(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

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悪魔狩り

悪魔狩り 第十三話

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「たこ焼きできたよ」

 うまなちゃんに呼ばれた俺たちはたこ焼きの屋台の前に並んでいたのだが、瑠璃の方はもう少し時間がかかるみたいだった。

「私のは出来てからでいいんで先にうまなさんのたこ焼きを食べていてね。うまなさんのを食べた後でも私のは美味しく食べられるって自信があるから」
「先生のも美味しいとは思うんだけど、私のを先に食べたら先生のたこ焼きを食べることが出来なくなっちゃうかもしれないよ。だって、私の作るたこ焼きの方が美味しいからお腹いっぱいになるまで食べ続けちゃうかもしれないもんね」

 瑠璃もうまなちゃんも教師と生徒という間柄ではあるが、普段はとても仲が良いと思っていた。
 仲が良いからこそ真剣に競い合っているという事かもしれないが、そこまで張り合わなくてもいいように思える。何が二人をここまで真剣に戦わせるというのだろうか。

 ただ、俺は先ほど焼きそばを食べ過ぎてしまってこれ以上たこ焼きが入るスペースが残っていない気がしていた。
 とても美味しそうな匂いが食欲を刺激しているはずなのに、限界を超えた胃袋というものはどんなに美味しそうなものを見せつけられても反応しなくなるものなのだと思い知らされた。
 他の三人も俺と同じくそれぞれ好きなモノを食べ過ぎてしまったようで、誰もたこ焼きに手を伸ばそうとはしなかった。

「あれれ、もしかしてみんな猫舌なのかな。たこ焼きは出来たて熱々で食べてもらいたいんだけど、私のたこ焼きは冷めても美味しいから心配しなくていいんだよ」
「みんなうまなさんのを食べるよりも私のたこ焼きが出来るのを待ってた方が良いって思ってるのかもね。すぐに完成するからもう少しだけ待っててね」

 各々の座っている席の前に出されたたこ焼きは大きさも形も全て同じで数はみんな平等に二十個ずつだった。
 晩御飯代わりにたこ焼きを食べようと話をしていたのだからこの数でも納得なのだが、いかんせん今は食べ過ぎてきてしまった。たった一つのたこ焼きを食べる事さえ躊躇してしまうのだ。

 だが、いつまでもたこ焼きを見ているわけにもいかず、俺はゆっくりとたこ焼きに手を伸ばしているのだが、上手くたこ焼きを持ち上げることが出来ずにいた。
 ソースの香りも良いし鰹節と青のりも食欲をそそる。
 それなのに、俺はたこ焼きを持ち上げて口まで運ぶという事がどうしても出来なかった。どんなに頑張ってもたこ焼きを口に運ぶことが出来なかった。

「兄貴は猫舌じゃなかったと思ったんだけど、そこまでして私の矢板たこ焼きを待っててくれるって事なのかな。みんなもうまなさんが作ったたこ焼きよりも私の作ったたこ焼きを食べたいって思ってくれてるって事だよね。何だか感激しちゃったよ」

 瑠璃が作ったたこ焼きもとても美味しそうでいつもであれば喜んでいくらでも食べただろう。
 ただ、どうしてもお腹の容量がいっぱいなこともあって誰も手を伸ばそうとはしなかった。
 みんなが少しだけ困ったような表情で苦笑いを浮かべているのだ。誰も自分の限界を超えようとはしなかった。ココで限界に挑戦したとしても、悲惨な結果に終わってしまうとみんながわかっているのだ。だから、誰も無理な戦いに挑むことはないのだ。

 完全に俺たちが悪いので瑠璃もうまなちゃんも被害者と言って問題無いのだろうが、優しい二人は俺たちの事を心配してくれているのが少しずつ見えてきた。
 その二人の心遣いも俺の心に響いてしまう。
 きっと、他の三人も俺と同じ気持ちなのだろうな。


 しばらく待っても誰も手を伸ばさないことに痺れを切らしたのか、うまなちゃんが瑠璃の焼いたたこ焼きをじっと見つめると、そのままたこ焼きを口の中に入れたのだ。
 まだ出来立てと言ってもいい時間しか経っていないこともあってたこ焼きが相当熱かったのか、うまなちゃんの吐く息は少しだけ湯気が見えていた。

「凄い凄い凄い。凄ーい。先生の作ったたこ焼きすっごく美味しいよ。言ってるだけでそんなに美味しくない普通のたこ焼きなんだろうなって思ってたんだけど、食べてみたら全然違って凄く美味しいです。私の作ったたこ焼きも美味しいとは思うんだけど、先生の作ったたこ焼きの方が私は好きかも。何ていうか、私のたこ焼きよりもコクがあるような気がする。ねえ、何か特別なもの入れてるの?」
「そんなに褒めてくれて嬉しいです。私は天かすの代わりにこのお菓子を入れているんだよ」

 瑠璃がドヤ顔で取り出したのはおやつで時々見かけたイカ姿フライだった。
 どこにでも売っているようなおやつではあるが、そのまま食べても美味しいのだからたこ焼きの天かす代わりに使っても美味しいんだろう。

 ただ、その説明を聞いてもお腹はいっぱいのままなのだ。

「そんな食べ物があったんだ。私は初めて見たけど、少し頂いても良いですか?」
「どうぞ。いろんな味があるからきっとうまなさんも好きなのが見つかると思いますよ」

 瑠璃が小さく食べやすい大きさに砕いたイカ姿フライをうまなちゃんの口に直接放り込んでいた。
 うまなちゃんに手渡すと手が汚れるからという心遣いなのかもしれないが、何となくうまなちゃんも瑠璃も嬉しそうにして頬を赤くしているように見えた。

「ねえ、私たちはいったい何を見てるんだろうね。うまなちゃんもお姉ちゃんも楽しそうだからいいんだけど、もう食べ物は見たくないかも」
「そうですよね。私もあの二人が仲良くしているところを見るのは好きなんですけど、今だけは食べ物から離れてほしいなって思ってますよ」

 イザーちゃんも愛華ちゃんも俺と同じでこれ以上お腹に余裕はないようだ。
 柘榴ちゃんもお腹をさすりながら二人を見ているのだが、その目はイザーちゃんや愛華ちゃんと違って輝いているように見えたのだ。
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