくりでいいからね。どの部屋を選んでも大丈夫だけど、さすがにお風呂とかトイレで暮らそうなんて思わないよね?」
「そこは住む場所ではないでしょ。俺だってそれくらいはわかってるよ」

「それなら良かった。じゃあ、私はいったん自分の部屋に戻ってるね。何か必要なものがあったら各部屋に置いてあるノートパソコンから連絡してくれていいよ。通販とかも出来るようにしてあるんで遠慮せずに何でも頼んじゃっていいからね」

 遠慮せずに何でも頼んでいいと言われても欲しいものなんて特にないんだよな。とりあえず、この家がどんな間取りなのか確認するためにも全部の部屋を見て回ることにした。

 廊下を端から端まで歩くだけでもいい運動になってしまうくらいの長さがあり、廊下の左右にはそれぞれ部屋があるのだが広さはそれぞれ異なっている。

 俺が暮らしていた部屋よりも広い部屋しかないのでどこを選んだとしても今までのような生活と少し違った形にはなりそうだ。実家も特別狭いという感じはしなかったけれど、さすがにこの家と比べるのは比較対象としておかしいと感じてしまった。

 あの少女が言っていたように生徒さんたちのために何か店的なものを始めるのもいいかもしれないなと思っていたけれど、料理も何も出来ない俺に飲食店は無理だと思うし雑貨屋なんてのも向いてないだろう。商品が無料だとしても気に入ってもらえるようなものを俺が選ぶことなんて出来やしないだろうな。

 それにしても、各部屋の扉に鍵がないのはまだ納得できるのだけど、なんで玄関扉にも鍵がついていないのだろう。ココに入ってきた時も玄関の鍵を開けた形跡はなかったと思うし、扉を開けてみても鍵らしきものは全く見当たらなかった。

「お兄さんはもう住む部屋決めることが出来たかな?」

 俺は驚いて後ろを振り返ったのだが、そこに立っていたのは笑顔を浮かべた私服姿のシスターだった。年齢がわからないので小さな子供のように見えてしまうのだが、女児服を着ている姿も不思議と違和感がなかった。シスターの服も違和感がなかったと思うのだが、今の服装の方が似合っているという事もあって今にして思うとシスターの服は少し違和感があるように思えていた。

「あれ、私の声が聞こえてないのかな?」
「ごめん、後ろに誰かいると思ってなかったから驚いちゃってたよ。部屋はまだ決めてないんだけど、一番小さい部屋にしようかなって思ってるんだ。小さいって言っても俺が住んでいた部屋よりも広いんだけどね」

「驚かせちゃってごめんね。お兄さんが夢中になってドアを見てたから何してるのか気になって声かけちゃったんだ。小さい部屋なんて選ばないで大きいところを使えばいいのに。この家はお兄さんのためにうまなちゃんのパパが作ってくれたんだから好きなところを使っていいんだよ。でも、お兄さんのために作るんだったらお兄さんの好きな感じの間取りにしてもらえばよかったのにね。お兄さん的にもその方が良かったって思うよね」

 俺の好きな間取りで作ってもらえるというのは魅力的だと思うけれど、隙に作っていいと言われたところで俺が思い描くことが出来るのは実家のような家しかないので面白いものは出来ないな。そもそも、面白い家というのが何なのかわからないけれど、住み慣れた実家の間取りが一番しっくりくるというのは間違いではないと思う。

「それとは別に気になってることがあるんだけど、この家って玄関に鍵がついてないみたいなんだけどオートロックなのかな?」

「この家は学校の敷地内にあるから鍵なんてかけなくても大丈夫なんだよ。ほら、警備員さんたちがずっと巡回してくれているから泥棒とかの心配はないんだ。お兄さんに相談に乗ってもらう時のことも考えると家に鍵がついていない方が良いと思うってうまなちゃんが押し切っていたんだけど、その事を聞いたみんなもうまなちゃんの意見に同意はしていたよ」

「さすがにそれはおかしいと思うけど」
「大丈夫だって。お兄さんの命を狙うような人なんてこの学校にはいないからね」

 俺が気にしているのは命を狙われる心配ではなく、毎日ちゃんと眠ることが出来るのだろうかという事だ。俺は小さな物音でも起きてしまうようなタイプなので寝ているときに誰かが入ってきてしまうと飛び起きてしまうような気がしているのだ。

「お兄さんが心配しているようなことなんて何も起きないからね。だって、ココは学校なんだよ」

 シスターの言っている事と俺が思っていることは一緒ではないと思うのだが、それをココで言い合ったところでどうしようもないと思う。

 俺が言いたいことはそういう事ではないという事だけでも伝えた方がいいのかもしれないけど、玄関ではないところから出入りを出来るような家では玄関に鍵をつけたところで焼け石に水なのではないかと思ってしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...