95 / 111
勇者の試練
勇者の試練 第十七話
しおりを挟む
大勇者連盟の本部はアフリカ大陸と同じような位置にあるようだ。
この世界の地図は地域ごとに分かれているので世界地図のようなものは無いので正確な位置は掴みにくいのだけれど、アフリカで言うところのルワンダあたりにあるそうだ。
ルワンダという国の名前は聞いたことがあったのだけれど、その国がどの辺にあるのかという事が全く分かっていない俺は地理が苦手なのだという事を思い出してしまった。
「連盟も連合も協会も評議会もやってることは何も変わらないみたいだよ。名前とトップが違うだけでやってることは何も変わらないんだって。それだったら、全部合わせて一つにしちゃえばいいのにって話なんだけど、それぞれのトップは力も似たようなもので誰か一人でもいなくなるとパワーバランスが崩壊して人間同士の戦争に発展しかねないんだってさ。どこの世界も似たようなことやってるんだね」
「他人を優先する人間なんていないって事だよ」
「兄貴がそういう風に言うと、なんか昔の事を思い出しちゃうね」
「色々あったからな。瑠璃が就職した流れで俺も一緒に働くことになったわけだけど、そのわずかな期間でも今まで生きてきた以上の事が起こってるような気がするよ」
「そうだね。兄貴がカフェで店長やってるなんて思わなかったよ。人生経験もないくせに人生相談を受けたりってのも驚いたな」
「瑠璃の場合は俺に勉強を教えてくれてた時から先生に向いてるなって思ってたよ。カフェに来る生徒に聞いても瑠璃は評判いいみたいだからね。俺に教えてくれていた時と同じように教えるのが上手なんだろうな」
「さすがに兄貴一人に教えるのとは違うけどさ、兄貴に勉強を教えていたのが今に活きてるかも」
「それ以上に驚いているのはこの世界にやってきたって事だよな。うまなちゃんが誘拐されたのも驚いたけど、それも比べ物にならないくらいこの世界は驚きの連続だよ。ほら、今も瑠璃の呼び出した巨人が良くわからない生物と戦ってるもんな」
「だよね。私もどうしてあの子たちを呼び出せてるのかわかってないんだよね。この世界にはこの世界の私の力があるみたいなんだけど、うまなさんや愛華さんや柘榴さんみたいに自分の力を使ってって感じじゃないんだよね。呼び出すためにちょっとだけ代償を支払っているんだよ。兄貴は知らなかったでしょ?」
「全然知らないけど。その代償ってのは命にかかわることなのか?」
「別に命にはかかわらないかな。ちょっと嫌だなって思う程度の事だよ」
「ちょっと嫌だなって、どんな事なの?」
「直接ではないんだけど、夢の中でお尻を触られるんだ。ちょっと触られる程度なんだけど、やたらと感触がリアルなんだよね。もしかして、私が寝てるときに兄貴が触ってるとかないよね?」
「そんなことして無いって。瑠璃が寝てるところに行ったこともないし」
「でも、私のお尻を触りたくなったらいつでも言ってくれていいんだからね。少しくらいなら触らせてあげてもいいよ」
「そんな事言わないから安心しろ」
俺たちが冗談を言い合っている間にも巨人は得体の知れない魔物を次々と倒していた。
似たような敵が何体も何体も出てきているのだが、瑠璃が呼び出している巨人とは強さも耐久力も何もかもが違うようで全く相手にならなかった。瑠璃の呼び出している巨人の圧倒的な強さに対して魔物たちはただ倒されるためだけに出てきているとしか思えなかった。
「それにしても、今回の巨人は今までと違って体が全部そろってるように見えるな」
「そうみたいだね。私も呼び出すまで心配だったんだけど、今回の巨人は体がちゃんとしているかわりに心が壊れてしまっているみたいだよ。だからなのかもしれないけど、常に全力で行動しちゃってるみたいだね」
「常に全力って、それであいつは大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思うよ。あの子たちは倒した相手の魔力を奪って体を維持しているからね。倒した相手によってはパワーアップすることもあるみたいだけど、強くなればなるほど体を維持するために必要な魔力も増えていっちゃうんだよね。なので、ほどほどに強くて燃費のいい子が一番いいかな」
