55 / 111
悪魔狩り
悪魔狩り 第十八話
しおりを挟む
うまなちゃんが自分よりも大きな牛のぬいぐるみを引きずりながら野城圭重の隣までやって来ると、そのまま何も言わずに野城圭重の顔面を平手で叩いていた。
二度三度と平手打ちを繰り返しているうまなちゃんの表情は一切変わらず、いくら夢の世界とは言え反撃を一切出来ずに平手を受け入れている野城圭重の事が気の毒になってしまった。
映し出されている野城圭重の夢の内容があまりにも衝撃的だったこともあってみんな口が開いたままになっていたと思う。
俺はうまなちゃんの事を見ることは出来なかったけれど、俺とは対照的にイザーちゃんはとても楽しそうにうまなちゃんに話しかけていたのだ。
「本当のうまなちゃんはビンタなんてしたことないのに、こいつは面白いね。夢の中のうまなちゃんはこいつに思いっきりビンタしてるよ。しかも、腰の回転もしっかり入っているから相当痛そうな感じだよ」
「本当ね。私もあの一撃をまともに食らったら経っていられる自信はないわ。でも、私の知っているうまなちゃんはあんな暴力的なことなんてしないと思うんだけど」
「あの一撃があれば世界を変えられるかもしれないですよね。私も柘榴さんと一緒でうまなさんの一撃に耐えられる自信はないですけど、真琴さんだったら余裕なんじゃないですかね」
この場にいる全員が俺に注目している。
愛華ちゃんの言葉を聞いてみんなが俺に注目しているという事だが、どう考えても俺が殴られる必要なんてないと思う。
「そうだね。お兄さんがあっちのうまなちゃんのビンタに耐えられるかどうか試しておく必要があるかもしれないね」
「すまん、イザーちゃんが言っている言葉の意味が全く理解できないのだが」
「もっと簡潔に言うと、お兄さんがあいつの夢の世界に行ってあっちのうまなちゃんの平手打ちをくらってくるって事だよ。まだ理解出来ないのかな?」
「言っていること自体は理解出来ているんだが、その内容がどう考えても意味不明だと思うんだ。野城圭重の夢の中に行って俺があっちのうまなちゃんに平手打ちをお見舞いされてしまうって事だろ。全然意味が分からないんだが」
「そこまでわかっているのなら今更説明する必要もないと思うんだけどね。だが、いまいち理解していないお兄さんのために簡単に説明するよ」
イザーちゃんたちが作ったのは夢を映像化する装置だけではなく、他人の夢の中に行ってしまうというものもあったようだ。
そんな事をすることが可能なのかもわからないが、それ以前に夢の中にこっちから入っていくというのは何らかの罪になるような気もしている。解釈次第ではプライバシーの侵害とも受け取れるんじゃないかな。
俺の心配をよそにイザーちゃんと愛華ちゃんは何やら怪しげな装置を持ってきたのだ。
幾重にもコードが絡まりあっていて最終的には一本の太いロープのようになりつつもヘルメットの頂点部分に繋がっていた。
手招きされた俺はその機会のすぐ近くまで歩いているのだが、近づけば近づくほど危険な印象を受けていたのだ。なぜそこまで危険だと思ったのかは謎だが、イザーちゃんと愛華ちゃんが関わっていてうまなちゃんが全く関係していないという事にも理由があるのかもしれない。
どんなに天才が集まったとしても、それをまとめ上げる人材がいなければうるさい集団としか思われないかもしれない。
「何も心配することはないよ。お兄さんがすることはこの装置を使ってあっちの夢に紛れ込んでくるってだけだからね。私たちは夢の中でのお兄さんの行動を一切責めたりなんてしないから好きなことしてきていいからね」
「私たちは真琴さんが何をするのか観察するだけですよ。圭重さんの創り出した夢の世界で真琴さんがどんなことをするのか知りたいですからね」
「私もあなたがどんな行動をとるのか楽しみだわね。それにしても、あの人ってなんで叩かれてあんなに嬉しそうなのかしら。相変わらず一撃一撃が力強く重そうなのだけど、意識を飛ばさないように一生懸命耐えてるわね。素晴らしいわ」
画面に映し出される映像には大きな牛のぬいぐるみを手に持っているうまなちゃんと嬉しそうに平手を受けている野城圭重がいた。
みんなが言うように嬉しそうに平手を受けている野城圭重の気持ちを理解しようとして見たのだけれど、残念なことに俺はあの立場になってしまった場合に喜んでいられるという自信はなかった。
装置の中央に用意されている椅子に座ると、何となく王様になったような高揚感が俺の体を包み込んでいた。あの夢の世界に行くのはとても嫌ではあるけど、こうして王様気分を味わえるというのは少しだけ嬉しかったりもするのだ。
こんなに立派な玉座に座ることが出来るのはこれが最初で最後の機会かもしれない。悔いのないように行動しようと思ったのだが、俺がこれから行うことはそこに行くだけでも後悔しかないようなことなのだ。
何やらたくさんのコードがついているヘルメットをかぶって自分の席に座った。俺の近くにやってきていたイザーちゃんと愛華ちゃんは手際良く準備を進めているのだ。
俺の体を椅子に固定するために大小さまざまな大きさや太さのチェーンやロープで固定してきたのだ。
「さあ、準備も出来たところだ。これからお兄さんを向こうの夢の世界に送り込むことになるんだけど、何かやり残した事とかはあったりするかな?」
出来ることではないと思うが、いじめが始まったあの時に戻って一人一人にゆっくりと復讐などしてみたいと思ってはいた。
でも、イザーちゃんが聞きたいのはそういう事じゃないとは思うんだよな。
みんなが幸せになるために出来ることはたくさんありそうだけど、自分が幸せになるために出来ることなんてほとんどないような気もしていた。
野城圭重みたいに叩かれることに喜びを見出した方が良いのだろうか。
酸素供給用のマスクをつけると、俺は何も考えられずに意識が少しずつ遠くへ行ってしまうような感覚があったのだ。
こんなに簡単に眠ることなんて出来るのかな。
そんな事を考える一瞬の間に世界は大きく変化していた。
二度三度と平手打ちを繰り返しているうまなちゃんの表情は一切変わらず、いくら夢の世界とは言え反撃を一切出来ずに平手を受け入れている野城圭重の事が気の毒になってしまった。
映し出されている野城圭重の夢の内容があまりにも衝撃的だったこともあってみんな口が開いたままになっていたと思う。
俺はうまなちゃんの事を見ることは出来なかったけれど、俺とは対照的にイザーちゃんはとても楽しそうにうまなちゃんに話しかけていたのだ。
「本当のうまなちゃんはビンタなんてしたことないのに、こいつは面白いね。夢の中のうまなちゃんはこいつに思いっきりビンタしてるよ。しかも、腰の回転もしっかり入っているから相当痛そうな感じだよ」
「本当ね。私もあの一撃をまともに食らったら経っていられる自信はないわ。でも、私の知っているうまなちゃんはあんな暴力的なことなんてしないと思うんだけど」
「あの一撃があれば世界を変えられるかもしれないですよね。私も柘榴さんと一緒でうまなさんの一撃に耐えられる自信はないですけど、真琴さんだったら余裕なんじゃないですかね」
この場にいる全員が俺に注目している。
愛華ちゃんの言葉を聞いてみんなが俺に注目しているという事だが、どう考えても俺が殴られる必要なんてないと思う。
「そうだね。お兄さんがあっちのうまなちゃんのビンタに耐えられるかどうか試しておく必要があるかもしれないね」
「すまん、イザーちゃんが言っている言葉の意味が全く理解できないのだが」
「もっと簡潔に言うと、お兄さんがあいつの夢の世界に行ってあっちのうまなちゃんの平手打ちをくらってくるって事だよ。まだ理解出来ないのかな?」
「言っていること自体は理解出来ているんだが、その内容がどう考えても意味不明だと思うんだ。野城圭重の夢の中に行って俺があっちのうまなちゃんに平手打ちをお見舞いされてしまうって事だろ。全然意味が分からないんだが」
「そこまでわかっているのなら今更説明する必要もないと思うんだけどね。だが、いまいち理解していないお兄さんのために簡単に説明するよ」
イザーちゃんたちが作ったのは夢を映像化する装置だけではなく、他人の夢の中に行ってしまうというものもあったようだ。
そんな事をすることが可能なのかもわからないが、それ以前に夢の中にこっちから入っていくというのは何らかの罪になるような気もしている。解釈次第ではプライバシーの侵害とも受け取れるんじゃないかな。
俺の心配をよそにイザーちゃんと愛華ちゃんは何やら怪しげな装置を持ってきたのだ。
幾重にもコードが絡まりあっていて最終的には一本の太いロープのようになりつつもヘルメットの頂点部分に繋がっていた。
手招きされた俺はその機会のすぐ近くまで歩いているのだが、近づけば近づくほど危険な印象を受けていたのだ。なぜそこまで危険だと思ったのかは謎だが、イザーちゃんと愛華ちゃんが関わっていてうまなちゃんが全く関係していないという事にも理由があるのかもしれない。
どんなに天才が集まったとしても、それをまとめ上げる人材がいなければうるさい集団としか思われないかもしれない。
「何も心配することはないよ。お兄さんがすることはこの装置を使ってあっちの夢に紛れ込んでくるってだけだからね。私たちは夢の中でのお兄さんの行動を一切責めたりなんてしないから好きなことしてきていいからね」
「私たちは真琴さんが何をするのか観察するだけですよ。圭重さんの創り出した夢の世界で真琴さんがどんなことをするのか知りたいですからね」
「私もあなたがどんな行動をとるのか楽しみだわね。それにしても、あの人ってなんで叩かれてあんなに嬉しそうなのかしら。相変わらず一撃一撃が力強く重そうなのだけど、意識を飛ばさないように一生懸命耐えてるわね。素晴らしいわ」
画面に映し出される映像には大きな牛のぬいぐるみを手に持っているうまなちゃんと嬉しそうに平手を受けている野城圭重がいた。
みんなが言うように嬉しそうに平手を受けている野城圭重の気持ちを理解しようとして見たのだけれど、残念なことに俺はあの立場になってしまった場合に喜んでいられるという自信はなかった。
装置の中央に用意されている椅子に座ると、何となく王様になったような高揚感が俺の体を包み込んでいた。あの夢の世界に行くのはとても嫌ではあるけど、こうして王様気分を味わえるというのは少しだけ嬉しかったりもするのだ。
こんなに立派な玉座に座ることが出来るのはこれが最初で最後の機会かもしれない。悔いのないように行動しようと思ったのだが、俺がこれから行うことはそこに行くだけでも後悔しかないようなことなのだ。
何やらたくさんのコードがついているヘルメットをかぶって自分の席に座った。俺の近くにやってきていたイザーちゃんと愛華ちゃんは手際良く準備を進めているのだ。
俺の体を椅子に固定するために大小さまざまな大きさや太さのチェーンやロープで固定してきたのだ。
「さあ、準備も出来たところだ。これからお兄さんを向こうの夢の世界に送り込むことになるんだけど、何かやり残した事とかはあったりするかな?」
出来ることではないと思うが、いじめが始まったあの時に戻って一人一人にゆっくりと復讐などしてみたいと思ってはいた。
でも、イザーちゃんが聞きたいのはそういう事じゃないとは思うんだよな。
みんなが幸せになるために出来ることはたくさんありそうだけど、自分が幸せになるために出来ることなんてほとんどないような気もしていた。
野城圭重みたいに叩かれることに喜びを見出した方が良いのだろうか。
酸素供給用のマスクをつけると、俺は何も考えられずに意識が少しずつ遠くへ行ってしまうような感覚があったのだ。
こんなに簡単に眠ることなんて出来るのかな。
そんな事を考える一瞬の間に世界は大きく変化していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる