(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

文字の大きさ
20 / 111
引きこもりからの脱却

第十六話 秘密の地下室

しおりを挟む
 特待生寮の地下には秘密の小部屋があるらしい。
 たまたま地下室への階段を見つけた俺は己の好奇心に負けて階段をゆっくりと降りていったのだが、聞きなれた話し声が聞こえてきたことで変な場所ではないと思って油断してしまっていた。
 三人の声が聞こえてきて安心せずに引き返すべきだった。
 心からそう思っていた。

「真琴さんがここに来たって事は、全ての準備が整ったという事ですね」
「そういう事になるかな。でも、もう少しだけ時間が欲しかったかも」
「ですね。今のままだと不完全な状態で繋がってしまいます」
「真琴ちゃんと瑠璃ちゃんがいれば何とかなると思うけど、問題はうまなちゃんがどう思うかって事なのよね」

 特待生寮なので愛華さんがいることはおかしくない。イザーちゃんも俺が住んでる寮にいたり特待生寮にいたりするのでおかしくはない。
 ただ、午彪さんと一緒にイギリスに行っている奈緒美さんがいるのはおかしい。さっきもテレビ電話で話したはずの奈緒美さんが目の前にいるというのはどう考えても納得できない。

「そんな不思議そうな顔しなくてもいいわよ。これからイザーちゃんと愛華ちゃんが真琴ちゃんに説明してくれるからね」

 奈緒美さんは特待生寮の地下に集まっている三人が何をしているのかを俺が知りたいと思っているようだ。
 確かにそれも気にはなるのだけれど、それ以上にさっきまでテレビ電話で話していたイギリスにいるはずの奈緒美さんがここにいるという事が気になっているのだ。
 アレは録画や合成だとは思えないのだが、イギリスに行っているという話自体も嘘なのだろうか。

「そう言えば、奈緒美は午彪と一緒にどこかに行ってるんじゃなかったっけ。多分、お兄さんはその事で混乱しているんだと思うよ。この部屋で何をしているのかも気になってると思うけど、それ以上にイギリスとここに奈緒美がいるってのが気になってるんだと思うな」
「そう言えばそうだったかも。私は今、パパと一緒にイギリスに行ってるんだった。でも、それくらいで驚かれても困っちゃうけどね」
「いや、普通は驚きますよ。私もイザーさんに教えて貰うまで奈緒美さんが二人いるって知らなかったですもん」

「お兄さんは理解出来ていないようだから教えてあげるけど、奈緒美は二人いるんだよ。奈緒美が二人いるっていう事がどういう意味なのか分かってないみたいだから簡単に説明するけど、奈緒美はこの世界に二人いるって事だからね」
「その説明で納得出来ないと思わないのかな?」

 愛華ちゃんが奈緒美さんは二人いると言っているのだから奈緒美さんが二人いるというのは本当なのだろう。
 イザーちゃんも奈緒美さんもうまなちゃんも瑠璃も人間なんで嘘の一つくらいつくだろう。
 嘘をつかないような人間はこの世に存在していないと思っていた。
 だが、愛華ちゃんだけは嘘をつかないのではないかと思える何かがあった。その何かはわからないけれど、愛華ちゃんは嘘をつかないと断言してもいいだろう。

「あんまりいやらしい目で愛華の事を見ない方がいいと思うよ。本人も嫌だと思うけどさ、それ以上に周りの人も不愉快に感じちゃうんだからね。うまなちゃんもお兄さんが愛華の大きいおっぱいをじっと見てるって言ってたよ」
「ちょっと待ってよ。そんなことしてないと思うけど」
「それはどうかな。今だって私たちの事は見ずに愛華の事ばかり見ているように見えるけど。お兄さんは奈緒美が二人いるって事よりも愛華の無駄に大きいおっぱいの事の方が気になるって事なのかな?」

 俺はそういうつもりで愛華ちゃんを見ていたわけではない。
 それを説明しようと思ったけれど、いくら説明したところで今の状況では信じてもらえないだろうと感じていた。
 いっそのこと、そんな風に思ってもらっていた方が気が楽になるかもしれない。いや、別に愛華ちゃんの胸を見ていたつもりなんてないのだけど、イザーちゃんがそんな風に感じるくらい愛華ちゃんの胸のインパクトがあるという事なのかもしれないな。

「あの、真琴さんは私の顔を見た後に視線を下に動かしているように感じてました。それは男性なら仕方ないことだと思ってるんで、私は……平気ですよ」
「真琴ちゃんは若い男の子だから仕方ないよね。でも、あんまりジロジロと見るのは良くないと思うな。イザーちゃんとかうまなちゃんみたいにフラットな人の事も時々見てあげるといいかもよ」
「ねえ、そんな言い方は良くないと思うよ。私もうまなちゃんも気にはしてないけど、周りから言われるのはちょっと違うんじゃないかなって思ってるからね。本当に気になんてしてないけど、他の人から言われるのはどうかなって思うよ」

 奈緒美さんが二人いるという話を知りたかったのだが、ここで俺がその話題を出すのはタイミング的にまずいように思えた。
 イザーちゃんがサイボーグでヴァンパイアだという話に続いて奈緒美さんが二人いるという事もココでは常識だという事なのだろうか。そうでなければ愛華ちゃんがその事実を素直に受け止めるとは思えないのだ。

 話の着地点としてそれが正しいのかわからないが、イザーちゃんとうまなちゃん側の人間に瑠璃も加わることでこの話は幕引きとなったようだ。
 本人のいないところで決められたことではあるが、瑠璃の兄として俺はその話し合いに同意することにした。瑠璃本人は認めないとは思うけど、事実というのは時に厳しい現実を突きつけることもあるのだ。

「すっかり話はそれてしまったけど、お兄さんがここに来たからにはここの説明をしておかないといけないよね。本当だったら完璧に作動するのを確認してからお兄さんを呼びたかったんだけど、そうも言っていられない事態になっちゃんったんだよね。その原因はまだわかってないんだけど、私たち五人が集まっちゃったのが良くなかったのかもしれないね」
「その可能性は高いですね。今までは全く作動する気配すらなかったこの子たちが一斉に動き出しちゃいましたもんね。真琴さんと瑠璃さんがこの寮に入った時にはこっちのゲートが開いちゃってましたからね」

 イザーちゃんと愛華ちゃんが見ているのは何の変哲もない壁なのだが、よく目を凝らして見ているとうっすらと扉のようなものがあるように感じていた。

「お兄さんにはまだ見えないかもしれないけど、ここにある柱と柱の間はココと他の世界を繋ぐゲートなんだよ。今は私が結界を張ってるから侵入してくるような奴はいないんだけど、一応警戒だけはしてるんだよ」
「それと、こっちの扉は新しい世界へと通じる扉なんだよ。こっちはまだつながるまで時間がかかりそうだけどね」

 イザーちゃんも奈緒美さんも嘘は言っていないと思う。
 本当の事を言っているはずなのに、どうしても何か全面的に信じることが出来ないでいた。
 異世界や新世界に繋がるモノがこんな地下にあって良いのかという疑問がわいてきた。

「目的の世界を探すよりも、自分たちで新しい世界を作っちゃった方が早いんじゃないかなって思ってるんですよ。イザーさんも奈緒美さんもそう考えてますよね?」

 愛華ちゃんの言葉に対してイザーちゃんと奈緒美さんは深く頷いていた。
 という事は、イザーちゃんが言っていた嘘みたいな話も本当だったという事なのかもしれないな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...