「愛華ちゃんの銃もそうだけど、色々と理解しがたいシステムでおどろちゃうよな」
「うまなさんの持ってる斧もどこから取り出してるのか気になっちゃうよね。柘榴さんは何のためらいもなく魔法を使いこなしてると思うんだけど、元々魔法とか使ってたりしたのかな?」
「そんな事は無いんじゃないかな。魔法とか使えてそうな感じはしてたけど、さすがにこっちの世界に来る前は使えなかったと思うよ」
イザーちゃんの怪力はもともとだったと思う。
それ以前に、イザーちゃんは俺たちが住んでる世界とまた違う世界からやってきたという事だし、同じ人間とカウントしていいものなのか悩むところではある。
瑠璃もその事を知っているのであえてこの場では触れていないのかな。
巨人は勢いに乗って次々と魔物を倒している。出てくる魔物を全て倒した巨人はそのまま扉を開けて奥へと入っていったのだが、巨人に驚いて聞こえてきた聞き覚えのある悲鳴と聞き覚えのない断末魔が順番にフロアに響いていた。
「もしかして、全部やっちゃったのかな?」
「そうかもしれないな。聞き覚えのある声だったような気がするんだけど、瑠璃はどう思う?」
「さあ、私には聞き覚えなんてないけど。男の人の悲鳴なんて聞いたことないし」
普通はそうだろうなと思う。俺だって今まで生きてきて男の悲鳴を聞いたことなんて無かった。
人生のほとんどを部屋に引きこもっていたことを差し引いたとしても、普通は男性の悲鳴なんて聞く機会はないだろう。
うまなちゃんの誘拐事件以降は俺にとって他人の命の重さなんてものは、一枚の紙切れよりも軽くなっているような気もしていた。イザーちゃんが他の世界から同じ人を連れてくることもあるのかもしれないが、命の重さは日に日に軽くなっていっているような気もしていた。
この世界の地図は地域ごとに分かれているので世界地図のようなものは無いので正確な位置は掴みにくいのだけれど、アフリカで言うところのルワンダあたりにあるそうだ。
ルワンダという国の名前は聞いたことがあったのだけれど、その国がどの辺にあるのかという事が全く分かっていない俺は地理が苦手なのだという事を思い出してしまった。
「連盟も連合も協会も評議会もやってることは何も変わらないみたいだよ。名前とトップが違うだけでやってることは何も変わらないんだって。それだったら、全部合わせて一つにしちゃえばいいのにって話なんだけど、それぞれのトップは力も似たようなもので誰か一人でもいなくなるとパワーバランスが崩壊して人間同士の戦争に発展しかねないんだってさ。どこの世界も似たようなことやってるんだね」
「他人を優先する人間なんていないって事だよ」
「兄貴がそういう風に言うと、なんか昔の事を思い出しちゃうね」
「色々あったからな。瑠璃が就職した流れで俺も一緒に働くことになったわけだけど、そのわずかな期間でも今まで生きてきた以上の事が起こってるような気がするよ」
「そうだね。兄貴がカフェで店長やってるなんて思わなかったよ。人生経験もないくせに人生相談を受けたりってのも驚いたな」
「瑠璃の場合は俺に勉強を教えてくれてた時から先生に向いてるなって思ってたよ。カフェに来る生徒に聞いても瑠璃は評判いいみたいだからね。俺に教えてくれていた時と同じように教えるのが上手なんだろうな」
「さすがに兄貴一人に教えるのとは違うけどさ、兄貴に勉強を教えていたのが今に活きてるかも」
「それ以上に驚いているのはこの世界にやってきたって事だよな。うまなちゃんが誘拐されたのも驚いたけど、それも比べ物にならないくらいこの世界は驚きの連続だよ。ほら、今も瑠璃の呼び出した巨人が良くわからない生物と戦ってるもんな」
「だよね。私もどうしてあの子たちを呼び出せてるのかわかってないんだよね。この世界にはこの世界の私の力があるみたいなんだけど、うまなさんや愛華さんや柘榴さんみたいに自分の力を使ってって感じじゃないんだよね。呼び出すためにちょっとだけ代償を支払っているんだよ。兄貴は知らなかったでしょ?」
「全然知らないけど。その代償ってのは命にかかわることなのか?」
「別に命にはかかわらないかな。ちょっと嫌だなって思う程度の事だよ」
「ちょっと嫌だなって、どんな事なの?」
「直接ではないんだけど、夢の中でお尻を触られるんだ。ちょっと触られる程度なんだけど、やたらと感触がリアルなんだよね。もしかして、私が寝てるときに兄貴が触ってるとかないよね?」
「そんなことして無いって。瑠璃が寝てるところに行ったこともないし」
「でも、私のお尻を触りたくなったらいつでも言ってくれていいんだからね。少しくらいなら触らせてあげてもいいよ」
「そんな事言わないから安心しろ」
俺たちが冗談を言い合っている間にも巨人は得体の知れない魔物を次々と倒していた。
似たような敵が何体も何体も出てきているのだが、瑠璃が呼び出している巨人とは強さも耐久力も何もかもが違うようで全く相手にならなかった。瑠璃の呼び出している巨人の圧倒的な強さに対して魔物たちはただ倒されるためだけに出てきているとしか思えなかった。
「それにしても、今回の巨人は今までと違って体が全部そろってるように見えるな」
「そうみたいだね。私も呼び出すまで心配だったんだけど、今回の巨人は体がちゃんとしているかわりに心が壊れてしまっているみたいだよ。だからなのかもしれないけど、常に全力で行動しちゃってるみたいだね」
「常に全力って、それであいつは大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思うよ。あの子たちは倒した相手の魔力を奪って体を維持しているからね。倒した相手によってはパワーアップすることもあるみたいだけど、強くなればなるほど体を維持するために必要な魔力も増えていっちゃうんだよね。なので、ほどほどに強くて燃費のいい子が一番いいかな」
「愛華ちゃんの銃もそうだけど、色々と理解しがたいシステムでおどろちゃうよな」
「うまなさんの持ってる斧もどこから取り出してるのか気になっちゃうよね。柘榴さんは何のためらいもなく魔法を使いこなしてると思うんだけど、元々魔法とか使ってたりしたのかな?」
「そんな事は無いんじゃないかな。魔法とか使えてそうな感じはしてたけど、さすがにこっちの世界に来る前は使えなかったと思うよ」
イザーちゃんの怪力はもともとだったと思う。
それ以前に、イザーちゃんは俺たちが住んでる世界とまた違う世界からやってきたという事だし、同じ人間とカウントしていいものなのか悩むところではある。
瑠璃もその事を知っているのであえてこの場では触れていないのかな。
巨人は勢いに乗って次々と魔物を倒している。出てくる魔物を全て倒した巨人はそのまま扉を開けて奥へと入っていったのだが、巨人に驚いて聞こえてきた聞き覚えのある悲鳴と聞き覚えのない断末魔が順番にフロアに響いていた。
「もしかして、全部やっちゃったのかな?」
「そうかもしれないな。聞き覚えのある声だったような気がするんだけど、瑠璃はどう思う?」
「さあ、私には聞き覚えなんてないけど。男の人の悲鳴なんて聞いたことないし」
普通はそうだろうなと思う。俺だって今まで生きてきて男の悲鳴を聞いたことなんて無かった。
人生のほとんどを部屋に引きこもっていたことを差し引いたとしても、普通は男性の悲鳴なんて聞く機会はないだろう。
うまなちゃんの誘拐事件以降は俺にとって他人の命の重さなんてものは、一枚の紙切れよりも軽くなっているような気もしていた。イザーちゃんが他の世界から同じ人を連れてくることもあるのかもしれないが、命の重さは日に日に軽くなっていっているような気もしていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる