4 / 46
異世界転生 佐藤みさきの場合 中編
しおりを挟む
私は宙に浮いている不思議な人の後について裏庭に行ったのだけれど、そこにはあるべきものがあるべき場所に何一つ存在していなかった。家の裏にあった優しい木村さんの家もその両隣の松本さんと伊藤さんの家も無くなっていた。何もかもが無くなっているのだけれど、そこに何かがあるような気配だけは感じていた。
更地になっていたその場所に浮かぶ不思議な魔法陣のような文様。私はその中心に立たされて、手渡されたラッパを受け取った。
「さあ、君がそのラッパを吹くことによって嫌な事は全て終わり、楽しいことが始まるよ」
「楽しい事って?」
「それはね、君にとってとても嬉しい事だよ。みさきちゃんが望むような世界になるって事さ」
「嫌な事を忘れて楽しい事だけしていられるってことなの?」
「そうだよ、さあ、勇気を振り絞ってそのラッパを吹くんだ」
私は手渡されたラッパをまじまじと見つめていた。変なところがあったらいやだなという気持ちと同時に、汚かったらどうしようという思いがあったからだ。幸いなことに、ラッパは新品じゃないかと思えるくらい綺麗な状態だったのだが、一応吹き口だけは消毒ペーパーで拭いておくことにした。
ラッパを口に当てて思いっきり息を吹き込むと、今まで聞いたことのないような高音が一気に周囲に広がっていった。その衝撃でまだ無事だった家の窓ガラスや車のガラスが砕け散り、壁や塀には大きな亀裂が走っていた。
それと同時に、見たことも無いような異形の生物が空から無数に落ちてきたのだった。力を失って落ちてきた生物たちは、引力にひかれて地面に叩きつけられ、私のパパやママたちよりも無残な姿になっていた。
「凄いよみさきちゃん。たった一回でこれだけの効果が出るなんて信じられないよ。たった一回で世界中に広がっていた奴らが全て消えてしまったよ。でもね、ルシファー様がいる限り奴らは何度でもやってくるんだから、今度はルシファー様をここに呼ぶためにももう一度そのラッパを吹くんだ。みさきちゃんなら何度だって出来るよ」
私は何が何だかわからないままラッパを吹き続けた。息の続く限り何度でも何度でも何度でも何度でも、私はラッパを吹き続けた。
そして、疲れて辺りを見渡すと、そこには何もない荒野となっていた。
「みさきちゃん、ちょっとやりすぎちゃったね。ここまでやっちゃうと元に戻すのは大変かもよ。それに、ルシファー様もここに気付いたみたいだよ。みさきちゃんのすぐ後ろに立っているからね」
「え?」
私はその言葉を聞くと同時に振り返っていたんだけど、そこにはテレビで何度も見ていた空に浮かんでいた人がいた。
近くで見るとまー君とそんなに身長は変わらないように見えたけれど、その背中に生えている羽がとても綺麗に感じてしまった。
「みさきさん、久しぶりだね。新しい神は君の事を必要としているみたいなんだけど、俺はそれを阻止しに来たんだ」
「ごめんなさい。あなたたちが言っていることが一つも理解できません」
「ミカエルから聞いていると思うけど、君は新しい神に必要とされているんだよ。俺が殺した古い神とは違う新しい神なんだけど、そいつはどういうわけか君たちの力を必要としているみたいなんだよ。そこでだ、君と正樹は俺のためにその神の動向を探ってくれないかな?」
「あの、なんで私とまー君がそんな事をしないといけないんですか?」
「なんでって、君たち二人が俺とサクラを殺したんだからね。今はまだ完全に戻っていないけど、復活するまでは俺たちの代わりに行動してくれたっていいんじゃないかな。それにさ、断っちゃうと正樹を闇の世界に一生閉じ込めちゃうよ。そこに君はどんな手段を使っても行くことは出来ないんだけど、それでもいいのかな?」
「いいわけないでしょ。なんでそんな自分勝手なことに巻き込まれないといけないのよ。私が協力しなかったらまー君を閉じ込めるって、完全に脅迫じゃない。そんな事許さないんだからね」
「おいおい、お前は何か勘違いしているんじゃないか。力を失っている者同士とはいえ、今のお前と俺だったらどう考えたって俺の方が強いんだぞ。そんな貧弱な能力でどうやって俺に立ち向かうって言うんだよ」
確かに、私がどう頑張ったってこの人に勝てるわけはないだろう。でも、このまま黙って従うのもなんだか嫌だ。どうすることが一番いいのだろうと考えていると、私は自分で持っているラッパが使えるんじゃないかと思った。
私は従うようなふりをして油断しているルシファーに近付くと、後ろからそっと抱きしめてあげた。ただ、抱きしめるだけではなく、ルシファーの体にラッパを当てながらだけど。
私はそのまま、ルシファーの背中に向かってラッパを吹き続けた。さっきよりも長く多く強く殺気を込めて吹き続けた。
ラッパを吹いている間はこの悪い人たちは自由に動けないらしく、息継ぎをするときには逃げようとしていたみたいだけれど、それも無駄な抵抗だと思ったのか途中で動くことすらなくなっていた。
更地になっていたその場所に浮かぶ不思議な魔法陣のような文様。私はその中心に立たされて、手渡されたラッパを受け取った。
「さあ、君がそのラッパを吹くことによって嫌な事は全て終わり、楽しいことが始まるよ」
「楽しい事って?」
「それはね、君にとってとても嬉しい事だよ。みさきちゃんが望むような世界になるって事さ」
「嫌な事を忘れて楽しい事だけしていられるってことなの?」
「そうだよ、さあ、勇気を振り絞ってそのラッパを吹くんだ」
私は手渡されたラッパをまじまじと見つめていた。変なところがあったらいやだなという気持ちと同時に、汚かったらどうしようという思いがあったからだ。幸いなことに、ラッパは新品じゃないかと思えるくらい綺麗な状態だったのだが、一応吹き口だけは消毒ペーパーで拭いておくことにした。
ラッパを口に当てて思いっきり息を吹き込むと、今まで聞いたことのないような高音が一気に周囲に広がっていった。その衝撃でまだ無事だった家の窓ガラスや車のガラスが砕け散り、壁や塀には大きな亀裂が走っていた。
それと同時に、見たことも無いような異形の生物が空から無数に落ちてきたのだった。力を失って落ちてきた生物たちは、引力にひかれて地面に叩きつけられ、私のパパやママたちよりも無残な姿になっていた。
「凄いよみさきちゃん。たった一回でこれだけの効果が出るなんて信じられないよ。たった一回で世界中に広がっていた奴らが全て消えてしまったよ。でもね、ルシファー様がいる限り奴らは何度でもやってくるんだから、今度はルシファー様をここに呼ぶためにももう一度そのラッパを吹くんだ。みさきちゃんなら何度だって出来るよ」
私は何が何だかわからないままラッパを吹き続けた。息の続く限り何度でも何度でも何度でも何度でも、私はラッパを吹き続けた。
そして、疲れて辺りを見渡すと、そこには何もない荒野となっていた。
「みさきちゃん、ちょっとやりすぎちゃったね。ここまでやっちゃうと元に戻すのは大変かもよ。それに、ルシファー様もここに気付いたみたいだよ。みさきちゃんのすぐ後ろに立っているからね」
「え?」
私はその言葉を聞くと同時に振り返っていたんだけど、そこにはテレビで何度も見ていた空に浮かんでいた人がいた。
近くで見るとまー君とそんなに身長は変わらないように見えたけれど、その背中に生えている羽がとても綺麗に感じてしまった。
「みさきさん、久しぶりだね。新しい神は君の事を必要としているみたいなんだけど、俺はそれを阻止しに来たんだ」
「ごめんなさい。あなたたちが言っていることが一つも理解できません」
「ミカエルから聞いていると思うけど、君は新しい神に必要とされているんだよ。俺が殺した古い神とは違う新しい神なんだけど、そいつはどういうわけか君たちの力を必要としているみたいなんだよ。そこでだ、君と正樹は俺のためにその神の動向を探ってくれないかな?」
「あの、なんで私とまー君がそんな事をしないといけないんですか?」
「なんでって、君たち二人が俺とサクラを殺したんだからね。今はまだ完全に戻っていないけど、復活するまでは俺たちの代わりに行動してくれたっていいんじゃないかな。それにさ、断っちゃうと正樹を闇の世界に一生閉じ込めちゃうよ。そこに君はどんな手段を使っても行くことは出来ないんだけど、それでもいいのかな?」
「いいわけないでしょ。なんでそんな自分勝手なことに巻き込まれないといけないのよ。私が協力しなかったらまー君を閉じ込めるって、完全に脅迫じゃない。そんな事許さないんだからね」
「おいおい、お前は何か勘違いしているんじゃないか。力を失っている者同士とはいえ、今のお前と俺だったらどう考えたって俺の方が強いんだぞ。そんな貧弱な能力でどうやって俺に立ち向かうって言うんだよ」
確かに、私がどう頑張ったってこの人に勝てるわけはないだろう。でも、このまま黙って従うのもなんだか嫌だ。どうすることが一番いいのだろうと考えていると、私は自分で持っているラッパが使えるんじゃないかと思った。
私は従うようなふりをして油断しているルシファーに近付くと、後ろからそっと抱きしめてあげた。ただ、抱きしめるだけではなく、ルシファーの体にラッパを当てながらだけど。
私はそのまま、ルシファーの背中に向かってラッパを吹き続けた。さっきよりも長く多く強く殺気を込めて吹き続けた。
ラッパを吹いている間はこの悪い人たちは自由に動けないらしく、息継ぎをするときには逃げようとしていたみたいだけれど、それも無駄な抵抗だと思ったのか途中で動くことすらなくなっていた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる