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勇者の試練
勇者の試練 第二十四話
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朝ご飯を食べ終えた俺は二日酔いで動けなくなっている瑠璃を少し介抱してから自分の部屋へ戻ることにした。
その道すがら俺は柘榴ちゃんにばったり出会ったのだが、彼女は俺に軽く挨拶をするとお城の中へと吸い込まれるように消えていった。柘榴ちゃんが戻ってきたと言うことは、次の試練は柘榴ちゃんと一緒に行くという事になるんだろうな。
その前に、俺は一眠りしておきたい。
どれくらい眠っていたのかわからないが、いつもよりも疲れが取れているようなスッキリとした目覚めだった。
何故かヒノキのような匂いがしているのが気になったのだが、体を起こして部屋を見た時にその正体が何なのか判明したのだ。
それと同時に、なぜか椅子に座って紅茶を飲んでいる柘榴ちゃんがいたのだ。
「随分と気持ちよさそうに寝ていたみたいだけど、いい夢でも見れたのかしら?」
「いい夢だったかは覚えていないけど、どうして柘榴ちゃんがここにいるの?」
「どうしてと言われても、迎えに来たということ以外に理由はないのだけど」
順番的にはそうだろうと思ってはいたけれど、俺がお城に行くまで待ってくれるものだとばかり思っていた。迎えに来たという事は、今すぐにでも勇者の試練に行きたいという事なのだろうな。
「ごめん、すぐに準備するから待っててもらってもいいかな?」
「待つのは構わないけれど、そんなに急がなくてもいいわよ。私はお兄ちゃんのタイミングで全然大丈夫だから」
「急いでるから迎えに来たんじゃないの?」
「いいえ、私はただお兄ちゃんと一緒に居たいから迎えに来ただけなのよ。お兄ちゃんが疲れているんだったら、二三日くらい休養日にして一緒に過ごしてもいいと思っているわ」
早く勇者の試練を受けたいから迎えに来たとばかり思っていたのだけど、柘榴ちゃんはそこまで勇者の試練に対して意気込んではいないのかな。俺もそこまで乗り気ではないので時間をおいて挑戦出来るというのは嬉しいのだけど、そうなると次に待っているうまなちゃんを待たせることになってしまうんじゃないだろうか。
「ゆっくりしたいのはやまやまなんだけど、あんまりゆっくりしてたらうまなちゃんを凄く待たせることになっちゃうんじゃないかな?」
「そんな事はないと思うわよ。お兄ちゃんは知らないかもしれないけど、うまなちゃんが担当しているエリアって私を含めたほか三人よりもやらないといけないことが多いからまだまだ時間はかかると思うのよ。みんなで助けに行くってのも一つの手だとは思うけれど、私とお兄ちゃんの試練をまずはクリアしておかないと手伝いにも行けないよね」
うまなちゃんがそんなに大変だというのであれば今すぐにでも勇者の試練をクリアして助けに行った方がいいのではないかと思っていた。でも、柘榴ちゃんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずかすぐに試練に向かうというつもりはないみたいだ。
「私が行ってうまなちゃんを助けるのは簡単だけど、そんな事をしたらお兄ちゃんが大変なことになっちゃうかもしれないんだよ」
「大変なコトって、どんな事なのかな?」
「そうですね。例えばですけど、うまなちゃんを助ける代わりにお兄さんの手足の指が全部無くなる程度だと思うかな。お兄さんにその覚悟があるんだったらさっさと試練をクリアして助けに行きましょう。でも、そんな危険を冒さなくても一週間もたてばお兄さんに災いが起こらなくなるんだけどね」
一週間待てば俺は五体満足な状態でみんなと戦うことが出来る。
逆を言えば、俺が慌ててうまなちゃんを助けに行こうとすると、俺の身に何か不幸なコトが起きるという事なのだろう。何の根拠もないけれど、柘榴ちゃんの言葉にはどこか妙に説得力があるように思えていた。
「勇者の試練って一緒に入る人によって変わるみたいなんだけど、柘榴ちゃんってどこに行ってたんだっけ?」
「私は真勇者評議会に行ってきたわ。ほぼ日本と同じような位置にある日本のようで日本ではない不思議な場所だったわ。お兄ちゃんなら一目見ただけでも気に入ってしまうんじゃないかってくらい日本家屋と見間違えるくらいの街並みだったわ。街灯なんかも提灯になっていたし、本当にこの世界にこんな場所があるのかと思ったわ」
「そこまで言うんだったら一目見てみたいところだけれど、それも難しいんだろうね」
日本食や日本的な温泉に入ってそれなりに日本を感じ取ってはいたけれど、どこか物足りなさを感じていた。
その正体はずっと謎のままであったのだが、家の外見も内装も日本家屋っぽさが感じられない。畳張りとは言わないので、せめて座布団に近いものは用意しておいてほしいと思っていた。
「お兄ちゃんはうまなちゃんを助けてから私がいた場所に行こうとしているみたいだけど、それも無理かと思うよ。私たちが試練をさっさと終わらせて助けに行ったとしても、うまなちゃんがどこに居るのか正確な場所がわからないから困るよね」
「正確な場所がわからないって、こんなに広い北半球でうまなちゃんを見つけるのは不可能なんじゃないかな」
「お兄ちゃんとイザーちゃんが力を合わせればいいのではないかと思うけど、そんな事をしなくても一週間待つだけでいい方向に物事は進んでいくと思うよ・」
「お兄ちゃんはうまなちゃんの事を一週間も気にしないことなんて出来ないと思うんだよ。それ以前に、俺はうまなちゃんの事ばかり考えてるわけじゃないんだけど」
「そうなんでしょうね。お兄ちゃんはみんなの事を考えてくれているって事だものね」
一週間たてばうまなちゃんを助けるのも簡単になるみたいな話なのだが、一週間もうまなちゃんを放置していいものだろうか。
俺はこの話を聞かなければただ黙ってうまなちゃんを待っているという事になったのだと思うが、知ってしまったからには一刻も早く助けに行かないといけないという思いもあった。
きっと、他のみんなも俺と同じようにうまなちゃんを助けたいって思ってるはずだ。
その道すがら俺は柘榴ちゃんにばったり出会ったのだが、彼女は俺に軽く挨拶をするとお城の中へと吸い込まれるように消えていった。柘榴ちゃんが戻ってきたと言うことは、次の試練は柘榴ちゃんと一緒に行くという事になるんだろうな。
その前に、俺は一眠りしておきたい。
どれくらい眠っていたのかわからないが、いつもよりも疲れが取れているようなスッキリとした目覚めだった。
何故かヒノキのような匂いがしているのが気になったのだが、体を起こして部屋を見た時にその正体が何なのか判明したのだ。
それと同時に、なぜか椅子に座って紅茶を飲んでいる柘榴ちゃんがいたのだ。
「随分と気持ちよさそうに寝ていたみたいだけど、いい夢でも見れたのかしら?」
「いい夢だったかは覚えていないけど、どうして柘榴ちゃんがここにいるの?」
「どうしてと言われても、迎えに来たということ以外に理由はないのだけど」
順番的にはそうだろうと思ってはいたけれど、俺がお城に行くまで待ってくれるものだとばかり思っていた。迎えに来たという事は、今すぐにでも勇者の試練に行きたいという事なのだろうな。
「ごめん、すぐに準備するから待っててもらってもいいかな?」
「待つのは構わないけれど、そんなに急がなくてもいいわよ。私はお兄ちゃんのタイミングで全然大丈夫だから」
「急いでるから迎えに来たんじゃないの?」
「いいえ、私はただお兄ちゃんと一緒に居たいから迎えに来ただけなのよ。お兄ちゃんが疲れているんだったら、二三日くらい休養日にして一緒に過ごしてもいいと思っているわ」
早く勇者の試練を受けたいから迎えに来たとばかり思っていたのだけど、柘榴ちゃんはそこまで勇者の試練に対して意気込んではいないのかな。俺もそこまで乗り気ではないので時間をおいて挑戦出来るというのは嬉しいのだけど、そうなると次に待っているうまなちゃんを待たせることになってしまうんじゃないだろうか。
「ゆっくりしたいのはやまやまなんだけど、あんまりゆっくりしてたらうまなちゃんを凄く待たせることになっちゃうんじゃないかな?」
「そんな事はないと思うわよ。お兄ちゃんは知らないかもしれないけど、うまなちゃんが担当しているエリアって私を含めたほか三人よりもやらないといけないことが多いからまだまだ時間はかかると思うのよ。みんなで助けに行くってのも一つの手だとは思うけれど、私とお兄ちゃんの試練をまずはクリアしておかないと手伝いにも行けないよね」
うまなちゃんがそんなに大変だというのであれば今すぐにでも勇者の試練をクリアして助けに行った方がいいのではないかと思っていた。でも、柘榴ちゃんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずかすぐに試練に向かうというつもりはないみたいだ。
「私が行ってうまなちゃんを助けるのは簡単だけど、そんな事をしたらお兄ちゃんが大変なことになっちゃうかもしれないんだよ」
「大変なコトって、どんな事なのかな?」
「そうですね。例えばですけど、うまなちゃんを助ける代わりにお兄さんの手足の指が全部無くなる程度だと思うかな。お兄さんにその覚悟があるんだったらさっさと試練をクリアして助けに行きましょう。でも、そんな危険を冒さなくても一週間もたてばお兄さんに災いが起こらなくなるんだけどね」
一週間待てば俺は五体満足な状態でみんなと戦うことが出来る。
逆を言えば、俺が慌ててうまなちゃんを助けに行こうとすると、俺の身に何か不幸なコトが起きるという事なのだろう。何の根拠もないけれど、柘榴ちゃんの言葉にはどこか妙に説得力があるように思えていた。
「勇者の試練って一緒に入る人によって変わるみたいなんだけど、柘榴ちゃんってどこに行ってたんだっけ?」
「私は真勇者評議会に行ってきたわ。ほぼ日本と同じような位置にある日本のようで日本ではない不思議な場所だったわ。お兄ちゃんなら一目見ただけでも気に入ってしまうんじゃないかってくらい日本家屋と見間違えるくらいの街並みだったわ。街灯なんかも提灯になっていたし、本当にこの世界にこんな場所があるのかと思ったわ」
「そこまで言うんだったら一目見てみたいところだけれど、それも難しいんだろうね」
日本食や日本的な温泉に入ってそれなりに日本を感じ取ってはいたけれど、どこか物足りなさを感じていた。
その正体はずっと謎のままであったのだが、家の外見も内装も日本家屋っぽさが感じられない。畳張りとは言わないので、せめて座布団に近いものは用意しておいてほしいと思っていた。
「お兄ちゃんはうまなちゃんを助けてから私がいた場所に行こうとしているみたいだけど、それも無理かと思うよ。私たちが試練をさっさと終わらせて助けに行ったとしても、うまなちゃんがどこに居るのか正確な場所がわからないから困るよね」
「正確な場所がわからないって、こんなに広い北半球でうまなちゃんを見つけるのは不可能なんじゃないかな」
「お兄ちゃんとイザーちゃんが力を合わせればいいのではないかと思うけど、そんな事をしなくても一週間待つだけでいい方向に物事は進んでいくと思うよ・」
「お兄ちゃんはうまなちゃんの事を一週間も気にしないことなんて出来ないと思うんだよ。それ以前に、俺はうまなちゃんの事ばかり考えてるわけじゃないんだけど」
「そうなんでしょうね。お兄ちゃんはみんなの事を考えてくれているって事だものね」
一週間たてばうまなちゃんを助けるのも簡単になるみたいな話なのだが、一週間もうまなちゃんを放置していいものだろうか。
俺はこの話を聞かなければただ黙ってうまなちゃんを待っているという事になったのだと思うが、知ってしまったからには一刻も早く助けに行かないといけないという思いもあった。
きっと、他のみんなも俺と同じようにうまなちゃんを助けたいって思ってるはずだ。
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