(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

文字の大きさ
29 / 111
誘拐事件

誘拐事件 第五話

しおりを挟む
 うまなちゃんが無事だという事は良いのだけど、そのすぐ横で寝転がっている二人の男性がピクリとも動かないのはとても気になってしまった。
 頭のあたりに血だまりが出来ているのに気付かないふりをしていたけれど、うまなちゃんに近付いた時に血を踏んでしまって思わず固まってしまった。

 俺はうまなちゃんに催促されるがままにうまなちゃんを縛り付けているロープを解いていったのだが、どうやっても体が自分の思い通りに動かなくて苦戦してしまっていた。

「お兄ちゃん、助けに来てくれてありがとうね」

 うまなちゃんはそう言ってくれたけれど、俺としてはうまなちゃんを助けに来れたという自覚なんて持っていない。
 銃声が聞こえた時にはまだ建物の中に入っていなかったんだし、もしかしたら俺が中に入らなかったことでこの二人が死んでしまった。なんて可能性があったりするのだろうか。そんな事を考えるのはよそう。

「すっごく怖かったよ。でも、みんなが助けに来てくれるって信じてたからね」
「うまなさんが無事で良かったです。なるべく早く助けたいって思ってたんですけど、その思い通りに行動出来て良かったですよ」
「そうだね。愛華が一番最初に来てくれてよかったかも。イザーちゃんだったらこんなに綺麗に出来ないもんね」
「そんなことないでしょ。私だってスマートにこの拳を叩き込むことくらい出来るし」

 イザーちゃんが拳を突き出すと先ほど聞こえてきた銃声にも似た破裂音が聞こえるのだけど、それはいったい何の音なのだろう。知りたいような知らない方がいいような、そんな不思議な音が聞こえていた。

「イザーさんがそれを付けて殴ったら肉片が飛び散っちゃいますって。うまなさんに飛び散った肉片がついて怒られちゃうんじゃないですか」
「ええ、うまなちゃんはそれくらいじゃ怒らないと思うけどな。ね、うまなちゃんは怒らないよね?」
「いや、普通に怒るでしょ。愛華みたいに私に血がつかないようにしてくれないと困るんだからね」

 楽しそうに会話をしている三人を見て俺は固まってしまっていた。
 誘拐犯の生き残りの一人はやってきた二人と俺を見て固まっているようだが、あの感じだと何が起こっていたのか理解出来ていないのだろうな。
 そんな俺も何が起こったのかさっぱりわかっていないのだ。

「じゃあ、私がこの人に尋問しちゃおうかな。愛華はうまなちゃんを連れてお姉ちゃんのところに行ってていいよ。お兄さんは私に付き合ってくれるよね?」
「うん、イザーちゃんに付き合うよ」

 うまなちゃんは部屋を出ていくときに転がっている二人の死体を一瞬だけ見たのだが、すぐに俺に笑顔を向けて手を振りながら出ていったのだ。
 俺は死体を見ないように気を付けていたのだけれど、うまなちゃんと愛華ちゃんが視線を下に移動させたことにつられて視線を落としてしまった。

 当然だが、そこには先ほど見た時と何も変わっていない死体が転がっていたのだった。

「うまなちゃんもいなくなったことだし、君に質問があるんだけど答えてもらえるかな。別に答えたくなかったらそれでもいいんだけど、私は愛華みたいに優しくはないからね。あの子みたいに一発で殺したりなんてしないよ」

 イザーちゃんみたいな可愛い子が言うような言葉ではない物騒な言葉が続いているのだが、その言葉の意味をちゃんと理解しているのかしていないのかわからない様子の男は俺に助けを求めるような視線を送ってきた。
 俺に助けを求められても困るのだが。

「もしかして、日本語がわからないのかな。仕方ないな。この世界の人に使うと脳に良くないって言われてたけど別にいいよね。そんなに脳を使ってそうな感じでもないし、多少のダメージがあっても問題ないでしょ」

 イザーちゃんが生き残りの男に向かって手を向けながら何かつぶやいていたところ、その手のひらからキラキラと光る紐が何本も男に向かって伸びていた。
 男はその紐が見えていないのか 全くの無抵抗で体にまとわりついている紐を受け入れていた。

「これで言葉が通じるようになったと思うんだけど、私の言っていることがわかるかな?」
「急に頭を撃ちやがっておかしいんじゃないのか。こっちは何もまだ要求して無いっていうのに、おかしいんじゃないか」
「よし、言葉は通じるようになったね。じゃあ、君が魔王アスモデウスの転生体って事でいいんだよね?」

 急に言葉が通じるようになったからなのか男は怯えていたようだが、残っているイザーちゃんも俺も愛華ちゃんと違って銃を持っていないという事に気が付いて少しだけ落ち着いたようだ。

「お前が何を言いたいのかわからないが、そんな弱そうな男と二人で俺に勝てると思ってるのか」

 俺は確かに弱そうに見えると思う。
 でも、今君の目の前にいる女の子はか弱そうに見えてもその腕につけている手甲は凄い質量で見た目以上に重いものだと思うよ。
 それを付けたうえであれだけの速さの突きを繰り出せるんだから、イザーちゃんがか弱いってことはないと思うな。

「人質はいなくなったけど、今度はお前が人質になれ。いきなり銃をぶっ放した頭のおかしいメイドもいなくなったことだし、お前もさっきの女と同じように椅子に縛り付けてやる」
「あのさ、こっちの質問に答えてもらってもいいかな」

 イザーちゃんが殴った壁には大きな穴が開いていたのだが、普通は鉄で出来ている壁を殴っても穴が空いたりなんてしないだろう。
 そもそも、鉄に穴が開くほどの力と技術は人間の体で習得することが出来るのだろうか。

「はい、なんでも答えます。文句ばっかり言ってすいません」
「そう言ってくれると助かるよ。じゃあ、始めようか」

 イザーちゃんは生き残った男をうまなちゃんが座っていた椅子に座らせていた。その左右に男の仲間が転がっているのだが、二人ともそんな細かいことは気にしていないようだった。
 俺だけが転がっている二人の死体を気にしているのだが、ここまで二人が気にも留めないという事で本当は生きているんじゃないかという思いをわずかに抱いていた。

 もちろん、転がっている二人が本当は生きているなんてことは、無かったのだけれどね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...